奥ノ深谷

比良の残雪を追って
奥ノ深谷の様子を見にいきました

 
右岸は雪に覆われている/奥ノ深谷


2015.4.11(土)曇のち晴れ 10℃〜5℃  ikomochi

コース:
JR京都駅7:26発⇒比良駅8:15着=バス8:20発⇒イン谷口バス停8:30着→大山口分岐9:10→青ガレ登り口10:00→ガレ中間地10:20→金糞峠10:45=11:00→奥ノ深谷分岐→中峠分岐11:10→毘沙門岩12:00→南比良峠分岐12:10→水晶小屋12:30→12:40昼食=13:10→南比良峠13:25→堂満岳分岐→金糞峠14:20=14:35→青ガレ取り付15:30→大山口分岐15:55→イン谷バス停16:10=16:40発バス⇒比良駅








 残雪のサカ谷道が面白かったので、もうひとつの懸案事項 奥ノ深谷の残雪を見たい。噂では、大橋は胸までの雪だったとか。いったいどんな様子なのだろうか。青ガレも10年ぶりくらいに歩くが、チャレンジしてみよう。

 しかし、前夜も遅くまで眠れなかったし、早朝目覚めることができるだろうか。明日は明日の風が吹く。成り行きに任せようと、土曜日の早朝重い身体を起こした。まだ寝ていた老犬を叩き起こし一緒に散歩していると次第に身体も目覚め、この調子なら山にも行けそうだ。

 比良駅からバスに乗ったのは、一人の女性と2人だけ。彼女は武奈に行くという。イン谷口の桜は満開で、こんなに暖かくて雪は残っているのかしらん。正面谷の舗装道をゆっくり歩く。奥の駐車場には数台の車。トイレで着替えたりのろのろしていたら、後ろから大学生のグループ、2人連れの男性と追い抜いていった。みなさん 大山口へと向かったようだ。

イン谷口は満開の桜 青ガレを登る

 体調はやっぱりいまひとつで、ごろごろ石の道を登っていくと、汗が出る。先週咲いていなかったコブシがもう満開。濃いピンクの桜も満開で、小鳥の群れが花蜜を食べにきている。木立の間をせわしなく飛び回り移動する小鳥たち。鶯色なので目白かと思ったが、様子が少し違う。帰宅して調べたが、一応メボソムシクイにしておこう。

 小鳥や花の写真を撮っていると、後ろから同年代の女性がやってきた。堂満岳にイワウチワを観に行くという。奥ノ深谷に行くつもりだというと、「わたしも付いて行こうかな」えっつ、雪の様子もわからないのに、知らない人とはよう行きませんで・・と心の中で叫ぶも、彼女は「峠で待ってますね」と先に行った。

 いくつも堰堤を越える。谷の右岸堂満岳側は随分と崩落がひどく、立ち入り禁止のトラロープが張ってある。道もところどころ様変わりしている。青ガレの取り付の堰堤に着き、沢を渡る。岩場の中に結構はっきり道があるのですいすいとよじ登り、20分もかからず途中の山道に着き、こここんなに楽だったけ。

青ガレから琵琶湖を望む 青ガレを過ぎると山道になる

 さていよいよ難所の金糞峠直下の岩がごろごろ地帯。左岸側の斜面に沿った道を歩いたはずなのに、今は沢の真ん中を歩くようだ。S先輩に真ん中は浮石が多くて危ないから、絶対に歩いたら駄目ですと教えられたものだったのに。北側斜面のまだ新しい崩落個所には、立ち入り禁止のロープが張ってある。歩きやすそうなところを探しながら、順調に上を目指す。そんなにしんどくないのが意外だ。

 金糞峠の深くえぐれた窪みが見えると、今にも崩れそうな雪が現われた。男性が下ってきたので、様子を尋ねる。堂満から回ってきたという高年の男性、上は雪が残っているがしまっているから大丈夫とのこと。奥ノ深谷から周回予定だというと、それはまた珍しいコースだ。なにもアルプスまで行かなくても近場で雪は十分楽しめますよねと言われた。

 峠で休憩していた先行者の女性は、堂満は雪が深く危なそうだから、コヤマノ岳に行くことにするという。ザックも小さく春山の装いの彼女に、わたしは同行を断るつもりだったので、やれやれ一安心。京都の労山会員という女性、今日は個人山行だけれど一応届を出しているのでコース変更を報告しておかなくてはと、せっせとメールを送っている。

峠直下は崩落が激しい 峠の雪は今にも滑り落ちそう

 10センチくらいの雪が一面に残る奥ノ深谷、八雲が原分岐には手すり付の立派な橋ができている。大橋方面には丸木橋、慎重に渡り、女性はコヤマノ岳目指して尾根を登って行った。日が当たる沢の北側は雪が溶け、気持ちよさそうな山道が続いている。

ミツバノバイカオウレン 雪が残る奥ノ深谷分岐

 12:10ヨキトウゲ谷の分岐を過ぎ、いよいよ大橋へと沢沿いに下る。山道のある左岸は日蔭で一面に分厚く雪が残っているので、右岸を下る。が、川岸が狭くなって歩きにくくなったので、渡れそうな浅瀬を探す。雪解け水で増水した沢を注意しながら渡る。左岸の雪は固くしまりアイゼンは必要ないが、積雪は30センチ以上はありそうで、踏み抜かないように慎重に歩く。

 右岸左岸と渡渉を繰り返すうちに、水深がありそうなところを渡る羽目になった。今左岸に渡っておかなければこの先右岸は狭くなるし、下流は深みが続く。しかたがないので、岩の少ない足元がしっかりした場所を選んでばしゃばしゃと水に入る。案の定、ふくらはぎ真ん中くらいまで水につかり、一瞬で靴に水が入りこんだ。スパッツは結構強力なのだが、やっぱり駄目だったか。靴の中がじゃぶじゃぶにならなかっただけましか。左岸の岩を乗り越え、気を付けながら進む。

日当たりのよい山道 中峠分岐
渡渉を繰り返す 雪が続く

 12:50木に打ちつけた標識「毘沙門岩登り口」とある。2m以上はある巨岩がありそこに登れるというらしいが、木の枝に足場を打ちつけたなんとも怪しい階段なのでここはパス。このあたりに来ると雪も消え、堆積した落ち葉を踏みながら気持ち良い。正面に見えるのは擂鉢山だろう。霧がかかり天候は下り坂の様子だ。水音が一層高くなった沢沿いをどんどん下ると、大橋と南比良峠の分岐に出た。ここは昨年okaokaさんと歩いたはずなのだが、まったく記憶にない。

 南比良峠へのはっきりした山道を辿る。霧が出てきたので先を急ぐ。谷道を登っていくと、烏谷山から流れ出る沢に出た。哲さんにこの沢を登った話を聞いたので、ここは覚えている。やっと知った場所に出てほっとする。しばらくして、斜めにかしいだ水晶小屋にでた。

 いまにも崩壊しそうだが今冬の積雪も持ちこたえたようだ。中には椅子やテーブルがあり煙突は新しそうだから、山仕事や登山の折に役立っているのだろう。(山岳会が手入れされているそうです)。風が谷から吹き上げて寒い。あたりは霧でうっすらと白い。先を急ぐ。

毘沙門岩 伏状台杉が出迎える
谷の向こうに擂鉢山が見える 美しい渓流が続く
南比良峠へ分岐 南比良峠へ向かう
水晶小屋

 12:40南比良峠直下の広葉樹林帯。ここは新緑や黄葉がとても素晴らしく気に入っている場所だ。大きな木の幹に身体を寄せて谷間から吹き上げてくる風を避けながら、遅い昼食にした。朝の電車の中で、餅やサンドイッチやら食べたので空腹感もなくここまで来れた。起き抜けは食欲がないので、せいぜい水分をたっぷり摂るくらい。その代り、道中のバスを待っている間や乗り物の中で、ずっと口をもぐもぐさせるのが常。同行した人にはまた食べていると笑われるけれど、しっかりお腹に入れておくとエネルギーが切れない。殊に、餅パワーは継続し偉大。。

 濡れた靴を脱ぐと、靴下も靴のクッション材もたっぷり水を吸い込んでいる。新聞紙があればよかったのだが、今日に限って持ってこなかった。靴の水分を切り、靴下を履き替える。汗ばんだ衣服を着替えズボン下も履くと、身体が温かくなった。気温は5℃だが、強い風で体感温度はもっと低い。時折小雪も舞う。

 13:25残雪を踏んで南比良峠に出た。ここからどうするか、荒川峠に行くか 堂満尾根を登って下るか迷ったが、烏谷山は雲がかかって見えないし天候は下り坂なのでさっさと帰ろう。雪のない比良縦走路を金糞峠目指す。

美しい南比良峠直下 南比良峠のお地蔵さん

 残雪もほとんどなく調子よく歩いていくと深い雪に道が覆われ、はたと先を見失う。先行者1人の薄い踏み跡はというと、少し迷って進んでいる。西側には小ピーク、東側は小さな谷状の間。縦走路は等高線上を回ると思い込んでいたので、ここの地形がよく呑み込めず、付近をきょろきょろ探してみる。木の陰に踏み跡を見つけ植林地の中を下ると、すぐに堂満岳の登山口分岐に出た。後ろを振り返り確認する。確かに縦走路は堂満分岐から南へ少し登っていくなあと思いだした。

 先日のサカ谷道もちょっとした支尾根の乗り換え場所であれれと考えたけれど、今回も堂満本体から奥ノ深谷に一直線に続く支尾根と堂満分岐の派生支尾根の間で悩んでしまった。積雪時はちょっとしたことが難しい。が、無雪期には通り過ぎてしまう窪みやピークの膨らみが雪によってはっきり表れるので、この時期の山歩きは勉強になる。

 無事縦走路に乗り、咲き始めたばかりのイワウチワの群落を眺めながら金糞峠に下った。昨年見事だったというシャクナゲの林では1株の木が蕾をたくさんつけているだけで、今年は花が少ない。

縦走路を金糞峠へ 堂満分岐直下は雪が多い

 金糞峠から荒れたゴロゴロ石地帯を下る。登ってくるときはよくわからなかったが、上から眺めると、ルートは岩地帯の南側寄りに変わっている。浮石で滑らないように慎重に下り、50分ほどで青ガレの入り口に着いた。足も痛くないし、このコース 意外に早くて楽かもしれない。

 この調子ならイン谷口16:40発のバスに余裕で間に合うなあ、念のため時間を確認しようとプリントを見ると、えっつ 16:20発!!今15:30だから急がないと。そこから小走りでずっと駆けた。自分でも感心するくらい速足でゴロゴロの道を下り、イン谷口に16:10着。やれやれ間に合ったけど、バスの姿がない。おかしいなあと、バス停の時間を確認したら、40分発でした。20分は比良駅発の時間。

堂満分岐 イワウチワ

 余裕ができたので、濡れた服を着替えたりコーヒーを飲んだりストレッチしたり、ほっと一息。のんびりやってきたバスには、2人の男性と乗り込んだ。イン谷や正面谷からも車の登山客が帰っていく。雪が溶け連休近くになればもっと賑わうだろうが、今日も静かでちょっとワイルドな山歩きを楽しめて良い1日だった。

イン谷のミツバツツジ




 このところ歩いている最中に、靴の中で足指がしっかり地面を踏みしめている感覚が分かってきた。外反母趾がひどくなり、痛みをかばって歩いていたくせが改善されてきたのだなあ と、トレーニングの先生と喜ぶことである。

 が、今回は夜中に、忘れていた膝のうずき、これはあかんと保冷剤を当てたら痛みが軽くなった。水風呂でしっかり冷やしたつもりだったが、それ以上に負荷をかけたのだろう。青ガレの上り下りに、正面谷を走って下ったからなあ。翌日膝は腫れ熱を持っている。全身ストレッチしたり鍼灸治療に行ったりとケアに努め、4日で膝の腫れも太腿の緊張も緩んだ。(アイシングは、やっぱり水風呂より氷のほうが効果があるそうです)。

 TVで、筋肉を緩めよう体操を盛んに放映している。今年の箱根駅伝優勝青山学院のコーチが、練習前後にストレッチを十分にするトレーニング方法に変えたところ故障者もでず成績も上がったと話していた。わたしもいかに長く山歩きを楽しめるか、実験を続けて行こう。


                        【 記: Ikomochi 】