西畑越

西畑越は棚野坂と知井を結ぶバイパス道


平成24年9月13日(木) 晴                 長岡山人

コース
西畑集落10:23−登り口探索(20)−鉄塔No54 11:35−タケガダン12:40(昼食35)−オバタケダン13:45−棚野坂(六地蔵)14:30−坂尻16:10





 西畑越は、棚野坂の六地蔵から東南に分岐し、オバタケダン、タケガダンを経由して、知見の西畑につなぐ西の鯖街道の一つである。棚野坂という立派な街道がありながら、知井に斜めにつなぐ道がなぜ必要だったのか疑問だが、ここでバイパスする方が京に近いのであろう。

 西畑越は、小型荷車なら十分通行可能な幅を持ち、急路を作らない丁寧な作道で、鯖街道の重要な一路線であったと推察された。

 JR日吉駅に9時に到着し、市営バス上佐々江行きに乗り、下佐々江で下車。間もなく来る知見口行きに乗換え、終点で下車。予約しておいたデマンドタクシーに乗り、知見(西畑集落)で下車する。この部分は150円であった。バス停から間もなく集落は終わり、地道の西畑林道になる。車両止めのチェーンをまたいで進む。

西畑集落の最奥 西畑林道の入口

 10分で谷は左右に分かれ、林道は左俣に続く。その二俣分岐地点が尾根の末端になり、どこかに古道の入口があると推測した。

 古道を辿るつもりがないのなら、関電巡視路を使うのが便利である。「左俣沿いに入っている林道をそのまま進む。送電線が真上に近づく頃、二俣から最初の右から来る沢の出合に巡視路の印(No54)があった。沢沿いに付けられた巡視路はやがて右の支尾根へ向けてジグザグの登りになり、鉄塔No54に着く。」と、内田嘉弘氏は『京都丹波の山(下)』に書かれている。

  僕としては、古道にこだわりたい。右俣の谷川沿いに続く踏み跡があったが、これは尾根に取り付かず、山仕事道であろうと除外した。

 昭文社のエリアマップ『北山2』の1996年版には点線で記入されている。それを見ると、尾根は西北方向に伸びており、点線はその東側斜面を巻いてから登るように書いてある。北山クラブの編集なのでその位置には根拠があろうと、尾根末端から東側によじ登る。

 崖に近い斜面を横断して、道跡がないか探すが、どうにも見いだせない。しかたないと、尾根中央に戻り、急登をあえぎながら、ひたすら登る。約440mまで登ると、突然、尾根筋に接するような左からの道に出合う。

 道は、西側斜面にジグザグを切るように登って来ている。なんだ、こちら側に登り口があったのかと裏切られた思い。下まで一度降りて調べ直す元気がなく、上から覗いただけだが、下部はかなり斜面が崩壊している感じだった。しかし立派な道幅の古道であることは確認できた。先ほどの二俣分岐の左俣を少々入ったところに、崩壊しているが登り口があるはずである。それを確認できなかったのだけが残念だった。

左右二俣に分かれる尾根末端 尾根末端を直登

 約440m地点から、古道は、尾根筋を左右にジグザグを切りながら登っていく。尾根が緩やかになったところに関電巡視路の矢印板があった。巡視路はここから左方向に急な下りとなって西畑林道に降りている。逆方向から来た場合、ここから降りるのが無難であろう。(古道にこだわらない限り)

関電巡視路の分岐 尾根を巻いて登る古道

 その地点からしばらく急登がある。途中で尾根道と右への巻き道に分かれるところがあった。多分、巻き道が本来の古道だろうなと思ったが、現在の一般登山ルートとなっている鉄塔を確認するため、尾根筋を登っていった。そして一登りするとN054の鉄塔に着いた。周囲の山々の展望が良くなった。タケガダン東斜面の二つの大岩(クラ)も見える。

関電鉄塔No54 タケガダン東斜面の二つの大岩

 そのあとは緩やかな尾根道を進むが、小鞍部に下ると、右下からの道が合流する。これが先ほど分かれた古道の続きと思われる。古道の方が立派で平坦な感じがするので、逆コースから来たとき、関電鉄塔を通りたいならこの地点、注意が必要だ。木にテープがあるので右に登っていくこと。

尾根道は明瞭である 逆方向から見た分岐

 ここからまた急登が始まる。関電巡視路は、尾根を直登するように道が付けられている。しかし古道は、山腹を左右に大きく巻きながら登っている。生え込みが多く、古道を忠実に辿ることはできない。約680m地点で尾根の鞍部に出、展望が開ける。涼やかな風が通るのがありがたい。

展望の良い尾根筋に出る タケガダン手前の案内板

 さらに一登りすると、タケガタンの743mピークに着く。何の表示板もなく、展望もない。昼食を取ったあと、出発する。ほぼ平坦な尾根道で歩きやすい。ブナ林もきれいだ。古道は小ピークに登らず、巻くように付けられているので、その分岐に注意が必要である。途中、1カ所だけ、小ピークに登ってしまい、ヤブがあって遠望ができず、方向に迷うところがあった。下りが続いたら間違っているので注意のこと。

タケガダン山頂 オバタケダンへの古道

  オバタケダンの若干手前からは南方は低木の植林地帯なので見晴らしがきき、頭巾山から始まる美山町全域の展望が楽しめる。古道はオバタケダンの山頂手前で北斜面を巻いて下っていくが、オバタケダンの三角点に寄り道して最後の眺望を堪能する。そこからは若丹国境尾根を進む。道は歩きやすい。

オバタケダン山頂 オバタケダン直下の案内表示

  関電中継塔の直下で道が分かれる。直進すれば中継塔を経て、棚野坂とクロスし、堀越峠に進む道となる。西畑越は右側の巻き道を進む。しばらく進むと、六地蔵のある棚野坂の峠(三叉路)に着く。

関電中継塔直前の西畑越分岐 中継塔の下を巻く西畑越
三叉路の解説板 三叉路の案内標柱

  そこから先は、6月14日にした報告と同じなので略する。若干その後の補足をすると、小浜山の会が倒木の整理をされ、やや歩きやすくなっている。一ツ谷の崩壊地の復旧工事が進み、登山路の手前まで整備されているが、まだ迂回路は解消されていない。最後のツメの工事を期待したい。

 本来なら荒れるに任されたはずの西畑越だが、関電巡視路とかなり重複したため辛うじて生き残り、きれいに維持されている。ほとんどが自然林で、秋の紅葉はさぞ見事であろう。

 健脚向けのコース設定だが、八原に車を止め、知井坂を登り、若丹国境尾根を西進し、六地蔵から西畑越に入り、オバタケダン、タケガダンと周り、関電巡視路を西畑に降りる一日コースとして設定できると思う。

参考ホームページ
 ↓
http://www.net-work.ne.jp/~y3939/obatake_07_11_.html




登り口付近地図


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