京都北山 大見尾根へ行ってみました 2019.04.13 |
残雪の武奈ヶ岳 蓬莱を望む |
2019.4.13(土) 晴 18℃ Ikomochi
コース: ・出町柳発広河原行バス7:50→山の家グランド前を過ぎた林道入り口9:25~滝谷林道~滝谷の沢 古道へ10:05~大見尾根三叉路11:50~休憩11:55=12:35~大見尾根本道13:00~滝谷山13:40~杉ノ峠14:35~花脊峠14:50~水場15:00=出町柳行きバス15:15 暖かい日が続き近所の桜も辛夷も散ったので、山のタムシバもそろそろ咲くころ と大見尾根に行ってみました。 ---------------------------------------------------------------- 3月いっぱい通行止めが続いていた広河原行のバスもやっと運行再開したので、まずは大見尾根のご機嫌伺いに出かけた。出町柳バス停は長蛇の列なのでびっくりしたが、広河原行きは私が1番でやれやれ。朽木行きは増発が出てそれでも立っている人も多い。 広河原行も出発するときには満員になり、隣に座った女性と言葉を交わすことに。朽木行のバスが出ていることに驚いているのでどこから来たのか尋ねると、神戸から朝4時半出発で来たとのこと。雲取山にグループで行かれるそうだ。それからぽつりぽつりとおしゃべり。先週は藤原岳に行ったとか、精力的に歩いているようで感心した。道中楽しかったですと、花脊高原前でバスを降りた方々に手を振った。 私は山の家グランド前バス停を少し過ぎたカーブの先で降ろしてもらった。自由乗降は便利だ。手に入れた明治28年の地形図によると、花脊別所から大見尾根に滝谷を詰めていく破線道がある。かつて大見尾根の滝谷の分岐から踏み跡を探して下ってみたのだが、滝の上に出て身動き取れず、最終は細い作業道を見つけて林道に出たときはほっとしたものだった。
その後滝谷を行き来するときは、尾根から植林地の中の直登する作業道を利用して歩いていた。あの古道は途絶えてしまっているのか、ずっと気になっていた。滝谷の林道は湿気て苔や日陰の花が咲き始めていた。お久しぶりのミヤマカタバミも猫の目草、胞子をつけたゼニゴケも。数は少ないがぽつぽつと姿を見せる。
林道が終わり、沢沿いに細い踏み跡が延びている。たどっていくと大きな滝の下に出た。2.5mほどあろうか。水量もあって立派。対岸に踏み跡らしきものがあるが、渡渉するにはまだ水も冷たいのでまた夏にでも来よう。 滝から先は道が途絶えるので、引き返して杉林の中をよじ登っていくと、作業道があった。かつて下ってきた道だと、倒木を越え木の幹につかまり斜面を上に進んでいくと、滝の上部のあたりを巻く道になった。足元の谷をみると、先のほうで3流れほどに沢が分岐しているようで、白い流れが見えるのでずっと小滝が連なっているのだろう。先ほどの大きな滝の上部にはかつての巻道跡らしきものが崩落してあったので、ここが滝谷の破線の道だと確信した。
滝群を過ぎ、植林地の上に来ると足元に小さな沢が流れている。もう滝はない。沢沿いに道らしき平らな場所が続いているので、沢沿いを遡ることにした。次第に尾根の上が見えてきて、谷あいには炭焼き釜の跡などもあり、いい感じだ。炭焼き釜跡から直ぐの支尾根に登ろうかと考えたが、古道の破線は谷をそのまま詰めていたので源頭部まで行った。
緩やかに広がる大きな源頭部。そのまま尾根の上を目指してジグザグによじ登った。最後は傾斜がきつくなったので草の根をつかみながら息を弾ませた。きっとどこかに無理せずに尾根に登る道型があるはずだが、探し出せなかった。ふーふー言いながら奮闘していると、紫のスミレが咲いている。励まされて登っていくと、そこかしこに紫の花が顔を見せ、来てよかったと嬉しくなった。
登りつめた場所は、丁度大見尾根の道が左右の源頭部をカーブしながら次の尾根に乗るところだった。少し北へ進むと、小さなこぶに出た。「滝谷、大見尾根、小野谷」の古い標識が地面に横たわっていた。この標識に初めて出会ったのは16?年前。 大見尾根の鯖街道から尾根道へのとりつきが分からず、okaokaさんに教えを乞い親切に教えてもらったご縁でokaokaさんと親交を結ぶことになったが、熊笹や下草に覆われて踏み跡もはっきりしなかった尾根道をこわごわ歩いてきて、思いがけずこの古い標識に出くわした時の安堵感は今でも忘れることはない。そんな思い出の大見尾根三叉路。古い標識を、木の幹の間に倒れないように立て直した。
このこぶは木々に囲まれたぽっかりした空間で、休憩には最適。ここを行き来した人はきっと誰もが一服したことだろう。春の日差しが暖かく汗ばむほどだ。小鳥が警戒してわたしの周りで飛び回っている。タムシバは咲いているかな とあたりを見回すが、尾根の木々はやっと冬の目覚めから春の準備を始めたばかりで、真っ先に春を告げるタムシバの白い固まりはちらともない。 まあいいや、陽だまりで弁当を食べていると、かすかに人声が。尾根の下の方の鯖街道を団体さんが歩いているのかなと考えていると、藪の中からひょっこり現れた男性2人。私が座っているのでぎょっとしていたが、「こんにちは」「あっ ヤマランですか?」と声を掛けると安心されたようで、しばらく話が弾んだ。ヤマラン姿のお二人、なんでも6時に八瀬を出発して、ナッチョ 天ヶ岳などを走りこれから峰床、皆子と回って八瀬へ帰るんだとか。 京都の山10山を走るコースだとコース図を見せてもらったが、確かに八瀬から北上して楕円形に尾根は繋がっている。「ここの尾根は道が分かりにくいですね」と2人。地図を見ながら初めて走ってきて走破するのだろうか?予習はなし?とかもっと聞きたかったけれど、「もう時間オーバーしているから先を急がない間に合わない」と走り去る二人。しかしここまで6時間いくつ山を越えてきたんだろう。10山とは?瓢箪崩、金毘羅,翠黛、焼杉、ナッチョ、天ヶ岳、滝谷、知世路、峰床、皆子…だろうかどうだろうか?と思案する私。世の中 ほんまにいろんな楽しみがあるもんだ。
わたしはここでまったり楽しもう。新聞紙を広げて寝転がってうとうと。さて、ヤマランの人が八瀬から6時間でここまで来たのに、私はひとつの谷に2時間かかってしまった。しかも最後の源頭部登りで疲れた。この先を乗越して行くつもりだったが、もう先はなし、帰ることにしよう。 久々の大見尾根、びっくりしたことにはあんなにびっしりと生えていた熊笹や下草が全くないこと。樹々の下はスカッと見通しがいいというかなんというか。尾根道から鯖街道への取りつきもがさがさの斜面地で、下った鯖街道のカーブ道は相変わらずの泥濘だった。 かすかにガソリンの臭いがするのはモトクロスバイクが走り回っているからだろう。冬枯れもあるかもしれないけれど、もう少し風情のあるいい道だったのに、殺伐とした土の道が延びているだけでちょっとがっくり。
横道にそれて尾根上の道を拾いながら陸地谷の入り口に着いた。ここで咲き始めたばかりのタムシバをやっと発見。白い花びらが初々しい。陸地谷の源頭部も周囲の尾根も枯葉の茶色一色でなんとも殺風景。鹿害は凄まじい。鹿だけのせいかなあ。
滝谷山に登り、尾根道からまだ冠雪している比良連山や遠くの北の山並みを眺めて、やっとやっぱり大見尾根はいい道や と思ったけれど、山はどこも荒れ様がひどい。悲しいことだ。
杉ノ峠のお地蔵さんはこんな世の移り変わりをずっと眺めてはるんやろうな と久々にご挨拶。ぽっかり空いた空間が寂しい花脊の鉄塔跡。まだ工事は続いているようだ。
花脊峠の温度計は17℃で今日は汗だくになったので顔を洗いたいものだと、車道を下った。峠の水場を守っていた杉の大木は根元からひっくり返り土がむき出しになっているけれど、水は相変わらず冷たく甘く、口に含むと疲れがとんだ。水場でバスを待って手をあげ、今日は自由乗降の恩恵を受けた日だった。
朝ご一緒した女性が出町柳で声を掛けてきた。彼女たちも雲取山を満喫したそうだ。お互いによい山歩きでしたね~と別れた。今日もいろいろな出会いがあった一日だった。 【 記:ikomochi 】 |
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