京都北山を中心とした山々を楽しむ okaokaclub

大比叡
2023.06.17

毎朝エールを送ってくれた比叡山


日程:
・2023.06.17(土) 晴れ 26℃  ikomochi

コース:
・出町柳発9:37→八瀬比叡山口9:51=比叡山ケーブルカー10:00→ロープウェイ→比叡山頂駅10:18=大比叡三角点10:40~横川行きシャトルバス11:00→横川バス停11:20=横川散策~常光院~比叡山ドライブウェイ~横川バス停14:30→延暦寺バスセンター14:43=京都駅行きバス15:11→百万遍15:51~出町柳



比叡山案内図

 5月半ば10日間入院していた。ドーンとそびえる比叡山が病室の窓から真正面に見え、毎朝昇る朝日が元気をくれた。体調が落ち着いたら、まず一番に比叡山にお礼に登ろうと決めていた。比叡山からのパワーが届いたせいか、お医者さんもびっくりの回復力で2週間後には普通に生活していいですよと言われたが、さすがに自粛して山歩きは1か月待った。

叡電で比叡山へ 八瀬駅

ケーブル駅への橋がない! 大回りして橋を渡る

 リュックを担いで山道を登れるのか手探りなので、最低限の荷物を入れて5キロほどを担ぐ。比叡山へ登山口から歩いて登るのはやめて、ラクチンコースのケーブルカー、ロープウェイ利用で山上駅まで行った。たくさんの観光客と一緒に、ゆっくりぐんぐんと登るケーブルやロープウェイから、眼下に広がる京都の風景を楽しむ。

比叡山山頂を望む 登山電車に乗ります

8ケーブルから眼下に宝ヶ池の山、遠く愛宕山

ロープウェイから岩倉盆地、愛宕に桟敷を望む

 山上駅から駐車場へ向かう。琵琶湖方面や北山方面の山波を眺めてあの山はどこかな?としばし同定を楽しみ、大比叡の三角点に登った。駐車場から10分ほど、300mの距離。薄暗い木立の中の小高く盛り上がったところに一等三角点がある。タッチして、山の神さんに見守ってくれたお礼を伝えた。

山上駅到着 ジギタリスの花畑

ジギタリス 山頂駐車場

琵琶湖、遠く鈴鹿の山々 遥かかなた 北山の山波

空木の花 大比叡山頂一等三角点

 まずは今日の目的は果たしたので、三角点から延暦寺に歩いてもいいのだが、バスで横川に向かうことにした。横川からちんたら林道歩きくらいは大丈夫だろうとの思いだ。

バスで横川へ シャトルバス横川

 シャトルバスに乗り込み横川へ。要所の停留所では参拝客たちが次々と乗り降りし、比叡山人気の強さを改めて感じた。横川終点で下車し、境内に入る。門の横にあった参拝受付が閉鎖されていて誰でもが自由に入れる。参拝料を払わない登山者は、門の横の細い山道を登ったものだったが。その代わり、各お堂で参拝料を支払うらしい。比叡山を歩くときには受付所を迂回して歩かなくてはならなかったが、めんどくさくなくていい。

横川境内へ 横川は修行の地

 もみじのトンネルが頭上に覆いかぶさった参拝道は、ひんやりして気持ち良い。 朱塗りの横川中堂を通り過ぎ元三大師道の大きな碑を見ながら石畳の道を登っていく。お大師さんが祭られている大師堂を過ぎ、さてどっちに行こうかな?八瀬大原からの大師道はよく歩いたが、琵琶湖側の道は知らないので、標識に従って歩いてみることにした。

気温26度で涼しい 横川中堂

元三大師道を行く 元三大師堂

石仏 元三大師道へと

 道は急な坂道だか緩やかな階段で手すりもつけられている。標識によると100mは下るようだ。九十九折れに行くと、瀟洒な寺坊があった。山の斜面地にこじんまりと立つ常光院、日蓮上人がここで修行されたそうだ。日蓮さんの巨大な銅像が奥の方に立っている。

常光院 静かな境内で休憩させてもらった

 お詣りして御朱印を頂く。優しいお顔のご住職とそのお母さんだろうか?応対して下さった。あれこれ話していると、庭にユリが咲き始めたので案内してあげましょうか?と、住職自ら境内を案内して下さった。緑深いお庭にはいましも開きかけたササユリや、終わりかけのナルコユリ、シライトソウ、などなどお花がたくさん。鹿は食べにこないんですか?と問うと、一応柵がしてあるので来ませんが。と住職。

 庭の東屋で休憩させていただき昼食にした。小鳥のさえずりと、風の音だけのとても静かなお寺だった。 辞して、門前の坂道を更に下る。しばらくして奥比叡ハイウェイの車道に合流、さて道はどこへと続くのだろうか?住職の説明では、雄琴温泉駅まで1時間半くらいとのことだった。

元三大師道を下る 比叡山ハイウェイに出る

 下界は30℃はあるよと友人たちからメールが届いていた。照り返しのきつい車道を下って更に駅まで1時間半も歩くのってきっとばてるよなあと、脳裏をかすめる。

 無理せんとこ 引き返そう と決めたら早い。また坂道を汗をたらして登り、横川のバス停にたどり着いた。バス停の広い駐車場は、煮えかえるような暑さが立ち込めていた。

比叡山ハイウェイに立つ碑 延暦寺バスセンター

 横川から延暦寺のバスセンターへ行き、そこから京都駅行きのバスでハイウェイを下った。観光客や参拝客で満員のバスはどんどんくだり、わたしはいつもの百万遍の東湯に直行。1カ月ぶりの銭湯&隣の王将のビール&餃子で、山歩き復活を祝った。





 さて、なぜ入院していたかというと、2月に受けた人間ドックの結果が3月半ばに届き、まあいくつか再検査を言われて一つ一つ再検査に行ったのだが、ななんと乳腺外来で更に検査をと言われ、そこからあれよあれよで、乳がん0ステージの宣告を受けた。

コアジサイ ミズタビラコ

 0ステージって超早期でラッキー!と思ったのもつかの間、先生が0だから切除しかありません!と断言するではないか。がん細胞が広がり薬や放射線が届けばいいのだが、0なので乳腺の鞘に細胞が収まっていて薬が届かず治療の手立てがない、よって切除しかない との説明。どうしますか? っていわれても選択肢がないのなら仕方ないですよねー、、、ってことで、術前検査に歯医者だ内科だと走り回り、4月末には手術決定。GW明けには執刀医の説明があり、5月18日に左乳房の全摘手術を受けた。

アオキの実 アリドオシ

 その間、迷いがなかったかというと、なかった。というのも、乳がん宣告された!と友人たちに発信したら、わたしも経験した、わたしの友達が経験したと数名の方から実体験談を教えてもらった。そして皆さんが言うことには、迷わずさっさと手術しなさい!だった。迷って時期を逸しこじらせていまだに苦るしんでいる元看護婦長さんの話は、特に切実だった。

ウスタケ ユキノシタ

 かかりつけ医の女医さんたちも、もう乳がんは9人に1人の普通の病気だからさっさと治療したほうがいいよと背中を押してくれた。そんな皆さんの助言の中、執刀医からは丁寧に説明を受け信頼をもち、施術も上手な方だったし看護婦さんたちからは丁寧なケアをしてもらい、恐怖心はなかった。心配だったのは術後の身体の変化で、山歩き復帰できるかなということが一番の気がかりだった。手術して動けるようになったら、リハビリで筋力体力を元のようにすればいいから と、整形のリハビリやトレーニングの先生方、鍼灸師の息子が励ましてくれた。

ササユリ ショウジョウバカマ

 幸いなことに転移がなく、抗がん剤や放射線治療もなくリンパ節郭清もなく、全身麻酔の影響もなく順調な回復で2週間後には普通の生活に戻った。退院後、かかりつけ医に報告に行ったら、発見が早かったこと、手術までの待機時間が短かったこと、なによりもいろいろなことが幸運だったと、大層喜んでくれた。再検査に突き進み手術を受けるかどうかの即断をしたことにみなさんがすごいメンタルやと誉めてくれるけど、考えるに、山で道に迷ったときや困難にぶつかった時にどうしたらいいか、フル回転で情報と状況を整理して待ったなしで方針を出さなあかん、あの状況に似ていたなと思う。これまでの経験の中で鍛えられたのだろうなあ つくづく山歩きしてて良かったなあと、いつも見守ってくれている山の神さんに感謝する次第です。家族や友人たち、見守り励ましてくれたみんなに感謝です。

スイレン ムラサキサギゴケ

 医学は驚くほど進化し、医療は進んでいます。検診は定期的に受けて再検査と言われたら怖がらずにさっさと受診して、躊躇せず情報を集めて方法を選んで治療して、元気でいようねとみなさんに心からお薦めしている毎日です。 とはいえ無茶はまだできないので、ぼちぼちとトレーニングしながら山歩きを続けていきますねー。みなさんもそれぞれの山を楽しんでください。

セセリチョウ










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