駒ヶ岳(高島トレイル)(NO.36)

 
駒ヶ岳ピーク


平成25年5月18日(土)晴れ  JOEさん、小てつ

コース:
木地山BSと足谷口BSの中間点ほどの空き地にデポ〜足谷口(池原山)登山口〜池原山〜高島トレイル稜線〜明神池〜駒ヶ岳〜与助谷山〜木地山(中小屋)〜デポ地





 5月に入ってから、JOEさん小てつコンビは、例によって今だ見つからない「とある花」探しに通っていたのだが、今年は春の寒さのせいか、まだまだ新芽も出ていない様子であることが判明し、それなら探索は一週お休みして、花サーチモードもリセットしようと、野草の期待はできないけれど、ブナの新緑が期待できる「駒ヶ岳」に行きましょうということになった。

 マキノあたりの山は既にテリトリーのJOEさんでも、やはり三重ヶ岳以西の山となると公共機関でのアプローチが難しいと言うことで、「駒ヶ岳」も未到達だと言われる。福井県側には「森林公園」があったほど、ここのブナは「三国峠」と並ぶほど素晴らしいところなのだが、新緑の様子はどうでしょう。

 行き先が違っても、だいたいいつもの場所でいつもの時間に待ち合わせ、今日は朽木へ向かう。高島トレイルのアプローチも慣れたもので、途中比良や白倉の「山笑う新緑」を楽しみながら本日の取り付きである「足谷口BS」を通過して駐車場所を探しながら進むと、丁度「木地山BS」との中間ほどのところで、路肩に広場を見つけ、稲妻号をデポする。手早く準備をして8時30分に出発出来た。

路肩の空き地にデポ

 車道を折り返し歩いていると、「獣魂碑」と掘られた石碑のところで、黒い犬が吠えながら近づいてきた。二人とも犬は苦手ではないが、人懐っこい感じの犬ではないので相手にはせず無視して歩いていても、しばらくついてくる。我家が見えなくなったころ、犬もあきらめて立ち止まる。鹿どころか、下手したらクマも出てくるだろう地域だから、少々やんちゃそうな犬を放し飼いしていても仕方のないところだろう。

 デポ地選択が良かったのか、アスファルト歩きが嫌になる前に、15分ほどで取り付きである足谷口BS近くの「池原山登山口」まで戻ってこれた。ここからは、いきなりの急登となる。スパッツをつけ、ストックを伸ばして準備し、登りにかかる。

 高島トレイルの稜線にのりさえすれば、心地よい尾根歩きで全長80kmとなっているが、ひとふでで80kmを歩くのはテントを担いでこなければならず、日帰り登山では細切れとなるから、アプローチを含めれば80kmの倍の距離ででは、完歩は無理なんじゃないかなと思う。でも高島トレイルは、アプローチの道に鯖街道の旧道があったり、歴史のある峠道があったりで、趣きがあるところが多い。

 しかし今回の池原山ルートは、途中で林道とランデブーになるので、そういった趣きは無い。それに古い峠道は適当にジグを切ってしんどくなく登っていけるが、ここはほぼ直登でとにかくしんどい。でも直登でしんどいのは逆に早く高度をかせいでいることになり、P605の池原山三角点には1時間かからず到達出来た。

みなさんがわかりにくいと言われている池原山三角点

 ここから危うく右手の太い尾根を降りかけるが、左手に見えた尾根を見て方位を確かめると、ずいぶん東に向かっていることがわかり、左手の尾根に乗り換え林道に合流する。はじめの尾根でもどのみち林道に合流したので、軌道修正はできただろうが、おかしいと思ったら確かめることが重要だと思う。頭の中の方位磁石を狂わされたら、直すまでにずいぶんかかる。

 ここまでの道は植林のヒノキの中、ギンリョウソウが早くも顔をのぞかせていた程度で野草の影も形も無い、予想通りの展開だったが、ここからもヤマジノホトトギスの葉っぱがあるくらいで、ただただ新緑の緑だけ楽しんで「明神池」に到達する。

明神池

 この池は高島トレイルの詳細マップにも、ただ「池」と記載されているためちゃんとした名前はないと思うのだが、東の谷が明神谷であり、「明神池」と読んでいる方が多い。中程に陸地があり、丁度「もののけ姫」のシシ神様の森の池を彷彿させるが、以前小てつが訪れた季節とはいくぶん違い、今回の新緑の季節では、おどろおどろしい独特の雰囲気はなく、拍子抜けである。湖畔にはウワミズ桜が咲きさわやかな感じ、毒々しいキノコが生えている夏過ぎとは全く違った印象。中洲にトンボのつがいを見つけ、きっと希少な種のトンボですよとJOEさんに言う。

 池のあたりから、森林公園時代につくられたと思う「木道跡」が残り、地面もカチカチで、これでは野草が再生するまで、そうとう時間がかかるでしょうねと残念なことではあるが、森林公園が作られるほど、ここのブナは素晴らしく残っている。ただ、見た目当時の元気さが残っているのかはわからない。当時はブナももっと元気で、下草や野草があふれていたのかも知れない。

 三重ヶ岳のブナとは樹形が違い、太く低いところから枝を張り、また根張りも地表からすぐに広く張っている。幹の表面の斑点も、ここのは陰影が深い。高島トレイル詳細マップの表紙のブナは、きっとこのあたりのブナの写真だろう。

 10時45分に「駒ヶ越」、11時に「駒ヶ岳ピーク」を踏む。今日は我々の予定通りで、池原山の急坂時にはくもりで、稜線にのるころには風が吹き、ピークでは快晴となった。天気予報の関係で、急に予定を替え、土曜日山行にしたのが幸いとなり、ラッキーコンビ恐るべしである。

本日のラーメン

 時間は早いが、ピークでラーメンタイムとし、いつものようにノンアルコールビールをいただき、のんびりくつろぐ。少しガスがかかっているが、東向けの眺望を楽しみ、行者山から三重ヶ岳までの同定をし、あらためて三重ヶ岳の山容のでかさに感歎する。

 ここで単独男性が登ってこられ、軽く食事をして福井県側(千石山方向)に向かわれた。結局、今日山中で出会ったのは、この方だけであった。我々も30分の休憩を終え、「与助谷山」方面に向かう。

 途中で見え隠れする「百里ヶ岳」を見て、JOEさんに「以外と早く行けますよ。」と言うが、JOEさんも百里ヶ岳は2回踏破済みでもあり、今日は二人とも未踏の「池河内越」のルート探索をとする。

 与助谷山のピーク直前で、前方左手から尾根を越していく茶色いかたまりを見る。JOEさんは鹿だと思ったと言われるが、大きな鳥だった。片方の羽と思われるかたまりで、1mくらいストックを伸ばしたほど、それこそ鹿ほどあったので、総翼長を2mほどある大きな鳥だった。そう言えば行きの車道脇に、三脚に大型の望遠レンズをつけたカメラで、山を狙っている数名の方がおられたが、皆さん鳥を狙っていたのだと思った。駒ヶ岳のピークで休憩中にも、ピーピー何が鳴いているのかと思ったが、鹿ではなく、鳥のひなが鳴いていたのだとわかった。

池河内越の取り付き

 池河内越は「与助谷山」のピークから木地山の中小屋に降りるルートであるが、このピークの「与助谷山」の「与助」と言う言葉は、小てつの嫁さんの実家あたりでは、関西でいう「アホ、ボケ」を表す言葉であり、「それで言うなら'アホ谷山'になりますね。」などと、それこそアホなことを言いながら、池河内越を降りていく。

 最初から太いブナの尾根、途中で植林地など混ざるが、また雑木になったりとなり、間伐採の木がそのまま放置された一画だけは別として、このルートは鮮明であり、高島トレイルの標識も3ヶ所あって、勾配も急なところはないので、今日のコース取りなら、逆廻りの方が楽に回れるのではないか?となる。

 駒ヶ越、駒ヶ岳南尾根からや駒ヶ岳西尾根ルートから降りてこられた方で、最近道をロストしたという方のレポを読んだりする。小てつが歩いた3年前とは状況が変わっているのかも知れない。なら、こちらの池河内越ルートを推奨します。詳細マップでは点線ですが、わかりやすい道です。

 与助谷山ピークより1時間かからず、木地山の中小屋に降りてくる。降りてきたところで、今日では珍しい野草を見つける。

下界の花(ツツジ) 下界の花(ミツバアケビ)

 木地山BSのトイレを借り、アスファルト道をまた15分ほど歩かねばならないが、今日はこの「下界」の方が花があり、楽しみながらデポ地まで戻る。まだ13時過ぎ。

下界の花(サワグルマ) 下界の花(ハンカチの木)

 帰り支度をして帰路につくが、あまりに早いので道草というか、車窓から野草を見つけては稲妻号を止め写真タイムとするのだが、ここで思わぬ大収穫となる。

下界の花(ツツジ) 下界の花(エビネ)

 ある色の花が気になって少し遠目だったが稲妻号を止め、しばらく歩いて行き写真を撮っていると、JOEさんが一言、「エビネですわ。」JOEさんもあまりに以外のことで、感動が声にのっていない。それは足元に数株咲いていた。

 時間に余裕がなければ稲妻号を止めることもなかっただろうし、何もかも偶然が重なった大収穫である。やはりラッキーコンビは続いている。この調子で「例の花」の発見とはならんかなぁ〜。


                           【 記: 小てつ 】