大峰山系 山上ヶ岳・稲村ヶ岳

(山上ヶ岳では多くの行者と
「ようお参り」の声が行き交う)

山上ヶ岳から稲村ヶ岳と弥山方面


2018年8月26日(日) 晴れ  森の旅人M

コース:
清浄大橋駐車場~洞辻茶屋~大峰山寺~山上ヶ岳~レンゲ辻~山上辻(稲村小屋)~稲村ヶ岳~大日山~山上辻~法力峠~母公堂分岐~母公堂~清浄大橋駐車場





 7月の懇親会時に洛西のおやじさんに,次は山上ヶ岳に行く予定と話をすると,それなら稲村ヶ岳にも寄って行くようにと勧められる。今の足なら大丈夫,行けると言ってもらう。稲村ヶ岳は全く頭に無かったので,位置とルート確認,ネット情報を集める。山上ヶ岳単独に比べると距離と時間が掛かるが行くことに決める。7月末の予定日に台風が近づき延期,その後行事も重なりようやく今回行くことができました。

 遠方のため2時起床,2時半出発。真っ暗な街をひたすら南へ走る。早朝5時過ぎに現地の清浄大橋駐車場に到着。ヘッドライトが必要なくらいまだ薄暗く,少し明るくなってから出発することにした。駐車場料金1000円は大橋茶屋にて支払う。

 駐車場東側奥の清浄大橋を渡り,奥駈道出合の洞辻茶屋を目指す。先行する家族連れ6~7人を目にして,女人結界門を潜り入山。比較的歩きやすく整備された杉林の道を進むと先行の家族が服装調整をしている。この修験の山の挨拶は「ようお参り」である。最初に出会った家族との挨拶も「ようお参り」だが,いつもと違い声がすんなりと出てこない。杉林の中は薄暗かったが,午前6時半になりようやく朝日が差し込み明るくなってきた。青空が広がる。

清浄大橋駐車場のトイレ(左)と大橋茶屋 清浄大橋
女人結界門 薄暗い山道を行く

 山上ヶ岳への道には茶屋と呼ばれる小屋が4軒あり,全て通り抜けるようになっている。有人が2軒。最初の一本松茶屋は無人,暗い中に腰掛けテーブルが置いてある。小学生を含む数人が休憩中だ。修験姿の老人の後をついて行くと,下山者が老人と話をしている。今朝ご来光を見に来た男性2人,地平線から上るご来光と富士山の写真を見せてくれた。

 歩きやすい緩やかな登り坂が続く。高度は1300mを超えて雑木林に変わっている。洞辻茶屋に着くと20人近い団体が休憩中で賑やかになっている。休息を取っていると団体のリーダーが出発時間を7時20分と皆に伝えている。団体の後ろは歩きたくないので,それを聞いて即出発だ。

洞辻茶屋 行者道へ

 明るい尾根道を登って行くと茶屋が2軒続けてある。1軒は有人だった。そこを抜けると修験者が登る鐘掛岩となる。その前に行者道と迂回路の新道があり,ここは行者道に入る。この道はこれまでと異なり急斜道になっており鎖場が2ヶ所現れる。少し険しくなり急斜面が続くので気を使う。その先に鐘掛岩が現れるのだ。今回は先が長いので鐘掛岩は登らず迂回路道にした。

鐘掛岩は登らない 宿坊の屋根が見えた

 修験姿の団体に出会う。小さな岩場を越すと宿坊の屋根が見えた。時間は8時前で多くの修験者が多数下って来る。多分前日に宿坊に宿泊した人たちに違いない。このころには「ようお参り」の声ははっきり出るがしっくりこない。岩場が見えて「西の覗岩すぐ」の標識,行ってみるとよくTVに出て来る岩場だ。岩場の鼻先は崖下になっており,怖くて進めない。修行と言え恐怖感満載だ。

西の覗岩 境内案内板

 修験者をやり過ごしようやく宿坊入り口に着いた。宿坊内の案内板を見て大峰山寺境内に行く道を確認。龍泉寺前を行く石段を上がって行くが足が重い。大峰山寺前の石段を見て更に重くなった。一歩一歩とようやく大峰山寺境内に出た。こんな山奥に立派な寺をよく建立できたものだ。

大峰山寺前の石段 大峰山寺

 休息後,山頂となっているお花畑と言われる所へ向かう。お花畑と言うもののササ原が広がっている。そして青空の下,大峰山系が一望できる。これから向かう稲村ヶ岳,大日山が近くにあり,その左奥には弥山が見える。この風景を直接見れてよかった。

山上ヶ岳山頂 山上ヶ岳から稲村ヶ岳(左)と大日山
山上ヶ岳から弥山方面 山上ヶ岳のお花畑

 稲村ヶ岳へ向かう。ササ原の北に向かうと稲村ヶ岳分岐の標識が立っている。鞍部となるレンゲ辻への下りは,正に急降下の感じで下って行く。狭い道に足元悪く更に多くの鉄梯子が設置されている。今日一番の緊張する箇所が連続する。レンゲ辻までにおじいさんに一人だけ出会ったが,登り道としてもきつそうだ。レンゲ辻に到着,ほっとする。ここにも女人結界門が立っている。

レンゲ辻下る こんな鉄はしごが複数ある
次々と橋が現れる レンゲ辻の女人結界門

 山上辻へ向かう。登り返しの急坂道を上がって行くと1517mの標識が掛けられている。ヤマトリカブトの鮮やかな紫色が目立つ。尾根の北側側面を巻いて西へ進む。日陰となって心地よい。尾根に戻ると今度は無名峰1642mの南側を歩く。ササ道となり道を被い隠している。道は山上辻へ緩やかに下っている。大きく左に谷を見て進めば,赤い屋根の稲村小屋に到着した。

稲村小屋へ登り返す ヤマトリカブト
尾根に出る ササ道になる

 山上ヶ岳が女人禁制のため女性の姿はなかったが,小屋前で女性を見る。稲村ヶ岳では飲食が不可となっているため,小屋前で昼食の助六寿司を食する。そこへ小屋の主人と男性が同じテーブルにやってきて座り話をしている。家族の話も出て結構知り合いのようだ。近くの木は早くも紅葉が一部始まっているとその方向を見ると確かに赤くなっている。昼食を済ませて稲村ヶ岳へ出発。

稲村小屋 稲村小屋,大日山への案内板

 小屋の主人と話をしていた男性も稲村ヶ岳へ向かうらしく先に行ってもらい後をついて行くが,すぐに距離は離れる。途中,写真を撮っている男性に聞くとシラヒゲソウと言う。その花を私もカメラに収める。

 大日山分岐に出るが先に稲村ヶ岳へ向かう。さらに急坂が続き体力の限界を感じる,展望台に上がると一気に疲れを吹き飛ばす光景が目に入って来た。西には山上ヶ岳から大普賢岳があり,南西には弥山方面と大峰山系の名だたる山が見える。先行していた男性と写真を取り合う。男性は地元吉野の方で年は一つ上だった。今回は2回目の登頂で,以前は子供が小学生の時と言うから相当昔の話のようだ。男性とはここで別れる。

シラヒゲソウ 稲村ヶ岳の展望台
稲村ヶ岳から山上ヶ岳 稲村ヶ岳から大普賢岳
稲村ヶ岳から弥山方面 大日山を見上げる

 稲村小屋に戻る途中では少し迷っていた大日山へ登ることにした。分岐にバックを置いて取付く,登山というより岩登りである。鎖場と水平,垂直の梯子が多く設置されている。所要時間10分のところ身軽なうえ誰にも会わずに5分で到着。残念ながら展望はないが祠が2基あった。下山時は上がる登山者5~6人出会ったが,狭い道のため下山優先で道を開けてもらった。

垂直はしごを登る 水平はしごもある
大日山山頂には祠が2基 洞川へ下る

 三山登頂を果たし目的は完了,ところが両足膝内側がつりそうになってきた。稲村小屋に戻りシップを貼る。山頂で別れた男性は小屋の主人と話をしている。再び二人は私の座るテーブルにやってきて小屋の主人は,「実は大日山が本当の稲村ヶ岳であった,稲穂の姿に見える大日山を稲村ヶ岳と昔は呼んでいた」と言う話だった。

 男性は来た道と違うレンゲ辻から下山すると言って出発して行かれた。私も法力峠から母公堂へ下山を始める。今日,歩いてきた道の事を思えば歩きやすいが,崩落した橋もあり他にも多数の橋に岩場もあり楽な道ではなかった。途中34人の団体と出会う,長く伸びた列は終わりそうになく長く待つことになる。

 下って行くと雑木林から杉林へと変わって行く。しかし予定時間歩いても法力峠になかなか着かない。休憩を入れてようやく峠に着いたが長かった。足の調子はシップが効いて悪くないのに足は前に出ていないようだ。母公堂分岐までも長く感じた,出会った人に確認すると「すぐそこです。」の声に安堵する始末。ようやく母公堂の道路に降り立ち今日の山行をほぼ終えることができました。

崩壊した橋の脇を通る この道にも橋は多くある
歩きやすい道 法力峠
母公堂分岐 母公堂に下山

 清浄大橋駐車場へ約2kmを戻るため歩いていると,前方から見たことのある人が近づいて来る。例の稲村小屋で別れた男性だった。まさか再び会うとは思わなかったのでびっくりだ。深い縁があったのかもしれない。

 今回のコースは18km,5時半出発の14時45分到着で9時間15分でした。

 汗を流すため洞川温泉に寄りましたが,多くの入浴客で駐車場も温泉(600円)も一杯でした。のんびりとできなかったですが,すっきりして無事に帰宅することができました。天気に恵まれまた人との出会いもあり感謝,感謝です。


                           【 記: 森の旅人M】