桟敷ヶ岳+ちょこっと城丹国境尾根(NO.13)

鉄塔広場より西側


2012.2.5  晴れ  小てつ単独

コース
大森キャンプ場 7:35 〜 薬師峠 8:05 〜 都ながめ 9:30 〜 鉄塔広場 9:40 〜 桟敷ピーク 9:55 〜 129鉄塔 10:40 〜 伐採地 11:25 (食)〜 自転車ピーク 12:00 〜 大谷峠 12:20 〜 林道終点 12:30 〜 大森キャンプ場 13:20





 愛宕、ナッチョと続けば、今度は当然桟敷ヶ岳となるのが小てつの順番で?くしくもまた何年か前のローテーションとなった。今年の桟敷の雪はどうでしょう?

 昨日から寒さが緩み今朝は暖かく、陽もあがったのでいつもより少し早く6時45分に家を出る。暖かいといっても周山街道杉の里トンネルの道路温度表示はマイナス3度を示していて、スタッドレスタイヤを履いている稲妻号と言えど日陰のカーブは要注意となるが、路面が乾いていてスイスイ走れた。

 それでもやはり小野郷から大森への道に入ると日陰の路面は凍ったままのところもあるが、山中に雪は無い。車中から望む岩茸山、桟敷は真っ黒。

大森から見る岩茸、桟敷 大森キャンプ場

 今日は城丹尾根を一周周回するのではなく、途中のどこかで降りてこようと思っていたので中町から東町に入り「大森キャンプ場」まで進む。キャンプ場は空いていて、出てきた女性スタッフに「今日は駐車だけでも出来ますか?」と尋ねると、大丈夫ということで600円を払って駐車する。キャンプ場の予約が多い時には、駐車だけでは断られる時がある。

 キャンプ場からもっと先に行って、「霧滝」の入口あたりが小広くなっているから、そこだとタダで駐車できるが、この時期軽トラはあまりにも怪しいし、キャンプ場に駐車しておけば、もし帰ってこなかった時にすぐキャンプ場から手配がまわることを期待して駐車する。

 準備をして歩き出すと馬運車の中に馬がいた。ポニーよりは大きいけれど、少し小さめのおとなしそうな馬だ。

 橋を渡ってゲートボール場の横から林道に取り付くが、人の踏み跡は全くない。あるのは鹿の足跡だけで、少し登った林業の倉庫のところで2頭の鹿を見る。すぐに体も温まり、途中で上着を1枚脱ぐ。

キャンプ場の馬 薬師峠

 こちら側の林道は、ガラガラの石のところがあったり、コンクリートの上にコケがのっていて滑りやすいところもあったりするが、適度に雪があるのでラフに踏め、夏よりもスイスイ歩ける。難なく「薬師峠」に着く。ここの雪は10cm程度。

 「志明院」からの踏み跡は多数ある。みな桟敷方向に向いていて、南に向かわれた先日のokaokaさん達の踏み跡は消えてしまったようだ。

 昨日のものと思われるしっかり靴底の型が残った降りの踏み跡に、アイゼンの跡が無いことから、先はアイゼン必要なしと判断し小てつもアイゼン無しで登りにかかる。

 岩茸山の分岐手前の大森の町の展望場所は、もうすっかりヒノキでかくれてしまって、昨日までの踏み跡は皆立ち止まった様子もなく、そのうちここが展望場所だったことも忘れられるのだろう。

 先行者は皆ピーク東側のトラバース道に進んだようで、天邪鬼な小てつは、それなら岩茸山の方に進んでやろか?とも思ったけれど、元々、こちらのトラバース道の方が好きなので、そちらに進む。トラバース道から見る「狼峠」あたりも雪は少ない。山の地肌が現れているところがある。

 8時30分を過ぎると鳥にさえずりが聞こえ出し、それまで自分の足音と呼吸しか聞こえなかったことに気づく。静かな山だ。

大森の展望場所 都眺めの岩

 トラバース道が再び岩茸山北側の分岐地点に出会うとこらへんから、急に雪が深くなるが(それでも60cm程度)、先行者のラッセル跡に助けられスイスイと進める。今年は雪が少ないとは言え、例年この時期桟敷が人気なのは、雪があっても雪崩の起こるような危険な場所がないからだと思う。

 朝の雪面はキラキラと輝き、そこに広葉樹林の幹の影が模様をつくる。うねった雪面にうねった木の影は、よく似た図はあっても一期一会の景色で、同じ景色は二度と拝めない。刻一刻景色を変える、不思議な次元だ。樹氷はないけれどポツンポツンと幹に残った雪玉が、まるでタムシバの花のようで春が待ち遠しい。

 都ながめに飛び出すと、ここは日当たりが良く、なんと大岩は露出している。いつものようにここで小休止、おにぎりをひとつパクつく。市内はガスっていて眺望はない。真上はすごく晴れているので、風がないのだ。暖かく風のない日は市内向けがぼんやりしている。

 鉄塔広場は風の通り道で、先行者の足跡を消し、美しい斑紋を作っているが、光のコントラストがきつすぎて上手くカメラに収められなかった。

 何もない桟敷ピークに着く。直登のコースに踏み跡があり、この雪の時期にようやるなぁと感心する。何もすることがないので、すぐさま129鉄塔方面に向かう。ピークを乗り越したすぐのところで、担いできたシューを履く。先行者の踏み跡が凍った状態では、シューでは歩きにくいが、ここは凍っていなくてシューを履いたままトレース出来たからだ。

 ナベクロ峠では、129鉄塔方向にも旧の道にも踏み跡があり、昔の道もよく知る人が歩いたんだと思った。129鉄塔から愛宕方面を見るが、真っ黒で北面でもあまり雪は降っていないみたいだ。

鉄塔下の黄色い木 うさぎときつねの足跡が交差する

 132鉄塔の下に黄色いかたまりを見て、何かいな?と思ったら、アセビによく似た葉を持つ木が、新芽を出したところだった。いち早く春の準備は始まっている。

 先行者の踏み跡が、129鉄塔からまだ西にあり、桟敷にも変態が来たなと思っていたが、ツボ足の踏み跡は132鉄塔の先でUターンしていた。そこから先に踏み跡は無く、あるのはウサギかキツネの足跡だけ。桟敷は何故かウサギの足跡が多い。

 前回訪れた時に引っ張られて、病みあがりのJOEさんに無駄に力を使わせてしまった、P842ピークの北側のピークに付けられたテープに今回も騙されかけて、途中で気がついて修正し、尾根の南側の植林地の中のトラバース道に戻る。

鞍部の鉄塔標識 三本やぐらは健在

 トラバース道を進むと、鞍部に鉄塔標識があり、右に折れしばらく谷を進むと左手に三本やぐらがある。三本やぐらのところから左手の尾根に乗り、次ぎのピーク手前を右に巻くように進むと大伐採地、という城丹国境尾根で一番ややこしいところを過ぎて、いつもの昼食場所に着く。今日は早く着いてまだ12時の30分前だ。それでも大展望を望みながらのラーメンタイムとする。

 北側の山々も、こちら側から見ると、そう真っ白と言うわけではなく、比良の方面の山だけ白いように見える。それでも芦生の山の向こう側に黒い雲が立ち上がっていて、今日でも雪が降っているような感じだ。

 昼食セットをかたずけて、本日一番の急坂の降り登りとなる。結局このあたりの雪が一番深かった。自転車ピークで丁度12時、サイレンが聞こえた。

自転車ピークからラーメンピークを振り返る 自転車は埋まる

 自転車ピークの自転車について、トレイルランの方のブログのコメントが賑やかだったけど、ここにある自転車は上等のメーカー物ではなく、昔に流行った「軽快車」というカテゴリーに入るものだろうか、普通のフレームとタイヤにドロップハンドルだけついたものだ。数年前の伐採時に林業の人がワイヤーで揚げたんだろうと思う。伐採作業中に井戸との行き来に使っていたのか、そのあたりに捨ててあったのか、とにかくあまりいい趣味じゃないけど、直に朽ちるだろう。今日はほとんど雪に埋まっている。

 自転車ピークの先、スキップ街道尾根も今日はシュー履きなのでスキップも出来ないが、あっという間に過ぎて大谷峠手前の急坂を横向きになって降りる。大谷峠で、まだ時間も早いのから単板反射板の展望場所まで行ってみようかとも考えるが、植林地の中でズシンドシンと落雪の音がする。遅くなればもっと賑やかになるだろうから、ここは欲張らずにここから降りることとした。

 okaokaさんたちは、逆にいつもここを登ってこられているんだと思いながら。また数年前に日野のKさんと訪れた時よりも、道がはっきりしてるなぁと考えつつ、林道終点に降り立つ。

大谷峠 大谷林道終点

 ここの林道は長いけど、地図を見ればわかるように桟敷は西向きに弓なりに曲がっていて、東側の祖父谷林道よりは短いのだ。車利用の方は、絶対にこちらの方がお薦め。

 林道を歩いていると前方で4躯のパジェロがUターンしているのに出くわす。中から派手な服を着た長靴履きの男性が降りてきて、自分は猟師で山中に仕掛けておいた罠を見回っているところだと言う。今年は不猟だとも。 「薬師峠から桟敷をまわってきましたけれど、鹿イノシシの足跡は、薬師峠の手前のほんの低いところで見かけただけで、後は全然ありませんでしたよ。」と言うと、「そうや、最近はここらでは鹿が少なくなってなぁ。」 と言われる。

 小てつが思うに、鹿は全く増えてはいないと思う。生息場所が変わってしまって、それまで目につかなかったところにいるから増えたように思うだけだ。山中にある痕跡、例えば足跡やフンなどを見れば、一目瞭然。ナッチョや峰床、大見あたりにはいそうだけれど、本来いそうな奥地の方にはほとんど痕跡が無い。 'エサが無いのだ'

 これだけ山中にエサが無ければ、ほっておいても減っていくだろうと思うが、どこかの町長は「中国からオオカミを輸入して山に放ち、鹿を狩らせる!」なんてやらかすが、オオカミが鹿だけ選んで狩ってくれたら良いのだけれど、小てつがオオカミなら、敏捷で捕まえにくい鹿を狩るより、家畜やペット、人の子を襲うだろう。何でそんなことが直ぐに思い浮かばないのか不思議でたまらない。

 「良かったら乗せていったやるぞ。」 と、温かい言葉をもらうが、ただでさえ時間も早く、先週山行出来ていない運動不足解消もあり、お礼をいって「時間も早いし、そこらを見ながらボチボチ歩きます。」と丁重に御辞退申し上げた。

 大森キャンプ場に戻ってくると、朝とは違い広場で子供の歓声があがる。ソリで雪遊びをしているようだ。

'良かったね、山にオオカミおらんで'


                           【 記: 小てつ 】

キャンプ場の牧場で遊ぶ親子