愛宕山 ケーブル軌道跡〜愛宕スカイライン(NO.17)

 
ケーブル駅舎


平成24年5月3日(祝) くもり  小てつ家族

コース
清滝 8:15 〜 ケーブル駅舎跡 10:00 〜 愛宕スカイライン 〜 大杉谷道出会い 〜 月輪寺道出会い 〜 ジープ道出会い 〜 三角点 11:20(食) 11:50出 〜 芦見谷源頭道 〜 首なし地蔵 13:30 〜 伐採時迂回路 〜 梨の木大神 14:20 〜 清滝 15:40





 ここ近年、ゴールデンウィークの中で一日は家族でどこかの山に行くことが慣例になってきていて、「今年はいずこへ・・」と思案しだした頃、嫁がとあるブログを目にし、'ここがいい'となったのが何と「愛宕ケーブル軌道跡」。

 普通の山登りは嫌がるくせに、こういうミステリースポットみたいなところには興味津々で、「しんどいで〜」という小てつの言葉にも感がないようで、行く気満々であった。

 そういう小てつも実はここは未経験。いつも堂承寺川林道から見上げ、怖そうやな〜と思うばかりで、洛西オヤジ殿やokaokaさんの紀行文を見ても行く気にはならなかった。でもまあ超恩師にエラい目に会わす前に、自分が先にエラい目に会っとこかいなと行ってみることにしました。

 週間予報では雨だったのが、前日にはくもりとなり、当日には昼から晴れるということで決行となったが、次女もついてくることになり、本格的な山登りは人生2回目の次女は、一度目が洛西オヤジ殿と遭遇した「芦見峠から竜ヶ岳、地蔵山の周回」で竜の東尾根を登らされ、2回目がケーブル跡を登らされるという誠に因果な山経験となっている。

 8時に自宅を出ても10分もあれば清滝に到着。今日は愛宕寺横ではなく、清滝の駐車場に車を置く。でないと試峠だけで終わってしまうかも知れない。確か覚えでは¥600円だったと思ったが、¥1,000円になっていて、それでも三人の往復のバス代よりかは安いかとする。値上がったのを知らないくらいここに置いてないちゅうことです。

 準備をして「いってきま〜す。」とおばちゃんに挨拶をしていざ出発(置くのはイヤでも、愛想はいいのだ)。金鈴橋から見る新緑はあざやかだ。二の鳥居に向かわず、正面の階段を登ったところがケーブル駅のホーム跡、少し登ったところにトラロープで通せんぼがしてあるが、'危険 立入禁止'の看板は無くなっている。

新緑の清滝川 いよいよトンネルへ

 10分も登れば一番目のトンネルで、トンネルが長くてカーブしているから暗い。次女がけつまずきそうだと言うのでヘッデンを出す。軌道跡のコンクリートから残ったボルトがところどころ出ていて、確かに危険だ。1番目のトンネルだけはライトが必要と思われる。

 トンネルを抜けるとまわりは一変深い森となり、石組みについたコケや倒木などが忘れられた栄華を物語る。真っ直ぐに伸びる階段状の軌道跡がしんどそうだけど、まわりの緑がそれを忘れさせてくれる。ここらでは既にフジの花が咲き始めている。

 2番目のトンネルは難なく過ぎて、いよいよ崩れて通れない3番目のトンネルの迂回にかかる。軌道跡をそれての尾根越えなのだが、靴がスニーカーの嫁と次女には、かかりつけの急坂が難所となる。でも雑木に入ってしまえば確かな踏み跡が残り、結構人が入っていることがわかる。

 踏み跡をたどり、トンネルの向こう側で再度軌道跡に戻る。ここで一度飲水休憩。まだ二人とも元気があるようだ。4番目のトンネルもまだ通れるが、5番目のトンネルが崩れていて再度尾根越えの迂回を強いられる。3番目のトンネルの迂回路よりも踏み跡がはっきりしていることと、トンネルが長い分迂回路も長く途中で大杉谷道からの林道が交差する。再び軌道跡に戻り上を見れば、ここからは一直線で残りの行程が見え、まだあんなにあると思ってしまう。

 それでも最後の6番目のトンネルを過ぎた標高600mあたりにある何故か軌道の両方に杭のある部分がスミレの群生場所となっていて、よっぽど環境が合ったんだと感心する。

キランソウ 危ないって

 ところが歩いている最中にそこが高架橋であることに気づき、みんなが乗っかっている時に崩れたらと大急ぎで渡りきり、振り返ってみると京都市内の展望があった。口数が少なくなっていたみんなも元気を取り戻す。次女は自分で登ってきた軌道跡を見下ろし、転がり落ちそうで怖いという。

 このあたりから勾配がきつくなり、時計の高度履歴のカーブは60度近くを示している(実際の角度ではありません)。けれどもゴールの駅舎が見えてきて三人とも無言で登る。

 駅舎は地下の機械室部分がまだしっかりしているようだが、柱や2階部分は鉄筋が中で錆びて膨張し、コンクリートを内部から破壊する爆裂という症状が進み、いつ崩壊してもおかしくない状態で、中に入るのは絶対に危険と思う。

 危険と言えばトンネルをくぐってくること自体危険なのだが、トンネルはここほど風化が進んでいない。(でも3、5番目は崩れているなぁ)歩いている時にトンネルが崩れたり、高架橋が落ちたりということが無ければ面白い道だし、予想していたほどしんどくなかった。(迂回路の踏み跡が鮮明なくらい、多数の方が歩かれているようですが、ただ本当は進入禁止場所です。歩かれるなら自己責任ということを十分覚悟してお願いします。)

駅舎の柱は鉄筋が爆裂 花輪君マムシ草

 駅舎跡を右手から回り込み、「この上にホテルもあったんや。」と残っている基礎部分を見て、一旦表参道に向かう。水尾別れのすぐ上に出て、またすぐ花売り場跡手前で表参道から外れ「愛宕スカイライン」に向かう。

 この道も植林が大きくなってスカイラインとは名ばかりのものになってしまったが、ずっと登りばっかりだったこともあり、しばし足をほぐすにはいいかもと選択した。しばし楽をしてまた大杉谷道のつづら折れの登りにかかる。

 月輪寺道に出会ったところでは、まだ三つ葉ツツジが盛りできれいなピンクだ。ジープ道までくると北側から雲が流れて全く眺望は無い。三角点にはお昼頃になるんじゃないかと思っていたが、以外に二人が頑張ったのでずいぶん早くに着いた。でもお腹は減ったそうで、ベンチで昼食。ベンチに単独男性が先客されていて、二人の男性が三角点を占領して食事をしている。食事が終わったようでもずっと居座り続けていて、また大声で話している内容が聞きたくなくても聞こえてくるので困ったもんだ。先客の単独男性は、三角点北尾根道に向かわれた。結局我々の食事が終わって出立の準備が出来ても「占領コンビ」はまだ居るので、上にはあがらず坂を降りる。

ニシキゴロモ 幻想的が霧の植林地の中を

 下山路を考えていたが、大杉谷道や月輪寺道では足にこたえるだろうと、時間も早いし芦見谷に降り、竜の小屋前から梨の木谷に降りることにした。距離は長くなるが、その分勾配はゆるくなるので負担がマシと考えたのだ。

 三角点のジープ道分岐を北側に降りて、少し降った水場の水を開いた水筒やペットボトルに詰め直していく、これでいれたコーヒーが楽しみとなる。

 いつもは殺風景な植林地が、今日は霧がかかって幻想的な景色をつくり、幾度もある渡渉をokaoka clubお得意のゴミ袋履きでワアワア言いながらクリアしていく。嫁には結局、これが一番おもしろかったそうだ。

渡渉の小道具 シャガ

 そんなワアワアも竜の小屋のところでおしまいとなり、小屋では5人の方が休憩中。休んでいかれたらと声をかけていただくが、そんなにゆっくりもしていられず、お礼を言って先へと進む。このあたりのクリン草はまだツボミ。

 首なし地蔵で休憩し、本谷の直降道はスニーカーの二人には無理なので、伐採時の迂回路に向かうため、谷山林道のアスファルト道に一旦向かう。右手の砂利道の迂回路に入り、ギザギザと高度を下げていく。このゆるい勾配の降りでも首が痛くなったそうで、山道の降りに慣れていないと首にくるのかと了解する。やはり、大杉谷道や月輪時道を選択しなくて良かった。

クリンソウ やっとこさゲート

 梨の木谷に降り立ち、滑りやすいコンクリートの林道を休み休み1時間ほどかけて清滝まで帰る。二人とも今日は良く歩きました。


                           【 記: 小てつ 】