芦生 五波峠から櫃倉谷


2008年7月19日(土) 晴れたり曇ったり  森の旅人M



コース:
五波峠〜中山谷山分岐〜坂谷源流〜P682〜P692〜権蔵坂〜権蔵谷〜櫃倉谷〜坂谷〜坂谷源流〜中山谷山分岐〜五波峠





 芦生続きで今回は西側の五波峠から初めて若丹国境尾根を東へ進み,権蔵坂から櫃倉谷へ下りました。尾根ルートの一部は踏跡が不明確となり難路でした。

 佐々里峠を北に下り出合で左折,田歌にある異常気象時通行規制表示板の所から林道五波染ヶ谷線を北上します。花背峠・佐々里峠を通って来た者には,このアスファルト林道は走りやすい道でした。 五波峠には駐車スペースもあり登山口として整っています。一台京都ナンバーの車が止まっていました。大きな「五波峠」と彫ってある石碑が迎えてくれます。

五波峠登山口 中山谷山分岐

 石碑の横を通り抜け,若丹国境尾根の縦走が始まります。緩やかな坂から次第に傾斜道になります。ブナ・ミズナラ林が続いたあと,スギも多く見られるようになる。尾根ピークをいくつか越すと中山谷山分岐,表示板・テープもあります。若丹国境尾根はここから左(東)へ下り,坂谷源流の表示板のある鞍部へ着きます。先程の中山谷山分岐からは,次第に道が薄くなるため詳細な地図とコンパスは必携となります。一つ小山を越すと鞍部に出ます。ここも坂谷源流です,今日はこの鞍部目指して急斜面を駆け上がってくる予定です。

 ここから尾根道を行くと掘削した道に材木の切出場と思われる所に出る,ワイヤが転がっている。尾根を進むと「690m第二迷点」の表示板。頂上部周辺にはシャクナゲ林が広がっています。左(北東)に下る。周囲のスギはシカの食害を防ぐためか,青や紫テープで幹が巻かれている。シャクナゲの幼木の多いところに来ると次第に道は不明確となる。前方から男性がカメラを担いでやってきます。話を伺うと,P692まで行ってピストンで帰るとのこと。駐車場にあった一台の本人であった。この先の道について情報をもらい別れる。

690m第二迷点 シャクナゲ林

 鞍部から上り,倒木が多く道を塞ぎ足元が悪い,シャクナゲ原を行く道は不明である。小広場に着く。南側が開け,目の前の坂谷の向こうに見える高い山がブナノ木峠。少し登るとシャクナゲ林の中のP682に到着。ここにも表示板があり若丹国境尾根は,左(北東)へ下る。

P682手前の南側展望 P682
トラバースルート分岐 トラバースルート

 鞍部に向って下ると,池とは呼べない沼が右手に見える。急斜面を登る,黄色いテープがあり,さらに登ると「トラバースルート分岐」の表示板。ここからが難所でした。分岐から南に上るルートもあるらしいが,今回は次の鞍部へ迂回するこのルートを歩く。所が先に進む道が分からず,行動がフリーズしてしまった。北へ下るもののルートと違うと思い,一旦分岐へ戻る。周囲を改めて見ると,細い切り株の跡に赤いテープがあるのが目に入る。分岐からほぼ水平に東へ,次のテープもが途中から頼りのテープも見当たらず,踏跡もないため適当に上に向かって急斜面をよじ登る。

 スギ林の尾根に出るものの鞍部が見つからない。前方に谷があり地形的に違う,念のため尾根の上に向かい位置確認をする。開けた位置で方向確認すると鞍部はこの下に間違いない,尾根を東に下って行く。目指す鞍部にようやく到着。このトラバースルートは余り歩かれていないと思われる。この先は尾根が細るため道が明確になってくる。P692から北東へ下る。ミズナラ・ブナ・シャクナゲ・アセビが目に付く。急斜面を下り鞍部へ。もう一つ尾根を越すとようやく権蔵坂に着きました。

P692 若丹国境尾根
権蔵坂 権蔵坂案内板

 ようやく着いた権蔵坂で,初コースを終えて緊張もほぐれ,木漏れ陽の差し込みと緩やかな風の中,涼しい尾根で早い昼食を摂ることにしました。ここで昼寝でもしたら気持ちいいだろうと思いながら短い昼食を終えます。 

 櫃倉谷へ権蔵谷を下ります。最初乾いた谷は,すぐに合流を繰り返し沢水からやがて小川になり幅を広げていきます。水量も増えて渡渉を繰り返し下ります。川幅は狭いのに魚影を確認。トチノ木にシカの糞と自然の営みを感じる。結構な広さの谷幅が急に細くなる。小さい滝を通り過ごすと,やがて見たことのある櫃倉谷出合に出た。

権蔵谷上流 権蔵谷−1
権蔵谷−2 櫃倉谷権蔵谷出合

 下流を見ていると男性一人がこちらにやってくる。途中やり過ごす中で挨拶と会話をすると,来週ここに来る予定でコースガイドのためタイム等を確認しているそうだ。結構歩いている方で,若丹国境尾根のトラバースコースは,迷いやすい所だと言われた。櫃倉谷を順調に下る。

 坂谷出合で長クツに履き替える。谷入口の最初のところが20センチ以上の深さがあり準備万端で正解。ワニの石を通り,2本の樹木が巻きついた大岩を見て,坂谷本流を遡上する。三段ナメ滝を通り,その奥にある滝は前回と違いしぶきを上げて流れ落ちている。飯場跡のすぐ先の谷分岐で右の谷に入って行く。途中倒木で谷が塞がれている,昨年こんな風景はなかったのにと少し不安になる。さらに奥に分岐が現れる,野草の葉で覆われた左の谷に入る。狭くなる谷は先で分岐となっている。見慣れた場所に出て,最後は右側の谷に沿って斜面をよじ登る,今日一番の急斜面である。一気に上れないので息が上がる,息を整えながら10分弱でようやく若丹国境尾根に到着した。さらにこの後,控える中山谷山分岐への上りも結構な斜度があり堪える。

櫃倉谷坂谷出合 坂谷奥の滝
坂谷上流 坂谷源流部

 五波峠へは,来た道を戻る。分岐からピークを数箇所越えてブナ林に入り駐車場へ戻りました。深山では自然の流れの中,倒木も多く常に同じ顔をしていないことを改めて感じました。緊張の山行を終えて心身をほぐすため,楽しみにしていた河鹿荘で入浴をし汗をながして気持ちよく帰宅しました。