武奈ヶ岳(御殿山コース)ピストン(NO.14)

 
武奈ピーク


平成24年2月12日(日) 雪  JOEさん、Hさん、Mさん、小てつ

コース
R山科駅 8:10 〜 坊村 9:00 〜 トイレ前 9:15 〜 レスキューポイント御殿山2 10:30 〜 御殿山 11:35 〜 武奈ピーク 12:35 (食)〜 八雲ヶ原分岐 13:15 〜 御殿山 13:45 〜 坊村 14:45





 話せば長い事ながら・・・、
実は今回の山行は2月11日の土曜日にokaoka隊で「岩籠山スノーシューハイク」を企てていたのであった。昨年の秋よりの計画で、どこか穴場はと考えていた小てつが、JOEさんと話してプランを考え、okaokaさん達もシューが段取りできれば参加とのことだったのである。

 前回の「山紀行」の通りokaokaさん達もシューを使われるようになり、本命は「岩籠山」、対抗に「寒風山から大谷山」、穴で「赤坂山」と行き先変更も考慮に入れていたが、今年の豪雪である。日程が近づくにつれ不安になってきた。そうそうの雪ではめげないokaoka隊メンバーであっても「雪崩注意報」の出ている地域へ、承知で足を踏み入れるのも無謀だし、車でのアプローチを考えていたので、登山口に行き着けない場合には、それこそ台無しになってしまうなど考えだした頃に、哲郎さんよりメールが届いた。

 「道子がインフルエンザにかかり、高熱が出て・・・、私だけの参加になる・・・。」道子さんがインフルエンザなら、症状は出ていなくても哲郎さんも罹っている可能性は大である。実は小てつ家には受験生を抱えており、インフルエンザなど持って帰ったなんてことになったらエラいことと、そこはやはり道子さんの傍らについて看病していただこうと思い、哲郎さんの参加も辞退していただいた。

 okaokaさん達の御都合を考え、土曜日の山行を計画していたが、okaokaさん達が不参加となりJOEさんと二人なら日曜日になっても構わなく、実はその週中ほどにHさんから「日曜日に、今年も武奈にどう?」とお誘いのメールをいただいていたので、JOEさんにお伺いをたてると、「ぜひ御一緒しましょう!」となった。

 と言うような訳で去年と同じく「急転直下の武奈行き」となりました。今年の武奈はどうでしょう?

 堺から参加と言われるもう一人の方のアクセスの関係で、JR山科駅に少し遅めの待ち合わせとなる。JOEさんは雪の状態を心配して「少しでも早く・・」とおっしゃっていたが、この遅めの待ち合わせが'本日は吉'と出ることとなるとは、この時には思いもよらなかった。

 「今日はよろしく。」と全員が揃いいざ出発。堺の方のお名前を聞けば、今まで何度もお話をうかがっていたMさんだった。「な〜んや。」ということで、どんな人がくるのかわからなかったので、その人のためにワカンを用意していた小てつは安堵する。また、JOEさんにそれまで聞いていたMさんの手作り山アイテムの紹介などをすると、実はMさんはJOEさんとも同じベクトルを持つ人種であることが判明し、一気にパーティーメンバーの気持ちが近づくこととなり、本日の山行が楽しみなものとなる。

 車は161バイパスを真野で降り、367号を坊村へ向かう。冬用タイヤを履いているので雪でも花折峠をスイスイ越えるが、坂下の手前の路肩に数台の駐車車両を見て、「まさか皆子に???」と思ってしまう。

 坊村に到着して驚いた。駐車場所も探さなくてはいけないほどの車の数である。どうにか場所を見つけて準備をしていると、地元のお年寄りが声をかけてこられた。「昨日もこのくらいの車がおってなぁ。わたしらや駐在さんらは、夕方になって、このぎょうさんの車がなくなるまで安心できんのや。」 とおっしゃる。Hさんは「ありがたいこと。」と丁寧にお礼をおっしゃっていた。(今日も無事に帰ってこよう!)と心に誓う小てつであった。

朝の坊村 トイレ前で準備

 坊村のトイレは男子トイレが壊れていて、めずらしく男も行列を作っている。JOEさんは待ちかねて、「橋の手前でアイゼン履きますわ。」とおっしゃっていたのに、ここで装着完了。いつものスピード登山とはあまりに勝手が違い、戸惑っておられるようだ。実はHさんもそのことは気にされていたのだが、「JOEさんはあわせてくださいますから・・」の小てつの言葉に、「そやね。」と納得されていた。

 足が遅いからといわれるMさんに先頭を切っていただき、パーティーは御殿山コースに取り付く。登山道はしっかり踏み跡を残し、たくさんの登山者が入っていることをうかがわせる。JOEさんは武奈も常連で、もう何回この道を歩いたかわからんというコース、Hさんも比良は常連でこのコースはお気に入り、Mさんは8年ぶりと言われるが、その前のキャリアのいかほどかはライペンの冬用ザックを見れば解ります。その中で、このコース2回目、冬の武奈も2回目という小てつはあまりにも貧相な・・・。(お荷物にならんようにしなければ!)

歩き出すJOEさんとHさん 雪が降り出し

 ゆっくりではあっても着実にペースを刻むMさんによって、汗もかかず息も切らさず、(時間はかかっても、これやったら楽に登れるなぁ)と再確認する小てつであった。標高700m付近、900m付近で休憩を入れHさんいつもの芋天、JOEさんいつものアルフォートチョコをいただく。高く積み上がった雪庇に驚き、皆さんは「武奈でこれだけの雪は初めて・・。」と口々におっしゃる。冬の武奈に2回目で、この雪に遭遇できるなんて、素晴らしいことだと皆に言われる小てつであった。

 雪は降り続き、風も登るにつれて強くなるが、「風が吹いて雲を飛ばしてもらわんと・・」と言うHさんのお言葉や、JOEさんの「我々が頂上に着く頃に、雲が切れそうですなぁ。」という超ポジティブなパーティ−は進む。

 御殿山ピークに近づく頃に、早立ちの方とすれ違い出す。上の様子をうかがえば、雪と強風により御殿山で引き返してきたと言う方ばかりだ。御殿山ピークに着けば大盛況。ピークに着くや早速カップラーメンを食すグループや、ツエルトで風よけをして食事をとっているグループ。我々はピークで風、寒さ対策をして武奈ピークへと向かう。

賑わう御殿山 ツエルトで風よけ

 ここで小てつは'大失敗'をしてしまう。冬山の場合、小てつが一番気にしていることなのだが、どうやら御殿山ピークでカッパの上着を着る際に、手袋を濡らしてしまったようなのだ。低山なのにアンダーグローブに濡れ防止に今日はオーバーグローブまで付けている小てつ。硬式野球でキャッチャーをやっていた小てつは、多量の捕球のために指先の毛細血管が潰れているのか血行が悪く、冷えると'凍傷一直線'なのだ。

 そのため一昨年の暮れにバッサリやったときにでも、痛くも痒くも出血もさほどなく、治るんかいな?と心配したくらいだった。鞍部の杉の木に着くまでに、ニギニギを繰り返しても、もう手の感覚は無くなってしまうほどになり、風の陰になるやいなやザックを下ろして手袋を替え、どうにか事なきを得る。ここでの温度はマイナス8度。

 西南陵は強風が吹き荒れ、東側にめくれ上がった雪庇は6mほどになっている。武奈ピークから戻ってきたカップルは「ピークは風がひどくて、2秒で降りてきた。」と言う。'確か去年は5分もおれんかったと聞いたけど、今年は段違いにひどいなぁ'と思った。そのような中、Hさんは「楽しい〜!」を繰り返す。

西南陵の雪庇 武奈最後の登りのHさんとMさん

 風の通り道のところでは、先行者の足跡はすぐさま消され、御殿山から武奈の間で迷った人がいると登りで聞いたのは、それが原因と思った。視界はいいときで100mほど、悪くなると数メートルとなるが、ホワイトアウトというほどではない。

 こんな天気でも八雲ヶ原方向から登ってきたカップルもいて、Hさんは向こうの状況を聞き取る。トレースはあるようで、Hさん完全にスイッチが入った。実ははじめ坊村から比良に抜ける去年と同じ'武奈横断コース'を狙っていたHさん、今年の雪を考え、また京都バスの運休により去年より出発時間が遅くなることから思案されていたのを、小てつが車を出し、「自分達はピストンするが、Hさんは状況を見てチャレンジやね。」との打ち合わせにより、一気に現実的になったのだ。

 とにかくピークに立つ。遅立ちが今日は功を奏し、ずいぶんと風が収まり2秒しかいられないことは無く、でも御殿山も見えないほど眺望も無いが、ここでラーメンタイムとすることも向いてないということで、八雲ヶ原との分岐点を少し下がったところで場所を作り、ラーメンタイムとする。何もこんな荒天でラーメンもないと思うが、もはや儀式のようなもので、これをやらないと山に来た気がしない。いつものJOEさんの差し入れ、'ノンアルコールビール'も、今日はここでは寒いので、降りてからいただくこととしザックに戻す。

八雲へ向かうHさんとMさん 雪林の中のJOEさん

 八雲ヶ原に向かう勇ましい二人を見送り、帰りはJOE+小てつの二人コンビとなる。行きのユックリペースにフラストレーションが溜まっていたのか、登りが不得意といつもおっしゃっていたJOEさんは、登り返しの御殿山を一気に駆け上がる。

 御殿山で2秒カップルと再会し、その後ずいぶん風が収まったことを話す。少し薄陽が差し込むようになり、朝よりも雪の乗った雑木の中を綺麗だと話ながら進み、900mからの植林地の中は、まるで忍者のようにかけ降りるJOEさんだった。さすが'雪を見るとアドレナリンの出る男'の本領発揮である。今日は午後になっても雪が腐るようなことはなく、丁度クッションがかかる適度な雪質により、何とか小てつは忍者についていく。

 それこそアッという間に明王殿まで降りてくれば、空は晴れている。あれほどあった車も半分以下になっていて、皆無事に降りてこられたようだ。我々は、いつものようにビールとノンアルコールで無事下山の祝杯をあげ帰路につく。

 まだ時間も早いだろうからということと、逆に三千院の閉門時間とガッチンコで大原は混むだろうとの予想から、行きと同じく161バイパスを利用すると、意外なところで詰まってしまうものの、順調に京都まで帰れた。

 途中でJOEさんとお別れし、帰宅してしばらくすると、Hさんよりのメールが入る。「今新快速に乗車・・」の知らせだった。我々の予想時間よりはずいぶんと早い時間で、改めてHさん達の健脚ぶりに驚かされる。すぐさまJOEさんにも無事下山の連絡を入れ、皆で無事を喜びあいました。


                           【 記: 小てつ 】

帰りの坊村