掃雲峰(天狗岩)・深山

 
興山直下鞍部のすばらしい林


平成26年4月19日(土) 晴              長岡山人

コース:
通天湖下車1024−P6001045−P6901115−掃雲峰1155−天狗岩1205(20)−興山直下鞍部1255−興山1310−林道1325−尾根登山道合流1400−深山1410(15)−府道に下山1515−るり渓温泉1530−バス乗車1630−JR園部1655





 京都新聞社の『京都ふるさと登山50選』(1993年刊、京都山友会編)にはたくさん教えてもらった。手に入れた時は、名も知らないヤブ山ばかりと思っていたのだが。同書によってトンボユリを知り、美女山を歩き、天狗峠に長駆日帰り往復した。

 その表紙の写真がすばらしかった。るり渓の奥、深山の東にある掃雲峰(天狗岩)という山であるが、やっと行けた。植林地の多い京都で、珍しく自然林歩きを堪能できた。

『京都ふるさと登山50選』
同書目次

 JR園部駅西口を9時36分に出る京阪京都交通亀岡行き(八田線)に乗り、八田で下車、20m離れた南八田バス停から南丹市営の「ぐるりんバス」に乗り換える。このバスは土日はるり渓温泉まで行くので、ひとつ手前の通天湖で下車した。

通天湖 バス停横トイレ

 前掲書では、バス停から少し下ったところにあるカーブ地点の広い谷を詰めるように案内されているが、ネット情報を得て他の登り口を取った。

 バス停横にトイレがあり、その左にネット壁のスキマがあり、踏み跡もあってそこから登れそうに思えた。しかし他に登り口がないかと舗装路を進むと、鍵のついたネット扉があり、その下部スキマが大きかったのでそこから潜り込んだ。そこは山の巡視管理道の入口で、整備された階段がついていた。登っていくとグラウンドの裏山にすぐ登り着いた。立派な道を尾根づたいに上っていく。途中でトイレ横からと思われる道と合流し、600mの小ピークに着いた。るり渓温泉のちょうど真上だ。

この扉をくぐった 尾根に沿って立派な道がある

 小ピークからはわずかの下りであるが、右の谷に降りていかないように、左に進路を確かめながら鞍部に降り立ち、次の登りにかかる。能勢電鉄の標識柱が終始導いてくれる。

 歩きやすい、はっきりとした尾根道を進む。次第に道ははっきりしなくなるが、息せき切って最後の急斜面を登ると690mのピークである。

能勢電鉄の標識柱 690mピーク

 そこから方向を右に90度転じて下りにかかる。小尾根を進むが、進みすぎるとため池方向に降りてしまうので、地図を見ながら注意してさらに右に転じる。転換点にはテープ表示がある。

 その先の鞍部が前掲書が案内するコースとの合流点である。うららかな春の日を受けながらコンビニ握り飯を食べる。今日は体調が優れず、荷を軽くするためにラーメン用具を持ってこなかった。家では食べられない即席ラーメンが食べられる貴重な機会なのに、残念。

方向転換点のテープ 静かな鞍部

 その後、踏み跡は薄くなり、傾斜がきつくなるが、とにかく登っていくと大岩があり、その上の稜線に出る。上に詰めるとすぐに掃雲峰の頂上である。723mで、天狗山とも表現されている。

稜線を透かし見ながら急登 掃雲峰

 頂上から東に尾根を10分進む。この間はテープが多い。そこが天狗岩である。大岩塊で、垂直な木のハシゴを伝うと上に出られる。へっぴり腰で登り、こわごわ立つ。息を呑む大展望である。

天狗岩 天狗岩への登りハシゴ

 亀岡東方から園部方面にかけて半周の展望が得られ、愛宕から地蔵の山並みも見える。先日登った金山(グミノ木)から半国山も指呼の間に見える。

目前に金山(グミノ木) 杉ヶ沢から半国山への展望

 展望に堪能したら元の掃雲峰に戻り、西北に稜線を進む。道ははっきりしており、落葉した林が美しい。北に下っていかないように方向転換点を確かめながら進む。650mの小ピークを越えると、興山(706mピーク)直下の鞍部に降り立つ。ここが前掲書の表紙になっていた場所である。決して派手ではないが、炭焼用に手の入った里山の極相とも言いうる疎林である。子供の頃、こういう景色の中で父と炭焼をした。

尾根道のプロムナード 興山直下鞍部の疎林

 その先をまた急登すると、706mピークである。興山と呼ばれるらしい。 そこで方向を転じて、南に伸びる尾根を下った。途中で踏み跡がなくなるが、地形上の尾根筋を求めて下っていくと、ゴルフ場北端にある管理道の入口に降り着いた。

706mピーク=興山 ゴルフ場に降り着く

 まだ13時半である。これなら深山も回れるか、と欲張った。いったんゴルフ場入口まで下って正規の登山道を登り直すのは時間がかかる。ここから登れる方法がないかと探してみた。地理院地図に表示されている道路は理想的な位置取りなのだが、ゴルフ場の管理路で入れない。

 舗装された天引林道を西に越えたところに、荒れた林道の進入口がある。地図とおりについているので登っていく。すると地図どおりに行き止まりになる。左側の急斜面に紫色のテープが点々とついている。かすかな踏み跡を、靴底のエッジを効かせてゆっくりと登っていく。この間は要注意。するとススキの原に出て、はっきりとした踏み跡があり、上に進んでいく。地理院地図には点線表示がある。

林道を登っていく ススキの原に薄い踏み跡

 間もなく、正規の登山道の760m地点に出合い、山頂を目指し、間もなく着く。深山からの大展望は見事である。四方に写真で作られた山座同定板がある。桟敷ヶ岳や皆子山、長老ヶ岳や頭巾山まで書かれているが霞んで判別できなかった。790mとそう高くはないのであるが、丹波と摂津が俯瞰できる良い山である。

深山山頂直下 山頂の深山宮

 風が寒かったので急いで下山した。今日1日、歩いたコースを遠望しながら。温泉のレストランで一人反省会をしたのを奇貨として、温泉の送迎バスに乗せてもらい、園部駅まで25分で降り着けた。

深山下山路から見た掃雲峰 深山登山口

 (注) この山はマッタケ山のようで、取り付け部の道もそのために整備されたようだ。シーズン中は入山しないこと。

                             【長岡山人 記】





行程前半
行程後半