廃村八丁 トラゴシ峠からトチヤナギ谷


トラゴシ峠



2008年10月13日(月:祝) 快晴  森の旅人M



コース:
京北町小塩〜馬場谷林道ソトバ峠取付〜ソトバ峠〜ババ谷口〜廃村八丁〜トラゴシ峠〜トチヤナギ谷〜八丁川トチヤナギ谷出合〜コシキ峠出合〜コシキ峠〜西谷林道コシキ峠分岐〜山の家・コシキ峠分岐〜京北町小塩





 廃村八丁から行けてなかったトラゴシ峠へ,そしてそのままトチヤナギ谷に下り八丁川本流へ。八丁川を少し遡上し,コシキ峠に上がり小塩に戻る周回コースを歩いてきました。トラゴシ峠とトチヤナギ谷の情報が少なく心配しましたが,なんと村長さんが在村中でトラゴシ峠まで案内してもらうことになりラッキーでした。

 小塩からソトバ峠取付まで馬場谷林道を歩く。この春下ってきたこの道を逆に向う林道である。植生は限られており面白みはない。アキチョウジが一輪に他は盛りの過ぎたベニバナボロギク,色の付き始めたマムシソウ,シダ類が多い。取付に到着,狭い駐車場に4台が停まっていた。遠路の大阪ナンバー2台,奈良ナンバー1台そして京都ナンバーが1台である。三つ目の砂防ダムの前を通り,すぐにロープ道になり後は急登が続く。沢の音が聞こえ無くなる頃には,汗も吹き出てくる。途中から声が聞こえる,しばらく坂道を歩いていると人の姿を目にする。約7〜80m先である。10人近いパーティのため進みが遅く坂道ですぐに後についてしまう,しかしカウベルの音で早くから気が付いてくれたのか,止まって抜かせてもらう。中年の男性主体のパーティである。お地蔵さんを見ると,ソトバ峠がすぐである。いい天気で気持ちよい。西の山並みがきれいに見渡せる。

馬場谷林道ソトバ峠取付 ソトバ峠

 小休憩し,広域林道へ。木の階段をババ谷へ下っていく。いつもこの谷は上ってくるのだが,初めての下り道のため新鮮に感じる,こんな道があったのかと思いながら歩いていく。スギ林になり谷が八丁川合流するとババ谷口,そしてスギの倒木を潜り抜けて行くと廃村八丁の巡視小屋はすぐである。

山林巡視小屋 テント

 残った巡視小屋も今にも倒壊しそうだ。いつも無人が多い小屋であるが今日はなんとなく人の気配がする。変わったことは小屋の前に黄色いテントが張ってあること。カメラに小屋を収めていると老人が現れる。初めて見る顔であるが,話をすると1箇月ほど長期滞在予定で八丁を本当に気に入っている人のようである。色々とこの山のことについて話をしていると,テントから出てきたのが村長さんだった。以前と違い今日の顔がすっきりしているので言葉にするといつごろのことだと問われ3〜4年前と答える。実は昨夜もう一人加わって酒盛りがあり二日酔いでようやく人の声で起きてきたようだ。しばらく話をして,トラゴシ峠からトチヤナギ谷を下る予定を伝えると,トラゴシ峠まで連れて行ってあげると言ってくれた。

トラゴシ峠へ トラゴシ峠

 村長が先頭に立ち巡視小屋の裏から八丁川を渡り,トラゴシ峠の取付から谷に沿って登っていく。道は若干不明部分もあるが少し登るとしっかりした道がついている。スギに黄色いテープが巻いてあり,折り返して行くようになっている。斜面を巻いてもう一度折り返していくと,稜線に出た。さらに緩やかな坂を登っていくと中腹の小広い所に出る,そこから斜面に沿って平行した一本道が西のトラゴシ峠に向って延びている。 思いもかけない村長さんの案内ですんなりやってきてしまった。トラゴシ峠は広くもなく周囲が雑木林になっているため展望は取れない。村長とはここで別れ,トチヤナギ谷へは左へ左へ行くように,急斜面のため木を掴み体制を低くして,へばりつくように行くようにとアドバイスを受けてスギ林の谷へ下りていく。もう少し峠でゆっくりしたかったが勢いで下りていく。

トチヤナギ谷へ トラゴシ峠への急斜面

 トチヤナギ谷へは赤いリボンが傾いたスギの木に掛けてある。すぐに最初の谷合流,さらにもう一段下り二股の合流になるが,途中にKGCマークの吊り標識が2箇所架けてあったものの,その後は踏み跡もテープもない。しばらく急斜面を水平に進むが安定しないし,滑りそうなのでそのまま斜面を谷に下りる。谷の先に進むと沢が見える,トチヤナギ谷であろう。谷まで20mほどの斜面,時間をかけて慎重に下りることにする,下りてから振り向くと結構な急斜面であった。初めてトチヤナギ谷に入りこの斜面を登りトラゴシ峠にたどり着くのは標識もないため少し難しいと思われる。

 谷に下りてから長クツに履き替える。両側から迫った山で狭い谷を下っていく。コケ蒸した岩と倒木などで歩きにくいが,問題でない。谷の水量は少なくトレッキングシューズでも大丈夫だった。レンガのような赤い大きな石が幾つも転がっている,KGCの標識を見てから谷分岐に着く。小広場になっているのと,時間に余裕が出てきたのでここで昼食を摂る。大きなトチノ木が立っている。その後谷分岐からは薄い踏み跡があり,その道を行くと思いもかけずに早く八丁川出合に到着した。

トチヤナギ谷−1 トチヤナギ谷−2
トチヤナギ谷合流部 赤い岩

 対岸(八丁川左岸)に渡り,コシキ峠登り口まで八丁川を数回渡渉する。今日の八丁川も水深は浅くトレッキングシューズでも渡れそうだ。登り口からコシキ峠へ荒れた谷を登って行く。コシキ峠に出ると晴天の青空が眩しかった。

コシキ峠登り口 コシキ峠より西方面

 広域林道に出てから正面近くにある階段を下りていく。以前はスギの若木が大きく育ち道を消していたが,伐採されてはっきりとした山道が確保されていた。急斜面の谷を下り西谷林道に出る,その手前で盛りの過ぎたミカエリソウを見ることが出来る。楽しみにしてきたので少し残念である。西谷林道沿いには,他にオタカラコウ,マツカゼソウも見られるがこれらも盛りが過ぎているようだ。小塩への長い西谷林道を歩いていると,バイクのツーリング隊と時々出会う。

ミカエリソウ オタカラコウ

 ススキも穂を出し風にたなびいているのを見ていると秋を感じます。まだ本格的な紅葉時期ではありませんでしたが,天気も良くて,また初めてのルートでは村長さんの案内もあり楽しんで周回コースを終えました。