衣懸坂 |
縦貫林道から見た衣懸坂 |
平成27年11月11日(水) 晴 長岡山人
コース: 菅原バス停9:40−林道終点10:05−衣懸坂取付10:35−衣懸坂11:10−谷に降りる12:00 −谷合流、巻き道起点12:20−巻き道終点12:35−林道12:50−卒塔婆峠登り口13:00−卒塔婆峠13:55(以下略) 衣懸坂は、広河原菅原と京北町小塩を結ぶ地域間交流の峠であった。 主要な登山地点を結ぶポイントでなかったため、顧みられることが少ないが、『北山の峠(上)』(金久昌業)にも紹介されている歴史ある峠である。 菅原側は細々と登山に使われているが、小塩側は記録がないので、調べに行ってきた。 菅原集落の奥から左手のオリ谷林道を進む。 25分進むと林道は終わり、その後は川を渡り返しながら進む。 豪雨で古道は痛んでいるが、道筋は何とかわかる。
約30分進むと、左手に谷があり、ピンクテープを巻いた杉がある。 ここが衣懸坂の取付点である。 大きな流木のあるところで、標識はその陰なのでわかりにくい。 渓流を渡ってすぐ、斜め右上に狭く短い岩崩れがあるのでそこを10mほど登ると、左に道が発見できる。
その後は植林の下の尾根筋を、ジグザグを切って道は登っていく。 地理院地図は谷に道が付いているが、そのすぐ西側の小尾根である。 690m地点から道は山腹を巻いて登るようになり、720m地点で谷に合流する。 その後は植林下の急坂を直登する。 空が見え、峠に飛び出す。 直登部分は、植林時に間に合わせで作った道で、金久氏の記述とも異なり、古道は別のルートがあったと思われる。
衣懸坂のすぐ下には丹波広域基幹林道が造られ、尾根を交差しているため、峠の風情はない。 もっとも昔も峠の平地は狭く、尾根道と峠道が交差するだけで、衣懸の故事を彷彿とさせるような景色ではなかったが。 ここから小塩側は、ネットでは歩かれた記録が出てこない。 とっくに荒廃していると思われたが、歩き始めた。 木の階段が降り口には作られている。
すぐに道はなくなる。 ただ丁寧に見ると踏み跡が発見される。 左にわずかに降り、そして右に折り返して進んでいく。 やや下がり気味に、しかしほぼ巻き道状に進み、それから何と、登っていく。 なぜ、と思う間もなく、古道に出る。 その古道は、かつては峠に直接登っていくと思われる形状だ。 思うに、基幹林道の造成に伴い、古道の最終部分が擁壁敷地となって消滅したため、代わりに不自然に作られた踏み跡という感じである。
そこからは、良く残っていてくれたと言いたいような古道があった。 地理院地図の形である。 ただ、地図では715m地点で南の尾根に方向転換するが、その道はなく、実際にはそのまま西に緩やかに降りていく。 そして700m地点で東に折り返し、680m地点でまた折り返す。 ここまでははっきりとした古道が残っていた。
しかしその先で古道はわからなくなった。 かすかな踏み跡のままに西に進み、小尾根をわずかに降り、また西に山腹を降りていくと、谷底と渓流が見えてきた。 谷底の少し上を歩み、間もなく歩きにくくなったので谷底に降りた。 谷底はナメ状の岩もあり、下りは注意が必要だが歩ける。 渓流はきれいで、コウンド谷の最上部のような感じである。 ただ、増水時には使えないだろう。 その先にテープを巻いた木があったが、そこが地図上の取付点であったのであろうか。 金久氏は、「以前は左谷に入ってからまもなく右の山腹に取り付いたが」「現在はもっと谷奥、400メートルくらい谷を遡ってから山腹に取り付く道に変わっている」と書かれている。 テープの地点が地理院地図の取付点としても、僕が降りた点は約300m上流であり、さらに上に金久氏が書く取付点があったのであろうか。
530m地点で左からの谷が合流する。 谷はその先、小滝が連続するので、地理院地図の通り、巻き道が付いている。 右斜め上にテープがあり、急な、険しい登り口に取り付く。 巻き道は谷のかなり上を巻いていく。 崩壊しかかっているところもあり、万全の注意を払って進んでいく。 その険しさは、足尾谷最奥部の尾越への巻き道に次ぐと思えた。
間もなく巻き道は終わり、谷に降りる。 赤白の四角標識とテープが目印にあった。 しかしその先の谷底には流木が山積し、きわめて歩きにくい。 下りなら無理をしてでも進まなければならないが、登りならここで断念しそうな障害物であった。 その流木群を乗り越えると林道に出会う。 ホッとし、小休止をする。
すぐ先に、卒塔婆峠への登り口がある。 ここからはokaoka・哲郎さんの紀行があるので略する。(2014.7.2) この古道はすばらしく、鯖街道の中でも第一級のものである。 卒塔婆峠も久しぶりだったが、西陽に映えるムクの巨木の旺盛さは変わっていなかった。秋のこの峠が一番好きである。
【長岡山人 記】 |
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