芦生 シンコボ・櫃倉谷


シンコボ



2010年7月18日(日) 快晴  森の旅人M



コース:
須後〜ケヤキ坂〜モンドリ谷〜上谷〜杉尾峠〜若丹尾根〜シンコボ〜若丹尾根〜上谷〜杉尾峠〜櫃倉谷〜横山峠〜林道終点〜須後





 今年の梅雨明け直後の山行は芦生のシンコボ,通常は生杉から野田畑峠経由で向うのがほとんどである。須後からとなると距離が長くまた,初めての尾根コースもあるため普段の出発時間では,帰る時間が遅くなる。このため,日の出直後にスタートできるように深夜,真っ暗な中を芦生に向けて車を走らせました。

 驚いたのは花背峠手前から見られた鹿の姿,次々と姿を現します。結局須後までに目にした頭数は29頭,シカの天国です。1頭で移動するものや5頭の集団で移動する姿も見ました。車に当たってこられないように徐行もしました。須後の駐車場には既に4台ほど停まっていました。仮眠を取りながら夜明けを待ちます。同じような考えの人もいるもので後から2台ほど駐車場に入ってきました。

 夜明けとともに,まだ薄暗い林道を歩きます。低山の芦生の山に陽が当たって明るくなったのは,幽仙橋に着いた頃。陽に照らされるとともに真っ青な空が広がります。ケヤキ坂からは杉尾・権蔵線に入ります。モンドリ谷上流にたどり着くように途中林道から尾根に取り付きます。

ケヤキ坂 林道から尾根道へ

 モンドリ谷の南にある尾根分岐から谷上流の東へ回りこみ,尾根鞍部から谷へ下ります。モンドリ谷に下る最後の細いナメ滝は,高巻きして谷へ下ります。倒木で一部通過しにくくなっているものの,人が入っていないためか上谷と違う雰囲気があります。上谷に出ると杉尾峠に向います,幅のあった上谷もこの先で急速に幅を縮め,由良川源流を見てようやく杉尾峠に着きました。

モンドリ谷下流 上谷出合
杉尾峠 若丹国境尾根

 櫃倉谷を歩くため長クツを持参しましたが重いのでここに置いて行きます。杉尾峠から連なるシンコボへの若丹国境道,尾根を忠実に辿れば楽かなと思って歩き出したものの,踏み後は薄く時々あるテープを頼りに進む。そして地図に「迷」と記してあるクツベ谷最上流部の鞍部からはテープも見当たらず,道は無くなり上方に見える尾根筋を目指し急斜面を折り返してよじ登る。

 尾根に出ると倒木とテープを目に入れて歩き出す,予定時間をオーバーしている。この先は細い尾根となり道もしっかりとなり,真北に進んでいく。やがて野田畑峠からの分岐点に到達,さらに北西に行くとようやくシンコボに到着しました。シンコボ山頂は小広場となっており広い山頂部には杉とシャクナゲの他,雑木林になっています。残念ながら展望はありません。シンコボまでに数箇所,不明確な場所はあります。

クツベ谷上流鞍部 クツベ谷東尾根斜面
シンコボ分岐 シンコボ

 シンコボで昼食を簡単に済ますと往路に時間がかかりすぎたため,すぐに出発です。野田畑峠と杉尾峠の分岐から南に取り杉尾峠に向います。最初の鞍部から次のポイントは東に延びる尾根に入らないこと。ここでも南下します。一旦鞍部の後,次の尾根の坂を登ります。要注意の分岐点です。

 ここは迷い易い所と,注意し通過したものの,目印の一つ倒木は確認したのに,テープが目に入りません。そのまま進んで行くと,道としては悪くありません。そして細い尾根に4本ブナのある所,「あれ?来る時にこんな所通ったかな」と思いつつ,尚先を進んでいくと下り坂からやがて谷に着いてしまいました。道が歩きやすかったため,どんどん進んだものの,やはりルートを外れていたことがはっきりしました。

 さすがに,この急坂を先程の分岐には戻る気はすでにありません。往路で慎重に歩いて無事着いたことで復路を甘く見てしまったようです。そんな状況の中で両足のふくらはぎに痙攣が走ります。その場で寝転び痛みの去るのを待ちます。日頃の運動量からして限界が近づいてきたようです。

 鞍部を目指し一旦上流へ歩き出しますが,どう見ても近くではないようです。下流に歩き出すと谷の合流部にすぐに出ました。「これって上谷?」しかし,はっきりと自信がなく一旦は上流に歩き出しますが確信が持てません。もし間違えていたらと思い,安全策としてこんどは下流に向います。

 この間にも両足太腿にも痙攣が走ります。しばらく歩くと見たことのあるウツギの密集地に出ました。もう一つ,この辺りでこんなに幅のある谷は上谷しかない。と言うことで上谷と確信し,谷の上流に再度向かい始めました。こんな時こそ人がいてもいいのにと思うものの誰一人会いません。根元に大きな穴のあいた木を確認し,その先が今朝下りてきたモンドリ谷です,標識もあります。そして上谷の最上部,本日2回目の杉尾峠です。木陰に残しておいた長クツを回収します。

クツベ谷東尾根 杉尾峠より日本海

 櫃倉谷へ下るため,西側の坂道から少し歩き林道に出ます。林道を左手に向うと標識が見えてきます。櫃倉谷の入口です。ここからは一層の急斜面が谷まで続きます。慎重に時間をかけて下り終えると,トレッキングシューズから長クツに履き替えします。梅雨明け直後で水量と水位もありますが,十分長クツで渡渉できます。

櫃倉谷最上流 櫃倉谷

 天気もよく谷の中は涼しく快適です。櫃倉谷の権蔵谷出合でようやく男性の姿を目にしました。しかし男性は谷を下っていくようです。すぐ下流の櫃倉谷本流一番の滝の上流では,20人近い若い男女とリーダーと思しき人のグループに出会いました。昼食の取り方について指導を受けているようでした。

 坂谷手前で先行の男性を追い抜き,休憩を取っていると,男性から声を掛けてきました。「どこかであった気がするが?」「実は私も姿を見て,そう思っていました。」と返答するとはっきりと「カヅラ谷」であったこと覚えていてくれた。私の一つのスタイルが印象に残っていたらしい。そこから今日一日の出来事を報告し,いろんなアドバイスと芦生の情報を受けました。

 その後は一緒に歩いていたものの横山峠で再び足がつるので休憩を取るため別れます。林道終点の先で再び一緒になり駐車場まで結局ひたすらしゃべりながらの同道となりました。男性は毎週のように芦生に来ているそうです。最後は楽しい一時を得て何より思い出に残る山行となりました。