横尾峠(古道)

横尾峠の地蔵さん


平成27年5月13日(水) 晴              長岡山人


コース:
福居バス停下車10:00−尾根道10:40−横尾峠11:30−関電巡視路分岐12:10−P45212:30−第二堰堤と和佐谷林道13:20−道の駅13:55−バス発14:20





 横尾峠は、美山町福居山森と福井県おおい町納田終中野とを結ぶ地域間交流の古道である。頭巾山への登山路として古来、使われている。美山町側の峠道は金久氏も絶賛されるような古道が残っているが、おおい町側は和佐谷林道と関電巡視路が一般的に使われることもあり、古道は歩かれた記録がない。どうなっているのかと訪ねて、古道が発見できた。

 JR日吉駅に下車、南丹市営バスとデマンドタクシーを乗り継ぎ、福居で下車する。上谷を遡り、橋を渡ると最後の家屋がある。ここが登り口である。標識に導かれ、家の横を通り、右手の小さな谷に入る。

この橋を渡り右に入る この家の右を進む

 すぐに渡渉点があり、左岸に渡ると、ジグザグの道が始まる。道は小尾根を何回もまたぎ返しながら緩やかに登っていく。等高線の詰まりぐあいを全く感じさせない丁寧な道造りである。若狭越えの峠に共通の靴底の感触である。ずっと自然林なのも心地よい。葉が茂る前なら枝越しに頭巾山南方の稜線が望まれたであろう。

川を渡るとジグザグの道が始まる 尾根を何回も乗り越す古道

 ものの30分も登ると、稜線に近くなる。道は稜線の西側のやや下を、緩やかに登っていき、やがて稜線を歩くようになる。ほぼ平坦な稜線はとても快適で、傾斜がある所だけジグザグに登っていく。P645の先で左手から作業道が合流し、今歩いてきた方角に「山森区へ」とプレートが立っている。

 そのわずか先に、再び左手から作業道が合流してくる。ここには、「林道へ」とのプレートがある。この道は関電巡視路を兼ねているようで、たどれば谷沿いの林道に出て、最初の登り口のところに出る。頭巾山への登山にはこのルートがよく使われているようだ。

尾根筋の快適な道 上方から見た林道への分岐

 その先を詰めると若丹国境稜線のピークにたどり着く。そこは国境の縦走路とT字型に合流する点で、石室と2体の石仏がある。頭巾山信仰の厚さを物語っている。

 そこから右手にわずかに進み、718mピークに立つ。西以外の方位が展望できる抜群の地である。双耳峰の青葉山、遠く百里ヶ岳、八ヶ峰などの国境の山々、その先に芦生の山々、南には白尾山などの美山の山々、遠く大岩山のでこぼこ峰まで、パノラマ展望である。

ピークから見た北方の展望 双耳峰の青葉山

 その後、尾根つたいに進む。北側は伐採された跡で地肌がきれいだ。その先に小ピークがあり、国境尾根の屈曲点がある。古いプレートもある。小ピークの右腹を巻いて進み、急な下りを黒いプラ階段を使って降りる。降りた所からは歩きやすい道が始まる。

伐採地を左に見ながら進む 尾根筋は歩きやすい

 しばらく歩くと小ピークがあり、道は左腹を巻いている。そこは伐採された裸地になっており、下には大きな送電鉄塔が建っている。通常はここから下に、送電巡視路を使って降りていく。

 今回のテーマは、ここから先の古道探しなので、道はないが小ピークを巻いて東北方向の稜線に乗り、進んでいく。尾根は下生えがなく、歩きやすい。よく見ると、曲がりくねった古道の跡がかすかに発見できる。倒木や枯れ枝が堆っており、そのままは歩きにくいので、歩きやすいところを選んで下っていく。

関電巡視路の分岐 掘れた古道の痕跡

 452mピークまで来ると、わかりにくいが、踏み跡はピークの左側を巻いていく。そして東北方向の尾根を下っていく。その尾根はやや急なので、ジグザグに切られた古道がはっきりする。400mまで下り、尾根が平坦になる少し手前で、古道は左斜め下に方向を変える。山腹を巻くようにして、一つ西の尾根まで進む。

ジグザグの古道がある 左の尾根に道は巻いていく

 するとその尾根にまたジグザグの下り道が発見できる。280m地点まで下ってくると、小鞍部になり、道は左斜め下に降りていく。そして一つ西のごく小さな尾根まで進む。左には谷川が見える。そのごく小さな尾根をジグザグに下っていく。

尾根をジグザグに降りていく 左の尾根に巻いていく

 ここからわかりにくくなる。道は谷まで降りていき、左岸に渡る。左岸に渡ると、谷から10mほど上を巻いて進むようになる。ピンクテープが誘導してくれる。先行者はいるのだ。堰堤の堆積した砂が見えてくる。歩きにくくなるが左に巻いていき、降りやすいところから堰堤の堆積地に降りる。川を渡り和佐谷林道に上がる。

ピンクテープ沿いに巻いて進む 堰堤に降りていく

 最後の部分は、逆に歩むとわかりにくい。中野集落から二つめの堰堤の砂の中に降り、南から流れ込む小さな谷の左岸の10mほど上に、ピンクテープが見えるので、そこまでよじ登り、あとは見える距離でピンクテープが続くので追う。谷川を渡り、その尾根を登っていくと、左上方に導く古道が発見されるだろう。草の多い時期はこの部分、難しいかもしれない。(以下は、逆方向から見た写真)。

堰堤堆積地からテープを探す 川を渡り、左の尾根を登る

 ここから中野集落の中を通り、道の駅までゆっくり歩いていく。道の駅(ホテル流星館)からは、乗合バス(流星)が運行されており、JR小浜駅まで帰る。そこからJRバスで近江今津まで帰り、JR湖西線に乗る。

 古道はほぼ残っており、自然な造形であるため心地よく、歩いてみてほしい道である。

 京都→南丹→若狭→湖西→京都へと、公共交通機関利用の大周回の一日であったが、車2台で置き車をすると、頭巾山を含めてゆっくり周回できるコースとなる。

                             【記: 長岡山人】


福居の登り口付近の地図


福井県側の古道の地図