三重ヶ嶽
2020.04.11


いたるところでたくさん咲いています
三重嶽 八王子谷東尾根


令和2年4月11日(土)  晴れ        小てつ単独

コース:
・石田川ダム湖周道路 稲妻号デポ~落合長尾登山口~三重ヶ嶽~P950~八王子谷東尾根~デポ地





 まったく新型コロナウイルス蔓延の影響で、不要不急の外出は控えるようにとのお達し。うかうか山装束で電車に乗っていたら、冷たい視線を投げつけられるそう。それよりもウイルスくっついてきたら大変だ。こうなったら、単独で「ドアトゥ登山口」の山行しかない。という訳で、公共交通機関利用の方々には申し訳ないが、稲妻号にて三重ヶ嶽の様子を見てきました。

 朝はやや早く、6時40分頃自宅を出発。出町柳のバス停に人影は無い。(コロナの影響か、まだ早いせいか?)だが、坊村の葛川センターの駐車場にはもうすでに何台か車が停まっているので、マイカー登山者は出てきているようだ。

 ややすいているR367をひたすら北上し、8時に石田川ダム広場に到着する。(昨日までダムに至る道の道路工事がされていて通行止めだったんだ。今日来てラッキー)ダム湖周道路のゲートが開いているので、前回同様に、稲妻号と言えどあまり突っ込んで行かず、八王子谷の手前の道路の広いところに稲妻号をデポして準備をし、8時20分出発。

 湖周道路の野草など探しながら落合の長尾登山口まで、アスファルト道を歩いて行く。スミレの同定はテンナンショウやネコノメソウと同じでやめにしたので、ひとくくりスミレと言っているが、白いのやそれこそバイオレットブルーのものや、サンシンなどたくさん咲いている。イカリソウが咲き始めているが、イチリンソウ、ニリンソウはまだのようである。でも、イワカガミがほころびかけているというのは、なんかバラバラ。

イカリソウ サンインシロカネソウ

 ワサ谷の登山口に車を停めていた釣りのおじさんが、折りたたみ自転車で追い抜いて行ったと思ったら、前で停まって山の方をうかがっている。どうしたのかと思ったら、「今、熊がいた」とのこと。道路に降りてきていたのが、山に逃げ込んで行ったという。お互い気をつけましょうと言葉を交わす。おそらく芽吹きだしたイタドリの新芽か何かを狙って川に降りてきているのだろう。山の中には食べ物らしきものはは無いだろう。熊さん、今年は雪無しでちゃんと冬眠できたやろうか?

咲いている木では見事なのだが(タムシバ) 長尾登山口

 デポ地から40分ほどで長尾登山口に到着。ここでスパッツを着け、ストックを伸ばして斜面に取り付く。下の道では全く出ていなかったフデリンドウを、今回は見つけるものの、まだつぼみだった。

 植林地を抜けると、それほど高くない雑木の森となる。低木なのは雪の深いところだからだろう。低木といっても若木ではないので、桜やタムシバはたくさん咲いており、花の位置が近いので、鑑賞にはもってこい。おそらく独り占めだろう今日の長尾の花見を楽しみながら、遠い遠い三重のピークをめざす。

フデリンドウはまだつぼみ ショウジョウバカマ

 イワウチワは咲き出しているが、まだまだつぼみが多く、来週、再来週くらい楽しめるだろう。上の方のタムシバもまだ固いつぼみ。カタクリの葉っぱを探すが、まだ出ていなかった。じゃぁ花はまだまだやね。

長尾側のシャクナゲに花芽は無い イワウチワ
バイカオウレン 三重のブナはまだ芽吹いていない

 2時間半がんばって三重ピークに到着、当然貸し切り。ピーク写真だけ撮って、いつものようにひとつ北の草稜に向う。折りたたみ椅子を出して、三十三間山の向こうに見える小浜湾を見下ろしながら、コンビニおにぎりをお茶漬けにして食す。おさかなソーセージもおかずにするが、10分で食事も終わってたつ。

 縦走路に戻り、高島トレイルを南にたどっていると、単の男性登山者が登ってきた。「ダムからですか?」と尋ねると、そうですとのこと。ワサ谷から登ってこられ、三重は初めてとのこと。いい山ですねとおっしゃるので、「はい、それで私もかよっています」と答える。ルートを聞かれるので、「これからP950の尾根を降ります」と言うと、私もそこで降りますとのことだったので、朝、下の道に熊がいたこと、最後のつめで左の尾根にむかわないことを伝えると、ヤマップとか言うアプリを見ているので、大丈夫とのことだった。

三重ピーク(うしろは武奈様) 三重のピークまわりには残雪がある
三重北の草稜から三十三間山と小浜湾を望む

 男性と別れて、P950に向う。昨年秋に、カップルが間違ってP950に来ていたが、あらためて分岐のところに来てみると、ちゃんと標識がたっていた。なんで間違ったん???。

 P950のメデューサに挨拶をして、あたりを見渡すと、こっちにはカタクリの葉っぱが出ていました。 こちらの尾根はややブッシュが多いので、いつもは出していない熊鈴を出し、時折立ち止まってけたたましく鳴らす。(ずっと鳴らしっぱなしだと、相手の気配がわからなくなる)時々、羽根をはばたくような音がするのは、カケスか何か山鳥が、巣の近くにきた獣の気をひくため、怪我をした鳥のマネをしておとりになっているものと思う。ただ、鳥が気をひいている獣が小てつなのか他の獣なのかわからないので、そこはややビビる。

P950のメデューサ P950付近にはカタクリの葉っぱが出ている

 しばらく降るとシャクナゲの群生地になり、花芽の様子をうかがうと、やはり株によって、たくさんついているのと全くないのとがあるなぁと見ていると、なんともう咲き出していて、なんとラッキーと喜ぶ。

シャクナゲのつぼみがたくさんある と、思っていたら咲いていた

 ところが、最初にシャクナゲの葉っぱをかきわけて抜け出すと、いきなりズボンに小ダニがくっついてきた。まだ寒いのにもういるんかい!と、仕込んできていたキンチョープレシャワーの新製品をズボンとザックにかける。それからブッシュをぬけるたびにチェックをすると、つくわつくわ、たんびに5匹、10匹とズボンについてくる。

 いつぞやの「芦生短信2」のF本氏のレポにあったのだが、背丈ほど高いブッシュにはダニはあまりおらず、腰ほどの高さのブッシュに多いというのは、やはり奴らは鹿につくのを目的としているのがわかる。証拠に、これほどついてくるダニは、スパッツの上端から股まで間に集中している。つまりは鹿の胴体の高さというわけだ。

ズボンについた小ダニ ダニにも効く?プレシャワー

 もう一度、プレシャワーをふともものあたりに追加噴霧して、今度はユズリハのブッシュに立ち向かう。ここでも葉っぱに触れる度ほどについてくるが、プレシャワーのせいか、低温のせいか動きはにぶく、すぐに指ではじき飛ばせる。広いところに出る度にザックもおろして点検するが、プレシャワーをかけてからはザックについていることは無かった。

 ほんまに単独で来てコロナ対策してるのに、ダニに噛まれて違うウイルス移されてSFTSになったら洒落にならん。とにかくこんなのは初めて。河内谷のノトマタルートのシャクナゲブッシュでもダニがひどかったが、今日のここほどでは無かったし、増えてるのかたまたまなのか?三重ピーク近くで出会った単の男性は、ダニのことは知っているだろうか心配になって、ペースを落としてゆっくり降っているのだが、追いついては来なかった。

 ダニも全部が全部ウイルスを持っている訳では無く、ウイルスを持っている鹿など獣の血を吸ったものが伝染させるのであって、今年生まれたと思われる小ダニはあまり心配ではないが、中ダニにも何匹かはくっつかれたので、もし単の男性がこのレポを読まれたら、ダニに食いつかれていないか体中のチェックをしてほしいと思います。あと服や装備も点検してみてください。

ザックについた中ダニ

 ユズリハのブッシュ帯を抜け、植林地に入るとホッとする。ただ、ここで気をつけなくてはいけないのが、標高650m付近で左手の尾根に入らないこと。前回はそこで痛い目をみて落石防止ネットをつかんで降りるハメになった。

 今回は何で引っ張られたのか検証すると、向って右手は植林で左手が雑木、踏み跡はその間にあって、尾根のややひだりにある。そのままたどると左手に赤いテープが二つ見えて、前回はそれに引っ張られたようだ。よく周りを見てみると、右手に尾根があり、そちらの方によりたくさんテープがつけられている。

 おそらく左手の少ないテープの方の尾根は、八王子谷と落合の中間の「間谷」の橋のところに出てくるルートのものなんだろう。いつも下道を歩いているときに、橋のたもとにテープがあり、何だろうと気にはなっていたが、ほぼ崖なのでまさか登山口をしめしているとは思わなかった。いろんなルートを開拓する人がいるもんだ。

 14時20分に車道に着地。朝よりも咲いている野草を見ながらデポ地に戻り帰り支度を終えても単の男性はやってこないので、ゆっくりしているようだ。ひょっとしたら、P950の南尾根ではなく長尾に向われたのかとも思いながら帰り道にたつ。途中、ワサ谷の登山口のところに京都ナンバーのコンパクトカーが1台停まっていたので、おそらく単の男性のだろう。

今日はちゃんと降りてこられました(八王子谷登山口) スミレはそれこそいろんな種類が
ヤマルリソウ ダムの桜は満開

 三重ヶ嶽はこれからが春本番でした。


                           【 記: 小てつ 】