黄砂の中沈む夕陽
コース: 銀閣寺13:30~メタセコイヤ~中尾城址~中尾の滝~熊山三叉路~北谷~大文字三角点16:00~火床17:00~霊鑑寺~真如堂バス停17:50 |
弘法大師お堂に貼ってある地図
初登りで久々に山頂から北谷方面に歩いてみて、なんじゃこれは!のテープの多さに仰天。okaokaさんも山頂からテープがあったから行ってみたら、とんでもない急傾斜やったと苦労した様子。そこに行ったらあかんがな と突っ込みながら紀行文を読みました。
腹ごしらえして登ります | 銀閣寺前参道 まだ閑散 |
確かにテープや赤ペンキが最近とっても増えている。わたしが大文字山北谷にはまったのは2018年頃から。そのころはまだ知る人ぞ知るのマニアックな感じで、手探りでルートを探していた。標識なんかほぼないし、わずかに掛かる山名板を探しに行くのも流行った。藪漕ぎに倒木越え、崩れた古道と、華やかな表登山道と打って変わった深山の雰囲気でここが大文字山かと驚いた。
静かで人にもほとんど会わず、しかも縦横に走るたくさんの山道や踏み跡を追いかけて夢中で歩き回った。 そんな北谷ががらりと変わったのがコロナの直後。手ごろな戸外というにはうってつけの大文字山。家族連れにグループに若者にと人がどっと増えた。
メタセコイヤ林を登る | なぜに登山靴が放置? |
そして、大文字山の山道を補修工事している方たちにも拍車がかかった。それまでは獣道のようだった細い斜面の道に階段ができ、沢には橋もかかった。藪を分けて歩いた古道は明るく周囲が切り払われた。どこに行くのか分からない尾根道に標識や新しい山名がつけられ、尾根道はハイウェイのようにすっきりと広がった。展望所ができ周囲の木々が切り払われ見晴らしが良くなった。ベンチやテーブルがある日出現する。
迷わないのになぜ付ける? | 市街が一望できる |
階段つくりは早朝3時からされると聞いた。滑りやすい道は危なくないし有難い。ボランティアの方々には敬意を表するけれど、でも同時に安易な気持ちで人がどんどん歩いているのが分かった。それと共に、京都府の遭難ワーストワンは大文字山、道迷いで日が暮れて捜索願が出るケースが一段と増加、滑落による死人も年に2人は出るという現在。
中尾城分岐 テープいるの? | 中尾城尾根 マーキングはなに? |
そりゃ遭難するよな という方々にしょっちゅう出会うようになった。谷を何往復もして出口が分からなくなった人、やっと人に出会いました ここはどこでしょうと泣きそうな人。聞けば地図は持っていず、人に聞いたアバウトなルートをうろ覚え。そんなハイカーに幾人も出会った。
堀切分岐 | 堀切を乗越て谷へ 懺悔坂 |
私の描いたルート図を持った人にも会った。その時は嬉しかったけれど、ルート図はあくまでも略図で、ある程度地形や方角が分かっている人が使うには良いが、右も左も分からないけどこの地図見て歩けばよさそう と頼りにされたら困るよなあ とも思った。それ以来、大文字山北谷の地図は掲載しないことにした。自力で考えて歩いてほしいと思う。
中尾の滝 沢に出合う | 中尾の滝を見ながら |
大文字山の北谷は、尾根と谷間が入り組んでいて一歩谷間を間違えば自分の現在地が分からなくなる。谷間だから携帯の電波は届かない。日の落ちるのも早いから3時過ぎには薄暗くなる。一番厄介なのは、どの尾根もどの谷間も風景が似通っていて、地図にない道が山ほどあってそれも似たような風景で と、いったんはまったらとっても面白くて探検隊気分でどんどん歩きたくなる、とっても怪しい山域。
尾根を乗越し | 古道を進む |
それで探検気分で歩く人が増えているのだろうけれど、それと共にテープやペンキの目印がやたらに増えた。地図は苦手です 分からないんです という人に話を聞くと、ほぼテープ頼りに歩いているようだ。でも、山中のテープはほんとうは危険なんですよね。だって つけた人がどこへ行こうとしているのか意図はまったく分からないです。ここは間違いやすい分岐だよね という目印ならみんなに意図が伝わるけれど、実は山道じゃないけどここから谷に下れるよ と探検の人もいる、そんな人のテープを信じてついていったらとんでもない斜面に連れていかれたり。
白砂の沢を渡る | 熊山三叉路 |
山の中でルート選びに迷っているとき、古そうなテープがちょこっとついていたりすると天の助け、ここであってたんだと 救われることもあるけれど。でも基本 テープやペンキは信じてはいけないと思います。道迷いにつながります。
谷が入り組んだ北谷 | 意味不明の赤ペンキ |
それに幹や枝にぐるぐる巻きのテープは腐れず、木を痛め枯死に至ることの方が多い。 朽ちてしまう麻ひもや 幹を締め付けないゆるゆる紐でならまだしも、テープ類がぎっちりと巻かれている幹は痛々しく、蟻の巣にもなる。おまけに緑の山の中で、けばけばしい色がぶら下がっているのは折角の景色を台無しにしている。
それで テープを取ろうよ と山仲間に呼びかけると、もしテープがなくて遭難したらどうするの!に始まり、そこまでストイックにならなくてもいいのに と非難もされます。
でもでも、大文字山はほんとにひどい状態になっているので、今回はハサミとカッターナイフを持参して、テープはがしの目的だけで歩いてみました。
そして、色とりどりのビニールテープがべたべた貼ってあった北谷では、よく見ればはっきりした踏み跡がまっすぐに延びているにも関わらず、その横の藪の中にテープが続き、そのテープを追って新しい踏み跡ができ。無理やりに斜面を通るから周辺は崩れが始まっているし。これって環境破壊ですよね。
べたべたとテープ | よく見ると道がしっかりある |
そんなこんなを考えていたら、2月ごろ 九州の山を守っている団体が、テープや勝手につけられた標識を取り外し作戦を始めたと新聞で読んだ。九州の最後の秘境という山域での遭難事故が増えているそうで、道迷い、遭難につながり、環境破壊にもなるテープ類をはがしましょうと活動を始めているそうです。
わたしが最近愛読している「noboro」(西日本新聞社)にも、登山道整備と道標のことが書かれてあります。プロガイド徳永哲哉さんが、行き過ぎた登山道整備に疑問を呈し、「やっぱり自然に対しては謙虚であるべきだし、手を入れるにしても、できるだけ控え目の方がいい」と提言されている。同感です。
テープやペンキってなんのためにつけているのか、テープをつけたい人は考えてほしい。 次に来るときに間違わないため? 地形や周囲の景色をよく覚えておけばいいんじゃないの?1度きりなら なおさらやめてね。
一本道なのに | 大文字山三等三角点 |
団体だから、後続のため? 最後の人は必ず目印を回収しましょうね。それと、大文字山のとても分かりやすい地形図が、火床の弘法さんの祠の南側に貼ってあります。参考になりますよ。
黄色く一面かすむ | 山頂の気温 8度 |
のんびりきょろきょろ歩いた大文字山、3日に登った時は冷たく冴えわたっていたのに、山頂からは黄色く霞んだ景色。黄砂が飛んできたようです。ぼんやりと見える西山に夕陽が沈むのを眺めていたら、もう夕闇が迫ってきた。急いで最短ルートの鹿ケ谷霊鑑寺へ下る。
テープ清掃 | 夕闇の中 霊鑑寺へ |
火床を下っていたらどこからともなくカレーの匂いが漂ってきた。わ カレー食べたい!、下山して探したけれど休みも多く、熊野神社の近くでカレーショップを見つけて飛び込んだ。おいしかったです。
カレー屋で麦酒 |
帰りの電車に、恵比須神社の笹持った人が乗ってきた。そうや 十日えびすやん!駅では振袖が似合う若者にも出会った。そうや 成人式や!そんなこんなで、新年が過ぎていきました。10日に恵比須神社にお詣りに行き、今年のご利益をお願いしてきました。(ほぼ野次馬ですね)
電車の中で笹持った人に会う | 成人式! いいなあ |