武奈ヶ岳(NO.32)

 
西南稜の雪庇


平成24年2月17日(日) くもり  JOEさん、小てつ

コース
坊村〜御殿山ルート〜武奈ヶ岳 ピストン





 御一緒するなら17日の日曜日の方が都合いいのですが・・・。そんなメールをJOEさんからいただいていました。小てつの段取りもつき、では御一緒にとなったのですが、「行き先をどうしましょう?」という小てつに「武奈はどうですか?」とJOEさん。そう言えば今年は武奈に行けていない。実は武奈にはHさんと行くのにとっておきましょうよとJOEさんのお声があって、取り置きをしていたのでした。Hさんとは前回赤坂山へ急転の山行となりましたので、今回は二人で武奈へとなりました。(二人だけで行ったと、後でHさんに怒られるかな??)

 雪がなくても'今回は武奈'ということだったのですが、前日土曜日に積雪があり、「花背山の家」のHPでは33cmの積雪と、前日から15cm増の雪が降り、思わずニンマリの小てつでしたが、問題は花折峠!。前回イン谷口から登れなかったのを反省して、今回は稲妻号の荷台にいくらか荷物を積んで、河原町御池で待ち合わせ出発となる。

 思ったとおりに小出石を過ぎたあたりから景色は一変し、途中トンネルを越えると覚悟のいる367号線の登りとなる。雪がシャーベット状でスタッドレスタイヤといえども細かいカウンターをあてながらの登りとなる。今日は荷台に荷物があってトラクションもかかり、どうにか花折トンネルまで到達し、あとは降りなのでどうにでもなると思っていると、前方から除雪車が2台もやってくる。あと10分ほどゆっくり出発してきたら既に除雪のされた道を走れたのかも知れない。花折峠から坊村の間で、2台の車が車道から外れ側溝にはまっていた。ここの道は側溝にふたがないので、路肩に寄せる時には注意が必要です。チェーン装着時など、気をつけてください。

 ゆっくり安全運転で坊村の葛川市民センターに着。駐車車両は去年ほどは多く無く、準備をして8時15分の出発となる。小てつがトイレを借りていると、一人の登山者が入ってきた。足にはアイゼン。(あきませんよ〜、アイゼンつけたまま入ってきたら)。

朝の葛川市民センター シュー隊のトレース有り

 我々は橋を渡ったところにある二つの切り株のところでアイゼンを付け、いよいよ御殿山ルートに取り付く。雪は最初からあるが、ほぼ昨日降った新雪で15cmくらい。最初は小てつがトップを行かせていただく。okaokaさんに習い、150mをめどに休憩を入れようと思うのだが、すぐに暑くなって衣服調節やら、なぜだか今日は喉が渇いて、たびたび標高関係なしの「ちょっと休憩」となる。後でJOEさんと考えたのは、今日の雪質が問題で、うまく言い表せないけれど、アイゼンが効きにくい雪質で、先週の皆子山みたいにガッと刺さる感じではなく、一回踏んで効いたのを確かめてから体重を乗せられる感じなのだ。その一瞬のタイムラグがじわじわしんどさを増長させているみたい。

 朝一番のトレース跡は、本来の登山道より北側についていて、いつもの「御殿山2」のレスキューポイントのところも通らなかった。それにしても植林地から尾根に乗った先からはシューによるものだろうか、幅50cmくらいのトレースがしっかりとあり。ただシューの跡なので踏み込みが浅く、ツボ足アイゼンの我々は、度々踏み抜くこととなる。標高900mを越えると新雪は60cmくらい。

 いつの間にかトップはJOEさんになり、小てつはあえぎあえぎ後を追うことになっている(今日はしんどい)。御殿山に10時35分、ペース的には去年よりも15分早い。御殿山ピークからでも武奈は見えない。ここで、「シューを履きますか?」と聞くが、「登りはアイゼンで行きましょう」ということでそのまま進む。

ワサビ峠

 標高900mのところの雪庇は去年とほぼ変わらずだったが、西南稜の雪庇はいくぶん小さい。去年は6mほどの巨大雪庇だったし、今年は無風状態でトレースもしっかりと残っている。それでも西南稜の稜線までくると、可愛らしい「エビの尻尾」が見られた。

西南稜にはエビちゃんが 堂満はえらいことに

 武奈ピークからは望めないけど、西南稜から見える堂満は、北側が吹き飛んだ雪でけむり、えらいことになっている。今日は堂満でなくて良かった〜。

 こちら武奈は、我々がピーク直下までくると、お陽様が顔を出し、周りの眺望はないけれどピークのガスが晴れてきた。やはりラッキーコンビの伝説は継続しているようだ。

 一昨年は5分、去年は2秒しかいられなかったというピークだったが、今年のピークは何十分でもいられるくらい穏やかだ。我々は京都北山に向かうピーク西側に陣取り「ラーメンタイム」とする。ところが、ここで小てつは大失敗をしてしまう。本日のメニューである「袋入りどん兵衛韓国チゲうどん」を炊こうと、コッヘルを雪面に置いたのが間違いで、コッヘルの底面に雪が着いたのに気づかず、ストーブに置いてしまった。雪は即座に溶け、ストーブの火口をしっかり濡らしてくれた。JOEさんからストーブのもらい火をしても全然直らず、結局はゴソゴソやっている間にJOEさんのラーメンが出来上がり、JOEさんのストーブを借り受けるはめとなった。そんなことあるんですね〜。

武奈ピーク

 そんなことで50分も武奈ピークでゆっくりし、降りはシューをつけましょうとなって、アイゼンからシューに履き替えて、武奈ピークを後にする。西南稜の新雪をパタパタ踏んで楽しんでいると、後から後から登山者が登ってくる。またこれがグループが多く、中には数組のグループが渋滞してひとかたまりになっているのもあるくらい、御殿山まで帰るまでにおおよそ60人ほどとすれ違っただろう。この先武奈ピークはえらい混雑になってしまうに違いない。早い目に降りてきて良かった。

 御殿山ピーク手前の降りにさしかかるところで、3人組の昔の山ガールが登ってきて、「ワサビ峠はどこですか?」とJOEさんにたずねられる。JOEさんは「もう過ぎてますよ」と丁寧に場所を教えられるが、バスでこられたというガール達は、はなから武奈ピークを諦めていたが、どこかで折り返す目当てを「ワサビ峠」までとされていたようだった。せっかくここまでこられたから、景色の良いもう一つ先のピークまで進まれたらどうですか?と言い、JRがあるので時間を気にしなくてもいい比良駅への縦走は、今日の天候なら諦めた方がいいでしょうと勧める。我々も実は天候がよければ、帰りはコヤマノ岳から中峠を回っての周回も考えていたのだったが、ガスが出ていて稜線の視界が悪く取りやめにしたのだった。

 御殿山ピークにも10人を越す人があり、バスで来てここで折り返しの方なのだろうか休憩をとっておられる。なんやかんやで今日の御殿山ルートは100人を越えるほどの登山者で賑わっていたようだ。

 御殿山ピークを過ぎると、陽がさしてきて、もうしばらくすると武奈ピークも望めるのではと、一旦引き返して待ってみるが、ガスは晴れずで降りにかかる。陽がさしてきて雪面に影を落とすが、ヒノキの影では面白みがないなぁ。

 帰りは正規のルートで進み、「レスキューポイント御殿山2」の先でシューを外して、アイゼンを装着する。今日はお楽しみの'新兵器'を持ってきた。ヒップそりだ。前から担いでおられるのを目にしていたのだが、何故か小てつの家にも前からあって今日は2つ仕込んできた。でも、使える場所は限られているだろうなと思いつつ。

 ヒップそりで尻セードが出来る場所を探しながら植林地の中を駆け降りていく。登山道上はまずいし、登山道から外れて尻セードを試みるものの、今日の雪質ではブレーキがかかってしまい、うまくは出来ない。途中で本格装備の若者を追い越していくが、若者はJOEさんを見て、「マタギですか〜?」と驚きの声を出す。

降りてきたころには青空に

 車道が見えるころには、登山道は雪と土が混じったような状態になる。雪のクッションがないところではマタギ忍者を追いかけることもままならず、先に行ってもらい、小てつはゆっくりと降りる。それでもデポ地に2時15分着。

 車道にはもう雪は無く、今日もビールとノンアルコールビールで無事のお祝いをしながら帰路につく。思わず新雪雪遊びの出来た武奈でした。JOEさん、本日もありがとうございました。


                           【 記: 小てつ 】