八丁(額縁の木 安否確認) (小てつ NO.42)


 
額縁の木は健在


平成25年10月6日(日) 晴れのち曇り  小てつ単独

コース:
◆佐々里峠(稲妻号デポ)〜品谷山〜トラゴシ峠〜トチヤナギ谷〜八丁川遡行〜八丁〜刑部滝〜四郎五郎峠〜風化木ピーク〜佐々里峠





 しばらくぶりの紀行文となりますが、台風の後、各所の名木や名所の被害が無いかの見回りに明け暮れており、紀行も書けない始末でした。大杉も大桜もどこのも尾根にあったので大きな被害は無かったので一安心としていると、「ちょっと待て、あれは川沿いに立ってるぞ」・・・!

 そんな訳で、八丁川名物の「額縁の木」の安否の確認に行ってまいりました。


 小てつの場合、八丁に行くのもいつも佐々里峠から取り付くこととなっている。佐々里峠の標高が720mで八丁が600mなので、山登りならぬ山降りとなってしまうのだが、このいきなり尾根歩きができるのも稲妻号のおかげ。

佐々里峠には一番乗り 野生りんごがたくさん落ちていた

 尾根辿りとは言え結構なアップダウンがあるので、朝一番は息も切れる。東向き地蔵の木を越え、最初の難所がP866手前のダンノ峠分岐ピークへの登り。春先ならイワウチワの花を言い訳にして登りの途中で足を止められるのだが、今はそれも無くひたすら登る。ピークに着き周りを眺めるが、晴れていても昨日の雨のせいか霞んでいて、愛宕三山はモヤの中。

 それでも秋晴れの尾根道を快調に進んで行く。やはりここの尾根道も、枯れた木の皮が散乱しているくらいで、大した被害は無かったようだ。次のピークにある風化木もちゃんと立っていて、一段と白くなった姿が青空に映える。いつも通りに1時間ほどで品谷山に着く。何もないのですぐさまピークを後にする。

風化木は青空に冴え

 地形図とは場所が違うと評判の品谷峠を直進し、今日もトラゴシ峠に向かって急坂を登る。ここも以前はイワウチワの群落だったが、いつの間にか中国ワラビがはびこってしまった。急坂を登り切り右へと転進すると眺望も開け、芦生の山々が良く見える快適な尾根歩きとなる。

 今日は花につられることもなく、P827の転進箇所でちゃんと向きを変え、トラゴシ峠に降りていく。品谷山ピークから丁度1時間で峠に到着。

 東に降りていけば八丁だけど、今日は額縁の木の安否確認なので、西のトチヤナギ谷に降りていく。10mも降りればすぐに前とは違った様子に気付く。前々から頼りなげな踏み跡しか無かったところだったが、谷底がえぐられていて、踏み跡は全く無くなっている。溜まっていた土砂が洗われて、下地の岩盤部分がむき出しになっているんだ。

トラゴシ峠西側1 トラゴシ峠西側2

 ところどころで流木が折り重なって引っかかっている。その昔「森の旅人Mさん」が村長に騙されて苦労して降りたといわれるトチヤナギ谷本流に合流する最後の滝のところは、前でも6mくらいあったものが、倍ほどのナメ滝になっていて、上流に向かってトラバースする迂回部分も、どこがそうなのか、全くわからない。ザレた斜面をキックして足場を確保したり、ストックを突き刺して足場にしたりして、どうにか傾斜のゆるい場所まで巻いていく。回り込んでいくと、以前のトラバース道が残っていて、本流の谷に降り立つ。ここはかなりの危険コースです。安易に立ち入らない方がいいと思います。

高くなったガケ トチヤナギ谷

 トチヤナギ谷本流も前とは全く変わってしまっていて、相当足場が悪くなっている。今日はこのような状況が予想されたため、いつもの縦走用の靴ではなく、岩もこなせるライトアルパインシューズと言うカテゴリーに入る靴できていたので、どうにかこなせたが、かなりのアルバイトを強いられる。

 かなり苦労して、八丁川の合流地点に着く。合流地点は思ったよりも荒れた様子では無かったが、川底の石が、以前より小さく感じる。やはり以前とは趣が違う。以前の'濃い'感じがしてこない。造成地の川みたいになっている。

八丁川合流点 合流点から下流側

 水量が少ないので、足首までの水深を探してルートを取り、ジャブジャブと遡行を開始する。荒れた様子は感じなかったが、やはり川岸にある木の根っこはむき出しにさらされている。川幅の広いところは土砂が溜まり、狭いところは土砂が流されている状態。所々で陸に上がっていたところも、川岸が腰より高くなったガケになっているので、そのまま川の中を進む。

合流点から上流側 川岸の根っこは洗われ

 本流合流点から八丁川を30分ほど遡れば、いよいよ額縁の木。木は健在だった。土砂に埋もれることもなく、木皮が削られることもなく、前と変わらぬ姿で立っていました。この木そんなに太い木ではないけど、樹齢はかなりあると思います。

 額縁の木が健在で一安心とするが、ここで11時30分。以前より30分遅れている。やはりトチヤナギ谷で、かなり時間をくってしまった。途中の川原でお昼にしても良いが、お腹も空いていないし八丁まで行くことにする。

 八丁に近づくにつれ被害はマシかなと思っていると、村跡までもう少しと言うところで、倒木によるダムができていた。

倒木のダム 巡視小屋倒壊

 炭小屋のところに来ると、巡視小屋が倒壊していた。よく見ると、自然に倒壊したわけでは無く、人為的に倒したようだった。人が入って思わぬ事故を防ぐためだろう。またひとつ八丁の名物がなくなった。

 巡視小屋もなくなった殺風景なところでのお昼もなんなので、四角錐の避難小屋まで行ってお昼にしようと、村跡を進むと、学校の運動場跡に建てられていた京大高分子小屋も、人為的に倒されて片付けられていた。

高分子小屋倒壊

 四角錐まで到着し、ラーメンを作り出す。先客がザックを置いてどこかに行っていたが、カメラを持って帰ってきた。話すと菅原からダンノ峠、品谷山、スモモ谷で八丁に入ったそうで、やはりスモモ谷は荒れていたそうだ。帰りのルート取りを相談され、巡視小屋前の尾根をあがれば安全にダンノ峠まで帰れそうですがと言うが、やはり八丁に来て川を歩かずに帰るのも、と言うことで、濡れてもいいので刑部滝ルートで帰りますとのことで、村跡をたたれた。

 ラーメンが出来、食しながら四角錐を見ると、何やらギョギョウしくクサリで扉を固めてある。倒壊寸前なので、ここも安全のため人が入らないようにしてあるのか?と思って中を覗くと、何か荷物が置いてある。四角錐の壁には、穴を開けて物干し竿が受けてある。対面のところにはベンチのようなものが作ってあって・・・。もしかしたら、また佐野さんが入居なさっているのかも知れない。八丁から撤退したのではなく、ヤサを替えられただけなのかも知れない??それにしても、相変わらず、占拠の好きな方だ。ここも一応、避難小屋の意味合いで作られたと聞いていたが、まあ今時避難してくる登山者もいないだろうとは思うが・・。

 ラーメンタイムも終わり村跡を後にする。八丁川は遡るにつれて被害が少なくなってきた。当初は四郎五郎峠に向かうつもりでいたが、刑部谷の分岐から見ると、全く問題がなさそうなので、そちらに向かうことにする。ところどころで踏み跡が寸断されていたり、渡渉のポイントがずれたりするものの、ここを歩いたことのある人なら問題なく歩けるだろう。初めての人は少々とまどうかも知れません。

刑部滝(3mの方) 刑部滝

 皮肉にも刑部滝にかかっていた倒木が流されて、もとの景観をとりもどしている。奈良谷に入り、去年からすでにズリズリになっていた斜面に取り付く。ここのシャクナゲは、花芽をたくさんつけているので、来年はシャクナゲの当たり年かも知れない。

 一旦、同志社の新心館まで降りてくる。わかりにくかった分岐に立派な標識がたっていた。今日はダンノ峠に向かわず、四郎五郎峠に向かう。ここから四郎五郎峠までは、何かあったん?と思うくらい、前と変わらない様子だ。四郎五郎峠から尾根に取り付き、風化木のピークを目指す。朝に遠回りをしたので、帰りは近道しようと考えた訳だ。

立派な標識

 もちろん踏み跡は無く、低木が生い茂り風も通らないので、この尾根は暑い。もとから暑いのに、また今日は午後から気温があがっているのか、ラーメンのせいか、非常に喉が渇く。非常用にいつも忍ばせている「いろはす」まで開けることになった。(あとで市内の気温30度と聞き、どうりでと納得する。)

 風化木まで戻ってくれば、あとは30分ほどで佐々里峠に着く。涼しい尾根の風にあたりクールダウンしながら、のんびりと歩く。今日は庄兵衛さんで、取り急ぎ美味しい井戸水をもらおう。

帰りには愛宕はくっきり
(左端に飯盛対面反射板)


 結局、大きく荒れていたのはトチヤナギ谷だけでしたが、かなり危険なルートになってしまいました。シャンクの入った硬い底の靴と補助ロープなど必要だと思います。八丁川も以前とは歩きにくくなっています。十分な足元で歩かれるように思います。

着実に復旧(下の町) 確実に復旧(大悲山口)

 大布施〜広河原間の路肩崩落箇所の復旧工事も、下の町まで進み、現時点で京都バスも下の町までの往復運転をしているそうです。