夕日に輝く紅葉
2023.11.3(金) 晴れ 24℃ ikomochi
コース:
出町柳発広河原行き7:50→ 菅原バス停9時40分着=9:55~10:00折谷林道へ~11:10衣懸坂取付き?~13:50広域林道着=休憩14:20~倉谷林道ゲート15:30~井ノ口林道ゲート16:10~17:45大布施バス停=18:01発出町柳行きバス
久々に、そうだ 衣懸坂に行こう!と思いついた。最後に歩いたのは2016年6月、その後台風被害で荒れたと聞いているがどうなっているのだろう。
折谷は蛭の巣窟で、歩いていると頭上でさわさわさわと音がして、体温を感知した蛭が追いかけてきて杉の樹上から落下するような場所。ふと顔を触ると額から血がだらっと垂れている。もう11月だし、さすがに蛭はいないだろう。卒塔婆峠の紅葉もきれいに色づいているかもと、折谷から衣懸坂、卒塔婆峠を回って廃村八丁を周遊しようかなと、うきうき出かけたのだが。
久々の広河原行きバスは登山姿の高校生が行列していて、尋ねると登山部で花脊峠から大原へと下る計画という。拡幅工事が進む峠のくねくね道から見上げる尾根は、まだ緑が濃い。団体さんが下車したあとは、登山者は私だけとなった。
久しぶりの花脊の峰 | 峠道は拡幅工事が進んでいる |
大見尾根の紅葉はまだ |
花脊峠を越え北山奥深くバスは進む。八桝の春日神社の大銀杏の黄葉を探すが、葉先が色づき始めてはいるものの、黄金色はまだ先。下ノ町のバス停の毎年楽しむ木が、辛うじて真っ赤に染まっている。
春日社の黄金色もまだ | 下の町の紅葉 |
菅原で下車し、改修工事中の川を眺めていると、橋の向かいの家から女性が声を掛けてきた。「トイレは自由に使ってくださいね」 の言葉にありがたく屋内に上がらせてもらう。この家はトラウトタウンという名でキャンプ施設ができると聞いていたが、実態は謎。
菅原は河川工事中 | 菅原トラウトタウン |
さて気合を入れて折谷林道へ行きますか。林道はトラックの轍でぬかるみ、チェンソーのエンジン音が山に響く。大伐採をしているのだろうか。5分も行くと山と積み上げられた杉の丸太。作業中の重機が伐採した丸太を運んでいる。運転していた方が私に気づき、作業を中断して道をあけてくれた。
貴船菊 | 折谷林道へ |
「林道が崩落していると聞いているけれどどんな様子ですか?」と尋ねると、「奥の方まで行ったことがないので様子はよくわからない」とのこと。「熊もいるし気を付けてくださいね、最近衣懸坂での遭難者が多いのでくれぐれも気を付けてください」 とのことだった。衣懸坂はそんなにひどいことになっているのか? はい、気を付けて歩きます。お礼を言って先へと進む。
折谷では山林の伐採中 | 流れに沿って上流へ |
確かに折谷林道は苔が生え人の通行が減っている様子だが、それでもまあこんなもんでしょう。バス停から30分ほどのところで急に道幅が狭くなり、川の横の崖をへつって歩く。あれええ こんな場所ってあったけかな? 通り過ぎて道を覗くと、林道が3分の2ほど崩落しているのが分かった。
林道が大きく崩落 |
ここのことやな?この先も崩れているのかなあ?と心配しつつ進んだが、他は大丈夫そうだ。林道終点から岩がごろごろしている川を左右に渡渉しながら川岸のふみ跡を探して進む。入る人が少ないのか、なんとなく荒れて草も生い茂っている。苔に覆われ朽ちた倒木が至るところにあり、歩けるところを探しながら行く。幾度か渡渉を繰り返し、支尾根の根元に沢の支流が現れる。そろそろ取付きに近いなあ。見覚えのある大きな岩があり、その横からふみ跡が沢へと続いている。
また林道が現れる | 林道終点から沢の渡渉を繰り返す |
渡渉しながら上流へ | ピンクのテープが目立つ |
山仕事の矢印か | この沢が取付きだったかなあ |
苔むした沢の岩場、その横に沢に沿ってふみ跡がある。うーん?ここやったかなあ としばらく迷ったが、杉林の中へと細いふみ跡が登っているので辿ってみた。しばらく斜面をよじ登ると崩落で行きどまり、上部の方へ登れないかとあれこれ試したが大きな岩場に阻まれて進めず。沢に下って遡上も考えたが、やはり昔の古道を探したくて、とりつきをあっちこっち探し回り。もしかして取りつきを間違えたのかも。
山への道がありそう | 道型を探して登るが |
だいぶ登ってみたが 崩落がひどく進めず | 別ルートを探す |
そうこうしているうちに斜面をかなり登ってしまい、沢は急斜面のはるか足元にある。ままよ、そのままよじ登ることにした。支尾根の北側に取付いて、しゃくなげの灌木が生い茂る中を腕力勝負でよじ登った。ヨイショヨイショと掛け声をかけながらよじ登ること30分、頭上のしゃくなげの藪はまだまだ続くが、だいぶ登ってきたと見えて、八丁山方面の尾根が見える。
しゃくなげの茂みに突入し | 上へ上へとよじ登るしかない |
そしてシャクナゲから杉の茂みに代わり、尾根の上に出たようす。特別区域という標識が立っていた。先ほどから、しきりにバイクの爆音が聞こえるので、広域林道も近い。衣懸坂の古道は、杉の植林地の中にあるので、とりあえず尾根の南側へと回り込んでみる。なんとなくふみ跡っぽいのがある。
だいぶ上にまで登ったようだ | とりあえず標識発見 かすかなふみ跡発見 |
尾根の上部に着いたが | ふみ跡に沿って東の谷へ回り込む |
広域林道目指して、太陽を追いかけて杉の藪をかき分ける。尾根の上部に出て、木立の向こうに卒塔婆山方面らしき姿が見える。ふみ跡があるので、細尾根を南へと辿っていくと足元に広域林道が見えて、尾根の切れ目から林道に着地した。ここが衣懸坂ならば、卒塔婆山へと続く尾根も見えるはずだがときょろきょろするも、それらしき姿はなし。
東の谷間は緩やかな源頭部で ふみ跡もありそう |
尾根から見えるのは卒塔婆山か? |
広域林道を廃村の方へ行ってみると、すぐに林道の分岐でゲートがあった。ななんと、片波林道とある。わー だいぶんと南寄りに来てしまった。一体わたしはどこを登ってきたのかと地図で確かめるが、どうも衣懸坂の一つ南の尾根P810に登ってしまったようだ。入り口を間違えた。
尾根から藪を抜けて下った | 出たところは片波林道ゲート |
あちゃあ 時間は1時50分、ここから卒塔婆峠、廃村八丁経由菅原へ抜けるのは時間がかかるなあ。卒塔婆山の姿ははるかかなたや。片波林道のゲートにもたれながら休憩腹ごしらえし、この先を思案する。P810のシャクナゲ藪をよじ登るのに精力を使い果たした。
広域林道 |
これからまた廃村の峠を上り下りして菅原に行く元気はない。平らな広域林道をのんびり歩くのも悪くはないかも。鍋谷山は一面黄葉できれいだし。ということで、2時半に片波ゲートを出発。モトクロスバイクの男性がブウォーンと爆音を立てて走り去る。さっきからの人やな。
源頭部へ下る道があるが衣掛坂ではない | 広域林道を南下する |
ところで、持参した北山地図には広域林道の所要時間は記載なし。だいたい3時間ほどで行けるかなあと目算して、八丁山や品谷山の黄葉を楽しみながら先へと進む。眺めはとてもよく、小野村割岳の尾根筋もよく見えるのでご機嫌だ。途中、倉谷林道へのゲートがあったのだが、最近も崩落したという話もあり、下れるのかどうか現状がわからない。そのまま通り過ぎ、井ノ口山、湯漕山の山頂直下の林道をたどる。
八丁山を眺める | 遠く小野村割岳 |
林道はごろごろ石でところどころ崩落の跡もある。山頂の等高線に沿って結構アップダウンが続く。それでも、周囲の色づいた広葉樹の森は嬉しくて、陽の当った尾根は特に秋の色満載で、上を見あげたり遠くを眺めたりシャッターを切ったりとのんびり歩く。
黄葉を満喫 |
ところで、この途中井ノ口橋への林道があり、その先は大布施の終点まで抜け道はない。大布施のバスの時間は何時だろうか。調べたいが電波は通じず。17時半広河原発のバスに乗れればいいので、17時40分を目安にして先を急ぐ。
倉谷林道ゲートを通りすぎ |
井ノ口山山頂を大きく回り込む林道は、緩やかに登りが続くのでしんどい。鍋谷峠だろうか、新しい林道ができているのだが、この道は通ったことがないので見送る。昔の峠がこうしてどんどん新しい道へと置き換わっていく。井ノ口林道のゲートも過ぎ、湯漕山の縦走路を横に見ながら目の前の大きな塊の山を見上げて歩く。
鍋谷山へのはしご? | 鍋谷峠だろうか |
鍋谷峠らしい |
井ノ口谷のゲート | アメリカオニアザミ |
こうして下から見上げると、湯漕山の大きさがわかる。時間は16時を回り、陽が傾いてきたのか、山の東側の林道は薄暗くなってきた。先を急ごう。湯漕山の山塊が途切れ、開けた場所から片波谷や遠く城丹国境尾根を一望できる。夕日に浮かぶのは桟敷岳。しばし見とれていた。
片波山の縦走路をみる | 雲取山方面 |
城丹国境尾根に陽が沈む |
時間は17時、ここから林道は一気に下り坂となり、谷間の急坂を下る。ごろごろ道は舗装道になり、走りやすい。もうあたりは薄暗く足元もはっきりしないので、ライトを照らしながら小走りに下る。谷川のせせらぎが聞こえてきたころには、闇に囲まれていた。民家の灯りがぽつぽつ見え始め、出口は近い。車が一台、横道から出てきたが、八桝の小学校の先生かな。走り去った車の灯りを追いかけ私も小走り。
湯漕谷へと下る | 夕闇が迫る |
予定の時間を越え17時半になっていた。バスに間に合わねばその時はタクシーが来てくれるのだろうか?などとせわしなく思案しながら、とにかく小走り。そしてやっと道は桂川沿いの車道に出て、やれやれ。ところでバス停はどっちだっけ?丁度民家の前にいたおじさんにバス停はどこですか?と尋ねることができた。
いつもの大布施の橋のたもとに立つバス停。17時50分到着。まっくらで時刻表も見えない。とりあえず、電波が通じるので家に電話して帰宅が遅くなる旨伝え、下山したよメールをあちこちへ送信。道子さんがとっても心配していたが、無事下山で安心してもらった。バスの時刻は18時1分で、無事無事間に合った。
久々によく登りよく歩いた。膝も痛くならず、なんとか歩きとおせた。なにより、あのP810の急斜面をよじ登れたのには筋力がついたなあ と実感だった。北山の奥地は携帯の電波が通じにくいことにも改めて実感した。時刻表は調べておくべし。思いがけずP810に登ったが、南側の広い谷間は下れそうだし、シャクナゲ群生地だし、また歩いてみたい。が、簡単に来れないなあ。
2016年衣掛坂古道 |
2016年衣掛坂取付き |
花脊峠以北、なまじ国定公園になったばかりに、今まではボランティアで山道の整備をしたり倒木を除いたり木橋をかけたりロープを付けたり標識を掛けたりと、さりげなく人の手が行き届いていたのが、壊れた標識の架け替えすら自由にしたらあかんと聞く。では、国が手入れをしてくれるのかというと、予算も人手もまったく足りず、放置状態となっている。これでは、道迷いも遭難も増えて当たり前。地元の人は、国定公園になって遊歩道ができ観光地となって少しはお金も落ちるかと皮算用したかもしれないが、かえって荒廃が進み登山者は減少傾向にあるのではないか?
毎週のように広河原へ通った頃が懐かしい。まだバスも賑わっていた。荒れていく山や谷を見るのは寂しいかぎりだ。それにしても衣懸坂のとりつきの沢はもう一本上流で、岩は苔むしていなかった。失敗失敗。崩落が進んで道がわからないよ情報に勝手に振り回されてしまった。でもまロングコースを頑張って歩きとおせ、体力もついてきたのは万歳だ。百万遍の銭湯といつもの餃子&ビールで自分に乾杯し、健闘を喜んだのでした。