佐々里峠〜ダンノ峠〜八丁〜スモモ谷〜品谷山 周回


朝の光の中で



4月24日 晴〜小雨〜晴〜雷雨        小てつ

コース
佐々里峠に稲妻号デポ〜ダンノ峠分岐〜ダンノ峠〜四朗五郎峠〜八丁〜スモモ谷〜品谷峠〜品谷山〜佐々里峠






 先週のokaokaさんのレポで、八丁近辺では「イワウチワ」が咲き始めたと教えていただいた。まだまだ寒いとはいえ、春は着実に訪れているようだ。

 去年の春に、少し嫌なことがあって足が向かなくなっていた「八丁」。でも、花があると話は別で、可憐な「イワウチワ」と哲郎さんも好きな「マメザクラ」に会いに行こうと「八丁」を訪ねてきました。

 「八丁」に行くとき、小てつはできるだけ早起きをして行く。バスで行かれる方々には大変申し訳ないのだが、「八丁」のどこでもそこでも、朝の光がたいへんすばらしいところだからだ。どこの山もそれなりにだろうけど、特に「八丁」は、水清きところだからかも知れない。

 とは言え、暗いうちから「稲妻号」を発進させるのは、近所の目もあり耳もあり、それに今日は久々にあのあたりに行くので、喫茶店のおかみさんに「おみやげ」の豆腐と油揚げを仕入れていこうと思っていたので、6時に家を出る。

 行き道についでに寄れる「とうよけ茶屋」。北野天満宮の前にあるのは出店で、上七軒をさがった一条通りの北にあるのが本店、5時すぎからやっているまっとうな豆腐屋さんである。ここの「豆乳」で「豆乳鍋」をやったら、「湯葉」が何回も味わえる。それだけ濃いのだ、まっとうなのだ。おみやげには、安くつきすぎだけど、新鮮な豆腐は広河原では「ごちそう」と思い時々お持ちする。

今朝の花背峠は3℃ 一瞬でちぎれていく雲海

 さて7時に広河原に着いた。起きてはおられるだろうけどあんまり失礼なので、「帰りに寄ります。」と置手紙をして豆腐を置いていく。佐々里峠には7時20分に着いた。さすがに車は一台もない。

 身支度を整えていざ峠の南側の中継アンテナの巡視階段を登るが、もう木の階段は崩れてしまって余計に危ない。

 今日は昨日の雨もあり、来る途中の花背のあたりから川霧が発生して雲海が期待できたのだが、やはり秋とは違い、春の霧は早くに消失してしまう。見晴らしのいいダンノ峠分岐に行きつくまでにもってくれなかった。

 ダンノ峠分岐のP860ピーク手前は「イワウチワ」がたくさんあるが、まだ昨日の雨に花は閉じて、またややうつむきがちだ。帰りに期待して急な坂を登る。ピークには誰が立てたか杭標識が立っている。(う〜ん、ここで進路に迷うようなものがいたら、この先は真っ暗やで・・・)と心の中でつぶやきながら、ダンノ峠方向に向かう。

ダンノ峠分岐でお出迎え 朝はうつむき加減

 以前修学院のNさんと「八丁」を訪れた際、このP860の付近でおもしろいことがあった。朝一番なのに夫婦連れが前方からやってくる。
「お早いですね、八丁に泊まってこられたんですか?」
と声をかけると怪訝な顔。
「いえ、我々はこれから八丁に行くんですが・・・。」
「だったら、反対ですよ。」
どうやら分岐のひとつ東の防獣ネットのところで進路を取り違え、もと来た方向に帰ってしまったようだった。その後無事に「八丁」の廃村跡で見かけたから無事行きつけたんだと安心したが、どうにも旦那の方が早足で、奥さんがついていくのが大変そうで、かわいそうなくらいだったことを思い出した。

 実際ここは作業道跡もあり、進路を取り違えやすい場所かも知れない。今日もピークの登りしなに倒木があり、丁度作業道跡のところだから、不慣れな人は進路を作業道の方にとってしまうかも知れない。作業道の方に行っても、防獣ネットに行きあたるからダンノ峠方向に行かれる方は同じところに出るのでいいけど、品谷山方向に行かれる方は、ネットが東に折れ曲がるところで進路を西に戻さなければいけない。

 杭標識のある品谷山分岐よりももっと解かりにくい、ネットから別れ進路を南にとる尾根に乗りダンノ峠に降り立つ。「シャクナゲ」の季節なら迷わず進路はそのまま南の尾根なのだが、今日はこのまま「八丁」に向かう。

 やはり朝の斜めからの光に雪解けのせせらぎは美しく、またそのせせらぎ以外の音もしないので、正に「八丁独り占め」である。と、思っていたら大きな鳥が頭上で旋回。(すみません、ここはあなたのものでした。)

八丁の主

 登りじゃシンドイ四朗五郎峠も、降りは快適なのだが、一か所倒木があって 小迂回しなければならない。降りきれば残雪が増える。また、川に倒れこんだ倒木があり、またいだりくぐったり。

 丁度10時に「八丁の三角」に着いた。神社の参道にも「イワウチワ」があるのでのぞきに行く。ここのもまだうつむき加減。小父さんと、どうにか起こした神社の御神輿は、今年はどうにか乗り越したよう。でも、いつまでもつか?「倒れた石碑も起こして。」と亀岡の方に頼まれたけど、起こすのには人手がいるしなぁ。

 「炭小屋」をのぞきに行くが、まだ寒いからか佐野さんもおられず。ところがここで、一人の単独男性がやってきた。聞けば「卒塔婆峠」からやってこられたという。「小塩」からバイクで入れるところまで来た上弓削の方らしい。おにぎりをひとつパクつきながら、しばし話す。と、腰にぶらさげていたペットボトル入れが無い。また途中で落としたみたいだ。これも惜しいものではないけれどゴミになってはいけないので、男性と別れ、拾いに戻る。やはり、倒木くぐりのところに落ちていた。

 さて若干戻ってしまったので、「トラ越し峠」を止めにして、いつも降ってばっかりの「スモモ谷」をあがることにした。「スモモ谷」も降りはともかく、登りは少し頭を使うところがある。ガイドブックで紹介するなら、降りのコース設定で紹介する方がいいと思うところだ。

 でもこの「八丁」、廃村を中心としての「お鉢」であるんだが、「八丁の三角」のところが標高600mで、まわりが900m弱だから、どこを登っても300m足らずの登りとなるのが人気の秘密だろうか?ただ、だからこそ同じような風景になり、迷いやすいところとなるんだろうけど。

 何もない「品谷峠」に着いた。峠の南側に若干開いた「イワウチワ」があり、写真に収める。以前、何を思ったか、「品谷山」ピークから西の尾根を降ってしまい、あんまり調子がいいので最後まで降ってしまい、結局佐々里の車道まで降りてしまった。車道をたどれば「佐々里峠」まで確実に戻れるけれど、シャクなので、「釜ヶ原」から「品谷峠」まで戻ってやれと入ったものの、最初は林道、後作業道、そのまた後踏み跡無しとなり、時間は遅くなるわで、必死こいて生還したことを思い出す。2万5千分の1地形図にある破線の道なんて無かったと思うけど・・・。

午後には起き上がり カケスが道案内

「品谷山」まで登って丁度お昼、ラーメンを作り、食す。今日は何もかもゆっくり。

 さて、「佐々里峠」に戻る尾根道で、一匹のカケスが道案内をするように先行する。カメラを向けても逃げもせず、一定の距離で枝から枝へ。今日は鳥に縁のある日だ。

 P866の「風化木」、去年まではひとつの枝だけ緑が残っていたように思うが、どうやら全部無くなってしまったようだ。ここにもまだ幼い「マメザクラ」があった。

 さて朝は「ダンノ峠」に向かった分岐に戻ってきた。期待した「イワウチワ」は若干だけど上向きに、花も開いているものが増えた。小てつはわざわざ群落に分け入ってまでは写真を撮らない。登山道横にある写しやすい被写体のだけである。写真はあくまで記録で、どんな時期に行けば花があるか残しておくだけのこと。花は実際現地で見るほうがいい。

 ゆっくりの歩きでも朝が早い分、2時には「佐々里峠」に戻ってきた。車は4台に増えている。いやに北の方が暗い。スパッツだけ外し登山靴のまま「稲妻号」に乗り込んで峠を降る。と、降る途中で4人の男女登山者を追い抜いた。

直ぐに声をかけなかったのは、車道歩きでも風景を楽しんでおられる方もいるだろうからだったが、聞いていたラジオがパシパシいう。雷だ。小てつは山行に「短波ラジオ」を持って行っていて、快晴の時はともかく、今日のような怪しい雲行きの時には聞いている。「AMラジオ」でも聞こえるかも知れないけど、「短波ラジオ」なら遠くの雷でも拾ってくれる。

によって、一度は追い抜いたがUターンして戻り、声をかけた。「助かります。」 と、一人だけ助手席に、あとの三人は荷台のゲートを倒して全員「稲妻号」に乗っていただいた。聞けばバスで帰る予定であったが、もう2時20分のバスをあきらめていたところだったそうな。

 どうにか発車前に広河原のバス停に間に合い、皆を降ろしてバスを見れば、最前列に何とJOEさん。窓越しに話かけると運転手が気を利かせドアを開いてくれた。JOEさんも今日は「イワウチワ」だったそうだが、「降りますか?送りますよ。」と言ったのだけれども、バスにゆっくり揺られるのもJOEさんのやり方なのか、降りられなかった。そりゃ人それぞれ楽しみ方がありますからね。

 出発したバスを見送り、

「しまったー!喫茶店のお客さん、4人減らしてしもたー!」



                          小てつレポ