P951・コウンド谷東西尾根

P951は高原状で山らしくない


平成27年10月3日(土) 快晴              長岡山人


コース:
能見口バス停下車 9:40−光砥橋 10:05−東南主尾根合流 11:35−P951 12:10−P737 14:20−P698 15:05−能見口下山 16:00





 北山深部、能見集落の北奥にある951mピークは不遇な山である。 京都府で実質第4位の高さがあるのに、名前がないため取り上げられない。 北山深部にいるという実感が持てる良い山である。 通常の登路は、能見のコウンド谷を詰めてたどり着き、小野村割岳や佐々里峠方向に進む通過点である。(又はその逆)

 この山に、バス停能見口を起終点として、コウンド谷の東西の尾根を利用して周回するように登ってみた。 概して尾根は歩きやすく、静かな山歩きを堪能できた。 ただ、最初の登り口と最後の降り口が急傾斜で注意を要する。 また、踏み跡は薄く、方向転換点も多いので、地図の読めることが歩く条件である。

能見集落から見た東尾根 バス停から見た西尾根末端

 暑さも和らいだ初秋の土曜、誰かに会うかなと出町柳に行くと、果たしてokaokaご夫妻がおられた。武奈ヶ岳にトリカブトを見に行くとのこと。 花を見ることを山行の目的にしたことがない僕は恥ずかしい。 能見口でバスを降り、能見集落の奥の光砥口橋(こうどぐちばし)を渡ったところが登り口である。 橋を渡って、農園の横から尾根に取り付く。 最初だけ踏み跡があるので登っている人はあるようだ。 傾斜が急なので、ジグザグに歩きやすいところを、尾根に忠実に登っていく。植林地で下生えはなく、助かる。 この最初の20分が辛抱である。

橋を渡って尾根に取り付く 杉の下をひたすら上る

 620mまで登ると緩やかになり、歩きやすくなる。 自然林となり、見事な伏状台杉がたくさん見られる。 小ピークを乗り越えながら、地図で現在位置を確認して登っていく。 東南主稜線に出る手前が急で、辛抱して登る。 主稜線に出るとなだらかで歩きやすくなり、踏み跡もはっきりしているので、ここを上り下りしている人は多そうだ。okaokaご夫妻も5月に、河原谷東尾根から登っておられる。 頂上直下の鞍部は、コウンド谷からの直登ルートであるが、標識板がなくなっている。

巨大で見事な伏状台杉 主稜線は太くて歩きやすい

 951mピークに着き、枯れた巨木と再会する。15年前に初めてここを訪れたときは雑木林をかき分けて歩いた記憶があるが、まもなく雑木が刈り払われ、見通しが良くなった。 ピークからは武奈ヶ岳方面がよく見えた。 ピーク周辺には、コウンド谷、芦生カツラ谷、天狗峠につながる古道が残っている。 金久氏は、これも鯖街道の一つに挙げられている。古道は稜線の西側やや下に、ほぼ水平に付けられている。

枯れた巨木のあるのがピーク 正面の武奈ヶ岳は雄大

 951mピークは、浸食から取り残された隆起準平原なので、高原状の山頂である。 ここからコウンド谷西尾根に進む。 最初は西に10分ほど進み、南方に転じる必要があるが、平坦であるため南に進む転換点が決めにくく、最も迷いやすい場所である。 写真の目印がある。 そのすぐ先にも迷うところがあるがテープが選択の支えになる。

この白テープの手前で左折する テープが導いてくれる

 目的尾根に乗ったことが確認できると一安心。 すぐ先のH=870mの鞍部から西に植林の中をゲキ下りすると、小野村割岳登山林道に降り着き、下り時のショートカットコースに使える。(踏み跡なし) その先でワサ谷から登ってきた林道末端に出会うので、それを使って下ることもできる。(地理院地図の破線とは異なる)

 ワサ谷側は人工林、コウンド谷側は自然林で、その境界を防獣ネットに沿って進んでいく。 森が切れる所々では、東には比良連峰、南には峰床山、桑谷山双耳峰、チセロ山、花脊峠鉄塔から雲取山稜線が、西には美山町天狗畑から長老ヶ岳までの稜線が眺められる。

ワサ谷への降り口のテープ ワサ谷から登ってきた林道

 この尾根もかなり歩く人があるのか、踏み跡がほぼできている。 人が通った跡は空間ができているので何となしに判別できる。 6〜7カ所、尾根が分かれるポイントがあるので、方角を確認して進む。 基本は自分で読図しなければならないが、小さな赤テープや黄色テープにも助けられる。 下りは地理院地図(拡大コピー)が手放せなかった。

ブナの連なる尾根は心地よい 方向転換点を示す赤テープ

 686mの小ピークを越え、東南方向の水平尾根が終わったところで尾根分岐があり、南に転じる。 ここもポイントである。生え込みが多くなり、傾斜も急になるが、何とか踏み跡はわかる。 高度600mを切ると急な下りとなる。尾根の先端部を選んで下り続ける。

 車道の車の音も聞こえてくる。 フェンスが下に見えるところは降りられないので、左(東)に寄っていく。 幹に手をかけ、枝をつかみながら、かすかな踏み跡を降りていくと道路にポンと降り立つ。 旧道が新道と合流するすぐ手前、橋のたもとである。

尾根筋に沿ってゲキ下り 旧道に入った地点に降り着く

 コウンド谷東尾根は、コウンド谷上部が荒れ気味であるので、代わりに使われて良いルートである。 谷ルートと比べて、増える時間はわずかである。 コウンド谷西尾根は、最下部が急傾斜であるのと、展望地が少ないので、のんびりと下るのに使う方が良いと思われる。

コウンド谷東尾根登り口略図


P951付近ルート略図


コウンド谷西尾根降り口略図


                         【長岡山人 記】