花の横山岳

すばらしい!ブナ林


2011年5月14日(土) 晴 Ikomochi,Oさん、Sさん、Tさん、Yさん

コース
横山岳駐車場8:50=9:10〜網谷林道 〜東尾根登り口10:10〜東峰尾根11:10〜東峰12:20〜西峰山頂13:20=14:00〜三高尾根〜鳥越峠15:30〜越地谷〜駐車場16:20








 ブナ林と花で有名な横山岳に初めて行った。名神から木ノ本、杉野の村を通り、登山口の駐車場に着くとすでに数台が停まっていて、登山準備のグループもちらほら。さすがに人気の山である。

横山岳登山地図 山岳信仰の山

 地元杉野山の会の方々が守っている横山岳には立派なトイレや標識・看板がある。駐車場では翌15日の山開きの準備中で、山の会の方々が働いている。山の様子を尋ねると、「今年は雪が多く谷の雪渓が深いので白谷は入山禁止です」とのこと。予定を急遽変更して、東尾根から山頂を大回りするコースに変更する。午後には村の集会場で田部井さんの講演会があるので来て下さいと誘われるものの、時間的に無理でしょう。

林道をのんびり 林道分岐

 網谷川沿いの地道の林道をのんびり歩く。草むらに踊子草 イカリソウ キケマン シャクなど花々が次々現れるので、最初はあーあ 林道歩きかあ と少しがっかりしていた面々は 俄然元気を取り戻して、カメラのピント合わせに忙しい。最後に急な舗装道を登りつめると、山肌を切り開いて造った広域林道に出て、東尾根登り口と白谷登り口への分岐がある。そこには、なんと「夜這いの水」などという水場などもある。いったいどんな由来なのか知りたいものだ。

 東尾根登り口の標識が立つ登山道からは、尾根まで急斜面をジグザグに登る。初夏の陽射しが暑く、息を切らしながら登っていると、おじさんたちが休んでいる。わらび取りに来た地元の方々で、1年分を収穫するそうな。湯がいて干したり冷凍保存したりと、後が忙しいんだと嬉しそうに教えてくれた。わたしも道端の蕨を、今夜の一品に頂く。

東峰登山口 色鮮やかなユキグニミツバツツジ

 山道にはマキノスミレが咲き乱れる。濃い緋色のヤマツツジがひときわ目を引く。帰って調べると、ユキグニミツバツツジらしい。見上げる白谷方面は、真っ白い雪が谷間を埋めている。滝が連なる谷間は急峻で、平常でも落下事故が頻発するというから、この雪の様子では滑落事故は間違いなしやなあ と納得しながら登る。山の襞のあちこちに、白い雪渓が残っている。

 斜面を登りきると東尾根に出て、そこは広いブナ林が広がっていた。淡い緑に覆われた森の小道は明るく、吹く風も爽やか、「ここは素晴らしいところや」とみんなで一服する。日陰には雪も残っていて、まだイワウチワやイワカガミが咲いている。

 あたり一面ブナの中の一本道をゆっくり登りきると、東峰に着いた。一気に展望が広がる。伊吹、県境岐阜から飛騨方面にかけて山が連なる。岩峰に登り、周囲を眺める。360度の展望は気分がよい。写真を撮ったり、景色に見とれているうちに、他のメンバーは先に行ったようだ。

雪渓がたくさん残っている 東峰から西峰への馬の背道

 足元に人影が見えるので、さてわたしも先に進もうと道を探す。岩峰から踏み跡があるので辿るが、あれれ、なんかおかしい。岩は絶壁で足を滑らすと谷にまっさかさまじゃない。こんなとこ歩くの?と、とりあえず四苦八苦して最後は藪を掻き分けて岩の下に降り立ったら、なんだ、きれいな山道が岩を回りこんでありました。直進してしまうところがわたしの悪いくせやなあ(汗)。

 「あー怖かった」とやっとメンバーと合流して言うと、「いつかは事故を起こすと思う」とOさんに真剣に言われてしまった。反省。メンバーは遅いわたしを待っている間に昼食にしており、わたしも大急ぎでおにぎりをぱくついた。

 イワナシの咲く尾根道は、両側が切れ落ちた馬の背道で、下から吹き上げる風に少し背をかがめて歩く。強風にあおられたらひとたまりもないだろう。左右の谷間が遥か下に見え、空中廊下を歩いているような錯覚をおこす。

 一面分厚い雪渓に覆われた山頂下を登っていく。ところどころに山道が見えるのだが、えい このまま直進しちゃえと雪渓を登って山頂についた。ここでも、最後は藪をがさがさ掻き分けて広場に出たものだから、先行のメンバーに「また直進してきた」と笑われた。

山頂直下の雪渓 山頂2等三角点

 三角点の広場はブナに囲まれ、あまり展望がきかない。崩れかけた見晴らし台があり、はしごが壊れそうなので登るのはやめたが、きっと遠くまで見えるのだろうな。三々五々登山者が休んでいる。

 カメラを下げた男性が一人さっとやってきて、そこらを眺めている。他のグループの女性が話しかけているので、男性をよくよく見ると、梶山さんだった。NHKの番組で有名な大原のベニシアさんのご主人で、登山写真家の梶山正さん。S先輩の親しい友人でその関係で数回お目にかかったことがある。 わたしも声をかけるが、梶山さんはもちろん覚えていない。雑誌の取材にやってきたという梶山さんと別れ、三高尾根へと下る。

三高尾根へ下る 眼下に余呉湖そして琵琶湖

 山頂から細い山道を急降下し、あの深い谷間まで歩くのか。激下りをどんどん降下していく。ヤマシャクナゲ、スミレ、ヒトリシズカ 次々に現れる草花に見とれながら、のんびり歩いていると、後ろから梶山さんが追いついてきて、それからは写真を撮る梶山さんと四方山話をしながら同行することになった。シャッターを切るまで待っているので、他のメンバーはどんどん先に進んでしまったようだ。でも一本道の尾根道は迷いようもなく、山風を楽しみながら歩いた。

三高尾根から山頂を振り返る 鳥越峠

 鳥越峠でみんな待っていてくれて合流。峠から少し行くと、墓谷山との分岐。斜面を小越地谷へと下る。ここも急な下りでところどころにロープが張ってある。

  谷に着くと古い林道があり、道端にハナヒリノキの群落があった。葉を摘むとつんと香りがする。川沿いの車道をゆっくり駐車場に戻ると、先行メンバーは帰る支度をして待っていてくれた。

 積雪のために楽しみにしていた白谷は歩けなかったが、思いがけず素晴らしい新緑のブナ林を歩くことができた。また紅葉のブナ林を歩いてみたい。

  後日聞いたところによると、15日の山開きには白谷は解禁にならず、田部井さんもわれわれと同じコースを歩いたとか。雪深い山里なのだなあと、改めて県境の地に思いを馳せたのです。

横山岳の花

遥か県境の山々を望む


                        【 記: Ikomochi 】