大見尾根 お鉢周り (No75)

 
小野谷峠


平成27年4月12日(日) 曇り    小てつ単独

コース:
大見三叉路近く稲妻号デポ〜小野谷峠〜P771〜P877〜鯖街道の林道〜P822〜北側尾根鞍部〜西側谷に降りる〜鯖街道林道(オゴシ215電柱)〜デポ地





 K先生はシラクラにタムシバの花見に行かれると言う。小てつのタムシバ花見と言えば、陸地谷なので行き先は大見尾根にしよう。オヤジ殿が、比良三山の三山めぐりをされたと言う。それも普段と逆周りでと言われるので、それでは小てつもいつもと反対周りの反時計周りにしようと、大見に行くことにしました。

 とここで、「ちょっと待って、ちょと待って、オヤジ殿」だ。な、何て〜?比良三山ってかぁ。愛宕三山なら理解もするが、堂満、武奈、釈迦の三山なんて聞いたことない。そりゃ比良のエキスパートなら普通やるかも知れないコース取りなんだろうけど・・。

 何せオヤジ殿の場合、膝の前十字靭帯が無いという重ハンデをお持ちだし、JOEさんのエビペン常備に勝る「ニトロ常備」であるのだから、知ってるこっちはヒヤヒヤものだ。しかしながら、それをトレーニングととらえてられるところがオヤジ殿で、本番はどんなことになるんやらと、それこそ気が気ではない。「ちょっと遅くなって、おかあちゃんゴメンちゃい」などど言ってる場合じゃない。まあ無事に帰ってこられ、こうして紀行文も書かれているくらいだから、ただただ感心、感謝感謝だ。

 オヤジ殿ほどのド迫力もなく、長岡山人さんほどの追及力もない 'のほほん紀行' だけど、しばしのお付き合いを・・。





 てな訳で、いつも通り近所の手前、7時を待って自宅を出発。行き道沿いにあるコンビニに寄っておにぎりを仕入れ、出町柳のバス停の人出を見て、川端通りを北上する。川端通りの桜並木は、もう散り初めで、2011年の同時期の様子よりは早いようだ。それなら山のタムシバもちょうど見ごろではないだろうかと期待する。

 野菜もでき始め、並ぶものも増えたからだろう大原の朝市は盛況だ。今が満開となった大原の桜を見て、小出石の信号を西へ折れ百井へと登って行く。小出石の温度表示は5℃。それでも道端の川沿いにギブシの花が咲き、春本番。

川端通りの桜 朝の小出石は5℃

 前畑峠を越え百井の集落から大見、尾越方面に右折する。ナッチョの以前のポピュラーな取り付きだった蓑谷の桜は、まだつぼみも膨らんでいない状態で、大見の春はまだまだ先のよう。修道院の分岐を左にとり、大見集落に到着。いつもの鯖街道の三叉路の手前の空き地に稲妻号を駐車し、ダッシュボードに「登山者です」の紙を置き、準備をして8時少し過ぎに出発する。

蓑谷の桜はまだまだ 大見三叉路手前にデポ

 大見三叉路を左にとり、一軒だけ煙突から煙があがって人気のある民家を過ぎた林道分岐を右にとり、今日は小野谷峠へ向かう。この道は、おととしの豪雨と去年の台風の影響で、湿地帯が広がり、川岸がえぐられたところがあるので、ゴアテックスの靴でないとグチョグチョになります。そんな湿地帯の水溜りに、いつもの時期ならカエルが卵を産んでいるんだけれど、今年はまだ見当たらない。

 湿地帯では鳥がよく鳴いていて、「鳥がよく鳴くときには、雨が降らない」というJOEさんと小てつの相言葉通り、今日は雨の心配はなさそうだ。ここで満開のキンキマメザクラを見つけ喜ぶ。ピンクのと白っぽいのとがあった。小野谷峠近くにまだ残雪が残る。

マメザクラを見つける この木は白っぽい

 小野谷峠から大見尾根にのる時、取り付きは峠手前の尾根の先から入ると幾分傾斜も緩やかなのだが、今日のコースではっきり登りとなるのはここだけだろうと、峠から植林地の中の急傾斜を登って行く。一息70m登れば視界も開け、地図で見るよりもはっきりとした尾根で、テープなんか全くなくても不安なく歩けるところだ。

 植林地がところどころあらわれるものの、ほとんどが雑木、とはいっても2次林もしくは伐り残しの林の中を歩くコースは、ガシガシ歩くコースではなく、のんびりと散策歩きを楽しむコースだろう。ここ大見尾根や対岸の雲取山あたりなどは似たような雰囲気の山。

ヤドリギは元気なく 熊だならしき・・

 P771を過ぎ、もうぼちぼちタムシバが咲いていてもいいのだけど、そう目立たない。咲いている木もあるのだが、山一帯に白いかたまりがあるような感じじゃない。樹皮からタムシバと思える木を見つけ上を見上げると、なんとまだつぼみは固く小さいものもあり、陽当たりなのか何なのかいっせいに咲かないで時期がずれているようだ。

 3年前だったか、ほとんどタムシバが咲かなかった年は、遅くまで寒くて一気に気温が上がり、花が咲く前に葉っぱが出てしまい、花が咲かなかったことがあった。今年はそれに近いんじゃないだろうか?その年は、その時期よりも遅くに咲く花は順調に咲いたので、このあとの時期の花に不安はないが、タムシバには受難の年になったみたい。ヤドリギも寒さのせいか、しなびたようになって元気がない。そんな中、マメザクラとダンコウバイは尾根の稜線でも花をつけている。

 オヤジ殿が、ワンゲル道の登山道にある穴ボコのことを書いておられたが、ここ大見尾根にも大きな穴ボコが開いていて、尾根を歩いていると気づかないかもしれないが、P877のピークからほんの30mほど北側の東側にあるので、気をつけてください。かなり大きく深そうです。

 広葉樹が落葉した後にここを歩くと、何本かは「熊だな」と思える木が目につくのだが、地蔵山同様に、今シーズンはほとんど無く、やはり去年の台風で木の実が落ちてしまったせいで、熊はごちそうにありつけなかったようだ。やっと鞍部にあったコナラだろうか風にあたらなかった一本に、それらしき跡を見つけた。

まだつぼみのタムシバ ダンコウバイ

 鯖街道の林道に近づく頃、林道を走っているのだろう3、4台のバイクのエンジン音がする。林道には10時30分に降り立つ、まだ早いのでそのまま対面の斜面に取り付く。ここからは、ほぼ踏み跡はない。

 踏み跡はないが、反時計周りで木の葉っぱも無く、晴れていると一番高い822はよくわかるので、迷いようはない。迷わないということでは、反時計周りの方が、進路に迷いはないだろう。木の葉っぱがあるときはどうなんや?ということだが、木の葉っぱが生い茂る季節には、ここにはあまり立ち入る気にはならない。おそらくここら辺が、北山で今最もヤマビルの多いところだと思われるからだ。皆子山から大見、貴船あたりが一番多いんじゃないだろうか?。

 お目当ての陸地谷が見える場所まで来て見てみるが、やはり状況は同じで、白いかたまりはあるものの、全山一斉ということではなかった。残念。今日はマメザクラディだ。

 いったんP822まで登りお昼少し前、ラーメンタイムとする。ラーメンを炊き食していると、まだ寒いくらいなのに、やたらと羽虫が多い。シカの糞もたくさん落ちているし、やっぱり夏には来るところじゃなさそうだ。そそくさと退散する。

 P822から北の尾根に進む。地形図のP706に行き着く尾根じゃなく、その西側の尾根に乗る。間の谷が蛇谷となる。

 実は、ここに目印となるものがある。P822から北へ降り、いったん登り返して再び降る時に、一本のブナの木が、妙な角度で倒れている。枯れかかってはいるが、まだ生きているようだ。根元付近で幹に亀裂が入っていて、いかにも自然に倒れたように見えるが、そうじゃない。この木は熊が倒したのだ。

目印のブナの木 見事に咲いている木もあるが・・

 実は2011年にHさんとここを訪れた時に見つけたのだが、いきなりそのことを書いて、熊がウロウロしているところに物珍しさで大勢行かれても困るので、黙っていた次第。今になってと思われるかもしれないが、熊のことを理解していただくために、今回あえて書かせていただこうと思いました。

 2011年、Hさんとおなじくタムシバの花見に訪れた時、妙なブナの木を見かけた。生えている角度が変だ。その木には幹の根元に野球のボールくらいの穴が開いている。穴を覗きこんでみると、何やら蜂の巣のかけらがあるではないか。穴の裏側の幹には、ギザギザと爪痕がある。となると・・、そうと解るまでに数秒もかからない。熊の仕業だ。ブナの木のウロに巣を作っていたミツバチの蜜を求めて、ブナの木を倒したのだ。

 幹の中に巣が作れるくらいの、そう細くはない木を倒すほどのパワーだ。人間の力でどうこう言うものじゃない。また熊と遭遇した方ならわかると思うが、北山にいる熊はそんなに大きくはない、せいぜい1mくらいのものだ。熊だなを作っている木を見ればわかるように、高いところまで登っているから体重もそんなにないはずだ。それでこのパワー。絶対に逆らってはダメだ。とにかく驚かせないように、対処しなければならない。対処の方法は個々で考えていただきたいが、とにかくはなれたところで、向こうに気づいてもらうことだろう。

熊の仕業(2011年の画像) 中に蜂の巣(2011年の画像)

 話は紀行に戻って、P822から北の尾根に降り、最後のピークを登らずに鞍部から西の谷に降りる。P784との間の谷を、そのまま谷沿いに降って行く。植林地の中、道はないけれども滝もなく、ダラダラと降りれば、湿地帯の広場に出る。そのまま湿地帯を突き抜ければ、林道にかかる鉄製の橋のところに出るが、グチャグチャなので、左手に進み、鯖街道の林道に乗る。ちょうど「オゴシ215」のところ。林道を戻りデポ地には1時30分に到着。

 オヤジ殿の半分の5時間少しの歩き、期待していたタムシバの狂瀾には会えませんでしたが、まだ裸山同然の山の中、マメザクラのほのかなピンクにたくさん出会え、のんびりした一日になりました。早く帰って、邪魔くさいけど選挙に行こう!。


                           【 記: 小てつ 】



ウサギさんの正体

ウサギさん?が分からない方は
【みんなの山紀行】から
2015.03.29 三国ヶ岳(小てつ NO.74)を見てね!