京都北山を中心とした山々を楽しむ okaokaclub

やっと念願のポンポン山竈ヶ谷を歩きました
2023.8.5

オオキツネノカミソリ花畑


日程:2023.8.5(土) 晴れ 30℃~36℃ ikomochi

コース:
・京都駅→JR向日町=JR向日町発8:35→善峰寺バス停9:05=三鈷寺へ9:10~三鈷寺9:30~車道分岐9:50~杉谷分岐10:20~東尾根分岐11:15~P619 鉄塔広場11:20=12:00~竈ヶ谷へ下る~出灰川渡渉地14:15~森の案内所14:20=14:50~国道R733を経て外畑~中畑回転場16:00=JR高槻駅行きバス16:17発→JR高槻駅17:08着→京都駅


 ポンポン山竈ヶ谷で夏の花畑満開との情報。この猛暑のうえ、バスの時刻は悪いしで気が進まなかったが、思い切って出かけることに。JR向日町駅発8:35のバスが現地到達に一番早い時刻。バス停にはだーれもいず、じりじりと日が射すなかじっと待つ。

 そうだ、出し忘れていたハガキを投函しなくちゃと、駅前広場のポストを探すも見当たらず。道路の向かい側に郵便局を見つけて出しに行った。びっくり仰天、向日市の郵便ポストは赤くない、若竹色。こんなこと許されるんだろうか?首をかしげながらバス停に戻りぼーっと眺めていたら、駅改札の正面にも若竹色のポスト発見。ポストは全国赤色じゃないの?見つけられなかったはずだよ。

向日市のポストは緑色
(探すのに苦労した)

 さてやってきた善峰寺行きバス、観光客らしいグループとザック姿は2名だけ。暑いもんねえ、ポンポン山も不人気。9時過ぎに終点に着き、今日はユッキーさんに教えてもらった最短コースを歩いてみる。

 バス停から引き返して直ぐに三鈷寺への道がある。緩い石段の道で、入口に「ポンポン山へ最短」の看板が立つ。古めかしい石段を登り、急坂を汗かきかき進むこと20分で三鈷寺の本堂に着いた。

三鈷寺へ 気になる分岐

 庭先からの眺めがよいお寺で、眼下には京都盆地や遥かに比叡連山、東山連山、稲荷山、醍醐寺の山波が広がる。天空の寺たるゆえんの絶景。静かな境内を一周して納経所に行くと無人で、缶かんにコインを投入してお札を頂く。十一面観音様が祭られているそうなので、またゆっくり伺おう。

三鈷寺からの眺め

乙訓景観 三鈷寺本堂

無人販売納経所

三鈷寺門

 お寺の門を出ると直ぐに左へと急坂が続く。上り詰めると左によく掘れた古道が出てきて道なりに登る。三鈷寺分岐の標識の立つ車道にでるので、すぐの古道を右へとまた登って行くと、杉谷集落の手前に出た。ここまでで1時間余り、まっすぐに登ってくればもっと短時間で着く。地道を歩く心地よさと何より車道の照り返しがないのがよい。

三鈷寺分岐 杉谷へ古道を登る

 杉谷分岐のお地蔵さんに今日の無事をお願いして、田んぼ沿いに車道を進む。東尾根の鉄塔を目指して沢に掛かった木橋を渡り谷道を登る。時折吹く風が爽やか。

杉谷分岐のお地蔵さん 東尾根を目指す

 色の濃いトンボが飛び回っている。あまりにきれいな青紫色なのでレンズを向ける。ピントが合いにくいが、トンボは一旦飛び去りまた同じ木の枝の先に止まりと繰り返すので、じっとシャッターチャンスを待つ。息を殺しているとなにやら「カチカチカチ」「ブーン」と聞こえる。ホバリングの羽音に威嚇音らしいと気づいた。トンボのあごは強いというが、噛まれたら痛かろう。網の真ん中でじっとする蜘蛛を見つけたが、こちらはレンズを向けるとさっと草の葉に隠れた。美しく色づいた朱い実が目立つヤブデマリの根元には踏み跡が出来ていて、幾人ものカメラマンがこの下でシャッターを切ったのだろうと情景を想像して笑った。

威嚇するトンボ マツカゼソウが開花

 谷道を上り詰め、東尾根に乗る。鉄塔のあるP619へ向かい、保護柵に囲まれたツチアケビを眺めた。立派な株にたくさんの実がついていた。鉄塔下広場で昼食にする。気温34度暑い。汗が流れ落ちるので疲れた。杉谷の無人販売所で買ってきた大きなトマトや万願寺唐辛子を丸かじりして、元気を出した。休憩していると山鈴の音がして、一人尾根を歩く人がいた。今日初めて出会う。

東尾根に到着 東尾根の鉄塔広場

P 619 のツチアケビ お洒落な白玉テントウムシ

あまりに暑いので万願寺唐辛子をかじる

 さて、時間はもう12時前。これから竈ヶ谷を下り森の案内所に行き、引き返して善峰寺バス停3時24分のバスに乗るにはあまりにも時間がない。また今日も竈ヶ谷には行けないかもと考えていると、okaokaの道子さんから「中畑回転場4時17分発があるよ」とメールが届いた。そっか、その手があったか! ならば、森の案内所を3時に出ても間に合う。中畑へはロングになるけれど、野草がいっぱいの道というし。ありがと 道子さん!と元気を取り戻して東尾根から谷へと道を下った。

 鉄塔でも聞こえていた鳥のさえずりが、谷を下るにつれ大きく響く。近くにいるらしい。姿は見えないけれど、甲高く清んだ囀り。「ヒョッツヒョッツヒョッツ ヒーリ」と美しいメロディで鳴くので、携帯に録画した。よいフレーズで撮りたいので何度も試し、友達に聞かせたいので短く録音、成功。

 この声はもしかしてオオルリかも。透き通った声で力強く美しい。日本三大鳴鳥に違いない。夏を越しにはるばる南から飛来したんだね。(帰宅して母に録音を聞かせたら、オオルリね~と即決。子どもの頃、父が奄美大島産の子を連れ帰り飼っていた。コバルトブルーの羽が輝く鳥だった。まだ野鳥保護法も厳しくない呑気な時代で、わたしは生餌やすり餌やりに精出したものだ)

東尾根から竈ヶ谷へ下る オオルリがさえずる

 谷底に下ると小鳥のさえずりも遠のき、薄暗い道をひたすら歩く。この谷に来たのは10数年ぶりだが、もっと狭く草が生い茂っていたイメージがある。どこの山もそうだが、食害や風水害の影響で様相が様変わりしている。沢に沿って渡渉を繰り返しながら下っていく。地面を眺めながらなにか咲いてないか?珍しいものはないか?

2谷間に降りたった 大原野森林公園地図

 ふっと目に留まると、足を止めてしゃがみ込みレンズのピントを合わせの繰り返し。オオキツネノカミソリのお花畑にまだ着かないのに、時間が過ぎていく。西尾根へと向かう分岐を幾つか越え、下り始めて40分ほどでウバユリ群生地に到着、もう花の時期は終わりしおれたり種になりかけている。

西尾根への分岐も何か所かある ウバユリ群生地は花が終わり

オオキツネノカミソリ ウバユリ咲く

 その後30分ほどで柵で保護されたオオキツネノカミソリの群生地に到着。ほとんどの花が盛りを過ぎてはいるものの、巨大なめしべをにょっきり花びらの外に出した姿が、迫力だ。沢沿いに大きな葉っぱのオタカラコウの群生、こちらはこれからの開花になる。柵で囲われた草むらには、ヤブレカサの薄緑色のきれいな花が咲きかけている。アザミの葉っぱだが妙ににょきにょき背高のっぽの花、いったいなになのだろう?これから花が咲くべく蕾がついている。(後日、これはナベナというと、ユッキーさんに教えてもらったのだが。さらにユッキーさんが現地確認に行き、今年はナベナが激減、やはりアザミではとの鑑定となった。京都府準絶滅危惧種ナベナの環境は厳しい。)

オタカラコウ群生 シジミチョウ

モミジガサ アザミのようでアザミでない?

これはなにか?と聞いたらば
アザミ とユッキーさん
ヨシノアザミかなあ?とユッキーさん

 そして今日のハイライト、オオキツネノカミソリのもうひとつの群生地、こちらは今を盛りと一斉に美しい姿を見せてくれた。ウバユリも開花し始めた花を見つけた。頑張ってここまでやってきて良かったなあと思う瞬間。谷川の幅が広くなり、渡渉を幾度も行う。あの大雨の翌日に来なくてよかった、確かに歩くのは大変だったろう。今日は水が少なく、浅瀬の石伝いに飛んで渡れる。

幾度も沢を渡渉する モフモフ リンゴドクガの幼虫

 杉林の広い道を下っていくと明るい草地に出て、目の前の出灰川を渡ると、もうメイン通路にでる。幾人かの子供連れが、虫を追いかけている。川べりの梯子を下り、石伝いに川を渡っていると、通路にいた若いお父さんが心配そうに「大丈夫ですか?」と声を掛けてくれた。暑くてへろへろだったから、土手を上れるか心配したのかも。「だいじょうぶですよー」と道へ上がり、森の案内所を目指した。

杉林に入るともうすぐ出口だ 出灰川を渡渉すると終点

 カンカン照りの日差しが堪える。杉木立の下の陰で休憩、とうとう足が攣った。しばらく座っていたら治ったので、坂を登って休憩所へ向かった。事務所で入山許可書を書き、冷たい水を購入。2時15分だった。やっぱりなあ、谷をここまで来るには片道でも2時間かかる。花たちもきれいなお顔に写真を撮ってあげたいし、道端にもなにかないかと探さなきゃならないし。

森の案内所に着く 大阪府県境を越える

 バスの時間がもっとなんとかなればいいけど。休憩所には尾根歩きの人たちか 次々にやってくる。暑さで疲れた身体を休め、さあ重い腰を上げてもうひと踏ん張り。2時50分に出発、中畑バス回転場に向かう。道は車道ながら、杉木立と川に囲まれた静かなよい道だった。

外畑集落へ 稲穂がすくすく成長

 時折車が走る。20分も歩くと、若緑色の稲がそよぐ広い田んぼに出て、遠くに農家が点在するのんびりした風景になった。日陰がないので暑いけれど、道端の野草を眺めながら歩く。

 尾根に連なる鉄塔がどんどん増え、巨大な鉄塔集団となった。これが西京都変電所か?どのくらいの広さなのだろう。尾根一つ分はある。この変電所には、あの黒部ダムや敦賀原発からの電力が集約されているという。大動脈。ぶーんとかすかなうなり音が響く。

大規模、西京都変電所 セリ

ギシギシの実 ヒヨドリソウ

 道はまた山へと向かう。すると、谷山きのこ園の看板がある。ここか?いつも道子さんが椎茸を買うという店は。わたしもきのこ屋さんに入り、新鮮な椎茸を購入。友達がいつもここの話をするんですよーというと、店のおばさんは大層喜んでくれた。みなさんの口コミが一番大切なんですよー。バス停の場所を尋ねると、この上の峠を越したら5分ほどですよ。丁度いい時間ですね~。

森のきのこ屋さん 明神ヶ岳への入口

 ほんまに峠があって、その先は大阪府であった。車道に蛇の轢死体、青大将の子どもだった。棒で道端へ避けてやった。今日はながーい蛇たちにも2匹会った。みんな足音を聞くと、慌てて逃げ去った。

 バス停はひょっこり現れ、既にバスが待機していた。バス停の写真を撮っていると、運転手さんが「ドアを開けたから中で涼むといいですよ」と声を掛けた。ありがたい、嬉しいですと乗り込んだ。クーラーの効いた車内は天国だった。にしても親切なバスだ。

 広河原では定刻にならないと乗せてくれない。初めて通る中畑の景色は、明るく広がる一面の田んぼで、裕福そうな山里そのものだった。のどかで、なかなかいい所やなあと気に入った。

高槻駅へ向かう 中畑は裕福そうな集落だ

 今日は思いがけずのロングコースになったが、結局山や花を堪能するには、一番ベストだったと思う。体力つけてまた歩こう。

 帰りに東福寺の銭湯に寄り、近くの定食屋さんでビールで乾杯。隣の瀧尾神社は夏祭りで賑わっていた。コロナ後初めてという盆踊り大会は、唄い手と伴奏つきの豪華ライブだった。どの人も満足げな顔だ。やっとこんな日が来たよね~コロナ自粛は長かったね。

東福寺 瀧尾神社盆踊り大会 湯上りのそうめん&ビール

歌い手さん&生演奏










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