坂谷道〜蓬莱山 |
笹原を歩く |
2011.10.9(日) 快晴 24℃ ikomochi
青空が広がる三連休。いちびってやってみた岩登り訓練でおもいきり延ばした大腿部から膝がピキーンで、炎症を起こした膝の回復は本復とは言えないが、やっぱり山に行ってみたい。で、下山は体調によって幾通りも選べる比良へと向かう。昨秋探索失敗した坂谷道古道のリベンジもある。 出町柳には早めに行ったけれど、やはり朽木行きは大勢の列。結局60名を越えると増発ということで、1台目の最後部席に座ることになった。大見尾根に行くというおばさん山歩き隊さんにも久々お会いする。 平でグループが降り、2台のバスは半分に減る。 坂下で降りたのは2名。準備を済ませて、道端の秋草を眺めながらぷらぷら。いつもの場所に金平糖草やツリフネソウが咲いていて、よしよしと嬉しい。庭先で掃除中のおばさんに挨拶すると、「一人で上るんか?気をつけてや」と声を掛けてもらう。
桂昌寺へは白い橋を渡る。去年道を尋ねたお宅のワンちゃんがお出迎え。道なりにお寺に着いても、まだずっと門番して吠え続けていた。 去年はあれこれ迷った踏み跡だが、今回は小さな谷の北側を上る道に行ってみる。でも結局、その踏み跡は谷筋に戻ってしまっただけ。仕方ないので、荒れた谷を覗く。倒木と崩壊はさらに進み、でも踏み跡もあるし、そのまま直進。すぐ分岐で、左側へ行く。昨年は右側へ進み、最後はどん突きのずるずるの斜面を鹿の踏み跡頼りに這い登ったので、右側は古道ではない。左側は大きく崩落しているものの、深く掘り込まれているので古道の跡だろう。
たぶん上部の崩落地に直結しているだろうと、崩れた岩をよじ登ってみると、すぐに古道の大崩落地直下に出た。ガラガラの石が積み重なり、足場も悪い。わずかな手がかりを探しながらさらによじ登っていく。鹿の足跡を頼りに上部の古道の取り付き近くまで行ったものの、最後は滑って石が崩落したらそのまま滑落、大怪我間違いなしの斜面になったので、倒木をつかみながら右側の支尾根に這い登った。今日はこのガレ場を歩くつもりで、グリップの利く靴を履いてきたので、登山靴よりはよじ登りやすかった。 新しく作られた登山道は大きく迂回するので少し時間がかかるが、崩落した古道は危険で歩けないことが判って、これで得心した。皆さん 真似して行かないでくださいね。 古道分岐に立つ標識のところで休憩していると、男性が一人上ってきた。後続の堅田からのバスで来たようだ。昨年見つけたカエンタケが今年も出ているか見に行ったが、痕跡はなかった。キノコは写真で見る毒々しい真っ赤な姿ではなくオレンジ色の穏やかなものだったので、もう少しでさわるところであった。しかも深山に生えていると思い込んでいたので、こんな里山でまさかであった。帰宅して図鑑やネットで調べて、やっと同じような色姿の写真を見つけた。昨年からハイキングコースでも多発生していて、知らずにさわり被害にあう人が多いと聞いた。摂取致死、さわっても皮膚炎の猛毒にくれぐれもご注意です。
坂谷道は広葉樹林を抜けて歩く気持ちよいコースだ。紅葉か落葉の時期に来たいと思いつつ、なぜか時期を逸してしまう。大きくジグザグに斜面を登りながら高度をかせぐ。かつては崩れた古道からまっすぐに直登していたそうだが、今は道型はない。白い岩が折り重なり、石垣のように見える場所を越えると、道は坂谷の谷沿いへとトラバースする。谷水の音を聞きながらまた大きくジグザグに登り、さらに源頭部へとトラバース。
キタヤマブシの群落を見ながら、薄暗い杉林をジグザグに登る。広葉樹林は心地よいが、この暗い山道はいつ歩いても好きになれない。頭上に尾根の空がちらちらと透けて見えるころ、やっと道はまた広葉樹林に出会う。三角形のおむすび岩が道しるべをしてくれる。 ここまで来ると稜線がまじかになり、道はまた北にふって足元にはヘク谷が深く落ち込む支尾根の先端部をゆっくり登っていく。今年はまだ色づいた葉もない。痛めた膝は今のところなんとかもっている。バーゲンで買ったCWXが結構効いている。ほどよく足をしめつけて支え、足上げが楽だ。
964ピークを越えたあたりでお腹がすいたので、平らな広場で昼食にした。今日の登山客は3人だけだろうか、いつも静かなこの道は穴場だけど。時折ヒューンと鹿の鳴き声が響く。ゆっくりラーメンなどを食べてさあ出発。ザックをかつぐと、下の方から声が聞こえる。次第に近づいてきたのは2人連れだった。結局は5人だけか。 足元の笹藪からきらりと顔をのぞかせるのは、ブルーのリンドウ。あっつ、咲いてる!西南陵はぐんと数が少なくなったけれど、ここにはかろうじてリンドウの群生がありました。楽しみにしていたミヤマママコナはもう花期が終わり、小さな種をつけていた。
青い水に山影が映る小女郎池。草紅葉が始まっている。周りではたくさんの登山者が三々五々昼食中。いつ眺めても、気持ちが開放される風景です。 小女郎峠もさらにたくさんのグループが輪を作り休憩している。さて、これまでは足もなんとか持ったけれど、どっちに行こうかな。かすむ琵琶湖を眺め下ろしながら思案する。 眼の前で鍋を囲むグループの男性、知った人のようだけど。正面に行って「こんにちは」声を掛けると、その方もびっくり仰天。「えっつ 山やらはるんですか?こんなとこで会うとは」「はい、やりますよ。久しぶりで来たらしんどいのなんの」「わたしも久しぶりで下からやっとこさですわ」最近知り合った仕事先の方、これまで少しぎくしゃくしていたけど、なんだかお互いに共通項が出来て、笑顔をかわす。次回お会いしたとき、話が弾むとよいなあ。 辞して、蓬莱山へと向かう。次々にハイカーが下ってくる。笹原を抜ける爽やかな空気。山道をそれて笹の中へ踏み跡をたどり、P1101へ登ってみたりする。すぐ頭上には真っ青な空と白い雲。見渡す限り一面の緑色。
蓬莱山の山頂でスコティッシュテリアを連れた登山者と会った。犬はお腹がぺこぺこなのか、おやつを食べるのに夢中。いいなあ、うちの3匹のワンコたちで山歩きする根性のある子はいない。獣の匂いがするだけでビビッてしまうだろう。 たくさんの家族連れとたくさんの鹿の糞でにぎわう山頂を、打見山へと下った。下りになった途端に膝が痛く、さらにゆっくりゆっくりと下る。この調子ではキタダカ道は無理だなあ。ダブルストックにし膝をかばいながらやっと下り、ロープウェイ駅を目指した。 オオタカというワイヤーロープ滑空に子どもたちが歓声を上げていた。怖そうだけど気持ちよさそう。クライミング壁でちょっと遊んだけど、とても登れない。家族連れに混じってわたしもまったり楽しむ。 穏やかな秋の一日、登りだけの片道登山だったけど、流した汗は身体の毒素を排出してくれたようだ。年初から気疲れすることが続きどろんと澱んでいた心の底にも、新鮮な酸素が流入したようだ。翌朝の目覚めは、久しく味わったことのない清々しさだった。思いがけない出会いが嬉しかった。山の上では、人は単純に素直になれるものらしい。 膝の故障を直して、また歩こう。岩登り訓練などに参加して自分の体力のなさを改めて思い知らされた。S先輩が事務所にベンチプレスの機器を置いてトレーニングに励んでいた気持ちが、今はよく理解できる。洛西オヤジさんの奇跡の復活にも励まされる。 やっぱり山っていいなあ!!これだから山歩きはやめられないですね。
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