小てつのよも山話(NO.20)
「小父さん、年輪を数える」


大杉と小父さん



2008年11月17日(月)        小てつ








「このあたりは、例の種類の木の北限にあたるんや。」

 小父さん、お気に入りの大木のことである。
 その大木目当てに、わざわざ関東から来られる方もいて、
 これまた、わざわざ小父さんにガイドを頼む方もいる。

「あの大木は、樹齢数千年はあるんや。」

 小父さんは、確信をもって言う。
 でも、そう言われても、にわかには信じられないという人もいる。
 それはちょっとオーバーなっと言う意見が多い。
 しかし、小父さんは、木を扱うことを生業としてきた人であり、
 何より

「私は、あの木が落雷を受けて折れた枝の、年輪を数えたことがありますのや。」

 というのである。

「ほんの足ほどの太さの枝で、100ありましたで。」

 大木の主幹の太さを考えれば、数千年は少しも大げさではない。
 まして、ここは北限。一つ一つの年輪の幅が細かいのだという。
 南の島の大木が土器時代のもので、もし太さが同等なら、こっちのほうが
 成長が遅いはずだから、間違いなく古い。

 今の時代、アイソトープやらで、非破壊で科学的に調べることもできようが、
 ただ、あの大木の前に立てば、正確な数や、どっちが古いかなどは、どうで
 も良いと思えてくる。
 まず見て圧倒され、触れ、目をつぶり・・・
 小てつには、それだけで良いように思えるし、そのままを感じればよいと
 思う。何百年でも、何千年でも、そんなことはどうでも良くなる。
 ただ、何千年のほうが、ロマンがあって良いんじゃないだろうか?

 いっぺん、この木の近くで、夜空の星を眺めてみたい気もするが、奥深い
 森の獣たちの真っ只中で、テン泊する根性は、今のところでは、残念ながら
 無い。

 小父さんは、やったことあるんやろうなぁ。テント張って。
 きっと夜通し大木と会話して、こっそり年齢、聞いたんちゃうやろか?


 小屋では、そろそろストーブが欲しいころの話



                        【 記: 小てつ 】