八丁 お鉢廻り(NO.35)

 
卒塔婆峠


平成25年4月14日(日)晴れ時々くもり  小てつ単独

コース:
佐々里峠稲妻号デポ〜品谷山〜トラゴシ峠〜八丁〜卒塔婆峠〜卒塔婆山〜東の尾根〜P892〜P850〜ダンノ峠〜佐々里峠





 インターネットで春の花情報を見ていると、福井の方じゃイワウチワどころかイワカガミまで咲き出しているという。それなら、八丁あたりのイワウチワも咲き出しているんじゃと、天気予報もいいことからここはひとつ、八丁を底に見立てた富士山ならぬ「お鉢まわり」に行ってきました。

 今日は自宅を7時に出発。いつものように上七軒の山本屋に寄り、豆腐と油揚げを仕入れて広河原へ向かう。花背峠の温度計は7℃、ずいぶん暖かくなり道路脇に残雪は無い。川沿いにはギブシやダンコウバイが目立ち、広河原の桜はまだまだツボミ。丁度、車庫のところに出ておられたおかみさんに豆腐を渡し、帰りに寄りますと、峠に上がる。準備をして8時丁度に出発できた。

 花背は7度だったが、佐々里峠は4℃、峠の佐々里側には残雪も見える。体が温まるまで上着を着たまま歩き出す。例の「東向き地蔵」の杉の木まで来て、やっと衣服調節、上着を脱ぐ。ちらほらイワウチワが現れて、咲き出している。

朝の佐々里峠 咲き出しているイワウチワ

 P866手前のダンノ峠分岐ピークの急坂が最初の群生地となり、今年は花芽が多く、うれしくなる。咲き出しているのもあるが、まだたくさんのツボミがあって、この様子ではピークは20日頃だろうか、連休初め頃までは楽しめそうだ。

白っぽいのや ダンノ峠分岐のは申し訳程度

 分岐ピークの杭標識が折れていた。ここにあるマメ桜はまだ申し訳程度にしか咲いていなかった。今日はここを南に品谷山へと向かう。下の方のタムシバは咲いているが、稜線のタムシバはまだツボミのものも有り、今週あたりから一気に春の芽吹きとなるのだろう。

 佐々里峠からだと、1時間足らずで品谷山まで到達できる。何も無いのですぐさま南東に向いて降りていく。すぐの鞍部から左手に伸びるのが通称「イワタ尾根」で、KGCのイワタさんがお得意だった尾根道、八丁まで超特急。ご丁寧に佐野さんによる標識で「ここは品谷峠ではありません」とある。ヤマレコを見ていると、ここらあたりで道を失い、迷ったあげく、どうにか菅原までたどり着いたものの、バスはとっくに終わっていて、ヒッチハイクをしようにも車は通らず、やむなく民家に助けを求め、なんと国際会議場前まで送ってもらったというのが載っていた。そんなこともあるから、登山者は、里の方々に重々気を配っていただきたいと思う。色々迷惑をおかけしているんです。

イワタ尾根分岐の標識 稜線のタムシバはまだツボミ

 他の山はいざ知らず、ここ八丁に限っては、道を失ったら八丁側に降りてしまうことだろう。八丁の川まで降りて村跡までたどり着けば、方向がわかって何とかなるだろう。下手にウロウロするより手っ取り早い。ただ、品谷山側はともかく、菅原側からだとガケが多いので気をつけないといけないけれど・・。

 「イワタ尾根」分岐から10分で本当の品谷峠に着く。ここらあたりにもイワウチワが多い。今日はそのまま尾根道をたどり、トラゴシ峠へと向かう。品谷峠から先は、一気に踏み跡も不鮮明になる。ただ稜線歩きなので心配は無い。気をつけなければいけないのは、ピークで90度転進しなければいけないポイント。地図で言えばP827の手前のピーク。ところがわかっているのに丁度ピークの西側にあったたくさんのイワウチワにつられて突き抜けてしまった。

 こんなんあったっけ???という朽ちた黒い防獣ネットがあって、防獣ネット沿いから西側の展望がある。どうやらトチヤナギ谷の源頭の西側の尾根にのってしまったようだ。このまま降りてしまうと、八丁林道に降りることになり、八丁に帰ってくるのに、またたいそうなことになる。とって返して分岐ポイントまで戻り、ことなきを得る。皆さ〜ん防獣ネットまで行ったら行き過ぎですからね〜。(ただ、このあたりにもテープが残っていますんでつられないよう)

品谷峠 ここまで来ると行き過ぎ

 トラゴシ峠まで来ると、やたら標識が増えている。佐野さんガンバっておられるようだ。トラゴシ峠からすぐの崩れていた斜面の道も、新たに掘って道をつけたようだ。釘打ちの標識ではなく、こういうのはありがたい活動だ。

転進ピークには標識も有り 増えた標識
増えた標識2 トラゴシ峠への道が整備されていた

 斜面の道から、尾根道を少し降り、植林の中の折り返しの道まで降りてくると、ここもイワウチワがたくさんあり、沢まで降りてくると、今度はミヤマカタバミが咲いていた。

 巡視小屋に10時45分着。小屋には誰もおられず、「すぐ戻ります」と佐野さんの札がかかっていた。この冬が越せたか神社のお神輿の様子を見に行く。神社の鳥居はもう崩れそうだったが、お神輿は健在だった。神社から分教所跡にむかって尾根を降りていくと、丁度佐野さんが四角錐の方から川を渡ってこられるところだった。声をかけ、この冬の様子などうかがいながら巡視小屋まで御一緒する。トラゴシ峠の斜面の道のお礼を言って、「まだ早いですから、卒塔婆峠でお昼にします。」と今日のコースを話し、早々に巡視小屋をあとにする。広場のまわりの杉が切り倒されていたが、どうやら佐野さんの仕業らしい。道の整備はありがたいが、植林を勝手に切っていいんかいな???

 卒塔婆峠までは、最初田んぼ跡の植林地の中を歩くが、ワイヤー巻き取りの古いエンジンを過ぎると自然林となり、なかなか好きなところである。でも、ここを歩くのは、数年前のボッカ以来。

 広域林道が現れると、いつ見ても妙な感じだが、卒塔婆峠は昔の赴きを残しているのだろうか?卒塔婆峠でお昼にする。今日は「マルタイラーメン佐賀」。

 昔はこのあたり「鳥葬」だったそうで、風が吹き抜ける峠に卒塔婆が数多く建てられている様子を想像するとゾッとするが、今は南側の遠望が効く眺望ポイントなので、暗い感じは無い。お昼を終え、まだ早いので今日は卒塔婆山にも訪ねてみることにする。

 卒塔婆山には一旦林道に出て、西へ少し行ったところから取り付くのはわかっていたが、峠から直接急な坂道を一旦登る。乗り越したところで林道に降り、横断して、木製階段から卒塔婆山のピークを目指す。林道から5分ほどでピークに到着。ここには三角点がある。卒塔婆山は別名「オクノタン」、タンとは「谷」のことで、このあたりでは谷のことをタンと言うそうだ。山の名前なのに谷の名がつくのも興味をそそるところだ。「品谷」「鴨瀬芦」「ハナノ」「大段」「掛橋」など、ここらにはたくさんある。

巡視小屋分岐ピークの標識 衣懸坂分岐ピークの標識

 林道に降り、卒塔婆峠のところから、今度は東の尾根道へ取り付く。少しテープが残るが、道は無い。とにかく尾根の中心を高いところを目指して登っていく。 このコース取りは三回目となり、最初単独、二回目は修学院のNさんと御一緒した。なんだか歩くたびにガサガサになってきているような印象。それでも20分ほど登ると、古い標識があって、八丁の巡視小屋から直登の東尾根道との合流点となる。八丁(悪路)とあるが、そうでも無かったと思う。

 また10分ほど歩くと、今度は衣懸坂への分岐点(P892)となる。ここらあたりからガサガサは一層ひどくなり、最近のお手軽山歩きでなまっていることもあり、バテてきたのか、次のポイントであるP892まで休み休みで1時間もかかってしまった。

 P892はピークをかすめて進み、ここらあたりからは逆にところどころ踏み跡とわかる場所が現れて、以外に早く10分ほどでP850に着く。降りだから早いのは、やっぱりバテてるんや。

花芽はありますが、少ないです ダンノ峠のマメ桜

 このあたりはずっとイワウチワがあって、なごましてくれるところだ。P850から15分でダンノ峠となるが、ダンノ峠にたくさんのイワウチワを見て、菅原から、ここで十分楽しめるなあと思ってしまう。ダンノ峠には2本のマメ桜があって、その内の一本は十分咲いていて、これまたここで十分。もう一本はまだツボミで、今度の週末に楽しめそうです。

 ダンノ峠からの急坂がまたしんどくて・・、でもここまで来ると今日の旅ももうすぐ終わり。ダンノ峠からは1時間ほどで佐々里峠まで戻れる。

 結局、朝8時に佐々里峠を出て、3時30分に戻ってきました。八丁のお鉢廻りコース、イワウチワをずっと楽しみながら7時間30分かかりましたが、八丁の村跡探索や卒塔婆山抜きなら、6時間強で廻れると思います。ただ、バスだと当然無理なコース取りとなりますが・・。

 そう言えば、今日は佐野さんとしか遭遇していない。まあ他の登山者と遭遇するようなコース取りではないけれど・・。哲郎さんに'小てつは山ガールにサービス旺盛'と書かれてしまったけど、いつも誰にも会わないようなところばっかり歩いているせいで、人と会うとサービスしてしまうのかも知れませんねぇ。

 帰りに庄兵衛さんによってコーヒーをいただき、お土産に採りたてのウドもいただく。帰り道、まだ早いかなと「うどん伝兵衛」の先の土手を見てみると、もうイカリソウも咲いていました。

 今年は順調に、花を楽しめる年になりそうです。

帰り道のイカリソウ


                           【 記: 小てつ 】