岩籠山(市橋ルート)(NO.38)

 
岩籠ピーク


平成25年7月15日(祝) JOEさん、小てつ  何とか曇り

コース:
市橋駐車場〜分岐〜夕暮山〜分岐〜岩籠山〜インデアン平原〜分岐〜駐車場





 この三連休、せっかくなので遠出しませんか?とJOEさん、okaokaさん達にお声かけをしていたのですが、連日の荒れ天気予報で、早々にokaokaさん達は不参加のご連絡。

 さて、JOEさんと二人行となり、オールウエザーOKの二人といえど、はなから雷雨の中に突っ込んで行くことはない。当初、この暑さの中、沢歩きなら少しでも涼しいだろうと候補にあげていた岩籠山であったが、昨日から確認していた雲の動きでは、何と岩籠山の辺りには、雨雲が通過していない様子。当日はどうなるかわからないが、とにかくいつもの場所で待ち合わせ、湖西バイパスを北上しながら、JOEさんのスマホの情報によって行き先を決めましょうということになった。

 当日朝の雨雲の動きも、兵庫県から西にかかり、比良のあたりよりも福井県の方がマシなような感じで、バイパスを走っていても、マキノの山よりその向こうの日本海のあたりのほうが明るい感じだったので、とにかく市橋まで行って、川の様子で駄口まで戻って尾根ルートに変更も有りということにしましょうと、予定通り行き先を「岩籠山」に決定する。

 国道8号線との合流点からすぐ、計量所を過ぎた信号が市橋で、左折して細い農道に入る。JRの高架を2回くぐり、ますます道は細くなるが、その奥に20台はおけるだろう立派な駐車場がある。トイレもあるが、夏場には勇気のいるボットン便所なので、女性には不向きかも・・。

 駐車場脇の川を確認すると、増水も無く水も濁っていない。これなら大丈夫でしょうと、手早く用意を済ませて出発。なんだかんだ言って、山科の集合場所から1時間30分で出発できるとは・・、今日は道もすいていたんだ。

 実は二人で岩籠山に来るのは2度目となる。去年の5月の連休に訪れているのだが、山行途中に小てつが体調不良となり、そそくさと下山となったため、山紀行も出さなかったというわけだ。今回は前回の消化不良の挽回登山となる。

 実はJOEさんもこの岩籠山には、苦々しい思い出があり、3年前にスズメ蜂の一撃を受け、その後山登りの時には、エビペン常携帯を余儀なくされるという曰くつきの山となっている。それでも度々訪れようと足が向くのは、何かしら魅力のある山だからでしょう。

 登山道の入口まで林道を進む。林道途中に登山届け用のポストがあるが、用紙も無いし、使われている様子が無い。林道が左にカーブするところで、沢伝いに進む山道分岐があり、昨年5月以降に建てられたのだろう真新しい標識があった。

駐車場にある案内看板 谷水ににごり無く

 山道に入ると、すぐに沢の渡渉がある。この市橋ルートでは、幾度となく足首程度が水につかる渡渉を繰り返すので、足元はしっかりしたものが必要となる。滑りやすい砂岩の丸っこい岩の上を歩くこともあるので、スニーカーではとても厳しいだろうし、ストックもあった方が良いと思います。駐車場にある漫画チックな看板に騙されてはいけなくて、結構ハードなコースです。

 迷う分岐も無いが、渡渉ポイントや岩を乗り越えなければならない場所では、進路に注意が必要となる。しかしながらこのコース、たくさんの野草が目を楽しませてくれるコースで、それも幾種もの花があり、また少しの標高の違いで、ガラリと変わる植生に驚くばかりだ。

 最初に興味をひくのはギボウシで、花はとうにおわっているものの、花跡がほとんど結実していて、今後の株も約束してくれているようでうれしい。その他にこれからの花であるイワタバコやダイモンジソウの葉が多く見られ、次から次へと花が楽しめる谷のようだ。

ギボウシは結実 トリアシショウマ

 そんな中、JOEさんが北山では見かけない「シュロソウ」を見つけられ、今日はJOEさんの野草サーチモードが全開である。

 谷の遡行を続けるが、花を探しながらなのでペースはゆっくり目。標高500mを少し越えたあたりで、歩行時間1時間となり飲水休憩をとる。気温は低いのだが、湿度がかなり高いので、低温ミスト状態になっているのか、小てつはすでに汗ぐっしょり。いつもはそう汗をかかないJOEさんも、今日は汗をかいているとおっしゃる。ただ、小てつの場合、今の季節は汗と発泡酒の中間に存在しているスポンジみたいなものなので、この汗の元は全て発泡酒ですよと解説する。

シュロソウ マルバノフユイチゴ

 再び遡行を進めると、谷の両岸にマルバノフユイチゴがおおいつくしている場所があり、まだ花をつけているものや、既に実になっているものや数え切れない株がある。それも標高で50mくらいのバンドだけあって、その先ではまた植生が変わる。不思議なところだ。

 その先で、やがて谷水は枯れ沢はなくなる。山道はここで右手の斜面のつづら折れへと向かうのだが、昔の道はそのまま谷をつめていたそうだ。かなりの落石があり危険になったため、新しく迂回路ができたそうだ。

 ここまではお花見登山でゆっくりペースであったが、見るものもないところでは、ペースがあがり、またもや汗が吹き出す。つづら折れを5、6度繰り返したむき出しの岩があるところが、JOEさんがスズメ蜂に襲われたところ。巣があったと言われる穴には既に蜂の気配は無く、この巣は放棄したのだろう。

 稜線が近づくと、ガスが降りてきて分岐のあたりのブナ林を幻想的なものにしている。途中でペースがあがったため、ほぼコースタイム通り2時間で分岐に到着する。ガスで夕暮山方面は何も見えないが、全回そちら方面は断念しているので、今回は行ってみる。

ホトトギス 夕暮山から岩籠方面(何も見えず)

 すぐに反射板があるが、ここらのは北陸電力管内なのかと知る。また、火力発電所の施設なのだ。反射板のすぐ先に大岩があり、ここが夕暮山ピークかと思ってしまうが、三角点は少し先のより低い、登山道の途中みたいなところにあった。晴れていれば絶景なのだろうが、敦賀方面も岩籠ピークも、何も見えない。

すぐさま折り返し、今度は岩籠ピークを目指す。岩籠ピークには、尾根で行かず、稜線より西側の少しさがったところを歩くことになる。途中で旧の道跡があるが、振り返った山肌に大きく崩落の跡があり、これでは危なくて歩いてられないなとなる。

サルトリイバラ 一輪咲いていたキスミレ

 いよいよ岩籠ピークというところで、また植生が変わり、オオバキスミレが現れる。うれしいことに一輪咲いていてくれて喜ぶ。ピークに着くがガスの中。仕方がないので、ラーメンタイムとして様子を見ましょうとなり、それぞれラーメンを作り出す。今日は先日の鶏冠山でうらやましかったので、夏場の定番「チキンラーメン」。毎度いただくJOEさんからの差し入れのノンアルコールビールが、今日はことさら美味しい。

ガスが晴れてきて 着いた頃にはガスが晴れる

 と、そんな休憩をとっていると、なんだか風向きは変わってきて、ガスが晴れていく気がしてきた。そのうち気ではなく、本当に薄日がさしてきて、ガスが切れていくではないか。ガスの中にインデアン平原の巨岩が見え隠れしてきて、行ってみましょうとなる。

 腰をあげインデアン平原に向かうと、丁度ガスが晴れ、南側は琵琶湖まで見渡せるようになり、少しおいて北側も敦賀の町が見渡せるまでに回復してきた。恐るべしラッキーコンビである。冬場にドピーカンも楽しいけれど、半分あきらめかけからこの回復の中でみる眺望も、なかなか感動ものである。

琵琶湖側 敦賀側

 南側を見ると、本日第2候補地であった湖北武奈ヶ岳や大見影山のあたりに雲の帯があり、そちらを選択しなくて良かったですねと喜び、十分に眺望を楽しんだ跡、復路をとる。

 最近の傾向で、復路で見つけられる花が多いことから、ピストンでも全く苦にならず、それよりも期待のほうが大きくふくらみ、往路よりもギラギラとサーチモード全開となる二人であった。

 案の定、往路で見つけられなかった株も見つけながら降っていく。こんな天気だから誰ひとりとして登山者には会わず、帰ってきた駐車場は、小てつの乗用車がポツンと一台あるだけ。二人で山貸切は去年の赤坂山以来となりました。

ポツンと一台 オカトラノオ

 荒天候の連休の中、JOEさんのスマホによるリアルタイムな情報を駆使して実現し、無事下山できました。文中にはありませんが、登山中、終始スマホにより、雨雲や雷雲の情報をとって行動してくださり、JOEさんありがとうございました。

追記、当日「保坂」あたりで釣りをしていたという、小てつ近所のHさんに   よれば、午後2時過ぎから雷雨があり、見る見る川は増水し濁流となったそうです。少しだけ離れたところでこの調子ですので、天候の急変にはくれぐれも注意してください。

ヤブカンゾウ(下界の花)


                           【 記: 小てつ 】