京都北山を中心とした山々を楽しむ okaokaclub

八丁山~衣懸坂へ
(12月になったが良い天気が続くので
衣懸坂に再挑戦)
2023.12.09

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光砥山、小野村割岳の稜線を眺める

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2023.12.9(土) 晴れ 15℃~20℃ ikomochi



コース:
出町柳発広河原行きバス7:50→菅原着9:50=10:00出発~10:25仏谷分岐→尾根道をダンノ峠へ11:30=11:50~八丁山尾根道を辿り~12:30 P892八丁山山頂~13:30 P847分岐~14:00衣懸坂~古道を探し14:30広域林道へ=14:50出発~15:40倉谷林道~下ノ町バス停17:00=17:39出町柳行きバス

MAP


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 小春日和が続く。山歩きによさそうなので、もう一度歩きたかった衣懸坂を目指すことにした。今回は谷からではなく広域林道から下ろう。ダンノ峠から尾根廻りで行ってみよう。

 登山者は私だけの京都バス。寂しいなあ。杜若のバス停を過ぎ、杜若家のお庭を眺めていると、おおー 青いものがちらほらある。一年中花が途切れることがないという惟喬親王お手植え由来のここのカキツバタ、ほんと不思議ななあ。菅原バス停で下車しトラウトタウンの観光トイレを拝借、声掛けしたがどなたもおられず。いつも助かります。

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杜若家 かきつばたが咲いている 菅原 観光トイレ案内

 久々の仏谷から尾根道へ上がりダンノ峠へ。峠の手前で尾根から谷へと下るのだが、尾根にはふみ跡があり、「この先立ち入り禁止」の看板が立つ。尾根をそのまま直進してもダンノ峠ではない。道迷いの原因になるからだろう。

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菅原を仏谷にむかう 仏谷取付き

 仏谷の源頭部にいったん下り、杉林の中をつづら折れに頭上の峠を目指す。ここの斜面は結構きつい。光を目指してあえぎあえぎ登ること10分で峠に到着。葉が落ちてすっかり冬支度の木々、落ち葉はかさかさなのでヒルもいず、安心して昼食にした。

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尾根コースをとる ダンノ峠

 11:50いよいよ八丁山尾根道へ向かう。ここの藪漕ぎの道はほんとうに久しぶりなのでちょっとドキドキではあるが。支尾根の先端を南へとよじ登る。すぐに杉やらなにやらの藪漕ぎとなるが、ふみ跡はあるのでよく見ながら登っていく。上部につくとそこはさらに鬱蒼とした杉の藪。仏谷の尾根はこの藪へとたどり着くのだが、土地勘のない人がほいほい登ってきたら大慌ては必至。落ち着いて眺めると、足元には峠がみえるのだが。

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峠から南の尾根に取付く 大杉が現れる

 尾根に乗ってしまうと道はわかりやすい。しかしまあ、この尾根にも古めかしく朽ちかけた杉の巨木が次々と現れる。1本の樹に絡まりついた何種類かの幹、髭のような根っこ、天に腕を伸ばしているような枝。さながらホビットの冒険に住む樹木の精エントのようでもあり、のこのこ歩いていたらその枝で捕まえられるのではないかと思ってしまう。

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何種類の木が合体しているのだろう ふみ跡を確かめながら

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年寄りの樹が迎えてくれる この木は若そう

 こんなところで捕縛されたらやと 急ぎ足でふみ跡を進むと、ひょっこり開けた場所に出て、きゅきゅっと鋭角にちょっと登るとそこはP892八丁山山頂だった。幹が太くシュッと伸びた木が木立をつくる。堆積した枯葉を踏みながらあたりを歩き回った。峠からもっと時間がかかるかと予想していたが、意外に簡単に着いた。木々の向こうに折谷の尾根が迫る。

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ホビットの冒険の樹の精がいそう 八丁山

 山頂から南西へと急な下りを進む。途中こぶのところで大木があり、その下から東へと細い道が下っている。この道は支尾根伝いに折谷に下るのだろうか。しかし、道迷いしそうなふみ跡ではある。P847 への太い支尾根をぐんぐん下る。落ち葉で滑りそうになる。

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八丁山からの下り 樹の精の森

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木の子 P847 の尾根分岐を 衣懸坂へ

 植林地の支尾根の分岐に出て、道は左右に分かれる。右へ進めば卒塔婆峠方面だろうが、ここまで標識というものを全く見ず、たまに古いテープが残っている程度だ。かつては標識板が分岐には掛かっていたものだが、私が見落としているのだろうか?探すも分からないので、分岐を左へとり、杉木立の急な坂をどんどん下る。

 藪を分けると広域林道が真下に見える場所に出て、衣懸坂に着いたようだ。衣懸坂の表示も見当たらず、とりあえず杉林を下ってみるが、みなさんが書いているように古道は荒れ道型もはっきりしない。斜面のトラバース道の跡も途中で崩れていて、足元が危ない。

 20分ほど登ったり下ったりと道を探し回ったがはっきりせず。そうこうするうちに太ももが攣ってきた。痙攣して痛む。いったん広域林道に出ることにして、朽ちたベンチ跡で休憩。このあたりにも衣懸坂の標識はなく、意識的に取り去られたのだろうか?

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衣懸坂の朽ちたベンチ 遠く桑谷山と峰床山

 痛む足で崩れそうな斜面を下るにはちょっと踏ん張りが効かないかもしれない。残念だが、今回も衣懸坂の探索は断念することにした。しばらく休憩して湿布を貼ったりして歩けるようになったので、広域林道を南下する。11月3日の一面の黄葉は見事だったが、今はもうすっかり葉が落ち白い幹が目立つ森。小野村割岳の稜線や桑谷山からちょっぴり頭を覗かせている峰床山の山々を楽しみながら、歩く。

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すっかり葉が落ちて 雲取山方面だろうか

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倉谷林道に下る

 15:40倉谷林道ゲートに入る。今回は倉谷林道の情報を探してきた。崩れはあっても歩けるようだ。すぐに深い谷底を見下ろすカーブに差し掛かったが、ここは立派に補修工事がされている。とはいうものの、谷側には地滑りのような跡もありまったく安全というわけではない。深く切り立った谷へと急斜面が続き、道端に辛うじて踏ん張っている芦生大杉もいつ崩れ落ちるのかわからない。ひどく割けた杉の巨木が無残だ。

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林道の尾根も落葉した

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補修済み崩落地を通過

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深い谷間へと地すべり 井ノ口山方面

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ここにも芦生杉の大木 無残な姿

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広域林道が見える 黄葉みごとだったろうな

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落ち葉のじゅうたん まだ新しい崩落現場

 そうこうするうちに、山側の斜面一面を広葉樹が覆い白っぽく冬枯れ色の森が現れた。道路には分厚く堆積した枯葉が続くので、サクサク踏みながら歩く。黄葉の時期はさぞやよかっただろう。来年来てみよう。のんびりとカーブを曲がったら、なんと その先は大崩落地で、しかもまだ新しい。山側から土砂や木々が崩れ落ちてきている。補修作業には取り掛かっているらしく木の杭が打ってあるが、表面は土砂が積もったままなので注意して歩く。人は大丈夫だろうが車は無理だろう。たいへんやなあ。この林道。こうやって崩れては治し、治しては崩れの鼬ごっこ。だが、山作業するには大切な作業路なのだろう。

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ひどい崩落だ 斜面の上からがっさり

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冬枯れの森を眺める きょうも山に陽が落ちて

 その後林道の崩れはなく、坂道をてくてく下っていくと、眼下に下ノ町の民家が見え、犬の吠え声が響く。ほどなく川の近くの林道ゲートに到着。あたりには夕闇が迫っていた。橋を渡って車道沿いの広場に到着。草地で気持ち良いので、バス停まで行くのが面倒くさくてこの広場でコーヒーを飲みながらバスを待つことにした。

 バス停の方から大きな犬を連れた男性がやってきて、そこでバスを待ってるのか?と声を掛けてきた。はい もう歩くのがめんどくさくてここにいますと返事。4頭ほど飼っている犬を順番に散歩中とのこと。大きな和犬なので猟のお供かな?薄暗くなってきた広場で忍び寄る闇を楽しんだ。

 バスに乗り、下山しましたメールを送ろうと携帯をみたら、何個も着信履歴があった。山の中では繋がらなかったのだ。もしやと予感がして、リダイヤルしてみた。やっぱり、従兄の訃報であった。親しくしていた従兄は秋口からしんどい治療が始まっていたので、心配していたのだ。

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2016年衣懸坂の標識

 実は、この週初めには従姉の葬式があり故郷に1泊してきたばかりだった。従兄の通夜と葬儀には行かねばならない。幸い乗客が少ないバスの中で、小声で親戚中に連絡を取り、訃報を伝える。旅行やアウトドアが好きな従兄であった。山の写真を送りっこしたりもしていた。覚悟はしていたが、いざとなると寂しい。真っ暗な窓外をぼんやり眺めながら、花脊峠を下った。

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2016年衣懸坂のベンチ

 衣懸坂を探索中に足が攣ったのだが、帰宅して夜のニュースで、12月だが異例の暑さで熱中症が多く気を付けるようにとの報道があった。八丁山の上では20℃あった。汗はかいたが流れるほどでもなく、水分補給は夏場の半分だった。あの痙攣は脱水症状だったのかと、改めて意識的な水分補給の大切さを実感した次第です。

 今回も衣懸坂の古道を歩くこと叶わず。遠い昔からの古道であり、奈良時代末期、八丁山の巨鹿を天皇の命を受け退治しにきた香賀三郎兼家がこの峠の木の枝に狩衣を脱いで懸け、甲冑に着替えたところから命名されたと言い伝えられる。世を捨てた貴族の女人がこの峠で衣を木の枝に掛け、奥山に消えたという悲しい言い伝えもある。明治になってからは菅原と山国の小塩を頻繁に行きかう道でもあった。大切な山仕事の道でもあったろうから、細いながらも道は消滅することはなかった。ロマンを求めて歩く登山者も多かった。取りつきは崩れてしまっていても、途中には必ず道型は残っているはず。またリベンジに来よう。



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