桟敷ヶ岳+城丹国境尾根(大谷峠まで)(NO.33)

 
城丹国境尾根スキップ街道


平成25年2月24日(日) 一日中雪  小てつ単独

コース
大森キャンプ場(駐車料金¥600.)〜薬師峠〜桟敷ヶ岳〜ナベクロ峠〜城丹国境尾根〜大谷峠〜大谷林道〜大森キャンプ場





 毎年一番寒い節分の頃に暖かく、今頃になって寒波の襲来により北山に雪が積もっているという。今週は土曜日山行のJOEさんの情報では、ナッチョにも新雪+40cmだったということで、週間予報では来週は雨が降ると言い、新雪ラストチャンスになるかもと、今年訪れていない「桟敷ヶ岳」に行ってまいりました。

 土曜日夜半から降り出すと思われる雪の状態では、「小野村割岳」も考慮に入れ、周山街道から見上げて、雪がなかったら・・なんて考えていたのが申し訳ないくらい、周山街道は高雄の手前から道路に雪がのっている。我慢をして6時30分には家を出られる体勢だったのを、7時まで陽が昇るのを待っていたのが幸いしたと思う。朝の少しの時間で、道路状況は一変するからだ。道路は凍結していないが安全速度で走る。それでも7時30分に「大森キャンプ場」に着き、駐車料金を支払おうとキャンプ場の事務所に行くが入口は鍵がかかっており、人の気配もない。仕方なくダッシュボードに「駐車代は帰りに払います」の書置きをして出発する。7時45分。

 キャンプ場から少し戻り、赤い欄干の橋を渡る。雪は新雪が15cmくらい。林道の雪にはタイヤ跡と見られるスジが残っていて、ブロックタイヤが結構太いので、昔あったスズキの「バンバン」みたいな極太タイヤのバイクが走ったのかと思った。林道には分岐がいくつかあるが、最初は右であとは左、左と進めば良い。

朝のキャンプ場 薬師峠

 新雪15cm位は一番踏みやすくアイゼンもいらない。夏道と変わらないくらい30分で薬師峠に着く。前日のものだろう岩屋からの踏み跡がかなり残っているけど、アイゼンを付けていた様子はない。でも雪はほとんど夕べからの新雪という感じで、木々の上に乗る新雪の造形を楽しみながら、静かな山を楽しむ。

 薬師峠からノーアイゼンでも、夏道と変わらずのペースで大森東町の展望場所に着く。ここから尾根なりに赤いテープが岩茸山へとあるが、本来の山道はトラバース道へ進み、2度折り返したところから尾根にのるのが正しい。古い標識もかかっている。

 踏み跡はみなトラバース道へと続いているが、雪が降り続き、展望もないだろうから、なら新雪を楽しむため岩茸山の尾根道に行ってみようと、尾根に上がる。こちらには踏み跡なし。

 踏み跡のない新雪を楽しむのは心地いい。雪の季節を避けておられる方もいらっしゃるが、実は山道は秋の落ち葉の季節より、雪の季節の方が分かりやすい。木に巻かれたテープの先導など全く要らず、トンネルのように人が通れるだけ間隔を開けた木々と、これまた歩幅の分だけ平になった山道は導いてくれる。

 今日は尾根道を選択して正解と思った。ここの雪は真綿のようで、きれいだと雪景色を楽しみながら尾根道を進む。ただし、おだやかだったのはこのあたりまで・・・。

岩茸の尾根雪は真綿のよう 送電線は雪煙の中に消える

 岩茸山の北側くらいから雪が極端に深くなり、トラバース道との合流点くらいで膝くらい、60cmほどの残雪となる。積雪量は去年の冬と変わらないが、なにぶんほとんど新雪なので、桟敷ピークまではツボ足でと思っていたが、都ながめの手前でスノーシューを付けることにする。急坂の少ない桟敷はシュー向きの山だと思う。

 都ながめからは当然何も見えず。しかしこのあたりからは、ジジジジと妙な音が聞こえ出す。送電線の音である。雨や雪の時には不気味に鳴って、電線の中には唸りをあげて何万ボルトもの電気が流れていることがわかる。鉄塔広場の西にも東にも、雪煙とガスの中に送電線が吸い込まれて消えている。

 桟敷ピークに丁度10時。ほぼ夏道と変わらないペースできている。ピークには林道からの直登ルートにも踏み跡があり、「ようやるわ」と思ってしまう。祖父谷峠方向にもいくつかの踏み跡があり、昨日も桟敷山行の方々が結構おられた模様。

桟敷ピーク P842の北側は雑木と植林の間に登山道

 ピークから少し降りたところで、喉は乾いていないが飲水休憩をとる。この時期には特に水分を取らないと、知らない間に汗をかいていて、水分欠如となり、脱水症状とまではいかなくても、血液ドロドロになって、心臓の負担も大きくなってしまう。ついでにオニギリも一個ほおばり、エネルギーも補給。

 やはり桟敷ピークの北側は城丹の丹の気候なのか、鞍部では吹き上がる風にのって横から下から雪が降り付ける。ほっぺたが痛くてバンダナを顔に巻きつける。それでもナベクロ峠に10時35分、129鉄塔に10時45分と、それなりのペースで進むことが出来た。

 今年も129鉄塔より国境尾根の方に踏み跡があり、小てつ以外に変態がいるのか?ひょっとしたらTOSHIさんが、土曜日に城丹国境尾根に出没したか?と思ってしまうが、これまたおかしなことに踏み跡は132鉄塔のすぐ先でなくなり、もときた方向に帰っていったものと思われた。誠に不思議。ここで満足の場所とも思えないし、時間的にここで折り返したのか、その先には全く踏み跡はなし。

 132鉄塔を過ぎて、大伐採地までの間が、城丹国境尾根の中で一番のややこしい場所となるけれど、先日、「ヤマレコ」をチェックしていてみつけたのだが、'一人の登山者がルートをロストしながらテープを付けた'らしいのだ。

 その登山者は6度目にしてやっと城丹国境尾根を踏破できたらしいのだけど、ヤマレコに書かれた文中に、「地形図では尾根に山道が・・・」と書かれていて、小てつにしてみれば、'ちょっと待って、城丹国境尾根の方には山道表示はないで、山道表示は祖父谷峠の方に向いてるんやけど!'とツッコミを入れたのだが、どうやらその登山者は市境界の線と山道表示の線とを見間違えているようなのだ。

 そんなレベルの登山者が、木にテープをベタベタとつけて回っているのである。信じて付き合ってたら、どこに連れて行かれるかわからない。つけた奴は責任もって外して回って欲しいものだ。

先に行けば関電鉄柱標識
(これを右に谷を進む)
谷を進むと左手に三本やぐら
(これを左に尾根に乗る)

 地形図で言うと、P842の北側のコブで、ここは登ってはダメで、南側の植林地の中にトラバース道があって、その道を進むと、関電の鉄塔案内表示があり、国境尾根と言いながら、ここは右手の谷をしばらく降り、100mほど行ったところで左手に炭焼き跡があって三又のヤグラがあるから、そこを左に折れ尾根にのり、正面に大岩のある急坂が見えたら右に折れると伐採地。という城丹国境尾根の核心部というところだ。

 ここで、去年にあったビス止のベニア標識を見る。しかし、今回は先日のokaoka club懇親会のおりに哲郎さんからいただいた秘密兵器があって、今度こそはと外しにかかる。'すいませんね、ここで迷った方がおられたら、小てつのせいですね'。しかしながら、言わせてもらえば、時計反対周りで城丹国境尾根を攻めた時に、迷い迷ってラーメンピークに出たときの感動たるや、ぜひ味わっていただきたいと思うもので、あっさり標識のとおりに進んだら、誠に美味しくないものなので、取り外させていただきました。(本当に小てつは悪いやつですね)

新兵器 ビス止の標識

 だいたいどこの山でも多いけど、植林地と雑木の間が登山道というのが正解で、今度は右手に植林地がみえてきて、その間をぬければラーメンピークとなるのだが、近づいてみると何やらピークはエライことになっている。北側から吹く風に雪がのり、完全に吹雪状態。ラーメンピークの北側は大伐採地で、「井戸」から遮るもののない谷風が吹き上がってきているのだ。

ラーメンピークに雪庇が ネットにエビが生育中

 ここは風裏の斜面南側に少し降り、完全武装体勢をとる。手袋を替え、バンダナをしめ直し、ゴーグル代わりにサングラスもして、いよいよ吹雪の中に突入する。気温が違うだけで、去年の武奈の西南稜とほぼ変わらないほどの強風と雪の中を、ラーメンピークから自転車ピークへの降りと登り返し挑む。(去年の武奈はマイナス10℃だったが、ここはマイナス4℃ほど)砂利のような雪が顔に当たりバンダナで隠していてもほほが痛い。


♪石で打たれたことがあるなら
 石の代わりに未来を投げてくれとは・・♪
っていうのは、豊田勇造の「大文字」やったなぁと思い出しながら、砂利のつぶての中を、ネットを目安に進む。

 ここで焦らなかったのは、進んでみて、ダメでも吹雪の収まるのを待てる時間の余裕があったこと(ここで12時)、ここは防獣ネット沿いを歩くので、数メートルの視界があれば迷うことがないということだった。ネットの反対側には雪庇ができ、なんとネットにもエビの尻尾が成長中だった。自転車ピークへの登り返しのところではストックの持ち手部分まで雪で埋まるありさまで、積雪は1mくらいだったろう。膝上の雪を2度3度踏みつけて足場をつくり、固めながら慎重に進む。まったく今シーズン最後になるかもしれない新雪を、城丹国境尾根の神様は、大サービスで小てつに惜しげもなく与えてくださるものだ。

自転車は結構出ている 竜が天に登ってるみたい

 Hさんなら「うれし〜ぃ」の連発だろうけど、小てつは「くっそ〜、こんちくしょ〜」を繰り返し、自転車ピークにたどり着く。ピークの自転車は去年よりも露出している。去年の雪はしまっていて、今年はふかふかの新雪だったちゅうことですね。ここからもまた植林地と雑木の境目を進むと、さっきまでの嵐が嘘のように、植林が風を遮りほとんど無風状態。難所を抜けるとホッとして、お腹がすいていることを感じ、ポイントP751あたりの太いヒノキの影でラーメンタイムとする。本日は「正麺みそ味」。

 この生麺風インスタント麺も「正麺」、「麺のちから」、「ラ王」と各社そろったが、小てつの個人的感想では、みそ味は「正麺」、しょうゆ味は「ラ王」、「麺のちから」はちゃんぽん味が美味しいと思う。でも、これらはまた「チキンラーメン」や「さっぽろ一番みそラーメン」などとは違うカテゴリーのラーメンと認識している。

 ラーメンを食べ終わり、いよいよここからしばらくの、太くてなだらかな尾根筋が、小てつお気に入りのスキップ尾根となり、急坂を降りると大谷峠。地形図には表示がないが、植林地の中に明確な山道があり、降りていく。時折、「風の谷のナウシカ」で、ナウシカがペジテのアステルと腐海の底に落ちた時のように、上から砂が落ちてくるみたいに風に吹かれた雪が舞う。ここまで降りてくると、上はなんだったんやと思うくらいおだやかだ。

 林道にも30cmほどの雪があり、シューをはいたまま歩き、雪原歩きのようにパタパタとシューを楽しむ。キャンプ場に1時45分着。ザックをおろして受付に向かうが誰もおられず、後片付けをしてから再度行っても、まだ不在。奥から声が聞こえるので、喫茶ルームまで入っていくと、スタッフと見られる方たちは食事中だった。訳を話して駐車代を支払うと、駐車していたことを全く知らなかったそうで・・、(ちぃくしょー、置き逃げできたやんか〜)

キャンプ場に到着

 深い新雪だったとはいえ、夏とほぼ変わらないペースで廻って来れました。しかしこれは、'雪を見るとアドレナリンが出る'という誰かの性格が移ってきたからかもしれません。今日も新雪を堪能し、満足の一日でした。


                           【 記: 小てつ 】