えびの高原駐車場から韓国岳方面を望む(山頂は見えません)
一度行きたかった霧島連山の冬の白紫池に行きました。
2月初旬に鹿児島の実家に行く用事が出来た。冬の鹿児島、うーんどこの山に行けるか?ひらめいたのが、雪のえびの高原です。1980年後半頃まではえびの高原で天然スケートリンクがあって、特別仕立てのスケートバスなんかも出ていた。運がよければ凍った池も見れるかも。雪山歩きもできるかも。で、かすかな期待も込めて、霧島に泊まってえびの高原にいくという予定を立てた。
1月24日の午後から京都はまさかの大雪、あれよあれよという間に道路は真っ白の降雪で、7時半ごろ帰宅しようとしたらJR運休、近鉄や京阪も間引き運転とかで、とりあえず向かってみたJR京都駅は大混雑。知人は東海道線で京都駅の近くなのに電車に閉じ込められていてもう3時間も缶詰だ というラインも届く。わたしも帰宅難民で走り回り、結局地下鉄を乗り継いで2時間かけて家に着いた。
降り続く雪は翌日も。鹿児島の友人からもこっちも大雪だと言ってくる。特に霧島に住む友からは、道路が通れなくなりそうと連絡がくる。霧島に来てもバスが通行止めになるかもしれないよと 心配して連絡もくる。
しめしめこれは霧島の雪も期待できるかな と内心ほくほくして、霧島のライブ映像などを確かめる。雪の道具をなに持っていこうかと、現地えびののビジターセンターに電話して積雪状態とスノーシューを持って行ってもいいでしょうか? と尋ねた。
電話のむこうでクスッ笑う声がして、雪は積もったけれど気温が上がりつつあって溶け始めているのでまた直前に確かめてください と案内してもらった。 えっ 笑ったな、っていうことはワカンも要らないかも。とりあえずは6本爪のアイゼンと冬山装具だけは荷物に入れて準備した。
鹿児島空港から霧島連山を望む |
1日の夕方鹿児島空港に着くと、気温が17度もある。霧島山の山頂には白いものがちらともない。がっかり。とりあえずは霧島の硫黄谷温泉に向かい、1日の湧出量1400万リットルという豊富なお湯がどしゃどしゃと流れ落ちる大浴場に浸かりのんびり。宿の周囲は百年杉の立派な森で、夜には野生の鹿が姿を現した。イノシシも来るそうだ。
いわさきホテルバス停 | 硫黄谷バス停 |
白鳥山展望所から韓国岳眺望2023.2 |
地獄谷の温泉源から登る白煙 | ホテルの庭に鹿が遊びにきた |
翌朝10時過ぎに宿を出て、バスでえびの高原に向かう。道路わきにはちょっぴりの残雪があるものの路面は乾燥している。えびの高原の近くでやっと雪の名残が。
えびの高原から韓国岳 |
バスを降りビジターセンターに様子を尋ねにいった。センターに居たおじさんが、昨日の雨で一気に雪が溶けたこと、おとといの韓国岳登山は厳冬期のものだったことなど教えてくれた。気になる白紫池の凍結状態は、1昨日に所員が凍った池の上を歩いたが、この急速な気温上昇で溶けてきたこと、山道はほとんど解けてきてアイゼンも不要だろうとのこと、飲料と食べ物の最低必要品だけ持っていけばいいよ と教えてくれた。
ザックは休憩所で留守番 | 残雪の道を登る |
大きなザックはセンターの休憩所に預けて、ハイキング気分で白紫池にむかう。気温は15℃はあるだろうか。暑いのでシャツ1枚になって赤松林の中の階段道を登る。日陰には雪が残り凍結もしているので、滑らないように気を付けて歩く。下山してくる人に数人あったが、凍結していてすべって怖いよと アイゼンの人もいる。凍った白紫池を初めてみてもう満足した という年配者もいた。
残雪の韓国岳を望む | 白鳥山分岐 |
30分も登ると尾根道に出て二湖展望台の分岐。とりあえず展望台へと緩い登りを行くと、急に眺望が開け眼下に白一色の池と濃い藍色の池が見えた。眼前に白い煙を上げる硫黄山と韓国岳、北に台形の山頂の甑岳が広がる。空の青と池の深い青、しばし眺めてほっこり。展望台から緩やかな尾根道を登っていく。残雪の残る山道を進む。この様子なら3日ほど前は降雪量が多かったかも。
六観音御池と甑岳 |
凍結の白紫池、白鳥山 |
尾根道は石だらけの荒れた道になり斜面を上り詰めると、平らな山頂に出た。足元に白く凍結した白紫池が広がる。広場にご夫婦連れがいて休憩していた。初めてハイキングに来たという。山頂からは360度のパノラマが楽しめる。遠く錦江湾が霞んで見える。高千穂峰は韓国岳の後ろで見えないが遠く山波が続いている。都城方面の平野もうっすらと見える。白鳥山は初めてきたが、眺めがよく登りやすい。
白鳥山に登る |
白鳥山から遠く錦江湾を望む |
噴煙を上げる硫黄山と韓国岳 |
火口湖の白紫池をぐるりと取り囲んで尾根道が続く。北側に行くと残雪が増えてきた。残念やった。あと数日前なら雪山歩きだったのに。北展望所に出ると、眼下にコバルトブルーの六観音御池と取り囲む尾根、正面に大きくえぐれて崩落した韓国岳。火山の急激な噴火で爆発し山体の一部が吹き飛ばされて崩れた爆裂火口が、ぽっかりと大きな口を開けている。
山頂 | 残雪の尾根道を下る |
池周遊道へ下る。最後は急な岩道となる。平らな道に出ると、池をめぐる水平道になる。この先を北へ行けば六観音御池への周回路と山頂が平らな台形の甑岳に向かう。更にくるりと進むと、山の向こうの不動池に出る。3つの火口湖が続く気持ち良いハイキングコースなのだが、韓国岳麓の硫黄山の火山活動が活発でここ数年一帯は立ち入り禁止区域になっている。
六観音御池を眼下に |
急下りが続く | 韓国岳の爆裂火口を望む |
六観音御池をめぐっても引き返してこなければならないので、今日はここで帰る。白紫池の湖畔に出ると、ほんとだ 真っ白に凍結した湖面が広がる。もう溶け始めていて氷の上に立つのは危険だろうが、念願の白紫池を見れて満足。伊丹空港の551で買ってきた中国粽をカイロで温めて持ってきたので、池を眺めながら昼食にする。おいしい。至福の時間。
六観音御池へ分岐 | 白紫池へ向かう |
白紫池案内図 | 念願の風景を見ながら昼食 |
一面凍結した白紫池 |
霧島つつじの群落が広がる尾根道から、また階段道を下った。石の階段で足元が滑りそうになるのでゆっくり歩く。この道は天然スケートリンクで賑わった頃に整備されたのだろう。白紫池は水深が1mと浅く南国の山地にあっても凍結したのだが、温暖化の影響もあり1980年代半ば年々氷が薄くなり、スケート場は中止になった。従兄は下駄の歯にスケートのブレードを付けて滑ったという。
日陰は凍結している | 霧島つつじの群落 |
往復で出会った登山者は5組ほどで、静かな山だった。霧島つつじが咲き、気候の良い時期になればたくさんのハイカーで賑わうことだろう。
次回は六観音御池の奥の甑岳に登ってみたい。台形の山頂は湿地で珍しい野草があるらしい。15時前にはビジターセンターに下山し、朝 案内してくれたおじさんと山の様子を話した。温泉に入ろうかとも迷ったが、売店で買ったコーヒーを飲みながら、センター休憩所の椅子に座って目の前の韓国岳の雄姿を楽しんだ。
16時のバスで下山、途中乗り換えて霧島神宮駅に向かった。乗客は3名だけで途中大浪池からも数人乗車。かつてはたくさんの観光客や温泉客でにぎわった霧島温泉郷。小学校や中学校の遠足に修学旅行、林間学校といつも霧島だった。プールのような大浴場で賑わった岩崎ホテルは数年前に廃業し、解体工事が始まっていた。
かつての大ホテル解体中 |
宿の人の話では、特に2000年代になりここ何回か続いて新燃岳、中岳、硫黄山などの活発な噴火で入山規制が続き、そのせいで客がガタヘリしたとのことだった。おまけにコロナ。バスの便も減ってますます行きにくく不便になった。ほとんどがマイカー利用だ。登山にも、高原散策にも、そして温泉にもと広く楽しめる霧島山がいつまでも気軽に行ける場所であってほしいと願うばかりだ。
夕焼けに染まる高千穂の峰 |
霧島神宮に向かうバスの車窓から、夕陽で朱色に染まる高千穂の峰を眺めた。山頂に天孫降臨の逆鉾が突き刺さる高千穂峰、昔の人はこの神々しさを仰ぎ見て神が降りてきた山とあがめたのだろう。わたしも神々しく輝く姿にしばし祈りを捧げた。
霧島神宮駅からJRで鹿児島中央駅に向かう。先に来た特急列車はJR九州の誇る787系列車、装甲車みたいな怖い外観はいまいちだが、おしゃれと名高い。次にきた普通列車もスタイリッシュな座席だった。ご自慢の列車らしいが、狭く座り心地の悪いロングシートに揺られて酔いそうな気分だった。。
霧島神宮駅 | JR九州型特急 |
九州の顔787系 | 普通電車817系 |
夕闇の鹿児島に着き、お気に入りのざぼんラーメンに飛び込みほっと一息、故郷に帰った気分に浸ったのでした。
車内はスタイリッシュ | 鹿児島の一押しラーメン |