東谷ノッコシを探す旅 その2


P911を眺める



2008年12月13日(土) 晴れ 0℃〜7℃ ikomochi 桃ノ木尾根〜かもんこえMAPへ


◆東谷ノッコシの場所が分かり、今まで『東谷乗越』と信じられていた分岐は偽ノッコシと認定されたので、新しい標識をつけに行った。

コース:
7:50出町柳発広河原行バス⇒9:40広河原着=広河原出発10:20〜桃ノ木谷分岐10:35〜小ピーク11:20〜P781 11:40〜南尾根分岐11:55=道が分からない うろうろ=12:30南尾根発見〜巨木〜13:07サエ谷へ下ったあたり〜13:25尾根道の分岐に到着=13:48出発〜P781の分岐14:20〜P781 14:25〜桃ノ木谷分岐15:00〜広河原15:10=16:00発出町柳行バス


okaokaclubからのお願い

◆このレポートにある「トチノキの鞍部」は、古道の乗越のひとつであり、
登山道の「東谷乗越」ではありません。間違えないように注意してください。

◆古道の乗越から南北へ通じる作業道の先は、現在崩壊していますので、
踏み入らないようお願いします。

                    【 サイト管理人 哲郎 】



 偽ノッコシの名前を何にしようか、ここはやはりOさんに決めてもらうしかないと、命名をお願いした。地形や実際に歩いてのいろいろを考慮の上、Oさんは「『かもんこえ』にしよう」と言った。かもんこえ? それはどこに行く道なんや? 分岐を北方向の尾根へ越えていくと、芦生川沿いに刑部谷があり、この谷に尾根伝いに下る巻き道があるそうだ。

 分岐からはすぐに東谷に下れそうなのだが、実際は急な泥壁でとても下れないとか。そこで、村人が歩いていただろう道に由来して、新しい名前は『刑部越え(かもんこえ)』になりました。ちなみに、地元では「刑部」と書いて「かもん」と読むそうです。芦生から広河原一帯を治めていた豪族の名に、由来するそうです。新しい名前 よろしくお願いします。

桃ノ木尾根取り付き ユズリハの茂みを掻き分けて登る

 今日は、いつも下りにしか使ったことのない桃ノ木尾根を登って、新「かもんこえ」へと向かう。植林地の急斜面をよじ登っていく。作業道がじぐざぐにあるので、落ち葉の上を探しながら急登を避け、歩く。ぐんぐん高度を上げ、尾根の先端部のユズリハ群落をかき分けながら踏み跡を探す。この尾根も、上部に行くまで潅木の藪が続く。次第に足元の藪が薄くなり、杉の大木がちらほら現れると、もう頭上の樹々の間から青空が透けている。あと少しだ。汗を流しながら、落ち葉の道をさくさく登る。

巨木が現れる 次々に巨木が P781近く

 平らになった山頂部、2つのこぶを越えると、また下りにかかる。東側に桃ノ木谷の源頭部を見ながら、ぐるりと回りこむ。テープがやたらに多くなり、KGCの赤い標識が2つぶら下がっている。先の標識の北側に尾根が延びるので、ここは曲がるんだよと教えているのか。踏み跡を確認しながらさらに進むと、立ち木にKGCの大きな案内板がつけてあった。〔←P911 広河原 →〕 この標識は南尾根にあったもの。このあたりに、小野村割稜線につながる南尾根があるはずだ。

KGC標識がある 南尾根にあるKGC標識 P781標識

 KGC標識の矢印の下に立って、矢印のほうへ身体を向けて歩いていくと、あれれ またさっき登ってきたP781に戻ってしまった。おかしい・・・そこらを探すと、急な斜面を下るはっきりした踏み跡。うーん これは谷に下るんじゃないかなあ。木立の隙間を透かして巨樹を探すけれど、いまひとつよく分からない。で、試しにその急斜面を下ってみた。すぐに踏み跡は薄くなり、どう見ても先は谷に下っていそう。

南尾根に乗る KGC標識見てやれやれ

 また登り返し、もう一度KGCの標識へ戻る。そして、また前進。こぶをひとつ越えると、次の小さな広場にP781の標識がかかる。登ってきたときは、この広場は見過ごしていたらしい。標識の下に立って身体を東に向けて前進すると、また先ほどのKGC標識。やはり、この標識近辺が分岐らしい。ひとつひとつ、谷に下る斜面を透かしてみていくと、ありました!! 急激に下っているけれど、先が鞍部になっている尾根発見。

 下りの時は、道を急ぐので道ナリにどんどん歩いてきたけれど、逆方向は難しい。KGC標識は、南尾根分岐の真上に、きちんと分かるようにつけてあったのだけれど、わたしはほんの数メートル行き過ぎてしまい、するともう道迷いです。また、分岐の斜面が考えるよりも急だったことも新たな認識でした。尾根の上に乗ってしまえば、あとは先日の失敗 サエ谷に下らないように、なるべく東側を歩きます。小ピークの登りがあり、ピークの上部は潅木の藪が続く。この藪は東側を巻いて道がついている。次の小ピークの上部も藪で、ここもピークの上を越えずに巻き道がある。獣はピークを越える必要はないから、楽な巻き道を通る・・とOさんに教えてもらったが、まさにそのセオリーがこの尾根には通用するようです。

台杉 小野村割岳を望む

 台杉の朽ちた巨木がそこここに姿をあらわし、先日見たオブジェの台杉も見ました。あたりは潅木のブッシュなので、きっとこの付近で道を間違ったのでしょう。台杉に見とれて、尾根の真上を西にずれ込むと、道をはずしてしまいそうになる。巨木や特徴のある木々をひとつひとつ確認しながら、南尾根をゆっくり登る。下りでは調子よく歩いていた分、急坂のアップダウンが小刻みに続くと、堪えます。しかも、今日は標識2本に加え、もしもの時に軽アイゼンまで持ってきたので、リュックは久々11キロを越え、肩にぐんと堪える。

このあたりで迷ったかなあ 桂の木

 杉の木立の間から、遠くに小野村割岳のピークやP911の大杉が見える。西の稜線上を眺めれば、こちらも大杉の森が延々と続き、ここはやはり巨樹の森です。目の前が明るく開け、足元にはサエ谷の源頭部の枯れ葉の赤茶色、正面には偽ノッコシのワラビ原が冬枯れの赤茶色、陽に照らされてまぶしい。最後の登りを這い登り、こんなに斜面がしんどいと思ったのも久しぶりやなあ とあえぎあえぎ分岐に到着。

やっと分岐到着 標識取り付けました

 時計を見ると、なんと1時半を回っているではないか!予定の時間を1時間超過、ノッコシに回って近道を走っても、予定の4時のバスにはぎりぎり間に合うか、間に合わないか。林道を突っ走る元気は、もうないなあ・・・。で、ノッコシの標識は後日付けることにして、新『かもんこえ』標識つけました。間違っていたプラスチック標識には、マジックで正しく書き加えました。地面に落ちていたKGC標識も紐でぶら下げたりと、余裕がないとできないことをあれこれ始末し、13時48分また来た道を戻る。

 登ってくるときに、古い道型を確認しながら歩いたので、帰路はスムーズに歩け、P781分岐には25分で到着。くだんの斜面を登りながら前方を見ると、木立の隙間にしっかりとKGCの標識がありました。Oさん 標識をきっちりつけてくれてはるわ。標識の意味を汲み取れるか否か、こちらの力量が問われるわけですね。

種がたくさんの糞 南尾根KGC標識は目前にある

 P781の小さな広場を通り過ぎ、桃ノ木谷の上を回りこむと、細い尾根が桃ノ木尾根。この尾根も踏み跡は上部か、もしくは東寄りにあるので、よく探しながら歩くと、道が目の前に現れてきます。最後の下りのブッシュは少し難しいけれど、西側の谷の上に出ないように気をつけながらぐんぐん下ると、3時前には桃ノ木小屋を見下ろす杉木立の急斜面の上部に出ました。斜面を少し東に振りながら下ると、桃ノ木谷の入り口に楽に着地できました。

 4時のバスに乗るからと、庄兵衛さんに約束していたので、奥さんは喫茶店で待っていてくれました。下山を5時のバスに遅らせたら、きっと心配したことでしょう。バスが出るまで、暖かいココアを飲みながら、奥さんと四方山話で湧きました。広河原の新しい住人が、星空を見上げ、ピューと指笛を鳴らすと、そこここの山から鹿がピューンと鳴声を返すという話を聞きました。素敵な光景ですね。広河原にぴったりの人が越してきてよかったと、喜ぶことでした。

 歩いてみて、南尾根も桃ノ木尾根も、やっぱり難しいなあ と再認識しました。テープはあまりありません。踏み跡やテープについていくだけでは、迷います。分岐には必ずKGCの標識がありますが、地形図とコンパスで確認しながら歩く必要があります。でも、その分 目的地に着いたときの喜びは何物にも替え難いです。

 また、登りはP781まで1時間半、分岐から刑部越えまで1時間、帰路は1時間10分で桃ノ木谷着地でした。いかに急斜面が続くか、ご理解いただけるでしょう。余裕をもって、チャレンジしてください。



                          【記: Ikomochi】