大浪池全景
コース: ・JR鹿児島中央駅6:27→国分7:08=霧島行きバス7:25→丸尾温泉8:21=きりしま周遊バス8:31→大浪池登山口下車8:50=9:20~大浪池避難小屋10:30=10:50~池東回りコース~11:10昼食=11:30~1411ピーク~韓国岳避難小屋13:30休憩=13:40~えびの高原分岐13:50~県道入口15:50~つつじヶ丘バス停16:.01発→丸尾温泉16:25下車 |
大浪池地図 |
所用でまた帰郷したので、霧島山に登ることにし温泉宿をゲット。高千穂の峰には学校の遠足(小・中学校)で二度しか登ったことがない。また登ってみたい。しかし、このカンカン照りの下、一切木陰がない剥き出しの溶岩混りの砂礫の山(富士山の砂走りと同じ)を登るのもためらわれる。思案していたら、発生した台風がちょろちょろしていて天候が不安定、高千穂はまたの機会に延期。少々天気が崩れてもなんとかなる大浪池に行くことにした。
霧島山系の新燃岳が2011年に300年ぶりのマグマ大噴火して以来、入山規制が続くこと早や12年、噴火活動は沈静化しているものの(現在警戒レベル3から1へ下がった)コロナの影響も追い打ちをかけ観光客減少で霧島連山への公共交通網はかつての面影もなく縮小された。道路は整備されたので、マイカーは多い。
実家を早朝5時半出発でJRとバスを乗り継いで登山口に着くのが9時前。その次の便となると11時前着。で、前夜近所のコンビニでおにぎりなど食料調達し、頑張って4時半起き、いざ大浪池に。早朝のJR、なんと学生の姿の多いことか。部活?早朝補習?みんな頑張ってるね。
朝焼けの桜島 | 錦江湾を北へ。桜島も形を変える |
JR日豊本線は錦江湾に沿って海岸線をぐるりと回る。朝日が昇る桜島を眺め、刻々と変化する海の色を楽しみながら進む。国分駅でバスに乗り換え、今度は次第に姿を現す霧島の山々を眺める。霧島温泉の中心地丸尾温泉でバスを乗り換え、きりしま周遊バスに乗る。
霧島連山が姿を現す | 霧島神宮前から高千穂を望む |
丸尾まで乗った客は私一人で、運転手さんが「安い1日乗車券を買えばよかったのに」と声を掛けた。1日周遊バス券が3月に廃止になったと知っていたので、まさか1日乗車券なるものがあったとは。残念だわーと嘆くことしきり。中国人はしっかり調べてきていて1日券を使ってた、金銭感覚すごいねーとのこと。
乗り換えた周遊バスはこれまた私の一人旅。運転手さんと道中ずっと地元の情報のあれこれを話し込む。中年の運転手さんで、わたしが鹿児島アクセントでしゃべるものだから、すっかり仲良くなってずっとおしゃべりしていた。
コロナ前のインバウンドの時は、中国人が大挙押しかけてきたので、小さな小型バスは満員で走り回っていたそうな。今は、大浪池に行く登山者が多くて、土日ともなると登山口にある10数台の駐車場は満杯、路肩にずらっと車が並んでたいへんだとの話に、へえ?大浪ってそんなに人気とは!とびっくり。
大浪池駐車場 | 大浪池案内 |
登山口バス停で運転手さんと別れ、一人降り立った。あたりはかすかに硫黄の匂いが漂う。霧島やなあ。既に駐車場には10台ほどの車だが、今日はまだ少ないようだ。トイレと休憩所があるので身支度して、ベンチでおにぎりを食べる。男性がやってきたので声を掛けると、山の調査に来たとのこと。聞くと、九州大学の調査隊でツガの木の調査をするとかで、身支度も長靴に雨具のズボンと重装備。藪に分け入るのだろう。
また1台車が来て、こちらはトイレの掃除とかやっている。声を掛けると高千穂ビジターセンターの方で、上の避難小屋などの掃除にも行くとのこと。山の様子を尋ねたら、なんと7月7日から硫黄山の活動が活発でレベルが2になり入山規制範囲が広くなったとのこと。
えびの高原からの韓国岳登山道は規制され、みんな大浪池経由のロングコースで登っているとのことだった。「どうりで、大浪の駐車場が混むんですね?」「 そうなんですよ。土日はこの路肩までずらっと駐車されて混雑しているんです。」「ところで大浪からえびのに出る道は歩けますか?」「いや もしかしたら規制範囲かもしれませんよ。わたしは高千穂なので現在の情報がないですが」そっか、えびの高原の道は地図上では横引きで歩きやすそうだったので、エスケープとして考えていたのだが。それにしても、硫黄の臭いがここまで流れてくるのは硫黄山がまだまだ活発なのだろう。
大浪池登山口には噴火の避難壕がある。登山届ボックスの横に、現在の火山情報が掲示してあった。確かに7月7日からえびの高原の入山規制範囲が火口1キロとなり広がっている。今冬2月に霧島に来たときはレベル1で韓国岳にも登れたのに。最近新燃岳は落ち着いているので、硫黄山も早く収まってほしいものだ。
避難壕がある | 登山口 |
7月7日からの入山規制 | 珍しい植物ありそう |
さきほどの高千穂センターの係員の方が登ってきたので、「このあたりでなにか花が咲いていますか?」と聞くと、「まだ新人で詳しくないですが。。。そういえばギンリョウソウを見に来る人が多いですよ」へえ ギンリョウソウ??「ギンリョウソウがうまく山道の脇に生えてくれてるといいですけどねえ」と、上の避難小屋まで行くという係員さんを見送った。
南国だからギンリョウソウが珍しいのか?と思ったのだが、帰宅して調べたら、ピンクのギンリョウソウが最近新種と判定されたとのこと。それは珍しい。(しかし、ネットにはギンリョウソウ探しの動画もあって吃驚! やめてくれ、盗掘されるよ、踏み荒らされるよ)
緑濃い登山道の草むらに白い花が咲く。小さなしそ科の花、見たことない。群落はしばらく続き、かわいい花たちの写真を撮る。ザックが邪魔なので地面におろし、はいつくばって接写する。それからも小さな花たちが点々と続き、その度にザックを降ろし這いつくばっていると時はどんどん過ぎていく。時たまハイカーが追い抜いていく。まだ入口なのにこんなことしていたら先に進まない。ザックを地面におろすのをやめて担いだまましゃがみ込む。
遊歩道が整備されている | 登山道の脇にスズコウジュの群れが続く |
途中で女性二人連れが追い付いてきて,抜きつ抜かれつ登る。最後には若い人はばてて座り込み、年上女性が元気にわっせわっせと階段を登っていく。どこから来たのか?と声を掛けると、串木野からとのこと。大浪池には30年ぶりに登りにきたそうで、親子だった。お母さんは小学校の先生らしく話が弾む。
遠足で霧島に登ったという私に「大浪池は小学校の遠足コースだったのに、ある時期しんどくて登れない子が出て、それ以降大浪池登山は取りやめにしようとなった。ほんとおかしい話だ」というので、「私らの時はしんどい人は途中に置いておいて最後の先生が回収したり、そこで待たせといてみんな登りましたよー、達成感が大事なのにね」と二人で最近の教育は!と盛り上がった。
更にその女性曰く「授業中に裏山に子どもたちと登ってみんな喜んでいたのに、ある時から数クラスの合同授業になったら若い先生がしんどいから嫌といって、以来裏山登りはできなくなった」とも。こどもたちの体力が落ちるはずだよねーと二人でぼやく。道端の花に気を取られる私を置いて、女性は先にどんどん登っていった。その後、休んでいた娘さんがやってきて、アザミやヤマジノホトトギスの花を教えてあげると写真を撮っていた。
韓国岳に登り下山してきたという登山者に声を掛け、様子を尋ねる。山頂はガスの中で眺望ゼロ、韓国岳避難小屋の分岐には特にえびのへの入山規制の看板はなかったとのことだった。
登山道はずっと石段が上まで | 大浪池休憩所 |
そんなこんなで登山地図では所要時間50分のところを70分かかって、やっと大浪池休憩所に到着した。溶岩の塊がごつごつ広がる大浪池畔から池を眺める。霧に覆われて時折モスグリーンの湖面が見える。残念、鮮やかな大浪ブルーは今日はない。正面にそびえる韓国岳の山容も流れる霧に覆われ、時折中腹が見えるくらい。空は一面の灰色雲。鹿児島市内は青空だったのに。しかし、数十年ぶりの大浪池は今も変わらず神秘的な佇まいだ。老夫婦の娘となったという竜王の化身のお浪の物語が、今も真に迫る。
大浪池 | 霧の 大浪池 |
火口湖の池を、一段と高い火口壁がぐるりと取り囲む。休憩所のある鞍部は1298m、ここから5分ほどで池の岸辺に下ることが出来る。一度降りたいと思いながらも下ったことがない。次回はゆっくりと岸辺に降りたい。大浪経由で韓国岳ピストン所要時間6時間、時間的には余裕はあるけれど、ガスの韓国に登ってもつまらないと、ここで気持ちは切り替わり登頂断念。
韓国岳も霧の中 |
遠足では比較的低い西回りコースの途中まで行ったことがある。子連れも登れるやさしいコース。言うたら、大文字山登山道みたいなものです。先ほどの親子連れ、どこかにいるはずのお母さんの姿が霧の中で見えない。呼んでみたら?というと娘さんがか細い声で「おかあさーん」それじゃ聞こえないよと「おかーーーさーーん」と叫んであげると、西回りコースの上の岩から返事が返ってきた。
朝会った高千穂センターの係員が、避難小屋掃除を終えたと下山してきた。さすが速いペースや。さて、私は登りがきついという火口壁東回りコースから大浪池最高峰1411mを目指す。ごつごつした溶岩の上に。木の階段が上部まで延びている。随分と整備されてるんだ。急登の階段を一気に登るとそこはもう火口壁の上、あたりは灌木や笹やススキに囲まれた人一人分の細い山道になる。
東回りコースへ登る |
上からわいわいと大声が聞こえ、女性2人組が下ってきた。滑るから先に行かせてねえーと叫んでいる。火山堆積土の黒い粘土質の道は八重山と同じ。そこここに滑った靴跡が残る。「はーい、ゆっくり下ってくださいよ」と2人を先に下ろす。彼女たちはえびの高原から入山したそうで、これから西回りで火口を一周してえびのへ帰るとのこと。入山規制もなかったという。そうか、それならばわたしもえびの高原を目指そう。
ススキの原(海老色の野) | 大浪池休憩所を見下ろす |
ススキの穂がもう出て、揺れている原がある。えびの高原名由来は、秋にススキの穂で海老色に染まるから。海老色一色にはもう少しだが、秋はそこまで来ている。
細い山道を進む | アザミの原で休憩 |
池側に草地が広がりアザミが咲き乱れている。ツマグロヒョウモンが幾匹も花に止まって蜜吸いに夢中だ。緑色がきらきら輝くカラスアゲハもひらひら。私も静かな花園に座り込んで昼食タイム。のんびりしてラインで写真などを友達に送る。すると、鹿児島の友人から「霧島は雨が降るとアメダスに出た。気を付けて」と連絡がきた。「こっちはまだ雨は降らないけれど、それならばやはり韓国岳登頂は止めるね」と返事して様子をみるが、ぽっちんと雫が降ってきたくらいで本格的な雨にはならない。
ツマグロヒョウモンが舞う | ムネアカクロジョウカイ |
その後もキリシマツツジの群落を分け、笹を分けて細い道を登っていく。緩い勾配だがずっと登りの岩の道。ひときわ目立つ大きな溶岩の塊があり、すぐ下まで行ける。足元は切れ落ち、灌木の森と眼下に広がる霧の池。風でガスが流れるとつかの間湖面が現れる。巨岩の上に登れそうだが、さすがに怖いので下から眺めるだけ。
チシマザザの道 | 溶岩塊の展望所 |
こわごわのぞき込むが | 大浪ブルー(2019年7月韓国岳から) |
最高峰らしい場所にはテーブルと椅子が設置してあるが、見晴らしはいまいち。ここまで来るのにも足元の葉っぱや花たちをかがんでみたりの繰り返しで、多分とっても時間がかかっている。やっと山道は下りになり岩道をどんどん下ると、広場に出た。韓国岳避難小屋のある鞍部だ。所要時間の倍以上の2時間かかってやっとたどり着いた。
気になる葉がいろいろ | 山頂の展望所 |
スズタケを切り開いた広場は木道で、椅子とテーブルが設置されている。休憩していると、上の方からグループが下ってきた。なにかしているなと思っていたら、ドローンを飛ばし始めた。中国語できゃっきゃと大騒ぎ。男女の若者たち。どこから来たの?と声を掛けると「台湾です」。スズタケの間に木の階段があり、韓国岳への標識がある。みんな登って来たんだね。すらりと背が高くパワーいっぱいの彼らは、元気に下山していった。
心地よい疎林 | ぬた場が見える |
やっと下りになった | 標識の左側には湖畔に下る道か? |
韓国岳避難小屋 |
韓国岳分岐標識 |
源頭部の水辺に木道が延び、竹の間を進む。先方から賑やかな声がして中年の団体さんが来た。この時間からどこに行くのかな?上に登るのかな?すれ違う時、女性たちが「一人なんですか?」と怪訝そうな顔をした。正しい登山グループでは単独行はご法度なのだろうな。
木道が終わると、火口壁をめぐって登山口に至る西回りコースと、韓国岳の山腹を横切ってえびの高原に至るコースの分岐点だ。標識にはえびの高原へ2.3キロとあり、地図のコースタイムは1時間だ。きょろきょろしながら下ったとして倍の2時間を考えればいいかな。今13時50分なので、16時のバスには間に合うだろう。
韓国岳登山道 | 韓国岳山頂と木階段が見えた |
スズタケの群落 | 木道を進む |
火口西回りとえびの高原へ分岐 | 火山灰堆積の道を進む |
足を踏み出した黒っぽい道には標識があり、滑りやすいので気を付けてくださいとある。八重山とおんなじだ。これまで歩いてきた灌木と笹の山道と打って変わり、大きな木が立ち並ぶ樹林帯になった。さっそくに木の階段があり登っては下る。地形図上では横引きの平坦な道に見えるが、韓国岳の斜面には溶岩の間を流れる沢が無数にあり、幸い水は少ないのだが涸れた谷を越え、崖を登り下りのとんでもない道が続くことになった。大雨の後などは滑るし渡渉ありで、結構悪路かも。
木階段が整備されている | 樹林帯の心地よい道だが |
登山案内を読むと、こどもでも歩ける道ですとあるが、ハイキング気分で来るとなかなか手ごわいかも。木道やぬかるみに丸太が投げ込んであって長靴でなくても歩けるようになったというが、階段はところどころ段が外れたり傾いているし、足を踏み外しそうになる。
それでもブナやツガ等々、すっくりと高くそびえたつ木々の森は空気が清々しい。足元に広がる草むらにはなにやら見たことのない花が次々に現れる。その都度にかがんで接写の繰り返し。今夜は霧島に泊まるのでその準備もあり、雨具に傘一式と30リットルザックは背中いっぱいの荷物だ。重さは10キロ未満か、写真を撮る度にちょっとした負荷をかけたスクワット状態で、腰が痛む。
ワイルドな道です | ツガの大木の森 |
梢の間から美しい囀りが響く。耳を澄ます。これって、あのオオルリの鳴きではないの?目を凝らすが残念ながら姿は発見できず。しばし、森の音楽にうっとり聞きほれる。そんなこんなで歩き進んでいると、標識があった。えびの高原へあと1.5キロとある。えええーうっそお。もう1時間も歩いてきたというのにまだ出発点から800mも来てないなんて。
山の距離の測り方ってどうやっているのだろうか?地図上での距離計測ならば、アップダウンの距離は入っておらず当然徒歩の距離は多くなる。???頭をひねりながらも、残り1.5キロを1時間で行くにはどうすればいいのかと焦る。ともかく先を急ごう!と決心して足を踏み出した途端、足元に「こっちよー」とツルリンドウが可愛い花をつけて誘う。レンズを向けて更に見ると、その横にはなにやら苔類の花? ちいさな子たちが賑やかに呼ぶ。あああ 仕方ないなあもう! なかなか来れない場所だし、もうバスに乗り遅れたらタクシーを呼ぼう、ホテルに迎えに来てもらう手もある! 悩んだ末に、写真をパチパチ。
ヒメバライチゴを摘みながら | またまた下って上る |
それからも巨木の木の根を伝っての登り下りに、沢の上り下りが続く。道は次第に平らになり、草むらにはノイチゴの赤い実がたくさんなっている。とっても美しいルビーの玉。摘んで食べ食べ、アカマツやモミの大木の道を下っていくと、かすかに車の音が響く。おっ だいぶ車道に近づいてきたようだ。標識があり後1キロだ。500mを30分で進んできた。
木の根の階段を慎重に下る | 何回目かの涸れ谷を渡る |
この調子だともう少しスピードをあげればバスに間に合うかも。あたりは山裾の平らな平地になり、木の根がごつごつしているものの歩きやすくなった。周囲には下草はなく、花もなさそう。道型を探しながらどしどし前進すると、標識であと500m。ここらに来ると遊歩道の趣で、10分も歩くと出ました、車道です。3時50分だった。
やっと平らな道になったようだ | あと500mで出口 |
通行量の少ない高原のスカイライン。道の対岸には標識があり、えびの岳登山口とある。ここは天然記念物ノカイドウで有名な山。見に来たいものだ。車道を5分ほど行けば、えびの高原の中心地に出る。一帯にキャンプ場や遊園施設が広がり、シーズンオフなのか盛んに整備工事中だ。登山口の近くにつつじヶ丘バス停があるので、16時1分のバスを待った。先ほどえびの高原行きが走って行ったからもうすぐ引き返してくるだろう。
県道に出た | ここが登山口 |
今日一日中あんなに霧に隠れていた韓国岳なのに、いまはすっかり晴れてすそ野までくっきりと姿を現した。定刻にやってきた小型バスは今朝の運転手さん。こっちに下ったんだねーと声を掛ける。高千穂は雨が降ったけどこっちはどうだった?とのこと。高千穂の駐車場は多かったそうで、登山者は吹きさらしの山で困ったことだろう。ひと山違いで山の天候は分からないものだ。
えびの高原車道 | 車道の向かいはえびの岳登山口 |
池の登山口バス停は人がうろうろしているものの、乗車する人はいない。「最近若い子たちが短パンぞうりの軽装で、ペットボトルも持たずに午後のバスでやってくるんだよね、大浪池をなめたらだめだ、せめて水分は持ってくるようにと 口を酸っぱくして注意しても、大丈夫ですよーと聞かずに登ってしまう。
幸いバスの時間には下ってきて乗って帰るからいいものの、事故が起こってからでは遅いからねー」と地元の運転手さんがとても心配する。「多分、今問題になっている富士山も同じようなのでしょうね。山は舐めたら怖いですよね」と話することだった。えびのから丸尾に下る途中に大規模ホテルの取り壊し作業中がいまだに進行中。かつての大ホテルは今耐震基準に合わないので補修工事をするかどうか迫られているそうだ。
しかも最近は団体旅行や社員旅行が少なくなり、客のニーズは個室で露天風呂とか、離れでのんびりと、個別化していて、霧島でも新しくできるのはそんな贅沢な宿だそう。昔ながらの大浴場を持つ大きなホテルは苦境に立たされているとのことだった。取り壊し中の岩崎ホテルも、全部取り壊すのではなく規模を縮小しての高級化を目指すかもしれないとのことだった。でも1泊ウン万円の宿にそうそう泊まれるわけでもなく、やはり大浴場ありのリーズナブルなホテルは残ってほしいものだ。そんな世間話をしながら、えびのから25分で、バスは今夜の宿の前に停まった。
やっと韓国岳が姿を現す | 食った食った満足じゃ |
足元の重い登山靴が痛い、腰も痛い。よろよろしながらチェックインし、温泉に直行。ほどよい湯加減の硫黄風呂は身体に染み渡る。泥パックコーナーで硫黄の泥を塗りたくってほっこり。露天風呂で腰を延ばす。大浴場には無料の洗濯機乾燥機が設置してあるので、デトックスの汗にまみれた登山服一式を放り込んだ。臭い荷物を1日放置せずに済んで助かった。
6時からの夕食は1時間半のバイキングだった。今日はパンとおにぎり3個で過ごしたので腹ペコ、見るもの見るもの美味しそうで、テーブルいっぱいにお皿を並べたててほうばった。友だちに写メを送ったら、まさかそれは一人分?と どの人もびっくり。ビールが美味しかった。食事も果物とケーキのデザートまで完食。よく入るなあと我ながら感心しつつ、なんか疲れが吹っ飛んだ。
それでも足腰は痛むので、氷製造機からアイスポット山盛りの氷を持ち帰り、ギンギンに冷えるまでアイシングに励んだ。もちろんストレッチも。寝る前の温泉も。温泉の効能に疲労回復 筋肉痛回復とあったが、翌朝は覚悟していたほどの疲れや痛みは残っていずにほっとした。
山に登って温泉宿でのんびり、最高の贅沢や。今年の夏は38℃続きの酷暑で、耐えきれず夏バテで倒れた。へろへろで帰省したが、蒸し暑さのない鹿児島市内でほっとして、更に爽やかな高原で生き返った。また帰郷の折はこのコースにしよう。味をしめたのでした。