若狭駒ヶ岳

北側の展望が見事な若狭駒ヶ岳頂上


平成26年9月7日(日) 快晴              長岡山人

コース:
熊川バス停845−白石神社跡登山口1000−森林公園跡1055−公園上端登山口1200−駒ヶ岳1250−与助谷山1405−池ノ河内越下山1430−木地山峠林道分岐1510−木地山集落1555





 小浜の池河内集落と朽木の木地山集落を結んだ峠、池ノ河内(いけのこうち)越の探索に出かけた。木地山のバスの便が悪いので、若狭熊川から入ることにした。京都駅6:51発に乗り、近江今津でJRバスに乗り換え、熊川から歩き始めた。河内谷は現在ダムが建設中で、川沿いの旧道は歩けず、高い場所に付替えられた立派な道を進む。高い場所に集落は移転しており、河内温泉も鉄筋5階建てに建て替わっている。

 付替え道は、河内谷と明神谷の出合で旧道に接続し、明神谷に進む。ここは新設林道ではなく、川沿いの旧道を進む。まもなく白石神社跡に着く。ここが登山口である。

神社跡への橋が登山口 階段だがなだらかで救われる

 川を渡ると、対岸にも付替え林道が工事中であり、登山路がつぶれている。小さな流れに沿って登山路はあるので、探して登っていくと、山腹を切り返し、尾根に付けられた階段路を登っていく。自然林がきれいである。

 ワンピッチ登ると、森林公園の跡地に出る。30年前に作られたが、ダム建設のため運用が休止されている。廃墟となった建物群が空しいが、芝生張りの園地はきれいだ。

公園施設が点在する尾根筋 公園跡から見上げる若狭駒ヶ岳

 公園施設や植栽の間をぬって進むと、公園上端に駒ヶ岳登山口がある。ここから再び、自然林の中の登山道になる。ブナの茂る下を登っていくのはすがすがしい。

 尾根筋に登り着き、県境尾根をわずかに進むと、駒ヶ岳山頂であった。東には琵琶湖が、北には湖北武奈ヶ岳から三重ヶ岳、三十三間山までの山々がきれいに見える。

公園上端からの登り口 ブナ林が見事な尾根筋

 本来の目的は池ノ河内越なので、先を急ぐ。県境尾根は歩く人が増えたようで、地肌が荒れているところもあり、オーバーユースが心配になる。ところによって、小浜湾、武奈ヶ岳、三国岳が望め、百里ヶ岳は間近に大きく見える。

 与助谷山ピーク(753m)には木地山中小屋集落への下山路も表示されており、けっこうポピュラーなコースに昇格しているようだ。この木地山側の尾根が池ノ河内越である。

百里ヶ岳はやはり大きい 与助谷山ピークの案内板

 ピークを西側に降りたところが池ノ河内越である。金久氏は、" 峠の若狭側の手前100mほどのところだけにハッとするような完全な道跡がある。"(『北山の峠(下)』)と書かれている。若狭側に降りて周辺を探してみたのだが、見あたらない。緩やかな地形なので、歩かれなくても道形は残るはずなのだが。簡単に見つかると思っていただけにたいへん残念だった。

池ノ河内越は太い尾根状 倒れた案内板を立て掛ける

 尾根に戻って、木地山への道を探す。ここしかないという場所を選んで覗くのだが、全く道はない。金久氏も、木地山側は崩壊していると書かれているのだが。しかしさらによく見ると、斜面をトラバースしたようなかすかな痕跡がある。やはり探索を試みる同好の士はいるようだ。意を強くして歩み出す。崩壊斜面に、靴底の山側を強く踏み込んで、進んでいく。斜面の上下を見ても、道跡はない。

 ようやくの思いで、次の尾根までたどり着いた。上を見ると与助谷山のピークが見え、ここが下山する尾根と思いこみ、下り出す。

実感はもっと急傾斜のトラバース 立派な下り尾根に見えたのだが

 生え込みはほとんどなく、歩きやすいが、踏み跡はなかった。しかも傾斜が急で、地図の地形イメージとしっくりこない。しかし、ここしかないと下り続けた。すると歩けないほど強烈なブッシュの急斜面になった。どう考えても違う、どっかで下り尾根の選択を間違えたとようやく悟った。右側に渓流が見えたので、急斜面をやっとの思いで滑り降りた。ここから渓流下りをするのか、滝があったらやばいなあと思ったが、渓流の右岸、やや上方に作業道が見えた。救われた。

 かなりの間、谷沿いの作業道を下っていった。地図を見ても場所はわからなかった。ようやく、木地山峠への林道に合流し、場所がわかった。

 木地山集落に降りてから、池ノ河内越の道を逆に探索してみた。集落のはずれから北に延びる舗装道があり、少し入ると、左に取り付きがあった。少し登ってみた。明らかに古道の感触である。このまま登って確かめたいと思ったが、もう遅い。どこで間違えたのか。

北の谷に入っていく 池ノ河内越の取り付き

 バス停に着いてから落ち着いて考えた。途中から間違ったのではない。地図をよくよく見ると、与助谷山から西南方向に伸びる小尾根がある。山頂直下では地図で形が見えないが、現場では立派な尾根である。ここをニゲン谷(桜岩谷?)深部に降りてしまったのだ。この尾根を乗り越して、さらにトラバースを続けて、南南東に伸びる尾根を降りなければならなかったのだ。

 たっぷりと自然林の中を歩け、きれいに展望できたことでよしとしよう。

                             【長岡山人 記】