小野村割岳〜久多峠(NO.21)

大口を開けた木


平成24年7月29日(日) 小てつ単独

コース
広河原下の町〜早稲谷〜林道終点〜小野村割岳〜P951〜P927〜P897〜フカンド山〜久多峠 ママチャリダウンヒル 下の町





 前々からの計画だった中央分水嶺尾根をつなぐ残りのルート「小野村割ピーク〜P927ピーク」の踏破に行ってきました。



 高島トレイル完歩により、それまでに「三国岳〜久多峠」、「小野村割岳〜白石」がつながっている小てつ、残りの「小野村割岳〜P927」をたどれば、愛発越えから白石までつながることになり、久多峠からのママチャリダウンヒルも爽快だろうと、わざわざこの猛暑の時期に決行としました。

 早朝からクマゼミの声もうるさく、早々と起き出し準備をし、6時30分に出発できた。鞍馬街道は道の掃除もできて、あの雷雨がうそのよう。でも途中の柊野の市民グランドは、やっと流れ込んだ泥をすきとったばかり。

 またまた仕込みのために久多峠まで寄り道して、電柱のワイヤーにママチャリを結ぶ。それでも8時30分には下の町バス停のところの空き地に着いた。白い犬2匹を散歩の方に挨拶をして、車を置かせていただく。

下の町の空地に駐車 咲残りのジキタリス

 早稲谷の林道は勾配も無く、それこそ散歩気分で歩ける。途中で2台のバイクが駐車してあり、しばらくすると前方から渓流釣りの2人連れが歩いてきた。「全然釣れん。ほんまに放流してるんかいな。」とグチをこぼされる。何でも入川料は年間5000円だそうで、これじゃあ割に合わんという訳だ。

 しかし、釣り師なら知っておいてほしいものだが、この谷での釣果はあまり期待出来ないと思う。何故なら、蜘蛛の巣が全くと言っていいほど無いからである。小鳥の声もしない。第一、トンボ、カゲロウの類が飛んでいないのだ。ということは、川中に魚のエサは無い。たとえ放流をガンガンしたとしても、エサがないのだから育つ訳がない。まあ蜘蛛の巣が無いのは歩く分には助かるけど。

 ゲートを越したすぐのところで咲残りのジキタリスを見る。目立った花はこれくらい。okaokaさんに習い、2本のドカンのところで顔を洗って飲水休憩。これからが登りとなる。

林道を歩いていたクワガタ

 滝のところのすぐ近くで、地面に黒いのが歩いている。ヒラタかノコギリかクワガタのメスだ。ずいぶん山を歩いているけど、甲虫類のカブトムシやクワガタをつかまえる機会は初めてだ。つかまえたところで、近所の子に持って帰っても、どうせかわいそうな結果となるのも目に見えているので、近くの木に引っ付けてやった。クワガタはここぞとばかりに、木の裏側に隠れた。

 林道終点に付き、ここでも顔を洗う。お昼にはまだまだ早い。林道終点すぐの右手にトラロープがかけてあるが、切れている。この尾根をたどればP951にたどりつける。小野村割岳には、もう少し先に行った左手の尾根にかかったトラロープのところが取り付きとなる。ここでも、絶対にロープは持たない小てつであった。風雨にさらされたトラロープほど、信用出来ないものは無い。いきなりブッツンだ。

 林道終点からだと、小野村割岳には本当にひと息で登れ、930m越えが申し訳ないような感じだ。頂上の10分手前まで水場があるなんて、この季節にうってつけ。でも、このあたりには度々来ているのに、ピークに立つのは久しぶりとなる。まだ10時すぎだけど、せっかくなので倒木に座り、オニギリをひとつパクつく。

 さてここからが本題となり、東の尾根道へと進む。右側(南側)の支尾根に気をつけて、左に左に意識して例の「尾根を乗り換える地点」に着く。小野村側からだとわかりやすいかも知れないが、哲郎さんのレポの通りで助かる。

 一旦登山道から外れるP951までは順調に進み、今度は北東に向きを変えP927を目指す。P951の北側には細いけれど古木の様相のブナが多く有り、いい雰囲気だ。だがいよいよ尾根つながりが達成というところで、思わぬ苦戦を強いられることとなる。

板取りの木1 雷杉1

 P951から15分ほど歩いたところで、小ピークが有り、高度計は920mを示していた。ふと南側を見ると現在点より高いところがあった。地形図を見ていてだければ分かるとおり、P951もP927もピーク地点は登山道からは離れ、少し南側にある。小てつは何とも思わず、そこがP927と思い込んでしまったのである。

 踏み跡もかすかに有り、御丁寧に「伏見区のUさん」のテープが付けられている。ピークをつめれば、高度計は935mと示している。地形図を見ても、そんなピークは無いのだけれど、小てつの高度計はカシオのなので5m刻みであって、少しの気圧変化で10mくらいは変わってしまうので、気にもとめなかった。

後ろ三国岳 雷杉2

 さてそこからが大変、久多峠方面と思いこみ南東に向けて歩き出せば、うすい踏み跡があるとは言え、あまりにも尾根はガサガサでうっとおしい感じ。テープはずっと続いているし黄色にスプレーされた標石もある。ただ以前歩いた疎林で明るい感じとは全く違うし、なんせ急降下で降りていくではないか。

 ひとつ尾根を数十メートル降りてみれば違うし、隣の尾根に乗り換えても違うし、「森の旅人」ならぬ「森の迷い人」になってしまった訳だ。ただそこで救いだったのは、見通しのきく場所があって、どうやらP951と思われる稜線が見えたことだった。

 そこで冷静になれ、一番最初の標高920mの地点に戻ってやれと思ったのである。時間も早いし、水もある。どうしようもなかったら、P951に戻って、林道終点に戻るという手がある。と考えたのだ。

雷杉3 板取りの木2

 で、ようやく920mの地点に戻り、最悪その先のP921の手前まで行けば、知ってる地点もあるしと、北にむいて歩いてみると、なんと10分も歩かないうちに本当のP927に行き着いた。高度計もちゃんと925mを示していて、気圧の乱れもないようだ。(じゃあの935mの地点はどこ〜!)と思うし、地形図にもそんなところはないと見るんだけど・・・。

 でも、まぁあのテープはいったいなんじゃと思ってしまう。本道のテープは芦生歩きの方々が外してまわられているそうだが、逆に普通では歩かない変態ルートにテープが残っているのだ。後から考えたら、能見川に降りるルートであったり、逆に能見川からP951につめるルートのテープであったりしたんだろうと思った。

 テープを信用しないと言っている小てつですらこの有様。初心者が迷い込んだらいっかんの終わり。まして、バス時間などで焦ったらとんでもないことになるだろう。ここらで迷って本道に帰るのを諦めたら、とにかく南側に降りれば何とかなるんだろうけど。

 時間にしたら1時間30分ほどロスし、やっとこさの尾根つなぎに成功の小てつ。今度は間違いなく南東に向かうハッキリとした疎林の尾根道を快適に歩く。

オブジェの木 久多峠に降り立つ

 ここらあたりには「雷杉」が多数あり、落雷多発地帯なのがわかる。でも、どうもこの落雷を受けた木というのが杉の木ばかりで、落雷を受けて真っ黒に焦げたブナの木にはお目にかかったことがない。ということで、雨宿りはブナの下でというのが、小てつの決まり。

 順調にP897をたどり、フカンド山であるP853に着く、ここまでくればあと少し。と気がゆるんだ小てつ、くだりの勢いがついて780mまで降ってしまう。目の前の登り返しに、何で???と気がつくと、桑谷山が右に見えるではないか・・・。またまた、「伏見区のUさん」につられてしまった。そのまま行ってしまえば、久多の神社に行き着いてしまう。

 で、またまた40m登り返して、久多峠の分岐を見る。久多峠を走る車の音も近くなるのだけど、最後の30mほどの登り返しも壁に見えるほど・・。

 久多峠に降り立てば、ママチャリは無事で、峠のダウンヒルで爽快な涼をとり、林道分岐の石碑のところの滝水で体をふいて、下の町までのんびりサイクリングをする。

 今日はバテバテで、声もカラカラになってしまいましたが、庄兵衛さんによって、コーヒーをいただけば、すっと緊張も疲れもほぐれていくのでした。


                           【 記: 小てつ 】