天狗杉山を望む
今冬は大雪だ。雪道を歩くのは2018年冬以来なのでわくわく。2021年6月以降コロナワクチン接種1回目で続く微熱や倦怠感などでびっくりして精密検査し1か月体調不良、やっとましになったと喜んだら8月末にデルタ株に感染してしまい自宅待機で過ごした。幸い軽症だったが、眩暈と血圧180に始まった倦怠感や微熱他の体調不良に、かかりつけ医にウィルス性疲労症候群後遺症といわれ6か月は辛抱との診断で、じたばた過ごした。
自宅待機解除後久しぶりに行ったトレーニングで、片足立ちバランスができなくなっていたのには先生共々びっくりした。毎週の整形外科リハビリと月2回のトレーニングで弱り果てた足腰の筋トレに励み、通勤途上の階段の上り下りに膝の痛みも軽くなったのは6か月後。デルタ株感染軽症者と言われたのに、感染以後食べたくなかった大好きな韓国料理の辛さがこの1月にやっとおいしく感じて、じつは味覚障害もあったんかと驚いた。そしてわたしのコロナ後遺症はほぼ終わった。同じく軽症だった家人は、解除後肺炎が見つかりいまだに治療中。未知のウィルスコロナはなかなか手ごわいです。
そんなこんなで体調が万全でない私を家人が心配し、ましてや雪山の準備で用具が増えていくので、一人で雪山にいくのは反対だと言われ揉めた。無茶はしないからと約束して、久々にスノーシューやらアイゼンやら着替えに食料と山ほど詰め込んでずっしり重いザックを担いで出かけた。ほんとうは1月22日に行く予定だったが、喉が痛くてもしや?と大事をとった。道子さんからは花脊峠の雪情報をもらいルートの相談にのってもらった。okaokaさんの報告では大雪で苦労された様子、わたしも数年ぶりの大雪なので着替え一式、手袋、防寒ウェアーに、携帯電話の充電池に運動靴、まさかのロープ。あれもこれも余分に持ちすぎて荷物はいっぱい。次からはもう少しスリムにできるだろう。
出町柳の広河原行きバスには、大きな荷物を抱えた子連れの家族が幾組もいてバスは満員に近い。後で知ったが、花脊山の家でお泊りイベントがあったようだ。バスの中でお腹が空いたので、昼用に買ったおにぎり3個とパンまでパクパク食べて満腹状態。貴船、鞍馬と期待の雪は殆ど溶けてなく、予定通り花脊峠まで行くことにした。峠道の雪はきれいに除雪され、京都バス冬のチェーン要員さんの出番はなくすんなり峠に定刻到着。
出町柳バス停 | 花脊峠零下1℃ |
峠の温度計は-1℃だが、風がなく心地よい冷たさ。さっそく杉ノ峠へと林道に進む。先週の大雪の名残で深く掘れたトレースの筋が延びている。雪は凍ってザクザクがちがち。これじゃスノーシューで遊べないかも。杉ノ峠まで無雪期の歩行時間で到着して、雪にすっぽり埋もれたお地蔵さんに会う。さてどうしたものか?鉄塔跡地への車道もトレースがあるがスノーシューは出番なさそう。とりあえず、峠の広場がふわふわの雪に覆われていたのでスノーシューを履いて練習。
トレース跡が残る | お地蔵さんも雪の中 |
杉ノ峠から比良を望む |
今回、9年ほど前に買ったMSRのスノーシューを出してみたら留め具のプラスチック部分が変色していた。怪しいなあと懸念したが、okaokaさんから歩いていたらベルトが切れた情報、そしてキムケンさんのプラスチックが割れた情報が相次いで入り、慌ててロッジに走った。バーゲンになるのを待ってと様子見に行ったのに、先週にスノーシューがほとんど売れてサイズがあうのはこれだけしかありません!アメリカの工場も生産ラインが人手不足で運輸も滞っておりいつ入荷になるか?と店長さんに言われて、考える間もなく「買います!」と言ってしまったスノーシュー。新雪の平原歩きにはいいけど、ちょっと幅も長さも大きいアトラス。まっいいか。
雪原に狐の足跡が | こちらはウサギ |
これは人間 | 止む無く購入のアトラスシュー |
5年ぶりの雪原歩きは気持ちよく、久々のスノーシューの足元の取り回しも難なくできた。本当は杉ノ峠から尾根道を百井谷へと下りたかったのだが、残念なことに広河原線のバスが減便で3時発が廃止。鞍馬まで重い荷物を担いで下るには体力回復度が分からないので、ここはあっさり花脊峠11時半のバスまで尾根道で遊ぶことにしよう。
大見尾根を少し行くとラインOLの看板があった。これってなに?と前から気になっていたので、林道から尾根に登る。ふわふわ新雪でないのが残念だが、70センチ以上はありそうな雪の上をざくざく歩き、見晴らし台から市街地を眺め、動物たちの足跡やおしっこの跡を探し、静かな雪景色に浸った。
ラインOLへ行ってみる | 京都市内展望地 |
誰かの尿跡(わたしじゃないよ) | 動物の足跡がいっぱい |
コーヒーを飲もうとカップを雪の上に置き熱湯を注ぐとあっという間に雪の中に沈み、アイスコーヒーになりかけてしまった。誰か苦労してわかんで歩いたらしく、深い穴が。ラインOLは大見尾根稜線ラインの略か?(調べると、どうもオリエンテーリングの略らしい)この尾根の上でまったり過ごし、花脊峠の林道へと斜面を下った。6人ほどのグループが雪遊びに来て斜面で戯れている。凍結のない峠車道では自転車レースの人たちが登り下りの練習に励んでいた。
クイズの答えは? | アイスコーヒーになった |
峠で時間があったので、天狗杉への道も覗きにいったが、こちらも積雪は少なく難なく登れそうだった。2時間半たっぷりうろうろほっつき歩いて、まずは堪能した。朝たらふく食べたので持参の食料は手付かずで、出かけた時そのままに重いリュックはバスの座席から立ち上がる時にかっこよく持ち上げられず、おっとととよろけ周囲の失笑をかった。車道を鞍馬まで歩かなくて正解だった。
自転車マンたちが練習開始 | 上賀茂神社にお詣り |
下山の時間があまりにも早いので、途中下車して上賀茂神社に立ち寄ることにした。鯖煮定食で有名な今井食堂に寄ってみよう。お店に行くと行列だったが、土日は持ち帰りのみの販売。お弁当を買い、上賀茂神社の馬場の芝生に陣取り休憩。風もなくほかほか温かい昼下がり、家族連れがたくさん遊んでいた。さっきから法被を着た神社の人がうろうろしているなと思ったら、「2時から芝焼きをしますから芝生から出てください」と声をかけられた。
上賀茂 今井食堂の鯖煮 | なにやら神事が始まり |
芝焼き神事 | あっという間に火が広がり 春の準備 |
春にきれいな新芽が育つように芝を焼くらしく、梵天と小さな社が飾られた祭壇が作られ正装した神主さんが厳かに神事を執り行った。そして小さな社の中の?燭の火を竹ぼうきに移し、点々と火をつけていった。広い芝生はあっという間にちろちろと赤く燃え広がり薄紫の煙で覆われた。30分ほどで一面黒く焼け焦げた。この神事は節分までの天候の良い日に行われるそうで、春を呼ぶという。まったく思いもかけない行事に遭遇したもんだ。煙の中を歩き厄が落ちたかも。春から幸先がよい。あの蝋燭の灯は忌火という神聖なものだそうで、古式にのっとり火起こししたものだろう。京都の奥深さに触れた時間だった。
注意深く火を広げていく | もうすぐ節分祭です |
その後2月になっても大雪の日が続くが、所要があったり天候が悪かったりで、次の雪遊びに行けていないのが残念だ。しかし、落ちていた筋力が戻り、たぶん11キロはあったと思うザックを担ぎ、重い登山靴とスノーシューで歩いてもへこたれない体力が戻ったことがなによりの喜びです。心配していた家人にはラインでリアルタイムの写真を送信したら少し安心したようで、「たのしんでますねー」とコメントをくれました。
【 記: ikomochi】