大御影山〜三重ヶ嶽(小てつ NO.64)

 
なだらかな大御影の稜線


平成26年9月7日(日) 晴れたり曇ったり  小てつ単独

コース:
河内川林道ゲート〜林道〜林道峠〜近江坂〜大御影山〜大日尾根分岐〜三重ヶ嶽〜本谷ルート〜林道〜ゲート





 暑さもひと段落して、豪雨もひと段落してほしいところ。今年は夏のロングもできないまま秋になってしまい、ここはひとつしっかり歩いておきたいところなのだが、木曜日くらいまで体調が今ひとつで、いつものように朝起きた状況によって行き先を決めると言う、相変わらずの「行き当たりバッタリ」の予定としていた。

 でもって当日朝、めざましが鳴っても起きない小てつに、「誰かと約束してるのと違うの?」と嫁に起こされたものの、起きてみると以外にすっきりとしていたので、想定していた中での一番ロングである「大御影周回ルート」にすることにして、7時前に出発。いつものコンビニでおにぎりを仕入れて、大原を目指す。

 行きはカーブの少ない湖西バイパスを利用して石田川ダムに向かい、あまり大雨の影響が無かったと見られるダム湖周道路を走り、河内川林道に進む。順調に林道ゲート前に到着して、準備をして8時45分にスタート出来た。

 デポ地であるゲート前で、いきなりヤマジノホトトギスの花のご挨拶を受けたものだから、今日の野草は期待薄だなと思ってしまう。過去この花に出会った時には、この花しかお目にかかれないことが多かった。

ヤマジノホトトギスがお出迎え オトギリソウを見つける

 それでも林道を歩き出すと、何かないかと野草サーチモード全開になる。林道歩きでも、苦にならないのは、ここ河内川林道とマキノ林道くらいで、小野郷の林道などと違い、珍しい野草を見つけられる可能性があるからだ。林道が切られてから時間が経っているのと、まわりが自然林のため回復も早いのだろう。

 林道を歩いていて、去年までなら「何万人殺せるでしょうね?」とJOEさんと話していたほどトリカブトが群生していたのだが、あるにはあっても驚くほどでは無く、ダンドボロギクと中国ワラビに押されているようだ。そんな中、オトギリソウを見つけ、よしよしとなる。

 武奈では標高の高いところにまでトリカブトがあるというが、河内谷川の林道では、本谷の登山口を過ぎた標高500mくらいで、トリカブトは希薄となる。 そのくらいからブナが現れ出し、ここのブナは三国山のブナのように丸裸にはなっていなくて良かったと思っていると、一本のブナの幹に数匹の「マイマイガ」の干からびたのがへばりついているのを見る。やはりここにも現れていたが、まだ大量発生とはなっていなくて、助かったみたいだった。来年はどうなるか・・・。

ヒヨドリバナ ツリフネソウ

 林道峠に到着し、近江坂から高島トレイルの縦走路に合流する。縦走路では、明らかにトレイルのテープが増えたように思った。春にも来ているので、この夏の間に、新しくつけてまわったと思われる。日本語と英語、ハングル語で書かれた新しい標識も建てられており、また手が加えられたようだ。それより分岐標識を充実してくれた方が、ありがたいのだが・・。

 「美山トレイル」のテープ付けは、明らかに異常であったが、この「高島トレイル」の増えたテープもいただけない。小てつが踏破の挑戦していた頃は、テープの希薄な時だったのだろうか?しかし、あとで聞くところによれば、「高島トレイル」も整備された当初には、おびただしいテープ付けがされていたという。それを良識ある山人が淘汰して、イヤミのない程度の濃度でのテープを残したという。小てつが初めて歩いた時は、掃除後だったということだ。

 ただ、「高島トレイル」のテープが付けられているにも関わらず、あいも変わらずビニールテープを木に巻きつけている者がいる。既に他の色のテープが巻きつけられた同じ木に巻かれているものもあり、これは明らかに迷うのを防ぐ目的で巻かれたものでは無く、'自分が歩いたことを示すマーキング行為'と思われる。登山者の道迷いを防ぐ目的で巻かれたテープは「奉仕」であり、マーキング行為で巻かれたテープは「征服」である。何で歩いただけで征服出来るねん。付けられている雰囲気でわかるから、そういうテープは胸くそ悪くなる。

 大御影ピーク手前で、前方から単独男性がやってきた。「お早いですね」と声をかける。男性は福井側の能登林道に車を乗り入れてやってきたと言われる。あちらの林道には、花は無いとのことだった。縦走路の大谷山、近江坂分岐まで行ってきますとのことだった。結局、出会ったのは、この男性だけだった。

大御影ピーク これだけの花付きのは
滅多にお目にかかれない

 大御影ピークに到着し、まだ早いのでおにぎりをひとつだけパクつく。すぐに反射板の方に向かい、もったいないがギザをきって近江坂を降っていく。降りきったあたりから大日尾根の分岐あたりまで、ブナの巨木が並ぶ神秘的なところになる。静かな森をのんびり歩く。

濃い色の株 ツルリンドウ

 しかしながら、ブナの木を見上げていてふと気がついた。どの木にも、今の季節にあるはずの実が無いのだ。葉っぱだけだ。地面を見てみると、吹きだまったところにまだ未熟なうちに落ちたと見られる実が集まって腐っている。どうやら台風の風で落とされたようだった。そういえば、ヤマボウシの実も大きな木と木の間にはさまれたのには残っていたが、そうでない木には残っていなかった。これはこの秋、動物達はたいへんなことになってしまったようだ。冬越しのためのエサがないじゃないか。

熟す前に落ちてしまった 三重方面には稜線にも群生する

 大日尾根の分岐を過ぎ、ひと登りしたところで本格的にラーメンタイムとする。陣取ったところには、なぜか大小のアリが多く、ゆっくりできずに早々に退散する。

 まわりは低木となりハナヒリノキのヤブになっているところもある。登山道を隠してしまう勢いのところもあり、こんなヤブにはテープも必要だろう。こちら側では稜線にまでトリカブトが群生するところがある。まったく山というところは不思議なところで、尾根一本の違いで植生がガラリと変わってしまう。

高島トレイルの新標識 三重ピーク

 稜線まであがると視界が開けるが、今日は残念ながら海側の展望は無い。草の鞍部を登り返すと三重ピークはすぐそこ。ピークに着き、飲水だけしてすぐに東側の登山道に降りていく。今日は本谷の尾根道で降りようと決めていた。シャクナゲの時期なら、迷いなくノトマタ尾根で降りるのだが、あまり登山者の無いノトマタ尾根は荒れていて、また台風による落ち枝や倒木が予想されるのと、本谷で降りれば、デポ地までの林道歩きが少々伸びるので、朝見つけられなかった林道沿いの花を見つけられるかも知れないという期待からだ。

 高島トレイルのバスツアーで使われている本谷尾根コースは、急坂一辺倒で、小てつなら間違いなく登りには使わないところだ。バスツアーの人たちは、今津からバスでやってきて、いきなりこの急登を登らされているのに、文句出てないんやろか?と心配になる。

 急坂一辺倒は降りるには早く、三重ピークから40分で林道まで降りてこれた。降りたところの沢で顔を洗い、涼をとる。さてここから1時間弱、また長い林道歩きとなるが、やはり思っていたように朝は影になり見つけられなかった花を見つける。ヤマジノホトトギスのツボミは、手塚おさむのマンガに出てくる吹き出しの「おこりんぼマーク」に似てるなと思ってしまう。

ツボミはタコかおこりんぼマーク 名残のイワタバコ

 デポ地には3時に到着。駐車は稲妻号だけで、今日の三重ヶ嶽は、小てつの貸切だったようだ。

 土曜日までは暑かったですが、日曜日には空気が入れ替わったように涼しく、快適な稜線歩きができました。


                           【 記: 小てつ 】