沢山〜吉兆山〜桃山(NO.26)

沢池は鏡もよう


平成24年12月23日(日)   くもり 小てつ単独

コース
BS高鼻町〜沢池〜沢山〜吉兆山〜桃山〜原谷












 今年もいよいよ押し迫ってきたところで寒波の予報である。稲妻号と言えど、遠方の山では登山口にすらたどり着けないことも考慮して、思いっきり近場の山に久々に訪ねてみようと思いました。

 「沢山」に取り付くのには様々なルートがあり、南側からなら「三宝寺」からがオーソドックスなのだけど、ここはひとつひねりを入れて「高鼻町」から取り付くこととしました。このコース、かなり昔にokaokaさんも降ってこられたことがあるけれど、どうなっていますやら。

 近場のことで「全部歩けよ・・」ちゅう話ですが、アスファルト道はできるだけ歩きたくないので、市バス8番を利用し高鼻町バス停に降り立つ。周山街道を横断し「澄江寺」の看板のところから取り付く。派手なノボリがたっているので、何かいな?と思ったら移動鮮魚売りだった。(何もこんな人気のないところで店広げんでも・・)と考えるが、そこは商売のこと、色々あるんだろう。

取り付き地点 移動鮮魚店

 立派に建て直された澄江寺、小てつが小学生のころには荒れた古寺で廃墟のようになっていた。その澄江寺の前ほどに林道の入口があるが、山道の方に進む。以前来た時には山道の方はぐしゃぐしゃに荒れていて、とても歩ける状態では無く林道を歩いたが、橋も架け替えられ道もきれいに修復されていて歩けるようになっていた。

 この架け替えられた橋、以前は木製でよく滑り、自転車ごと下の川に落ちたことがある。二つ目の大きな砂防ダムも、今では砂利で埋まってしまったけれど、以前は満々と水をたたえ、真ん中の吐出口くらいまで水深もあり、オイカワと一緒に泳いだものだった。少し上流の二段滝のところに秘密基地も作ったりしたし、つまりはこのあたり、小てつの小学生時代のテリトリーだったのだ。 だいたいこの辺から龍安寺の裏山くらいがテリトリーで、夏中カブトムシを探しもとめて駆けずりまわっていたものだ。(小学生がうろつくテリトリーの広さじゃねえな・・)

修復された橋 第2砂防ダム

 その頃の川はもっと太く、それこそ「沢ガニ」がわんさかいて、どこかに木こりのおじさんが必ずいて、子供だけで山に入っていると怒られたものだった。薪に使われたのだろう、倒木はもちろん枯れ枝すら落ちていなくて、山はきれいだった。

 さて山道は途中で流木が遮り通行不能となる。でも脇をよじ登り、秘密基地跡だけ確認し、林道にあがる。林道に上がりしなに、冬イチゴを見つけたので一粒だけかじってみる。結構甘い。

冬イチゴ

 すぐに林道は終点となり、折り返して登りになる道と、川沿いに進む道に別れる。川沿いの方に進む。今度は右側からの道が合流してくるが、これは「白砂山」からの道。大きな一枚岩がある。道の様子を確認するため、しばらくそちらに登ってみる。以外に踏み跡はしっかりとしている。

 戻って沢を渡渉し対岸の道を行く。もうじき杉の木にキノコがはえたのがあって、沢山への看板が立っている地点に着くと思われたのだが、なんだか様子が変わっている。福ヶ谷林道が延伸してきたようで、林道に出くわした。またまた様子を探るためしばらく歩いてみるが、やはりただの林道で、そのまま進んでも京都一周トレイルの道で出会うだろうが、途中にあった山道の分岐が気になって戻ってみる。

 小さな砂防ダムのところから尾根に登っている山道は、昔の高鼻町ルートではないようだが、しっかりしていてギザを切っていて楽に登っていける。本来の高鼻町ルートは急坂で、おまけに途中から現れる防獣ネットにイバラがはびこり、えらく難儀したのを覚えているので、こちらの方が快適である。しかし、標高320m付近にある作業小屋のところで道は無くなる。作業小屋には平成11年にこのあたりの整備をしたとの書き残しがあり、どうりでまだしっかりした道が残っていたのだと納得する。

 さてこのあたりでこう言う時には、まず尾根に乗ってみることである。北山の奥地ではアテにできないが、ここらあたりの尾根には、まず踏み跡が残っているからだ。作業小屋の正面の尾根を目指し植林の中を登ってみると、やはり薄いが踏み跡があった。少々藪を漕ぐが冬のこと、6,70m尾根なりに急坂をのぼると平坦な植林の中に出た。植林の林の向こう側が京都一周トレイルの道で、トレイルに出たところからすぐ東進すると、本来の高鼻町ルートの分岐標識で、どうやら本来の尾根よりも一本西の尾根をあがってきたようだ。

トレイル道に出会う 高鼻町分岐の看板
(高鼻町の字が消えちゃってます)

 ただ、トレイル道から覗き込んだだけでも本来の道は藪っぽかったので、今日のルート取りは正解かもと思う。東に進むとすぐホトグリ(仏栗)峠。またすぐに沢池との分岐となる。池に降りてみる。

 池にいたる林道脇のミズナラが、たくさん切り倒されてしまってなんだか荒涼とした感じだ。梅雨どきには、この林道の水たまりにモリアオガエルのオタマジャクシがウジャウジャいる。林道は池の中ほどのところで池に降りる道と分岐する。池に降り、時間も早いので池畔をまわって対岸の岩のところまで行ってみることにする。今日は風もなく、池は鏡のようだ。

 岩にすわってオニギリをひとつパクついていると、対岸の林道口のところに人影が見えた。単独の登山者のようだったが、どこから取り付かれたのか知らないけど、お早いお着きである。それ以降出会わなかったので、その方は北に向かわれたのだろう。

 休憩を終え、しばらく戻って今度は池の南端からトレイル道に戻る。トレイル道をまた池分岐まで戻って、今度は沢山の方に向かう。

 ここからしばらくの間に、木に音楽家の名前を書き込まれたのがあって、多分どこかの団体がオリエンテーリングでもやったんだろうと思うが、「シューマン」からはじまって、「バッハ」、「ベートーベン」「ショパン」「ブラームス」とくる。ここまでだったらケシカラン・・だけなんだけれど、このあと「ラロ」とくるから、逆におぉっと驚いてしまう。(結構マニアックな・・)でも今日は「シューマン」しか見つけられなかった。気をつけて見ていたのに探せなかったので、他のは消えてしまったのだろうか?

シューマンの木 沢山の三角点は守られています

 分岐から6,70m登れば「ニセピーク」と呼んでいた場所、沢山と縦走路の分岐。昔はここに「ここは沢山ではありません。沢山まで15分。」と書いた看板があって、しばらくして15分のところが10分に訂正されていたものだ。それももうなくなっていた。何もないのはわかっているが、とりあえず沢山ピークに向かってみる。

 沢山ピークには山名看板が増えていて、例の白地に隷書書きの看板もあった。木にかわいそうなものもないようなので、すぐにキビスを返して縦走路に戻る。

 吉兆山に向かう縦走路は、もったいないけど急坂を100mほど降りることとなり、道が平坦になったところで右にひとつ分岐がある。分岐を降りると林道があり、林道を降りると三宝寺と原谷の道の合流点のところに降りる。地形図にある破線の道は林道ができたため、わかりにくくなっている。

 今日は分岐を直進し吉兆山へ向かう。ここで登山道のかたわらにひとつの繭だまを見つける。吉兆山のピークは縦走路からそれたところにある。何もないのはわかっているが、ひと息登れば行けるので寄っていく。ここにも白地に隷書の看板がかかっていて、御苦労様となる。

繭だま 桃山展望場所

 縦走路に戻り、また東に。今度は桃山だ。結局今日のルートの中で、ここ吉兆山と桃山間が一番荒れていたかなと思えた。ただこの夏の豪雨で、もっと荒れていると予想していたのが、そう大きな被害も無かったようなので、安心した。

 桃山にはお楽しみの場所がある。「展望場所」だ。ピーク手前に南方向市内向きに切り開かれた場所があって、石組みでベンチまでしつらえてある。今日はそこでラーメンタイムとする予定であった。嫁さんがどこかで珍しいラーメンを仕入れて来てくれたので、それも楽しみとなる。

 展望場所に着き、よく見ると展望場所の石組みは、モルタルで積み上げられているので、相当労力のかかったものだとわかる。平らなベンチの石の上でラーメンを作り、市内の景色を眺めながら食す。今日は昨日の雨のせいで水蒸気が多く、残念なことに見晴らしはよくない。

本日のラーメン 展望場所より

 ここが標高460mで、前方の「御室八十八ヶ所」の「成就山」が確か236mだったと思うので、ほんの200mしか差がないにも関わらず、かなり下に見えるのが山の不思議なところ。向こうから見ると桃山はそんなに高く見えない。

 ラーメンタイムを終えてから、これまた何もない桃山のピークを踏む。やはりここにも白地に隷書の山名看板有り。展望場所のあたりには、木間に荷造りひもが張られている。幼児登山でもあったのだろうか?白砂山には道の両側にびっしり張られているけど、終わったら外せばいいのに。

狂い咲きのミツバツツジ 立命館大学のグランド近く
(ここから尾根に取り付くと43番お堂に行けます。川沿いの道を行くと三宝寺道と出会います)

 展望場所に戻り、下山にかかる。原谷弁財天に降りることになる道は、松枯れの倒木がたくさんある以外は踏み跡も以前よりしっかりした感じで、快適に降っていく。弁財天のすぐ手前で狂い咲きのミツバツツジを見るが、仁和寺の本堂前のミツバツツジは毎年正月に咲いているので、日当たりのいいここの株も毎年冬でも咲いているんだろう。

 弁財天の奥の院横に降り立ち、立派な椿の木を見る。鳥居をくぐったところでスパッツを取り、ストックもしまう。あとはアスファルト道をだらだらと降りるだけ。今日は予報と違い、終日暖かでした。「ラロの木」を見つけられず残念でしたが、新しいルートも発見し、満足の一日でした。


                           【 記: 小てつ 】