長年の宿題 雪の権現山から蓬莱山へ
okaokaさんに連れて行ってもらいました

 
琵琶湖が眼下に
権現山から蓬莱山への比良縦走路


2015年3月7日(土) 曇りのち小雨、強風、  okaoka 哲さん、道子さん、ikomochi

コース:
JR京都駅7:58発⇒ 堅田8:22着=堅田8:50発バス⇒平9:20着=ドン谷入口9:50→アラキ峠10:50→権現山11:40=11:50→小女郎峠13:00→蓬莱山13:40→打見山14:15=ロープウェイ⇒ビワコバレイバス停15:15発バス⇒志賀駅⇒JR京都駅








 毎冬okaokaご夫妻が雪の権現から縦走路を歩く姿を写真で見ては、わたしも行きたいものだと指をくわえていた。もう10年は経つだろうか、大雪の後に権現に行こうといそいそ準備をしていたら、「こんな時に行くなんてもってのほか」と家人にえらく反対されて泣く泣く諦めてから一度も歩いたことがない。(思い返せば、山行を反対されたのはあの時きり。大雪で手におえず、さんざんな目にあったと思う)。

 無雪期のアラキ峠コースすら、8年前の記録にもないから、すっかり道を忘れている。『夏道を十分歩きこんでからしか積雪期に歩くべからず』が、師匠S先輩の教えだから、今冬も駄目だったかと諦めていたら、okaokaさんから「同行していいですよ」との嬉しいお誘い。



 堅田のバス停に早めに着いて並んだが、「いつもは長い行列ができるんだけどなあ」と哲さんが言うのに、今日は3グループ9名だけの寂しさ。

 自由乗降の江若バスで、平の花折峠旧道入口で3名のグループと一緒に下ろしてもらった。衣服の調節やら準備をし、旧道の舗装道をくねくね登り、ドン谷入口からアラキ峠に向かう。

旧道入口をドン谷に向かう ドン谷登山道へ

 積雪は少なく、木の根や石がむき出しのごろごろ道を、登る。谷芯から斜面に変わるあたりで、アイゼンを着けようということになった。時折、雪を踏み抜いて倒木の穴に落ちるけれど、まあまあ歩きやすく、okaokaさんの後姿を追っかけて緩い傾斜をジグザグ登っていく。

 もう少しやで と励まされながら、ドン谷の最上部を大きく回り込んでへほへほたどり着いたアラキ峠。あーしんどかった。峠ってこんなところだったけ?まったく覚えていなかった。先行の3人組はもう権現に向かっているようで、頭上から声が聞こえてくる。

ドン谷の雪は少ない アラキ峠を目指す

 さて、ここからが一苦労だった。峠北側の植林地の斜面を登る。登る。Okaokaさんたちはサクサク足取りも軽く登っていくが、私は10歩歩いてはやれやれ、20歩歩いてはやれやれ という具合。

 やっと斜面の上部が見えてきたな と思えば、これもうひとつ登ったら頂上や と哲さん。げげげーー。先に行くokaokaの二人の足音がさくさく良いものだから足跡をみると、12本爪アイゼンが雪にしっかり食い込み靴の前後を支えている。比べて6本爪のわたしは、一歩一歩が重い。(技術や体力の差はありますが)。

 厳冬期の伊吹山で登山訓練講習会に参加すべく用意した12本爪アイゼンは、突き出た前の刃がシャッシャッとスパッツを切り裂きなんとも怖い。それに大層な登攀用アイゼンを付けるのも恥ずかしくて、結局押入に仕舞い込んだまま。北山では6本爪で大方が事足りる。が、okaokaさんの新品の12本爪は、前爪が丸くカーブして下を向き安全そうだし、急斜面を歩くときに足元をしっかり支えているのがいい感じだ。

権現山へのきつい登り 頑張って登った先は雪原

 11時40分やっと斜面を抜け出し、権現山頂に着いた。眼下に琵琶湖が広がり、比叡山から京都の山並みが遠く広がる。山頂の標識が頭を出しているが、あたりは一面の雪原だ。

 ここでスノーシューを着ける。お昼にしようという私に、「昼食はなし。今日の天気予報は午後雨だから、先を急ごう」と哲さん。確かに風も雨風っぽくて怪しい。えーっつ!スパルタ登山やなあ。パンをかじりながら先を急ぐ。

 稜線の道は、東側に大きく雪庇が張り出しているが、雪解けが始まっていて雪庇の先端は斜面に崩れ落ちている。山側の樹林帯を抜けていく。

権現山でスノーシューを履く 雪庇を避けて歩く

 ホッケ山への緩い登り、スノーシューのヒールをあげると登りは楽だが、だんだん太腿が張ってきて、時々立ち止まる。Okaokaさんはテンポの落ちた私を心配して、ホッケ山の山頂で待っていてくれた。

 ホッケ山から琵琶湖を見下ろしながら、憧れの稜線を歩く。小雨模様で、風が強い。達者な先行者3人の姿はもうどこにもない。今日の天気予報のせいか、結局稜線ではだれにも会わず、静かな山歩きだ。

ホッケ山への登り 来てみたかった雪の縦走路

 13:00谷から吹き上げる強風の小女郎峠に到着。峠は雪が溶け、泥まみれになる。あたりは霧に覆われ、視界が悪くなった。ホワイトアウトになると怖い、先を急ごうと休憩もそこそこに蓬莱山を目指す。

 広い雪原が広がる。ここでS先輩が視界を閉ざされ、方角を失った話を聞いたことがある。哲さんが「怖くないか」と随分心配してくれたが、okaokaさんとご一緒だし、幸いまだ10mくらい先まではぼんやり見え踏み跡もはっきりしているので、そんなに恐怖心はない。これが雪が降りトレースが消え、一人だったら、かなり怖いと思う。

ホワイトアウトです

 雪の中に頭を出したお地蔵さんを見つけ、蓬莱山への標識にもであった。ここまで来ればもう大丈夫。深く掘られた道をただ前を見ながら登っていくと、「あれ もう頂上や!」とokaokaさん。最後はあっけなく蓬莱山頂に到着。

お地蔵さん発見 ここまで来ればあと少し

 こんな悪天候なのに、スキー場ではボーダーやスキーヤーが次々にシュプールを描きながら滑っていく。ボーダーにぶつからないように、ネット沿いに山頂を下り、打見山のリフト横を歩く。あーお腹ぺこぺこや。山頂レストランで温かいうどん食べよ。楽しみや。なんて考えながら、とぼとぼ歩き、最後の階段をよろけながら上り山頂広場に14:15到着。ばんざーい やりました!Okaokaのお二人も「よく歩いたね」と我がことのように喜んでくださった。

 レストハウスの雪落とし場でスノーシューや靴の雪を落とし、トイレで濡れた衣服を着替えている間にも天候はぐんぐん悪化。うどんは取りやめにして、さっさと下山することになった。121名乗りという巨大なロープウェイが、満員電車状態でぎっりしと人が立ち、ちょっと異様な光景。みんなも早く帰ろうというのだろう。

スキーヤーを眺めながら ゴール到着。バンザイ

 3時15分の志賀駅行きバスまでは時間があったので、バス待合所でお茶を飲んだりおにぎりを食べてやっと一息ついた。Okaokaさんは昼食を食べずに急ぐこともままあるそうで、すごいなあ。しかし、あそこでのんびりしていたら、気象条件は悪くなっていたことでしょう。スパルタ哲さんの判断に、納得したことです。足もなんとか痛くならずに歩きとおせて、やった感で大満足の一日でした。

 10年来の憧れの雪山を歩くことができて、okaokaのお二人に感謝で一杯です。いろいろ気遣いながらの同行はたいへんですのに、連れて行ってくださってありがとうございました。下山後のビールが、おいしゅうございました。

                             【 記: Ikomochi 】



権現山から比叡山を望む