ナッチョ(トンボユリ北尾根コース)(NO.12)

 
ナッチョピーク


2012.1.15(日) くもり  小てつ単独

コース
小出石(北滝橋)7:55 〜 トンボユリ尾根コース、ユリコース分岐 8:10 〜 P625 9:00 〜 P686 9:20 〜 タコ分岐 9:35 〜 ナッチョピーク 10:15 (食)  〜 P800 11:30 〜 再ナッチョピーク 12:10 〜 北滝橋 14:00





 okaokaさんや「カメラを片手に・・」のmtadaさんのレポによれば、今年の雪は京都の東側、花背のあたりにかたよって多いようで、お正月の愛宕で不完全燃焼の小てつは、そう言えば何故か去年は一度も訪れていないホームグラウンド「ナッチョ」に、久しぶりに訪れてみました。

 いつもと同じように7時に家を出る。出たところで町内の山ライバル?のYさんがオモテを掃除されているのに出くわすが、ここは触らずスルーする。このYさん、去年は鯖街道に挑戦して花背峠付近で足の裏がズル剥けになり、残念ながら断念したという強者なのだけれども、町内の同い年のおっさんがokaoka clubの小てつであることは、今だ知らない知られちゃいけない???。(デビルマンかい!!)

 いつものコンビニに寄ってから、わざわざ出町柳の様子をうかがっていくが、まだ時間が早かったせいかバス停には誰もおらず。

 八瀬を越え、トンネルを越えたところの道路温度表示は0度。道は乾いていて路肩にも雪は無い。この時期には考えられないことである。エイデンの宝が池駅以北では、一回雪が降ったら、それは根雪となって春まで溶けないというのが小てつの覚えだったのだが、正月に降った雪がもう溶けてしまったのだろう。

小出石温度表示 ナッチョ登山口 入山禁止

 小出石に入り7時35分、温度表示で−1度、やはり暖かい。小出石のナッチョ登山口の「入山禁止」の看板はそのまま。別段伐採など危険を伴うことは何もおこっていないようだけど入山禁止となっているところから取り付くこともないので、小てつは最近「トンボユリ」から取り付くことにし、北滝橋の手前の路肩の広いところに稲妻号をデポし、準備をする。7時55分の出発となる。

 北滝橋の右手から入ると、すぐに北谷川に降りるのと高巻きの道とに分かれる。高巻きの道が本来の道だったのだろうけど、か細く崩れてきているので、ゴアテックスの靴を履いている方は、川を2度渡り植林地に入るのが良いと思う。小てつは崖フェチなので、高巻きの道を行き、何故かここにある芦生杉の裏側から植林地に入る。植林地の中に「左トンボユリ」の標識を見つけ、まだ残っている・・と、うれしくなる。

北滝橋の様子 植林地の中、左トンボユリ

 すぐに堰堤が現れる。トンボユリの取り付きは堰堤の上流の、川が二股に別れた中央の尾根だ。堰堤の手前の左手尾根から取り付いてもトンボユリのユリコースと合流するのだけど、本コースはここをたどる。

 植林地から川を渡るのにはシカの渡?跡をたどる。尾根に取り付くのだけど、尾根の左手に古道か作業道か、しっかりとした道がある。道はすぐに折り返し、三度折り返す。なかなか川から離れず高度が上がらないと思ったら、折り返し地点を見落としていて作業道を歩いていることとなっているはずだ。とにかく尾根の中央部を登るので、不安になったら尾根の背中を外さず取り付くことだ。

okaokaさんテープ okaokaさんテープ尾根コース

 三度折り返すと尾根は細くなり、間違いようもなくなる。標高350m付近で尾根コースとユリ道コースの分岐となる。ここにokaokaさんのテープを見つける。多分2007年の3月につけられたテープだろう。黄色いテープに「尾根コース」、「ユリ道」と書き込みがされている。この意思が明確なテープは大変助かる。このトンボユリ尾根コースにも赤や黄色のテープ付けがされているが、一本尾根の途中に全くテープは必要無い。必要があるのはこの「尾根コース」と「ユリコース」の分岐箇所、またこの先のP700の転進箇所くらいだろう。

 この「ユリ道」の語源について、小てつはユリの花は横向きに花が咲くので、山道で起伏の少ない横道みたいな、丁度愛宕の「米買い道」みたいなのをユリ道というのだと思っていたら、冬の間に伐採した木材を堰きに貯めておいて、春の雪解け水でもって一気に流す時に、堰きを切ることを「ユリを切る」と言うのだそうで、そんな伐採の基地のようなものがあった名残であろうか?このあたりには。「トンボユリ」や「二ノ瀬ユリ」などの道名も残る。

 さて今日は雪道ということで、尾根コースをとる。以前雪の時にユリ道コースに入り怖い思いをした。シカの足跡が先行していたのだが、ユリ道の谷部でシカは雪崩を警戒してか、大ジャンプした痕跡があったのだ。シカさえもジャンプするような危険地帯をヒヤヒヤで二度三度通過し、倉庫群に行き着いたときには、もうナッチョはどうでもよくなって、前畑峠からそのまま下山したのだった。尾根コースなら、そんな怖い思いはしなくてもいい。

 地形図からもわかるように、この尾根は適度な勾配で高度をかせぐ。危険なところはなく迷うようなところもない、まだ松も残った雑木林の中をもくもくと登る。標高500mを過ぎたあたりからシャクナゲが現れるが、花芽は少ないなぁと思っていると、625mの小ピーク前で一本だけ多くの花芽をつけたシャクナゲを見る。一旦道は平坦になり、次ぎの小ピーク(標高700m)で90度北東に転進する。雪はまだ20cmくらいだけど、せっかく担いできたからここでスノーシューを履く。

P686 みごとなサルトリイバラ

 右手に琵琶湖が見え始め、地形図のP686を過ぎ、一旦20mほど降り、登り返すところで見事な「サルトリイバラ」の赤を見つける。こんな奥地でないと見事なのにはお目にかかれない。といってもこんなところのじゃ採って帰る訳にもいかず、カメラに収めるのみとする。

 ヒノキの植林地をしばらく歩くと、左手に前畑峠からの林道を見下ろすようになる。丁度林道が鋭角に曲がるツガの大木があるところだ。もうしばらく歩けば「タコ分岐」となる。

タコ分岐 林道のツララ

この「タコ分岐」は小てつが勝手に命名しているところで、林道から山道に入る目印のテープがぐるぐる巻かれた切り株であって、その姿がタコに似ているので「タコ分岐」と言っている。今日は雪に埋もれていて見えない。ここで一旦林道に出る。林道の側壁には見事なツララが降りている。

 ナッチョを良く知っている方なら、「何で?」かも知れないけど、林道を少し登ったところに京都市内が見えるポイントがあるのだ。でも2年前とは違い植林のヒノキが大きくなっていて見通しが悪くなっていた。比叡山はよくわかるのでカメラに収める。 

林道展望場所より比叡山

 細かいことで申し訳ないが、「タコ分岐」からすぐは、掘れた登山道の岩にコケがついていて滑りやすいのと、低木の枝が伸びていて歩きにくいというのもある。とにかく、そのことを知っている人が増えたのか、御丁寧に見晴台から林道の側壁にテープがついていて、みんなそこから取り付いているようだ

 ここから夏道なら15分もあればナッチョピークに到達できる。雪は深いところで40cmくらい、okaokaさんのレポの時よりはしまってきているようだ。それにしても全く踏み跡がない。多分暮れの降雪からは小てつが初踏みなんじゃないかと思うくらいだ。

 毎年お正月には、ナッチョの山主さんが御夫婦で登られると聞いていたが、もうそんな御歳ではなくなったのか。登山口の入山禁止の標識といい、山の状況も変わってきているのか。

 ナッチョ名物の展望場所に着いた。ここもやはりヒノキの植林が大きくなって、展望ポイントを探さなくてはいけないようになっている。「山と渓谷社」から出ている「京都北山」のガイドブックの「花背峠から天ヶ森」の項の写真に写る姿は、きっとNHK−BSで有名なベニシアさんで、となりに写っているのが息子さんの悠仁君と思っているのは、小てつだけか???

 雪でややこしくなっている防獣ネットのくぐり先を考えながら、もうひと登りでナッチョピークとなる。まだ10時15分。まだ思いっきり早いけど、ラーメンタイムとする。ラーメンが炊ける間、ストックで三角点を探すが、埋もれていて見つけられなかった。静かな琵琶湖を眺めながら「サッポロ味噌ラーメン」がうまい。

 ラーメンを食べ終わってもまだ10時半過ぎ、少しだけ三谷峠方面にも行ってみようと時計のタイマーを11時30分にセットし歩き出す。ナッチョピークから次ぎのピークまでに、比良の絶景ポイントがあったのだけど、ここもまたヒノキの植林が大きくなっていて見通しが効かなくなっていた。

権現山から蓬莱山から比良の山

 しかし、ナッチョの気持ちいいところはこのあたりにあると思う。東に琵琶湖、西に大見尾根、北に比良や皆子を眺めながら、迷いようのない一本尾根が花折峠まで続く、プチ縦走の醍醐味だ。ただ、ナッチョピークの北側では、積雪は1mほどのところもある。ワカン、スノーシューがないとどうしようもないところだ。

 結局P800まで来たところで、アラームが鳴りタイムアップとなる。別段用事があるわけでもないけど、ここらあたりは冬の午後2時くらいになると天気が急変することがあるからだ。小てつは以前ここナッチョで、突如に降り出した横殴りの雪に二回やられている。

 このまま進んで三谷峠まで行き、三谷林道に降りて車道を帰る手もあるが、稜線の雪質から推測して下の雪はガサガサだろうと思い、スノーシューも効かない雪なら往生するのも目に見えているので、やめておく。

 まあ雪質どうのというより、今日は八割がたピストンと決めていたので、忠実に来た道を戻る。小てつが考える単独行ゆえの安全策のひとつだ。もと来た道をたどる以上に安全なことはない。それに一度踏んだスノーシューの跡は歩きやすく、帰りはより早く歩ける。

堰堤

 帰りは担ぐのが邪魔なので標高600m付近までシューを履き、あっという間、午後2時には北滝橋に降り立った。帰り支度をしているとジャランジャランと大きな熊よけ鈴が聞こえてきて、御夫婦と思われるお二人が歩いてこられた。多分、小出石の方だろう。

「熊出ますか?」

と尋ねると、

「熊捕ってやろうか、と思ってな。」

と御婦人。いやそんな大きな音じゃ熊逃げますって・・・。

 稲妻号で大原道を帰りしな、野村別れバス停に見覚えのある姿を見た。何と「おばさん山歩き隊のTさん」ではないか。すぐさま稲妻号を止め、半ば強制的に助手席に乗っていただいた。今日は比叡山から横高、水井、仰木峠をたどられたとか。出町柳まで送らせていただく間、小てつがドタキャンした昨年のokaoka clubの忘年会の様子や、新年の山の情報などいただきながら、思いもよらぬ楽しい帰り道となりました。


                           【 記: 小てつ 】

花背鉄塔方面