京都北山を中心とした山々を楽しむ okaokaclub

ポンポン山 
2023.4.08

かたくり保護地で


日程:
・ 2023.4.8(土)曇りのち霰、小雨  ikomochi

コース:
JR京都駅8:07発→向日町駅8:15着=阪急バス8:35発→善峰寺バス停9:09着~杉谷10:00~巡礼古道を経て森林公園管理事務所11:00着=11:30~西尾根~リョウブの丘13:00~カタクリ保護地13:30=13:45~杉谷14:30~善峰寺バス停15:10=15:24発→向日町駅16:00着→JR京都駅





ポンポン山の春の花が美しいと聞くので、10数年ぶりに出かけた。


 みんなが行くポンポン山、10数年前はあの道この道毎週のようにさ迷い歩き、時には標識を見落としてここはどこ?状態になり、okaokaさんになんであんな分かりやすい所で見落とすんやと大笑いされたこともあったのに、ぱったり通わなくなった。

 なんでやろーかと考えてみると、丁度大原野森林公園の周辺が林道整備が盛んでダンプカーが走っていて、カヤネズミの巣を見つけたススキの原も削られつつあるのが嫌だったような記憶。赤土の林道はいややと古道探して北山の奥深く沈んだような。通い詰めた北山の奥地も次第に林道が山地を削り、寸断された古道を歩くのはつらくなってきた。

 自然保護地として手厚く管理され辛うじて貴重な生態系が守られているというポンポン山。花々に誘われて足繁く通い詰めるファンも多い。

 久々行ってみようかな。JR高槻からバスで中畑回転場まで行き、縦断してくるコースが都合がいいので時刻を調べると、ななんとこの4月からダイヤ改正で1便が10:56着とある。善峰寺バス停15:24発のバスに間に合うにはいかにも時間が足りない。悩んでいたらユッキーさんが、とりあえず杉谷から林道で森林公園に直行すると短縮になるかもとアドバイスしてくれた。

 全山青もみじに覆われた善峰寺、大雨の後で緑が輝いている。向日町バス停には数人が並び、電車が着くたびに行列が長くなっていく。バスは満員で通路もいっぱい。結局終点でほとんどが降車して、三々五々散らばっていった。わたしは急な坂道の車道を杉谷目指して歩く。久々の勾配歩きで汗が噴き出る。

若葉の季節 釈迦岳登り口

 ポンポン山は初めてという若者を引き連れたグループに、山頂ではぜったい飛び跳ねてぽんぽん言わさないと神さんが怒るんやでとリーダーと一緒になってからかい、真顔で「ホンまですか?」と尋ねるのに大笑いして、釈迦岳へ向かう一団と別れた。ぽくぽくと歩いていると後ろから騒々しい一団がついてきた。

花芽はまだのよう 花芽のようだけど?

 バスの中でも大声でしゃべり続けていた女性たちがその列にいて、バスの中での話がまだ終わらないとみえてずっと喋っている。先頭のリーダーに、「今日はどこですか?」と声を掛けると、「小塩山のかたくりです」とのこと。「今日は例会山行ですか?」 月に一度ほどの例会だそうで、リーダーは黙々と先頭を進み、うるさい女性陣が中ほどに続き、その後ろには黙々と歩く中高年男性たちの列が続く。

お久しぶり タチツボスミレ

 さっさと行ってほしいので、道の脇のスミレや花の芽をきょろきょろ探して写真を撮りながらのろのろ歩く。一人の男性が「なにか珍しいものがあるの?」と声を掛けてきた。シハイスミレや名前の分からないものがあるんですよと話しながら、いい季節になったねとおしゃべり。女性たちはカタクリを見に行くというけれど、きっと花なんかちらっと見て終わりで、またぞろ職場の話やなんやかんや関係ない話をしゃべりたてるんやろうなあ と、静かな男性たちが気の毒に思えた。

 うるさい一団が先に進み、長くくねくね続く坂道をやっと杉谷の集落までたどり着いた。椿の木がたくさんの花をつけている。山椿ではない。春になるとご近所の珍しい椿たちの名前を探すのが楽しみで、6000種はあるという図鑑からああでもないこうでもないと名前当てをする。杉谷の椿もただの山椿ではない。石垣の上から出迎えてくれる美しい枝垂桜といい、椿といい、花好きの住人とお見受けした。

椿 参拝道碑

乙女椿 杉谷

 田植えの準備が整った杉谷集落の田んぼ、尾根のすそ野に続く山桜が咲き始めている。電気柵がぶーんとうなりを立てている。ここの畔で初めてカテンソウを見つけて時は、その小さく愛らしい姿に感動したなあ。なにかないかなあと探したけれど、きれいに刈り取られた畔にはなにも見つからなかった。

お地蔵さん 杉谷の枝垂桜

 亀岡の穴太寺への巡礼道という車道はきれいに舗装されているけれど、道脇の土手にはスミレたちが花を開き、ネコノメソウがお目目を覚まし、湿地ではクリンソウが小さな葉を広げている。いまではしっとりと落ち着いた森の林道という風情の、のどかな道を時折車が走る。

ニョイスミレ 杉谷から巡礼道へ進む
山桜が咲く ネコノメソウ

 狭くてくねくねした悪路と評判悪いけど、おかげで通行量が少なくてのんびり歩ける。後ろから自転車部隊がえっちら登ってきて追い越していく。昨夜までの大雨で道路まで水が溢れ、びしゃびしゃと濡れながら歩く。

キランソウ 森林公園へ

 杉谷から流れる沢は次第に谷川へとまとまり水音が響くころに、森林公園管理事務所に着いた。丁度2時間歩いてきた。管理事務所でトイレを済ませ休憩室で昼食にする。管理人の女性が声を掛けてきて、展示物をいろいろ説明してくれた。保護区では希少種が花咲くという。目指す竃ヶ谷ではどんな花に会えるかなあ。

沢沿いの古道を行く 森林公園の案内

 一人休憩室でおにぎりをほうばっていると、男性が入ってきた。東尾根から周回してきたという。ポンポン山にはほぼ毎週通って来るという男性は、今年のツツジは格別きれいや、こんな色のいい年も珍しい!と盛んにいう。

 ポンポン山、コアなファンが多いと知ってたけどみなさん熱烈や。管理事務所の周囲には山桜が大きな枝を広げ、これから満開を迎えそう。谷間を見渡すと人が数人いるだけで静か。谷川沿いの小道を進む。すると先の方で渡渉中の2人組がいて、かなり苦戦の様子。いましも土手を登ってきて、足を拭いているカップルに話しかけた。

森林公園管理棟 増水で渡渉を諦めた

 「わたしも竃ヶ谷に行こうと思うんですけど、水深がありそうですね?」2人は口々に、普段なら靴のままで渡るのに今日は川が増水していて渡渉が危ないこと、竃ヶ谷も普段の3倍くらいの水量で歩ける道を探すのに苦労したこと、りょうぶの丘から谷の状態を知らずに下ってしまったこと、下から登ってきた人は一人でその人ももうずぶぬれ覚悟ですと膝までぐっしょりだったこと、今日は天気が悪くて冷たいから濡れたらたいへんなこと などを口々に言い、声を揃えて「今日は危険です。身体も冷えます。天気も下り坂、中止した方がいいです」と熱心に忠告してくれた。

 よく歩いておられる様子の二人組の忠告は、有難く聞こう。せっかく張り切ってきたけれど、昨日の大雨警報は伊達じゃなかったのね、市内ではたいして降ったとは思わなかったけれど と竃ヶ谷は断念。川沿いに下って西尾根を目指す。川に注ぐ竃ヶ谷の沢水は濁った水が音を立てて流れている。これじゃあたいへんそうや。西尾根へと川を渡る橋の下には泡立つ水、尋常じゃない。尾根への取付きは濡れてはいるものの歩きやすく、木の根道を高度を稼いで一気に尾根へ。上から2組のグループが下ってきた。

竃ヶ谷からの水量が多い 大粒の雹

 尾根に登ったころ、一天俄かにかき曇り、突風が吹き上げてきたかと思うと、西から真っ黒い雲が近づきばらばらばらと大きな雹が降り注いだ。尾根に取付くとき、雲行きが怪しかったので先にレインウェアーを着ていて助かった。この後雨になるかと覚悟したが、黒雲はどこかへ去り、山は静かになった。下からどしどしと登ってくる男性たちを先に見送り、わたしはのんびり歩く。上から雨靴カッパ姿の監視員の男性たちが下ってきた。谷の様子を尋ねると、「今日はとても増水していてわしらでもよういかんで」とのことだった。

出灰への道は通行止め 尾根は桜色

 そうするうちに、途中で先ほど休憩所で会った男性とばったり。お互いに再会を喜び、後になり先になって同行することになった。山歴50年の男性はポンポン山がホームグラウンドで、よくご存じだった。東尾根もきれいだったが西尾根もツツジの色が鮮やかで本数も多いなあ と見どころを案内してくださった。花の写真の撮り方も手ほどきで、お互いに写真の撮りっこもした。普段は奥さんと歩いているけど、膝を痛めた奥さんはしばらくお休みとのこと。楽しそうに山のあれこれを教えてもらい、カタクリ保護地へと案内してもらった。

道案内してくださった 見事!コバノミツバツツジ

 小塩山のカタクリは数回見に行ったことがあるが、素晴らしいけれど手が入りすぎているし人が多いしでもう止めた。ポンポン山の保護地は谷間の上部を上手に使った一面のカタクリ畑だ。男性によると、もともとこの谷間はカタクリ自生地で下から登って見に来ていたそうだ。まだ蕾が多い。満開時期には一斉にピンク色になるそうだ。タイミングよく来れたらいいな。

 下向きにそり気味の花びらを開いたカタクリ。ツンととがった花の先を固く閉じてすまし顔の蕾たち。どれも可愛くて男性と2人でこれも可愛い、あれもいいとはしゃいだ。人が少ないのもよくて、私たちが堪能して帰る頃にやっと人が入ってきた。いいものを見せていただいた。

りょうぶの丘 かたくり保護地で

もうすぐ咲くよ 馬酔木のトンネル

 男性に謝してまたの再会をと、登山道を南、北、へと別れた。ポンポン山山頂からの道を下山する。途中の分岐で釈迦岳へも脳裏をかすめたが、先日哲郎さんが倒木で苦労したとのことだったので、おとなしく杉谷へ下った。急な岩だらけの道には立派なステンレスの手すりが設置されていて、滑りにくくなっていた。でもやっぱり山道、気を付けながら谷川へと下り、沢を渡ると目の前には杉谷の田んぼが広がっていた。のどかな山里の風景にはいつも癒されます。

手すりが整備された登山道 杉谷の取付き

 くねくねと果てしなく思える車道を、バス停へと向かう。下りでは負荷がかかって膝が痛んでいたのだが、今日はましのようだ。下りではどうしても膝先に重心がかかっていたのだが、リハビリで訓練を続けてきた効果がでてきたかな? バス停に着いた頃、小雨がぽつぽつ降り始めた。久々のポンポン山、目的は果たせなかったが、道中楽しく歩くことが出来たし、とりあえず山域の様子を知ることが出来てよかった。

朱色の橋は善峰寺参道へ 善峰寺バス停

 バス利用の制約があるが、疲れない程度のほどよい登山コースでもある。次回はもっと他のルートを使って歩いてみよう。帰ったら、道子さんや知人から大雨に合わなかったと心配してメールが届いていた。神戸方面から京都へのラインで、雷雨やったそうだ。ポンポン山はうまいこと雨雲の範囲外やったよう。濡れずに済んでよかった。風邪もひかんでよかったと感謝でした。

ビールがうまい










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