南アルプス甲斐駒ヶ岳に倒れるオヤジ
初心者オヤジついにリタイア


親父の山歩き報告 (NO.43)


甲斐駒をバックに記念撮影



2010年 10月1日(金)〜 10月3日(日)  洛西オヤジ






◆こんにちは洛西オヤジです、今年最後になるはずの遠征でした。


(コース)
▼10月1日(金)
車で京都を16時頃出発、22時頃南アルプス芦安駐車場に到着、車中泊。

▼10月2日(土)
朝一番のバスで広河原、バス乗り換えて北沢峠、右からの北沢コース仙水峠経由、駒津峰から甲斐駒山頂、駒津峰に戻り双児山経由北沢峠、長衛荘宿泊。

▼10月3日(日)
仙丈ヶ岳往復、最終バスで乗り継ぎ駐車場に、その日の内に帰宅と結うコース設定でした。いろいろ予定が重なり結構強行なスケジュールで劔以来の車中泊です。



 予定どうり前夜10過ぎに駐車場に到着、結構車が止まっています。直ぐに寝袋にもぐりこんでオヤスミです、慣れたとはいえ熟睡は出来ません。丁度3時ごろオヤジの停めている隣に車が入ってきて、バターン、ヒソヒソ、おまけに間違えたのかクラクションビー、完全目が覚めてしまったオヤジ、その後は寝られませんでした。

 始発バス5時10分(土、日、祝)なので、4時過ぎに起きて身支度、食事、洗面、何処にこれだけの人がいたのか、沢山の人がバス停に集まってきます。結局2台で始発は出発、前回下りた夜叉神登山口を過ぎ広河原へ、広河原で北沢峠行きのバスに乗り換えます。乗って来た3割ぐらいの人が乗り換えました。

広河原の乗り換えバス停
土曜日なので結構混んで、若い人も多いです。

 土曜日とあって若い人が多いです、ヤマガールなるものもワンサカ、と結うのは大げさですが、やはり南アルプスは関東の人が多いみたいです。駐車場に停まっている車もほとんどが関東ナンバーでした。およそ30分ほどで北沢峠に到着、オヤジは沢を行くコースの予定なので少し戻ります。

バス停から少し戻って
テン場のほうに向かいます
北沢のテン場
駒仙小屋 この橋を渡ってスタートです

 北沢を詰めてドンドン奥に、やがて小さな小屋、仙水小屋が現れますが、そのまま通過、樹林帯が切れてゴロゴロの岩場が現れます。歩きにくいですが穏かな登りなんで、ユックリ歩けば大丈夫と結う感じです。やがて仙水峠に到着、対面に前回行った地蔵岳のオリベスクが見えています。先客の登山者が、甲斐駒をバックに記念撮影をしています、オヤジも同じアングルでシャッターを頼みました。

仙水峠手前の岩場です。

 此処からが急な登りになります、今までが比較的穏かな歩きだったのでゲーです。実はこの辺りから、オヤジの体調がチョットおかしかったのです、頭がボーとしてふらつく感じです。今までもそんな経験はありますが、今回はチョット違った感じ、あきらかにバテテいるなあ〜と感じたのは、駒津峰に着く手前の辺りから、ペースがダウン息も切れだしました。

 何とか駒津峰に到着。此処が北沢峠から左コース双児山経由のコースとの出会い地点、今から思えば、此処でもう少し時間を掛けて休めばよかった気がしますが、後の祭りです。強烈な下りで鞍部に、六万石といわれる巨岩、その先に巻き道と直登のコースの分岐です。前を行く若い男性二人組み、「どっちにする」と思案「直や」と気合を入れて登り出しました。オヤジもよしと岩場にしがみついて登り出します、強烈な登りで岩場もなかなか厳しいです。

駒津峰です 駒津峰から見上げる甲斐駒ヶ岳

 そのうちだんだんオヤジの呼吸が乱れて来ました。今まで経験のない、息苦しさです。とにかくリュックを下ろして休みますが、息苦しさがひどくなります。以前倒れた心筋梗塞が頭をよぎります、やばいなあ〜そのうち追い越して行く登山者が声を掛けてくれます。「大丈夫ですか」と心配そうに顔を覗いていく人も現れました。「大丈夫です、チョット休んでいきます」と言うのが精一杯、「アカン、ヘリでも呼ばれたらえらいこっちゃ」と、とにかく岩場の人目につかない所に隠れるように移動。いつも持っているニトロを口に入れ、舌の下で溶かします。しばらくすると目の前がスーと暗くなったり白くなったり、貧血状態に。意識が薄れ、眠ってしまいました、気がつくと30分ほど意識が無かったみたいです。

 息苦しさはましになりましたが、頭はまだボーとした感じです。アカン下りないとアカン、やばいな〜リュックを担いで山頂を見るまでもなく、体が無意識に下山します。何とか鞍部に下りましたが、先ほどの駒津峰からの強烈な下りが、今度は強烈な登りになるわけで、これが辛かったのなんの、又息が切れだして、チョット登り休み、又登り、直ぐに止まっての繰り返しで、何とか駒津峰に戻りました。

 再度リュックを下ろし休憩、今度は意識がなくなると結うことは無かったので、早々、昼飯まだや、と思い出しオニギリを食べるも一つ食べるのが精一杯。しかし、だんだん、冷静になってきてそうや、先ず心筋梗塞ではないなあ〜、前はもっと痛かったなあ〜と思い出し、朝4時ごろオニギリと菓子パン食べたきりやったな〜。シャリバテかなといろいろ考えが浮かびますが、とにかく今回は先ず、下山する事を目標に、休んでいる他の登山者に、コースを知っている人がいないか聞いて、情報を、とにかく朝来たコースか、双児山コースか、どちらが楽か早く降りられるか、双児山コースの方が、表示では30分ほど早くなっています。

 しかし朝のコースは登りがありません、丁度3組ぐらい聞いた時、双児山経由の方が下るのは楽ですよ、双児山はそれほどキツイのぼりはないです。ただその後が単調な結構長いコースですとのことです。よしとオヤジは双児山経由で降りる事に、大分息も整い、先ほどの悲壮感はなくなってきましたが、不安は以前感じています、此処でオヤジは甲斐駒の山頂を見ます。

 悔しさがこみあげてきます、後1時間ぐらいやったな〜、ちきしょう〜、しかし何とか無事に下りないと話しになりません。ユックリ、と意識してユックリ下りて双児山を目指します。なるほど、それほどの登り返しも無くクリアーできました。その後はユックリユックリと自分に言い聞かせて、北沢峠のバス亭に向かいました。これが長かった〜ほんまに単調なコース、落ち込んでいるオヤジにはホンマ長く感じるコースでした。

 唯最後のゴール近くになると、いつものペースで歩いても大丈夫になり、何とか最終のバス(15時30分)に間に合いましたが、もうさすがに長衛荘に泊まり、明日仙丈岳に挑戦する気持ちはなくなっていました。バスは満員で二台出ました、結構日帰りで皆さん来られているみたいです。しかしオヤジは段々落ち込んで誰とも話さず、窓の外の景色を見ながら泣いていました(うそやろ)うそです。

 5時過ぎに駐車場に戻ってきました、この芦安は温泉郷でもあります。どこかで泊まって帰ろうかなあ〜と思いましたが、バスのガイドさんに(前回、甲府から夜叉神まで乗ったバスの、松田聖子ちゃんが年くって厚化粧したようなガイドさん)立ち寄り湯のいい所がないか教えてもらいました。駐車場から10分ぐらいの桃の木温泉源泉懸け流しの湯に入って、しみじみ悔しさを噛み締め、さめざめ泣いて(うそやろ、ハイうそです)高速韮崎インターから、サービスエリアで仮眠しては、7時間ほどかけて帰って来ました。帰ってきた日曜日は、おとなしく部屋に閉じこもってさめざめ泣いていました(うそやろ)うそです。

 月曜日、朝一番に今お世話になっている医院に出かけて、事情を説明、「まあ大丈夫だと思うが、念の為検査してみたらどうですか」と総合病院を紹介してもらい精密検査をしました。結果は心臓に新たな血管の狭窄はみられないとのことで、一安心。まあ、なんでそのようになったのかは判らないのですが、とにかく、ニトロを服用したのが原因なのは確実で、ニトロの服用により、血圧が急激に下がり、貧血の状態になったのでは、とのことです。まあ、前日の睡眠不足か、シャリバテか、とにかくバテテ息が苦しくなったのがオヤジの精神状態を不安にさせ、(心筋梗塞は、オヤジのトラウマになっています)ニトロを安易に服用したのがいけなかったみたいです。

 まあそれにしても情けない、敵討ちにと思っても予定が詰まっています。11月はもうバスがなくなるし、ああ〜今年は情けない幕締めになりそうです。しかし何とか無事にヘリにも乗らず帰れたことに感謝、感謝。


               【 記: 洛西オヤジ 】