初心者オヤジ恥ずかしながら北鎌尾根の予告編
初心者の悲しさ判断ミスで、後味の悪い歩きとなりました
親父の山歩き報告(NO.94-2)


おもろい恰好しとるな〜
それよりお社に手をかけたらあかんやろ〜バチあたり{スンマセン}


2015年7月10日(金)〜12日(日)     洛西オヤジ

▼7月10日(金)早朝3時半ごろ自宅を出発、
アクセス
名神高速ー東海北陸道ー飛騨清見インター平湯あがんだな駐車場


コース:

▼7月10日(金)
シャトルバス上高地−河童橋−明神池−横尾−徳尾槍沢ロッジ−ババ平テント場(テン泊)



▼7月11日(土)
ババ平テント場−大曲(水俣乗越しへ分岐)−天狗池分岐−槍ヶ岳山荘−槍ヶ岳山頂−北鎌平−P15(?)−P14(?)引き返す−山頂−槍ヶ岳山荘−天狗池−ババ平テント場(テント泊)

▼7月12日(日)
ババ平テント場−上高地−シャトルバスであがんだな駐車場






▼7月11日(土)

 朝、と違うな夜中2時過ぎに起きだし、ゴソゴソ支度、3時前にテントを出発、もちろん設営のままです、見上げれば星が綺麗です、よしこのままの天気でたのんます。真っ暗の中、小さなヘッドランプにたよって行きますが、直ぐに雪渓に入ります。これは昨日下からも見えていたので、ある程度は覚悟していました。雪上のトレースもアイゼンの跡はなく、日がのぼるとグズグズになると想像できますし、事実そのとおりの状態に後でなりました。

 ところが此処からが問題なんです、テン場から30分ぐらいでしょうか、大曲に到着したオヤジは愕然、大曲から分岐して、水俣乗越しに向かう沢の入り口が、分厚い氷で覆われています。小さなライトの先、ズーと上部まで、カチカチのアイスバーンが続いて見えます。おそらく天上沢も厳しい雪渓が、と想像を膨らまし。又してもアイゼンを持ってこなかった甘さが、オヤジの頭から冷静な判断をする余裕をなくしてしまいました。

 しばらく暗闇の中で立ち尽くすオヤジ。結局通常の槍沢を登って槍山頂に行き、最初気持ちが動いた独標往復するかどうか、とにかく天上沢を諦めて傷心をかかえながら、明るくなりだした槍沢をヨタヨタと進むオヤジです。さてさてここで結論を言いますと。なんら問題なく予定のコースに行けたと思います。順番が前後しますが、翌日夕方の大曲分岐の写真を載せます。

問題の大曲手前から始る雪渓です あくる日の下山時の状況です
なあんやあ〜水俣乗り越しへの取り付きは
分岐から直ぐに右に進むわけですが
オヤジは未踏なのではっきり認識出来て
いませんでした。手前の残雪が下では
一面に入り口を塞いでいたのが
不運とゆうか痛恨の判断ミスとなりました
コンチキショウ

 アイスバーンは入り口から少しだけで、オヤジは歩いた経験がなく判らなかったのですが、水俣乗越しへのルートは、沢を少し入って直ぐに右の斜面に入っていくので、仮に沢がいくらアイスバーンに覆われていても問題がなく後で上から見た天上沢も、それほどの積雪があるようには見えませんでした。

 多少の残雪があっても、高温で解け始めてアイゼンなしで充分歩けたのではないでしょうか。真っ暗闇の中で小さなライト、初めてのコースの無知と不安が、自重するとゆう判断させてしまいました。ガムシャラに行けば良かったのですが (ほんの数10m上部に) まあ、初心者オヤジの真骨頂の判断ミスです。

白々とあけて来ました
傷心のオヤジこのまま槍に行くしかないな〜
想像以上の雪渓です、4時過ぎでしょうか
せめてこの明るさが あればね〜
後の祭ですが

 明るくなってきた槍沢をヨタヨタ登ります。悔やんでいても仕方ありません、(くどいようですが、もう30分遅ければ状況が見えたのに) (しつこいのや)スンマセン、それにしても天気だけは素晴らしい雰囲気を期待させます。

完全に夜はあけて
雪渓もボチボチ少なくなって来ました
よくある槍ヶ岳ショットです
初めての時はものすごく感動しました
もちろん今もですが
(なんやねん歯切れがわるいな〜)
それにしても素晴らしいピーカンです

 ヨタヨタ歩いたわりには7時過ぎに槍ヶ岳山荘に到着、小屋の前で出発準備をしていたグループのリーダーが、「えらいはやいですね〜、槍沢ロッジからですか」 「ええまあババ平からですが」 「テン泊ですか。今日おりられるのですね〜」 「ええまあ、そんな感じですが、まだわかりません」 それ以上話は進まず、西鎌の方に下りて行かれました。天気は最高、山荘前から見る富士は久しぶりです。

槍ヶ岳山荘直下から見上げる槍ヶ岳 槍ヶ岳山荘から見る富士山です
よほど好天でないと見られません

 オヤジは落ち着いてリュックをナップザックに作り直します、上にあがって見ないと判りませんが、ヘル装着、ピッケル、飲料500m3本、カロリーメイト2箱、ウインドブレイカー。身軽なので30分もかからずに山頂に。まだ早いので2〜3人の人がいるだけで、その人達もオヤジが着くと直ぐに下りて行かれました。

山頂に向かう途中で、子槍です 下降開始
普通はこれから登る状況の
ショットみたいですが
下りて来たのです
(なんかややこしいな〜臨場感に欠けるな〜)

 残ったのはオヤジ一人、さあーどうする、前方の北鎌、その先の独標 (p10) 手前に続くオヤジにはわからないピーク。下りる箇所はわかります。以前オヤジが山頂にいる時に、男性3人組が登ってこられて「ヤッター拍手おねがいします〜」と言われていたのが思い出されました。オヤジが槍の山頂に立つのは何回目でしょうか、ちょっと思い出せませんが、社の横を真剣に覗き込むのは初めての気がします。誰か他の登山者が見ていたら 「あいつなにしとるんや、だいじょうぶかなあ、飛び込むつもりとちがうか」 と心配するのではないでしょうか。しばらく覗き込んでいたのですが、体が勝手に下り出しました。

 (あ〜あしらんで)直ぐにオヤジが今まで経験した事がない恐怖感が襲います。そりゃそうでしょう、登る人誰もが穂先に取り付くのに、一番難関とされる二つのチムニーを、いきなりロープなしで下りるのですから。特に上から二つ目のチムニーは足を引っ掛けるポイントがなく、ピッケルに全体重をかけ腕を伸ばして、辛うじて小さな引っ掛かりがあったとゆう状態、通常はハーネストにカラビナ、ロープを通して下りるところでしょう。もちろん落ちたら、痛い!ではすまないです。確実に新聞沙汰でしょうね〜。

独標です、あそこまでいくぞ〜 本来下りるはずだった天上沢が見えます
悔しいけど雪は少なそうです
下りられたな〜
有名な穂先直下のチムニー
(岩稜の壁面に人が入れるほどの縦の皺)です
ロープ無しでは下りるのは危険極まりないです
(お前はどうしたんや)
{怖かったあ〜ション弁ちびったあー}
(きたないなあ〜)
北鎌に下りないと見られません
カニのハサミと遠くに富士が見えてますが
画面が小さいのでみえるかな〜
槍の穂先を見上げます
よく下りてこられました
しかし帰りは登らないと
いけないのですがね〜
ええな〜今回のお気に入りのワンショット
残月?明月? 蒼天、北鎌岩稜
(自己満足や)

 しかしこれで度胸がつきました、何とか二つのチムニーをクリアーして、その後もヤバイ場面が続きますが、もうとにかくせかず慌てず、カッコかまわず。岩に抱きつき、しがみ付き (どうちがうのや) ヘッピリ腰で下ります、これも後でわかったのですが、オヤジはズーと稜線を歩いたのですが、北鎌平から先は、下の斜面に比較的にはっきりとしたトラバースの跡が見受けられます。いくつかのピークを過ぎてやっと心理的に余裕が出来、写真を撮りだします。

 ピークの上に立つと天空に我一人立つ (なにカッコつけとんのや) の感ひとしおです。以後少し写真ばかりになりますが、北鎌の雰囲気を感じてもらえればうれしいです。

西鎌尾根方面
おなじみの双六などの山々が見えます
左端が笠岳です
硫黄尾根と後ろは裏銀座の尾根です
北鎌平の先の(独標に向かって)
P15?P14?この辺りはわかりません
北鎌平から槍を見上げる
右に子槍、孫槍は
北鎌からしか撮れないアングルです
厳しい状況でも可憐です
見習いたいです(だれがや!)
大変な思いで取り付けたのでしょうね〜
デザインもなかなか凝っています
千丈沢です
東鎌尾根方面です 独標が近ずきました。これでお仕舞です
(えーなんでやーそらあかんやろー
画龍点睛を欠く、あかんで〜)
オヤジの意地です(何のコッチャ)

 大分下って来ました、時間にして2時間、もっとかなあ〜独標が迫って来ました。ここでオヤジの足が止まりました。 (なんやどないしたんや、お腹でも痛いんか、足でも攣ったか) もったいない、このまま独標に行くのはもったいない、アカン、やっぱり下から登らんと気がすまん、独標は残しとこう。 (訳判らんことゆうな〜、そんなこと言わんと、そこまで行ったほうが楽やでー) ええのんやポリシーの問題や。オヤジは戻ります。誰がなんと言おうともう一度来ます。 (勝手にしたらー) 勝手にします、あ〜あわからんわ。

 戻るのは、上から見ていたトラバースを慎重に見極め戻ります、なんと下りの半分以下の時間で北鎌平に戻りました、山屋ロッジの兄ちゃんが言っていたとおり (結構踏み跡があるので、想像より楽に北鎌平までは行けるし、その後もトラバースは出きる、最後だけ慎重に行けばよい)と聞いていたとおりです。

 直下のトラバースルート途中に残置ロープがありました、普通お助けロープはありがたいのですが、此処では全く気に入らないです。己以外のロープを頼るのは此処ではそれこそポリシーに反する気がするのですが。もちろん他の山では、おおきに、おおきに、と頼らせてもらいますが、(なんかおまえ今日は理屈っぽくないか)

此処はそんなロープを頼る奴はくるな!と、槍が叫んでいる気がするのです。師匠や小てつさんが言われる無頓着なテープと同じ感覚でしょうか。まあいいですが、今度は難関チムニーを登ります、下るよりはズーと楽でした、緊張しますが、ロープの必要は感じませんでした。

オヤジは左の稜線を
下りて来ましたが
右のほうにトラバースの
ルートらしきものが見えます
帰りはこちらを通りました
安全で楽でした
こんなロープは絶対に残しては
いけないと思います
師匠がよく言われる
無神経なテープみたいなものです
折角のルートファイティングに
水を差します、美しくないです
(えらいゆうことが小難しくなってきたな〜)

 戻った山頂には誰もいませんでした、ひっそりと北鎌に下りてひっそりと戻ってきた状況は、よしよしオヤジ好みの状況です。まだピーカンの天気は変らずユックリ北鎌を見直し、周りの雰囲気を楽しんで、そうそう初めて山頂からau携帯が?繋がり、カーチャンに連絡、この時点で今日中にテントに戻り明日帰ろうと決めました。

 本来は下から北鎌を登り槍ヶ岳山荘で一泊、次の日、中岳から天狗池に下りもう一泊して帰るつもりでしたが、気持ちが萎えたので明日の帰宅をカーチャンに告げ山荘におります。

戻った山頂は誰もいませんでした どうしょうかなあ〜泊まろうかな〜
土曜日やし混むやろな〜

 山頂に戻って初めてそうやまだ何にも食べてないのやー、よっぽど緊張してたんや、デポしておいたリュックからラーメン出して炊きます、お餅も入れてやれやれ、後ははテントに戻るだけ、しかも設営済みです。それこそライトつけても戻れます。ヨタヨタ下りるオヤジ、天狗池分岐に来ました。

 ついでや逆さ槍見られたら幸いや、行ってみるかと雪渓横切り向かいます。アイゼンの必要は感じません、今日槍沢であった誰もがアイゼンは装着していませんでした。ところが池の少し手前であったアベックさん (古いよびかたやなー) は簡易の アイゼンですが履いています、聞くと中岳から降りてきたとの事でアイゼンが必要だったと聞きました、念の為持ってきたアイゼンが役に立ったとゆうことでした。

 やはり厳しい所もあるのや、オヤジは明日下りる予定だったので、まあ今日戻るのは正解やなーと納得、それより二人に聞くと池は全く雪の下で見えないとの事です。え〜なんやそれは30分ほど登ってきたのにー、今日はトコトンあかんなあ〜、まあ折角やし行ってみるか〜と少し登って写真でおなじみのアングルが見える所で写真撮影、但し池は足元の雪の下でした。まあ今回の写真はこの見えない天狗池からのショットで終わりにします。

逆さ槍どころか池の上に立って撮っています
あ〜あ今回はトコトンいじめてくれます
今回はこれでお仕舞です
秋のシーズンの紅葉を見てみたいです
もちろん天上沢から北鎌を再度挑戦です
密かに闘志を燃やすオヤジです

 最後に、テントに戻る途中、大曲で先に載せた状況をみて余りのショックに呆然、「なんでやー、こんな状況がなんでわからへんのや」余りの自己嫌悪にどうしてテントまで戻ったのか覚えていませんでした。テントに戻って食事もそこそこにさすがに疲れがドッと出て (16時間ほどの歩きになっています) 眠剤なしで寝てしまいました。

▼7月12日(日)

 明け方4時過ぎに寒さで目が覚めました。昨日のショックはまだ引き摺っている感じですが、まあもう一回出直せとゆうことや!と、自分を慰め明るくなってきた空を見上げて、よっしゃさっさと下りて今回は平湯の森の温泉や! これが又、湯の花が沢山浮いてオヤジ好みの温泉なんや、自分で自分を励ましながら毎度の難儀なアルプス街道、チンタラ、ヨタヨタ戻ります。

 日曜日とゆうこともあって、観光客で賑わう河童橋を横目に、バスターミナルからシャトルバスで、あがんだな駐車場に戻ったのは12時半ごろでした。上記の平湯の森は珍しく、施設の前の駐車場に一台だけ停められる幸運 (たいそうな) ユックリ浸かって¥1300のカツカレー(値段の割りにイマイチ)も食べてひたすら車を走らせ19時前には帰宅できました。

 今回は余りにもいろいろな意味で、槍ヶ岳に自然の厳しさ奥深さ状況判断の難しさ、それは準備の段階からですが、初心者オヤジ勉強させてもらいました。 感謝、 感謝。


◆今回特に追記メッセージです

 やはり北鎌は厳しいところです。オヤジは山頂から下るとゆう愚行をしましたが、正直やめたほうがよいです、確かに滑落の危険は半端ではないですが、もっとキケンなのは落石です。2トン以上もある岩が浮いてぐらついているのには驚きました。仮に下っている時に登ってくる人がいれば、キケンな状況はラクラクなどと叫んでもなんの効果もないと思われますし、相当離れた位置でも危ないし、浮石ごろごろの稜線上部は落石さす危険度は非常に高いです。落石は遭遇しても起こしても悲劇です。充分こころして必ず再度挑戦を誓います。



                             【洛西オヤジ記】