比良//御殿山コース〜武奈ヶ岳〜ダケ道


武奈で〜す



2011年2月6日(日)晴れ    Hさん、小てつ

参考タイム

出町柳 7:45〜坊村 8:45着
登山口 9:00〜レスキューポイント御殿山2 10:00〜御殿山 10:55〜武奈 11:50〜八雲ヶ原 12:45〜北比良峠 13:25〜正面谷の壊れかけの橋 14:45 比良駅 15:50






 武庫川のHさんから「日曜日に武奈に行きませんか〜」の'お誘いメール'が。先週予定していた雪山歩行が、荒天予報のおかげで延期となったそうだ。あいにく小てつはこの休日仕事の予定だったのだが、土曜日の仕事がはかどり、(無理やりはかどらせたという説もある)日曜日は休めることとなり、嫁の快諾も得られたので、御一緒することになりました。

 武庫川のHさんはとある山の会に所属されているまっとうな山ノボリスト。これまで「八丁」や「春に花咲く大木の花見」、「三国岳」と、御一緒させていただいているが、やはり健脚だし山の経験の絶対値が小てつとは天と地なので、御一緒すると、すごい勉強になる。

 そんなHさんが、今年は雪山行けてないから今がチャンス?の「比良」に行かれるという。小てつは「比良後ずさり症」をわずらっており、仕事がうまくいって休めるとなった前日夜までも御一緒することは考えておらず、JOEさんに「比良」の情報をいただき、Hさんに転送するなど、全くの他人ごとであったのだが、「山行ってもいいよ。」の良妻の一言により、急転直下の「比良行き」となりました。

 さてそこからが大変。Hさんは健脚である、また、どこに連れて行かれるかわからない。そうなると、どこでも行ける装備と軽量化をはからないと置いて行かれる。いつものボッカ訓練まがいの装備を削りに削り、軽装に変更だ。以前担ぐのがいやだった頃に主力で使っていた「チャリザック」を引っ張り出し、カッパと手袋数種と最低限のサバイバルセットの装備を入れる。実はこの「チャリザック」、外部のネット状のポケットにスノーシューがすっぽりの、今から思えば「メッケ物」だったのだ。

 さて、明けて日曜日、土曜日と違い、極端に便数の少ない市バスのおかげで早くに「出町柳」に到着の小てつ、最前列だったのだが、少し遅れてやってこられたHさんにあわせて後ろに並び返す。いくら先に同行者が並んでいようが、バス停にきた順でならぶのがここでのルールである。Hさんもそこは心得ているが、その時の最後尾でも、まだ十分座れるほどの列だったのだ。ところがバス出発間近になってやってきた団体さんのおかげで、列は長くなり、臨時が出るかと思いきや、団体さんは別のバスで、どうにか数人のみの立乗りだけで、バスは出発。

 花折れ峠まではほとんど雪はなかったのだが、トンネルをくぐれば景色は一転。サバ寿司の看板の上にも多量の雪が乗り、丁度、そのあたりの町内の合同雪かきだったのか角スコップを手にした男衆が集まっていた。(皆さん雪でたいへんな時に、遊んでまして申し訳ありません)

 「平」で何人かの登山者が降り、「坊村」でほとんどの乗客が降りることになる。みなさんトイレ前で準備をされ、私たちもそれに習う。登山口の橋までは除雪がされているので手前まで行って、とりあえず「スベランゾー」装着。ところが、数十メートル登ったところで、すぐに「スベランゾー」断念し、アイゼンに付け替える。「比良」の登山道の雪の状態(ザラメ状)では、「スベランゾー」は役にたたない。

本格派美人二人組(勝手に写してすみません) 前方三名ノーアイゼン

 「比良」には本当にいろいろな方が登りに来られていて、10本以上の重アイゼンに重登山靴、ピッケル装備の方もいれば、そこらの里山ハイキング程度の方もいる。それに老若男女。それぞれの方々がそれぞれのレベルで楽しんでおられるのだろう。恰好だけでは判断できないが、見るからに「やりますなぁ」の女性二人組や、ワカンも担いでいるから、装備しているだろうハズなのに、どこまでもノーアイゼンでがんばって歩く男女三人組など。

 そういう小てつも、人から見られたら全く「変」だろう。スノーシューがピッタリとは言え、なんせ「チャリザック」。靴も今日は新調した登山靴ではなくて「防寒ブーツ」である。「チャリザック」のことは先述、「防寒ブーツ」選択にも訳がある。以前ガイドをしたことがきっかけで、お知り合いになった風景画家のBWさん、世界中のあちこちを旅され、また山、川、海と訪れられる。その足元は夏でも冬でも「防寒ブーツ」というのだ。防寒だけど、防水構造であるし、雪上歩行を考えられているので、そのパターンで靴底が切られているから雪でなくても、土の悪路でも滑りにくい。何より、安い!というのが理由で、なるほど合理的と小てつも習っている。

 「愛宕山」なら雪≦地道なので新しい登山靴の選択となるのだが、「比良」では間違いなく雪>地道となるから「防寒ブーツ」となる。アイゼンやシューを付けることが当然となるから、縛っても足が痛くない、また傷がついても心が痛くない「防寒ブーツ」の選択となるのだ。

 さて数組の登山者グループと先にいったり後になったり、衣服調節や飲水休憩をとりながら長い長い「御殿山コース」の登りを楽しむ。Hさんの場合、この少しの時間の休憩時に、少しずつ食べ物も口にする。小てつも最近はこれにならっているが、実に調子がいい。今日は「芋天」を、小てつの分まで考慮して、多い目に用意してくださっていた。

 さて「御殿山」の稜線に近づいた標高930mあたりで雪は一層深くなり、(登山道でも1mくらい)このあたりは冬には琵琶湖側から風が吹きあがるのか、稜線の西側で雪がめくれあがったようになっている。これがもっと成長すると雪庇となるんか。登山道は踏み固められ、アイゼンで十分歩けるが、トレースの端の方は表面が緩いのか、踏み抜いた足跡がいたるところにある。気をつけて真ん中を歩かないといけない。

930mあたり) 武奈手前

 それにしても風が強くて、雲もあり空も暗い。「御殿山」のピークを踏んだ頃には、「武奈」さえ見え隠れしているほどで、早立してもう「武奈」のピークから戻ってこられた登山者は、「風が強くて三脚も立てられんほどで、5分も居られんかった。」とおっしゃる。それを聞き、覚悟をして、「御殿山」から一旦降りた峠の杉のところで風を避けながらカッパを着込み、最後の急坂を登っていると、気のせいか急速に風が収まりはじめたようだった。

 急坂を登り終えたころには気のせいではなく、本当に風がやみ、太陽が顔を出した。早立の方々には申し訳なく、今日はゆっくり目が良かった日のようだ。去年、捜査員Iと御一緒して「釣瓶岳」から「武奈」に来たときも、私たちがピークに立っていた時だけ晴れたし、どうも小てつは「武奈」とは相性が良いようだ。


 Hさん「ここの感じが好きなんよ〜。モンブランに似てて。」
 小てつ「モンブランって・・・、登ったんですか?」
 Hさん「登ってん。」

 この間、NHKで特集もしていたけれど、アタックしたものの2割しかピークに立てないと言われる「モンブラン」、Hさんは相性が良いようだ。ははは というか、さすがどこでも行っとんなぁ。

 気持ちよく晴れてきた風景を、チャンスとばかりに写真に収めるが、どう写しても肉眼ほどで見るほどにはきれいに撮れないのが残念なところだ。せっかく担いできたからということからか、ここからワカンやスノーシューを履きだして踏み跡のないところを歩く人もいるが、アイゼンだけで十分である。 一人が雪庇の方まで近づいていくから危なっかしくて見てられない。

 「武奈」のピークでHさんだけ記念写真。小てつはピークでの記念写真は撮らないことにしている。最初から単独だったから撮れなかったし、三脚持って行ってまで写すほどの男前でもないし・・。

 多少残っている風を避けるのと、京都北山の同定のため、ピーク西側を向いて休憩する。向こうからならすぐわかる「武奈」だけど、反対からはわかりにくい。わかりやすい双耳峰の「桑谷山」から追いかけることになる。 残念ながら「三国岳」は雲の中。

武奈ピーク スキー場跡

 ここでHさんの最近のお気に入り登場となる。削った鰹節で味噌団子を包んであるのをラップに巾着にしてある、それをカップに入れて、お湯入れて、自家製の即席味噌汁という訳だ。鰹節はラップに味噌がこびりつくのも防ぐし、出汁にもなるしというわけだ。小てつのように売ってある個別包装の味噌汁ではなく、お手製というのがHさん流。おにぎりも芋天もお手製だ。

 途中で何度かお腹に入れているので、お昼休憩もさっさと終わり、ザックを担いで降りにかかる。R眼のHさんは遠目がきいて、「御殿山コース」別れから、スキー場跡を歩いている人が見えるという。

 今度は急坂を「八雲が原」に向け降り、スキー場跡を目指す。さすがにトレースは少なくなるものの、やっぱりこちら方面にも踏み跡がしっかりあるのは、さすが比良。ただ、しばらくしたら同じところに出るのだけれど、数か所で何本かにルート取りが分かれていたりする。それぞれのコース取りにこだわりでもあるのだろうか?

 スキー場のゲレンデ跡まできて、せっかく担いできたのだからスノーシューを履いたらどうとHさんがいう。先を見ればスノーシューの跡が二つにワカン跡がひとつだけ。Hさんはワカン装備だけど、小てつに残っていたスノーシュー跡を再度踏み固めさせ、その上を歩こうという作戦だ。

枝の折れた杉 縦走路にて

 スキー場跡でも積雪は1m位だが、残っている芦生杉の枝が雪で折れ、やはりここらで降った雪は重かったんだと思う。あんな太い枝が折れて落ちてきたら大けがだろう。また、ここまでは気にならなかったのだが、木の上の雪の爆弾が、ここらで見られるようになり、それが凍っているようなので、これも直撃を受けたらひどいことになる。

 大勢で雪山訓練しているグループもいたりして、スキー場はにぎやかで、あちこちにテントの設営跡もあり、みなさんいろいろ楽しまれたのだろう。したがって縦走路に出ればトレースはカチカチである。スノーシューを外してアイゼンに戻す。ワカンかスノーシューが必要となるのはスキー場跡のゲレンデ部分だけだろう。

 積雪は同じくらいでも、午後になり気温が高くなってきたので雪が腐りはじめてきた。登山道の真ん中を歩いていても踏み抜く危険が増してくる。Hさんは休憩なしで北比良峠までぶっ飛ばしで、なんと一部地面がむき出しの北比良峠でいったんザックをおろす。残りの芋天をいただいて残りのダケ道を降る。

北比良峠 雪のトンネルを

 ダケ道はガラガラで夏には歩きにくいそうだが、雪のおかげでかえって歩きやすいそうだ。小てつは初めてなので、違いはわからないが水が流れて雪がない、沢のところの土質を見ればだいたいわかった。 途中で一本の木が折れて登山道にトンネルをつくっている。

 小てつのアイゼンはザックスペースを考えた6本爪、Hさんは12本の本格的なもの、違いは登りより降りで顕著に表れる。かかとに爪がない分、足元を気にしながら降りなければならず、自然とHさんとの距離がはなれる。

 500mほどまで降りてきたところで先行のグループがあってHさんに追いつく。何故か全員ピッケル装備。ザックも大型であった。冬山訓練だろうか?Hさんはどこの会の連中かはピンときたようだった。 (帰りのJRの中で、ザックを担いだままなのが気にいらんとお叱りでしたが)

 しばらく後ろを追従し、青ガレの合流地点の壊れかけの橋のところでアイゼンをはずして川で洗った。グループが橋の向こうで休憩しはじめたのを見て、あわてて脇を抜け先行する。

 その先でまた違うグループに追いつくが、彼、彼女らは青ガレから降りてきたようだった。ハーネス装備で雪山のザイル訓練してきたのか?ところが足元を見れば、一人は小てつが新調したのと同じ縦走用の登山靴。いったいどんな訓練してたんかいな???

 イン谷口まで降りてくればたくさんの駐車車両があり、比良はたくさんの人が入っていることがわかる。まだ駅までは長いなぁ。



                          以上、小てつレポ