高島トレイル 乗鞍岳〜愛発越(NO.7)

700mからはブナ


2011.7.24 くもり  小てつ単独






 小てつの「高島トレイル」踏破もあと少しとなった先週のこと、赤坂山の登りでふと見上げれば、見たことのあるような装束の単独男性が降りてこられた。何とJOEさん。

 JOEさんはここらあたりをホームグラウンドにされており、登山道の情報をうかがえば、黒河峠からの登りは結構キツイので、最後にもってくるのはシンドイだろうと言うことだった。じゃあ何とかその日にクリアと確かにシンドイ関電巡視路のプラ階段をヒイヒイ登って芦原岳に着くと、何と電波塔はすぐ近くに見えるではないか。

 よせばいいのについふらふらと、電波塔まで行き着いてしまった。しかし、最後のジョイントポイントが電波塔というのも味がないなぁと、またふらふら。 とうとう乗鞍岳ピークまで来てしまった。

 国境スキー場は目の下に見えており、そのまま降りてしまえば即刻トレイルも終了。しかしながら、国境スキー場から黒河峠ゲートまで、タクシー大旅行も笑いごとではなく、そこはスゴスゴと来た道を引き返し、次回完結としたのであった。

 最後のジョイントポイントが乗鞍岳ピークとなったことで、これまたコース取りを考え、愛発越からピストンしたんじゃおもしろくもなんともなく、歩きやすい高島トレイルばかり歩いていたのが、また京都北山の秘境めぐりに復帰しなくてはならないことから、じゃ在原に至る県道からP727.5ピークを経由して電波塔に出る高島トレイル最終は小てつらしく'破線の道'でもってと・・。

 いつもながら長い前置きですが、高島トレイル起点の国境スキー場、冬場はともかくもスキー場が閉鎖されている夏場には適当な車の置き所が見当たらない。勝手に国道管理事務所に突っ込んでおいたら、あとで怒られそうだし、広い路肩もない。採石場も軽トラじゃ怪しそうだし・・。ここは失礼だけど、国境スキー場看板横の空き地に、稲妻号をデポさせてもらう。

愛発越デポ場 路肩にネジバナ

 一旦国道を降って、在原バス停から在原に向かう。アスファルトの横にネジバナを数株見る。小てつの屋上自然園のネジバナは2週前には終わってしまっていたので、今が旬のこのあたりとは、やはり気候が違うのだ。

 県道のすぐ脇に結構な滝もあったりと見どころもあり、アスファルト歩きでも苦にならず、落石防止の鉄柵を乗り越せるように設置されている一つ目のハシゴを見る。しかしながら、この位置ではかなりの急登になってしまうので、もうひとつ奥のハシゴまで進む。

県道横に滝 一本目のハシゴ

 二番目のハシゴのところで、スパッツを付け、ストックも伸ばし、水も一口で、ハシゴを乗り越え尾根に乗る。ここで標高は400mほど。最初は軽い藪漕ぎ状態だが、数十メートルも登ればうっすらと踏み跡があり、いくつかの尾根が集合してくると、わずかにテープも現れ、テレビの中継アンテナを過ぎるころからは、踏み跡も鮮明になってくる。一本尾根なので別段不安もない。

二本目のハシゴ

 植林の中の結構な急登もあったりするが、標高700mくらいになると植生が変わり、イワカガミも現れる。P727の三角点は藪に埋もれていて、サルトリイバラも混じっていたから、無理の探索はやめにした。

 それにしても先ほどから、ハチがまとわりついてくる。羽音からオオスズメではないと思うし、一匹だけなので攻撃はしてこないとは思うが、歩く調子は変えないで、首をすくめて立ち去るのを待つ。電波塔に行きつくまで、五度は偵察にまとわりつかれたんじゃないか。ここらはハチも多いのか?

 左手にアスファルト道が見えるのは、電波塔までの車道。雪の時にこの車道を登るという方もいらっしゃる。このあたりからブナが現れる。先週までならブナの林では、エゾハルゼミの大合唱だったが、今週はもうヒグラシに変わっている。

 ここからは踏み跡というより雨水の流れ道といったほうが良さそうなところを歩く。なぜこのようなことになってしまったかは、もうしばらく登れば判明するのだが、まあ仕方がない。こういう施設には、いろいろ事情もあるのだろう。途中でトラロープが張ってあるところもあったが、全く信用できないロープだからさわらない方がいい。

 とか思っていると、急に視界が開け、電波塔の建物が現れる。柵の中に赤外線探知機やテレビカメラが設置され、厳重な監視がされている。そんな柵の中にはフキは茂っていて、佐々里峠の中継所の柵の中や、飯森山のマイクロウエーブ反射板の柵の中と一緒だなぁと笑ってしまう。シカに食べられないところにだけフキが残っているのだ。

 ここからは先週歩いた道で、一旦降って登り返せば乗鞍岳ピークとなる。こちらから到着すると、なんか登山道の途中といった感じで、使われなくなった無線中継所の跡がないと、行き過ぎてしまいそうだ。

 今日はいつもと違い歩行距離も短いことから、ゆっくりしようと決めていたから、まだ早いけど足場のいい中継所広場で食事とし、ラーメンを作りだす。真夏はやはり塩気の効いたチキンラーメンだ。

 スキー場を見下ろしながらラーメンタイムも終わり、高島トレイルの詳細マップを見返していると、御夫婦連れがこられた。御両人とも山慣れた気さくな感じの方だった。山城町からあちこち歩かれ、帰りに温泉につかって帰るのが楽しみとおっしゃり、御夫婦で何とぜいたくな過ごし方だろうか。okaoka夫妻のように、まず仲がよいのはもちろんだけど、やはり夫婦二人共が健康でないとできないなぁと思うばかり。聞けば今日は、黒河峠まで車であがり、ここまで来られたという。鉄塔までの登りがしんどかったでしょう?と聞けば、やはりしんどかったと。

 ここでお昼をと旦那さんだったが、中継所広場のがけ下をのぞかれて、マーちゃんを見つけられた。少しりっぱなマーちゃんで、とぐろを巻いている。奥様のほうが気味悪がられ、広場まではあがってこないでしょうというのだけれど、ここでのお昼は断念された。そういえば、先週も赤坂山ピーク手前でマーちゃんを見かけたし、このあたりは多いのかな?

スキー場を下に 近江坂ばり

 ではまたどこかでとお別れし、御夫婦は黒河峠に向かわれた。小てつはいよいよ完結の降りにかかる。スキー場はすぐ下に見えるけれど、かなり北に回り込んでいくことになる。

 登山道からは、去年JOEさんがハチに刺されてえらい目にあわれた岩籠山や野坂岳も見える。鉄塔を過ぎたところで二組の親子と思われる登山者に出会う。最初のスキー場で登山口がわからず、右往左往したとおっしゃる。トレイル道の他にも、国道161号と表されたスキー場ゲレンデの横のルートやいろいろあるし、夏場は特にややこしいかな?okaoka隊なら地図見て、尾根決めたら突き進むんですが・・・。ははは

 登山道は近江坂ばりの深く掘れた道になるが、ここらは砂岩質で雨にえぐられたものだろう。途中で大きな'めくら水晶'の岩が露出したのがあったが、オヤジ殿はこんなのには興味ないだろうなぁ。

 標高700mを切るあたりから、とうとうブナの木も少なく細くなる。ブナの中を歩いてきたといっても良い高島トレイルも、いよいよ終わりを告げる。


                           【 記: 小てつ 】

高島トレイル始点