石仏峠東南尾根


平成23年4月24日(日) 晴のち小雨    長岡山人 (単独)

コース:
京北町井戸8:40−イモジ谷林道終点10:00−石仏峠10:40−鉄塔北790mピーク11:50−魚谷下降点12:50−芹生集落入口13:45−北山荘14:30(食事)−滝谷峠15:20−叡電貴船口17:05




 石仏峠というより、より正確にはイザナミ峠から東南に伸びる尾根を歩いた。静かで、新緑または紅葉を満喫できるコースであろう。

 JRバスと旧町営のふるさとバスを乗り継ぎ、京北町の井戸に降りた。井戸祖父谷→イモジ谷→地蔵谷と林道を詰め、その終点にたどり着く。林道終点から崩壊斜面を回り込んで、登山道に取り付く。道は谷の右岸の少々上に付けられている。所々崩壊しかかっているので注意して進む。15分進むと、崩壊した作業小屋がある。

林道終点。右に回り込んで登る。 倒壊作業小屋。左手斜面に。

 その小屋を目印として、そこから左の急傾斜の斜面に取り付く。杉の植林地にジグザグに踏み跡が続く。かなり崩壊した踏み跡だが、ところどころの切り株にテープが付けられているのでそれを目印に高度を稼いでいく。

 15分も登ると、尾根の末端にたどり着く。すると広く掘り込まれた立派な古道が現れる。古道は尾根のかなり下を巻きながら自然に高度が稼げるように作られている。この部分、国土地理院の地図の波線路の位置と異なる。地図の位置より少し北の斜面を登り、尾根通しではなく尾根の西側をゆっくりと登るように道は付いている。  20分も進むと有名な石仏に出会える。石仏からは10分足らずで石仏峠にたどり着く。

石仏2体 イザナミ峠。東南尾根に進む。

 石仏峠の北に送電線鉄塔があり、そこに登る。展望が良い。その後方向を転じて東南方向に進むと、イザナミ峠に着く。ここまでは立派な道だが、これ以降は踏み跡になる。さらに東南方向に進むと、広く伐採された谷奥を大きく回り込むようにして、尾根は東南方向に続いていく。踏み跡は必ずしも尾根通しではなく、尾根に生え込みがあるとそれを避けてやや下に付けられている。踏み跡を発見しながら進む。所々に白いヒモテープが付いているが、元々は黄色のテープが色あせたものだ。

 852mピークの南で尾根は二つに分岐しており、注意が必要だ。地図で現在位置を確認しながら、テープが付けられている東南方向の尾根に進む。この尾根は分岐が複雑なので、昭文社の地図ではなく、国土地理院の2万五千分の1を拡大して、現在位置と方向を常に確認しながら進まなければならない。先行者の迷った踏み跡が分岐の両方に残っているので、踏み跡があるからと信じて進んではならない。また、この尾根は概して平坦な尾根なので、急に下りが続いたと感じたら支尾根に迷ったと覚醒する必要がある。

 このあたりから右側に鹿ネットが続く。この鹿ネットがポイントであり、これに沿って進まなければならない。その先にも尾根が二つに分かれているので、ここは東方に進み、すぐに南方に転じる。ここもヒモテープの助けを借りる。

 しばらく進むと、790mピークに付く。地図には標高数値が出ていないポイントである。地図をよく見るとわかるが、ここは北西、東南、北東、南西と4方向に尾根が分岐している。このピークが最大の注意点である。

 この地点で、踏み跡はピークに登らず、左方向に巻いて進み、しばらくは平坦尾根だがすぐに急傾斜の下りになっていく。あわててコンパスを確認すると、東北尾根に入り込んで降りていることがわかる。踏み跡は明瞭で、テープも残っている。たぶんこのまま灰屋川までまっすぐに道は続いているのだろう。しかし本日の目的は東南尾根を極めることなので、ピーク手前まで戻って進路を確かめる。

790mピーク手前。踏み跡は左に巻いていく 同じ所。鹿ネット沿いに登る。

 よく見ると、鹿ネットに沿ってピークに登っていくかすかな踏み跡もある。ピークからは東南方向に伸びる尾根がある。しかしこれは旧市町境の尾根で、末端は崖に近いので踏み込まないように注意が必要だ。ピークからは西南方向に進む感じが正解で、鹿ネットに沿って進んでいく。尾根中央は生え込みがあり、ネット沿いが一番歩きやすい。

 間もなく鹿ネットから離れて、783mピークに着く。そのすぐ南に鉄塔がある。展望が良い。山ばかりだが。タムシバがたくさん咲いている。

 鉄塔からは関電の巡視路(下降路)があると思っていたが、見過ごして前に進んでしまった。踏み跡とヒモテープがあったためである。おかしいと気が付いたのは台地状の尾根の東南末端にたどり着いてからである。今となっては、鉄塔のところまで戻り、巡視路矢印版を探すべきだったが、春雷がとどろき、黒雲が出てきたこともあって気がせき、東南角から下降した。義経の鵯越逆落としを想起させる下りで、立木に手を突っ張りながら、靴を横にして滑り止めにして降りる。途中に鹿ネットがあるので、その倒れているところを狙って乗り越して降りていく。植林地と伐採地を経て、何とか谷に降り立つ。途中から下を見た写真と、下から下降路を見上げた写真を出しておく。

谷底が見えるところまで降りてきた。 降りてきた方向を見上げる。

 降り立った点からしばらく進むと、川を渡る手前に、関電の巡視路矢印版があった。踏み跡は鹿ネットに沿って上に伸びているが、同様の急斜面である。ただ、巡視路があることだけは確かめられた。

 川を渡らねばならないが、前日の雨で増水しており、かなりの石が水面下に没している。ようやく飛び石に使えそうな岩があったが、幅が広く、ちょっと飛ぶ自信がない。横を見ると杖に使えそうな木があったので、それを支えに、何とかバランスを取って岩を飛んだ。木はまた同じところに返しておいた。ストックを使わないのだが、こういう時にはあると便利だ。

 右岸を下っていく。通る人は少ないのだろう。昔と比べて道はかなり荒れている。芹生からの川との合流点でまた渡渉に苦労した。増水と浸食で、以前の飛び石渡渉点が使えない。靴を脱いでと一度は考えたが、遡れるところまで遡ってみようと、合流後の左岸をへつって進んだ。緊張する場所もある。すると150mほど上流に、2本の大きな丸太を渡した橋があったので、そこを渡った。

谷を渡る丸木橋 倉ヶ谷への橋

 府道を進んでいくと、芹生集落の入口に橋がかかっている。それを渡る。立派な林道が倉ヶ谷を登っていく。その終点で谷は二つに分かれる。右の谷に入る。奥には稜線鞍部がうかがえる。赤い布テープがあることを確認して進む。まもなく赤い布テープがある分岐があり、そこも右に取ると、稜線鞍部に登り着く。芹生から約35分の登りであった。そこは柳谷峠から芹生峠への稜線である。稜線をたどるのが本来のコースだが、鞍部を乗り越すかたちで向こうに降りる。道はないが、「北山荘に降りる」旨の表示もある。倒木を避け、谷底の水を避けながら下っていく。10分ほどで北山荘の横に出る。

林道終点分岐。右へ。 尾根道の案内板。

 そこからは北山銀座の細ヶ谷コースで、アズキ坂を越え、滝谷峠に着く。二の瀬ユリ道から叡電貴船口に降り立つが、その間はおなじみなので省略させていただく。

 このコースは長い。石仏峠までたどり着くのが大変だ。人数が多かったら、祖父谷の奥までタクシーで入るのも手だろう。

 また、芹生から東に登って、旧花脊峠から「古道岐(わかれ)」または「峠下」のバス停にエスケープする方法もある。


                            【 記: 長岡山人 】