砂迫から畑ヶ岳(南丹・日吉町
2021.11.04
砂迫の山頂プレート
2021年11月4日(木)   晴                長岡山人

コース:
・四ツ谷バス停8:40-P3789:20-砂迫10:15-鞍部51511:05-P66511:40-中央分水嶺尾根12:15-P61412:35-P58713:15-No96鉄塔13:40-No99鉄塔14:35-林道保谷線14:55-JR胡麻駅15:35 (調査、休憩時間を随所にはさむ。)





 南丹市日吉町にある砂迫(572m)から畑ヶ岳(587m)にかけて縦走した。なじみのない山だが、丹波の里山の踏み込まれた道、山々の景色と展望を楽しめた。

 人に会うことはまずない山域で、標識もほとんどなく、方向に迷うところも何ヵ所かある。現在位置を確認しながらの山行が必要である。

四ツ谷バス停 取りつく山

 JR園部駅前から出る市営バスに乗り、日吉町の四ツ谷で下車する。岡安神社の横を進み、今谷橋を渡る。集落の奥の家の横を通って山に近づくと墓がある。その横が登山口である。何の表示もないが、踏み込まれた道を昇っていく。かつてはテレビ共聴アンテナのケーブルが埋設された道で、長年、メンテされてきたことがうかがえる。(現在、アンテナはない。)古道には枯れ枝が積もっているので、尾根筋の歩きやすいところを登っていく。

この家の横を入る 踏み込まれた歩きやすい道

 H=460mを過ぎて傾斜が急になると、アセビの群落が増え歩きにくくなる。それを避けながら、尾根筋を詰めていく。ここから道は踏み跡程度になる。H=530mを過ぎると、ヤブはましになる。砂迫(572m)の直前は急登なので、青い頂上空間が次第に広がっていくのを楽しみに歩を詰める。

ヤブを避けながら登る 頂上直下は急登

 砂迫の頂上の展望はない。残念である。三角点の周辺にわずかな空地があるのみである。

 ここからの進路に注意が必要である。登ってきた方向の延長感覚のままでは西南方向に進んでしまう。山頂から一度戻る感覚で、北に進路を定めて進まなければならない。

 降りていく尾根は、踏み跡がなく、生え込みの少ない広尾根なので、心もち西に寄るようにしてH=490mの鞍部に降りつく。

砂迫の三角点 北の広尾根を下る

 ここからは再び踏み跡が明瞭になる。しかし、H=540mの小ピークを越えた頃から、右側にネットが始まり、ヤブが現れる。尾根筋のヤブは邪魔になるので、やや左下のヤブのましなところにかすかな踏み跡があるので、それを探しながら進んでいく。

これから進むP665の姿 H=515mの鞍部

 P665に登りつくと、東北方向の展望が大きく開ける。北は若狭国境稜線から三国岳、東は比良までの展望と思われるが、同定できない。近くの大岩山と美山町の平屋富士だけわかる。コースの最高地点であるが、山頂名はない。

 ここから先の平坦尾根にはアセビとユズリハのヤブもあるので、それを左右に避けながら進む。わずかな距離だが煩わしい。

鉄塔の目立つ大岩山 ヤブが煩わしい

 平坦な尾根を進んでいくと、突然、立派な道に出合う。右手の山から、緩やかにカーブして降りてきて、南に進んでいく道である。丹波広域林道からの道で、中央分水嶺を構成する尾根道である。

 歩きやすい、踏み固められた、快適な道を進んでいく。モミの大木が多い。道は稜線のピークと北風を避け、概ね東側に、水平に付けられており、古人の工夫がうかがわれる。

 以後、はるか西北方向には、頭巾山、天狗畑、長老ヶ岳などの山々が、かすかに見えるのだが、木々の葉が邪魔をしている。

丹波広域林道からの道に合流 歩きやすい水平道

 P614の次の小ピーク560mの手前に分岐があり、右上に進むよい踏み跡がある。これは鉄塔NO94に向かう巡視路なので、貧相な水平道を選んで進むこと。

 P587は岩が露出する急登だが、巻こうとせず、正面から登ったほうが良い。

 そうこうして尾根を進んでいくと、H=580mの小ピークにはNO96の鉄塔がそびえ、西側の展望が良い。

この分岐は水平に進む NO96からの展望はお勧め

 そのあと80m下って、80mを登り返すと、ようやく畑ヶ岳に着く。長かった。広々とした平地に整地されている。ここからは西方に展望が得られる。

 ここから東に、鳥ヶ岳に向かう分岐があるが、時間的・体力的に略した。少し下ると、鳥ヶ岳の大きな姿が目の前に現れる。

畑ヶ岳の三角点と標柱 西南方向に下っていく

 畑ヶ岳の40m下に、NO98の鉄塔が立つ。

 その下、H=420mの裸地には、二つの大鉄塔が並び立つ。地理院地図ではそれぞれ「くの字」型に折れ曲がって描かれるが、近年、大工事があったようで、現在の送電線はクロスしながら真っすぐに張られている。大飯と高浜の原発、舞鶴石炭火力からの電気が運ばれる。

 この地点では、今日一番の大展望が得られる。多紀アルプス、深山、半国山から六甲山まで見えるようである。(『京都丹波の山(下)内田嘉弘』を参考)。

大鉄塔がそびえる 地元有志による案内表示

 展望を楽しんだ後、最後の下山にかかる。裸地の東南に、関電巡視路の黒いプラスティックの階段が続く。150mを一気に降りる。急なので、登りには使いたくない道だ。

 15分ほどで、林道保谷線に降りついた。改修中の保谷池の横を進み、刈り取りの終わった田畑を見ながら、東胡麻の集落を通って、JR胡麻駅に向かった。

黒いプラ階段を降りる 林道からの登り道

 低山であり、スタート・ゴールとも標高200mなので助かるが、それでも縦走なので、正味高低差は750mある。加えて、急登、ゲキ下りが何ヵ所かあるので、決して甘く見ないこと。1日の山行として十分満足できた。体力に余力があれば、鳥ヶ岳(542m)まで足を延ばすコースも可能である。

 駅前の内藤商店にはお酒があり、駅舎には地元産食品の販売店舗もあった。車窓から、歩いた山々、行きたい山々を思いながら、ほろ酔いの至福の時間を過ごす。僕は、「呑み鉄」をするために、山に行っているのかもしれない。

砂迫 位置図

畑ヶ岳 位置図


                          【長岡山人 記】