堂満岳(NO.30)

 
堂満岳を見ながら金糞峠から山頂へ向かう


平成24年1月27日(日)  くもりのち晴れ  JOEさん、小てつ

コース:
志賀インター(イン谷口入口)付近稲妻号デポ〜イン谷口〜大山口〜青ガレ〜金糞峠〜堂満岳〜比良オヤジ殿ルート〜大山口〜デポ地





 2週前からJOEさんは今週には堂満と決められていた。これが昨日土曜日の予定なら、すんなり行ってらっしゃ〜いの小てつであったのだが・・・。金曜日の夜、JOEさんにメールをしてしまった。「JOEさん、堂満は明日ですか?日曜日の予定ですか?」と聞くと、「日曜日の予定です。仕事の段取りがついたら、御一緒しませんか?」と帰ってきた。

 小てつの「比良後ずさり症」の原因ともなっている堂満に、しかもこの時期に初挑戦になるとは・・・。ここは腹をくくって、無理やりにでも土曜日中に仕事を片付けて、行くしかないかと考えていると、嫁さんに「何をニヤニヤしてメールしてんねん」と怒られた。

 そんな訳で、今回はJOEさん月参りの堂満に、御一緒させていただくことになりました。

 今日は161バイパスを利用するということで、7時15分に山科でJOEさんをピックアップする。三条通りから161バイパスに入ると、真野を過ぎたあたりから景色は一変し、志賀インターではあたりは真っ白。インターからイン谷口へむかって登りかけるも、稲妻号の後輪はむなしく空転をする。スタックをしたときのために、道具を降ろし荷台を軽くしたのが逆に災いしたようだ。チェーンも積んでいるので、ここからかけていけばあがれるけれど、その時間を歩いたほうが早いでしょうということで、ここにデポして用意をする。脇を前輪駆動の乗用車が数台、タイヤをズルズル言わしながらあがっていく。丁度8時の出発となる。

志賀インター近くにデポ

 途中でさっきあがっていった乗用車のうちの2台が、うえはいっぱいでと帰ってきて下の空き地に駐車をしていた。イン谷口には既に結構な車が入っている。トイレ前の空き地では、遭難救助訓練だろうか数十人のグループが何やらやっている。我々はまだそんなに踏み跡も少ない林道を、大山口に向かってアイゼン無しで進む。

 砂防ダムの鉄骨にたくさんのツララができ、中には歯ブラシのような形になったのやらおもしろい。大山口に着くと、カップルがここでアイゼンを装着していた。我々も、ここでアイゼンを装着する。

この見上げる傾斜が小てつを後ずさりさせる ダムのツララ

 カップルが先行し、単独男性が追いついてくる。彼もここでアイゼンを装着のようだ。皆青ガレ方面に向かうようで、JOEさんによると、この時期7割がた青ガレから登られダケ道は人気が無いとおっしゃる。

 新雪は20cm弱で調子良く進み、いよいよ青ガレの核心部の岩場の手前、橋を渡る前で飲水休憩とし、JOEさんからカロリー補給のバナナチップスをいただく。このバナナチップスは、味の好みどうのこうのというより、実は単位グラム量に対するカロリーが高く、要するに軽くて熱量があるということで、山での行動食や非常食にもってこいという訳なのだ。嫁さんの荷物持ちで行くスーパーにて、いつも食品の裏を見て逆カロリーチェック(ダイエットならカロリーの低いものを探すのだろうけど・・)をしている小てつは知っていたのだが、JOEさんも全く同じことをしておられたようで、そのことを知っておられ、行動食とされている。

カロリー補給のバナナチップス

 それにしても、先行のカップルは相当強い。我々もそれなりのいい調子でここまで歩いてきたが、上の岩場を見上げても姿が見えない。雪の無い季節なら、落ちてきそうな岩が怖いのかも知れないが、雪がかぶっていて恐怖心は無い。ただ、下に流水があるようで、ところどころクレバスが出来ているようで、2,3度踏み抜く。ここの雪は新雪の下の雪があまくて、アイゼンが効かずに登りにくい。新雪は上に行くほど深くなり、60cmほどになる。

 それでも流石に月参りのJOEさんは、ここを知り尽くしておられるから、一気に登りつめられる。小てつはサングラスが曇って見えないぐらいの、汗の蒸気を吹き出してついて行く。一気に稜線が近づき、金糞峠に到着。丁度10時。

 踏み跡は皆八雲に向かっている、縦走路には先行者の踏み跡無し。我々がしばし休憩していると、後続の単独男性があがってこられた。彼は休憩無しで八雲方向に向かわれた。我々は縦走路を南へと向かう。

 稜線に出ると風が吹き抜け、一気に寒くなる。その分新雪の下の雪がしっかりしていてアイゼンが効き、歩きやすい。雲近く、早いスピードで抜けていく。ここではコヤマノ岳が見え隠れするほどだったが、徐々に良方にむかっているようだ。

金糞峠へ 第2ルンゼあたり

 しばらく進むと、年配のカップルが追いついてこられた。分岐の標識のところで、しばしお話をする。洛西伊達オヤジ殿を彷彿させるごっつい感じの旦那さんと、見かけは華奢な体つきの奥様。青ガレで先行の足跡があって助かりましたとおっしゃるので、いえいえ我々の前に、強烈に強いカップルがおられまして我々も助かってたんです・・と話す。

 比良オヤジ殿御夫婦は冬道を行かれるということで、夏道を行こうという我々とはしばし別れて歩き出す。夏道の方が眺望があるというJOEさんの御配慮です。しかしながら、出来ている雪庇があるたび、ここから向こうに地面はありませんから、とJOEさんの指示がとび、おっかなびっくりの小てつである。

 なるほど素晴らしい眺望があり、遮るもののない積雪時ならではの木上の空中散歩を楽しむ。再び御夫婦と出会い、後になり先になり進む。途中で比良オヤジ殿が雪庇を叩くと、ズドーンと大きな雪庇が崩れる。(やめましょうね〜、下に人がいるかも知れませんからね〜)。

 堂満ピークよりもひとつ手前のピークの方が、見晴らしがいいと言うことでシャッタータイムをとり、御夫婦に先行していただく。武奈も蓬莱にも雲がかかり、今日は堂満だけ晴れていたようだ。ラッキーコンビ伝説は続いている。いよいよ堂満ピークに立つ。丁度11時。

雪庇の様子 蓬莱山を望む

 御夫婦も昼食をとられ、我々もラーメンタイムとする。ラーメンを炊きながら色々とお話をしていると、何と定年されてからは、山登りが仕事とされて、年間200回は比良に通っておられるという。月参りされているJOEさんと、今まで遭遇がなかったのは、土日はなるべく避けているからとのことだった。今日は雪が降ったから来たと言われる。本当に珍しいことだけど、JOEさんがokaokaclubの紹介をされ、自身がその中のJOEであることを話される。

 さらに驚いたのは、その御夫婦が使われるという下山ルートだったのだが、昨年2月5日に堂満に登られたJOEさんが下山時に決死のトラバースを強いられたトレースは、この御夫婦がつけられたようなのだ。

 「早いですよ」と、あっけらかんとおっしゃる奥様。あぜんの小てつ。ではまたと、先行される御夫妻を見送り、こちらはゆっくりとラーメンタイム&ノンアルコールビール&コーヒータイムとフルコースの休憩をとる。

 40分もゆっくりし、下山にとりかかる。JOEさんは、ノタリホリを経由して降りる東稜ルートを予定されていたが、この際御夫婦のルートをたどりましょうよと、小てつが悪魔の囁きをかける。そんな時に、東稜ルートからカップルがあがってこられた。何とヘルメットにハーネス装備。JOEさんが、「どちらから登ってこられましたか?」と尋ねられると、「第一ルンゼの支尾根から」とさらっと答えられる。(第一ルンゼ言うだけでもエグイのに、その支尾根って・・・)と唖然呆然の小てつとなる。比良、特にこの時期の堂満は本当にエゲツナイ。同じ時期でも武奈、蓬莱とは明らかに人種が違う。きっとこの方々は、いつもは谷川岳とか行ってはるクチなんやろなあと考える。

 サラリカップルと交代するようにピークを後にし、比良オヤジ殿のトレースをたどる。最初は東稜ルートを降っているようだった。ところでころで尻セード跡が残り、我々も尻セードで後に続いていたのだが、下方に登ってくるグループを見つけ、歩いて降りだす。

 JOEさんは、グループのリーダーに尻セード跡をつけたことを詫びられるが、新雪を歩くより、セード跡の方が楽なんじゃないかなと思ったり。最初の急坂を降りたところで比良オヤジ殿のトレースは登山ルートを離れ、北の谷部に分かれている。JOEさんによると、やはり去年のコースに近いと言われる。

 登山道を離れてからは、ほとんどが尻セード跡ばかり。どちらかと言うと、尻セードを楽しみにきたのではないかと思えるほどで、わざわざ登り返して尻セードをした痕跡すらある。何とも楽しい御夫婦のようだ。我々中年オヤジコンビも、負けじと童心に帰り、こんな姿は家族には見せられませんねと言いながらも、尻セードを楽しむ。部奈でも御殿山ルートで尻セードをされている方を見かけるが、歩いたほうが早い傾斜であったり、距離が短かったりだけど、ここはほぼ全行程尻セードで、本当にあっと言う間、堂満ピークから30分で、大山口近くの林道跡まで降りてきた。

尻セードを楽しむJOEさん 朝とは全く違う景色

 大山口まできてアイゼンを外し、デポ地へ戻る。トイレ前ではまだ遭難救助訓練をしているようだけど、木の枝にロープを引っ掛けて、木登りのような訓練をしている。この時期、木は水をあげていないから相当に折れやすい、小てつ懇意の植木屋さんも、プロでありながら、この時期に枝が折れて2回も落下して怪我している。見たところ直径10cmにも満たない細い枝にロープがかかっているし、そんなことを知っててやってるんかなぁと心配になる。

 朝とは全く違った景色の志賀インターまでのんびりとアスファルト道を降っていく。デポ地には数台の車が増えていた。デポ地に1時10分着。

 後ずさりするほどビビっていた堂満でしたが、やっぱりしんどかったです。でもその分素晴らしい眺望があり、また個性的な登山者とも遭遇し、他の山とはまた違った色を持った山だなぁと感じました。JOEさん、お連れいただき、ありがとうございました。


                           【 記: 小てつ 】