権現山〜ホッケ山〜小女郎峠(NO.28)

 
全湖雲海


平成25年1月13日(日)晴れのち曇  JOEさん、小てつ

コース
牛の鼻トンネル付近デポ地〜平〜アラキ峠〜折立山(ピストン)〜権現山〜ホッケ山〜小女郎峠〜坂下〜デポ地





 去年末より、この1月の三連休のうちいずれかで御一緒しましょうと、JOEさんからお誘いを受けていました。土曜日が一番予報も良かったのですが、小てつに仕事が入ってしまい、日曜日の山行となりました。結果、この日程のズレにより素晴らしい景色に遭遇できたのですが、それは後ほど・・。

 お正月の初山で、JOEさんは堂満で腰まで埋まって難儀されたと言う。愛宕と違って比良には雪があるみたいだ。事前にチェックしたヤマレコによれば、平から蓬莱山までの縦走路には、しっかりとしたトレースがあると言う。でもシューかワカンか悩ましいところ・・。JOEさんと相談し、一応両方の用意をして、現地の様子を見て選びましょうと言うことになった。

 途中峠も花折峠も路面に雪は無く、凍っていなくてチェーンも積んできた小てつは何か拍子抜け。平を通り過ぎ、適当なデポ地を探す。牛の鼻トンネル手前旧道のところに広場があるんだけれど、旧道に駐車をしておくと稲妻号の荷台の道具類も心配だし、トンネルを抜けたところの路側の広くなったところにデポする。

 二人共ここからカッパのズボンを履き、スパッツもつけて準備をする。ここまで雪が少なければ、シューやワカンが必要となるのは、坂下道の降りだけだろうと話合い、降りなら小回りの効くワカンを持っていこうとなった。ここではマイナス2℃ほど。

 8時を少しまわった頃、平に向かって歩き出す。路肩が凍っていて気をつけて歩いてきたが、意外と平までは早く、15分で着く。旧道の入口手前の路側に1台の駐車があり、御夫婦が登山準備中。我々はもう準備が出来ているので、そのまま旧道に入っていく。ただこの旧道入口で、この時期除雪の雪山を越えていかなくて良いのは、何年ぶりだろうとJOEさんが驚かれる。

朝の平を抜けて 植林地の看板

 旧道は凍っていて大変滑る。しばらく登ると路面は凍っていなくて、流水となって舗装のうえを流れていく。流水が凍るなんて、かなりの冷え込みだ。気温は低いが、雪が少ない状況。

 舗装路からアラキ峠への登山道の分岐で小休憩し、衣服調整をしていると単独男性が登ってこられた。ザックにはスノーシューがおんぶされている。やはり雪の少なさに残念な様子。男性はここからアイゼンをつけていかれるという。我々は雪の状態から、アラキ峠でつけようと、登山靴のまま登りはじめる。

 しっかりとしたトレースがあり、順調に高度をかせいでいく。残っている降りの靴跡にもアイゼンの跡は無い。植林地が明るくなっているとJOEさんがおっしゃっていたが、途中に伐採作業中であることを示す看板があって、やはり間伐採があったため、林が明るくなったんだと思う。

 国道や旧道を歩いている時にはさほど思わなかったが、登山道を登りだしてからはとにかく暑い。小てつ愛用モンベルのクリマウールのキャップなんて、とてもかぶっていられず・・。ミズノのブレスサーモもそうだけど、暖かくなりすぎるというのも考えもんで。まっ、低山歩きだから仕方がないんだけれど。

 アラキ峠に着いて、再度の衣服調節とアイゼン装着。ここで単独男性に追いつかれ、男性はそのまま縦走路に向かわれると言う。我々は折立山にもよっていくことにして、南側の斜面に取り付く。夏なら葉っぱで何も見えないだろう折立山だろうけど、この時期樹間からそれなりの眺望もあり、権現山の立派な山容も望める。

アラキ峠の状況 権現山ピーク

 すぐに折り返しアラキ峠に戻る。これからが急な登りとなるが、こんな時には他愛もない話をしながら登るのが、しんどくならない秘訣!話をしながら歩いても、息の切れない程度で登るのだ。ここでの話題は暮れの「有馬記念」。

 丁度10時に権現山ピークに立つ。我々はここで素晴らしくも幻想的な風景に出会う。何と眼下に広がるのは、琵琶湖全湖に及ぶ「雲海」だった。学生時代より、まるで自分の庭のように足しげく比良に通われているJOEさんですら、これほどの雲海に出会ったことは無いとおっしゃり、つくづく小てつは運のいいやつである。

 権現山ピークからは、時間と共に西風によって湖東に追いやられていく雲海を眺めながらの稜線歩きとなるが、稜線の雪も少なくて、ほぼ夏道を歩くこととなる。トレースの上なら、逆に歩きにくかろうに、スノーシューの踏み跡もあり、せっかく担いできたからと言うことだろう。

ホッケピーク手前 ホッケに着く頃には雲海が

 雪は深いところでやっと60cm、地面の見えているところもあり、ホッケ山のピーク近くの日当たりの良いところでは、登山道上でも地表の見えているところがある。ホッケ山ピークに着いた頃には、もう湖西の湖岸が見えるほど雲海は切れてきていた。ホッケ山から北山を見るが、黒いところが多い。ここでの気温は6℃もあり、どうりで暑いはずだ。

哲郎さん、皆子はこんなんです

 意外と人に会わないと話すが、まだ時間も早いせいだろう。小女郎峠手前のお地蔵さんに11時に着いた。まだ早いけど、今日はここをラーメン場所とする。 琵琶湖側に少し降りたところの雪を踏み固めて場所を作り、それぞれのストーブでラーメンを作りだす。ところが実は二人共、今日はラーメンでは無く、袋入りのどん兵衛。JOEさんは「関西風ダシうどん」、小てつは「カレーうどん」。

 ここで登場の必須アイテムは、「木の板」である。15cm四方ほどの板を雪面に押し付けて水平を出し、その上にストーブを置く。カートリッジが直接雪に触れないので、能力もアップできるし、雪まみれにならない。ソー麺の箱の上蓋なんか丁度いい、お試しあれ。

 どん兵衛カレーうどん、なかなかいけます。何といっても臭いでとなりのJOEさんを悩殺!麺を食べ終わった後に、白おにぎりを投入し、完食。またまたJOEさんに差し入れいただいた、ノンアルコールビールを飲みながら、ゆったりと休憩をとる。

 そんな中、単独の初老男性が通りかかられ、多分ゴンドラであがってこられスキー場脇を登ってこられたと思われたが、「途中でスキー客と接触しかけて、怖かった・・」とおっしゃる。JOEさんに聞くと、スキーやボードの客は、登山者に対してのマナーがかんばしくないそうだ。

 そんなおバカ達がわんさかいる蓬莱山に、わざわざ登っていくことも無いだろうと、食後はそれよりもっと気になる「坂下ルート」に直接向かうことにする。道具を片付け、小女郎池へと向かう。

小女郎池の凍り具合を確かめるJOEさん

 小女郎池手前で、朝の単独男性と再会する。彼はスノーシューをはいて、踏み跡の無いところを歩いてくる。「せっかく担いできたしなぁ」と言って、また「池凍ってるぞ」と言われる。池では、看板横でカップルが食事中。JOEさんは池の凍り具合を確かめに湖畔であろう場所まで進まれる。スノーシューの跡が池の中央あたりを向こう岸まで横断しているが、JOEさんも踏み込もうとされるので、アイゼンなら氷が割るかもしれませんよと止める。ここではまったら、取り返しのつかないことになる。

 小てつはもちろん初めてで、JOEさんも登りに一回使っただけと言われる坂下ルートへは、池の南端を回り込むように進むようで、ワカンの踏み跡がひとつ登ってきていた。踏み跡の表面が凍っていたので、多分前日のものだろう。我々も、ここでワカンを装着する。踏み跡の主はこのコースの熟練者らしく、迷うことなく進んできているから、この踏み跡をたどることにして歩き出す。テープもいやらしくない程度にあり、なかなか良いルートのようだ。本日一番の残雪の中、久しぶりにワカンが踏みしめる雪の音を楽しみながら快適に降りていく。

 坂下ルートは植林地の中を歩くと思っていたのだが、そうでもなく雑木の中や植林地と雑木の境目を歩くようなところもあり、またこの季節ならでは樹間から覗ける裏蓬莱の雄大な稜線を眺めながら快適に降りていく。登山道というよりも古道の赴きで、あまりに快適に降りられると言うことは、登りはしんどいと言うことだろう。

植林地は倒木だらけ 坂下の村並みが見えてきて

 快適に降ってきたが、600mを切るようになると、イノシシが冬眠中のカタツムリか何かをあさったのだろう、地面を掘り返した跡があると思っていると、広大な面積を掘り返していて、動物の生への執着に感心する。急な切り返しで植林地の中を歩くようになると、今度は倒木の連続で、くぐったりまたいだり大変である。

 植林地の倒木は下の林道まで続き、木製の橋を渡ると砂防ダム横を進むことになる。コンクリートの橋を渡り、人の気配がしない坂下の村に着く。国道に出てトンネルをひとつくぐってデポ地に戻る。ここももっとアスファルトを歩かねばと思っていたのだが、坂下から15分ほどで帰って来れた。丁度2時。

 もう都市対抗駅伝も宝ヶ池を折り返して、大原からでも帰れるだろうけど、161バイパスを利用して、山科経由で帰路に着く。昨年秋にも訪れた権現山〜ホッケ山を中心としたルート取りでしたが、また別の素晴らしい景色を見せてくれた比良でした。徐々にですが、小てつの「比良後ずさり症」も改善していくことでしょう。JOEさん感謝です。

デポ地到着


                           【 記: 小てつ 】